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105 来世で ※
しおりを挟む「リオン、良いか?」
何が良いかさっぱりわからないが、ファーガス兄様の長い指は、俺の体を弄っている。
共に寝ようと話していたのだが、兄様が久々に射精しそうだったと知ってしまった俺は、どうしても続きをしたいとお願いしていたのだ。
だが、それなら次は俺に触れたいと告げた兄様が、俺の耳を喰みながら、乳輪をくるくると触れている。
「あっ、兄様っ、やだっ……」
「嫌? ああ、そうか。しっかり触って欲しいってことだな?」
なぜかすまないと謝罪したファーガス兄様は、俺のツンと尖る胸の飾りを、きゅっと摘んだ。
「あッ! や、やぁ、はずかしい、兄様っ……」
「はぁ…………可愛い。生リオン」
いや、生リオンって何?!
……うん、馬鹿だ。
ファーガス兄様は真面目な馬鹿だった。
「ぁんッ、兄様っ! 俺を弄んでどうするんです?! お、俺がやらないといけないんじゃ?」
「……リオンに触れているだけで達しそうだ」
「ほぇ?!」
「だからこのまま愛でさせてくれ、リオン」
耳元で甘い声で囁かれると、俺はゾクゾクとしてしまう。
兄様が俺の陰茎を早々に扱き、耳も胸の飾りも同時に攻められて、すでに限界を迎えている。
「ひぁっ、も、もう、イッちゃう、イッちゃうから、ぁッ、やめて、兄様っ……」
「我慢しなくて良いぞ?」
「うッ、だ、だって、俺がイッても、意味ない、でしょ? あぁッ!」
「全然わかっていないな、リオンは。私はリオンのイキ顔が見たいんだ。目に焼き付けたい」
極々当たり前のように言うファーガス兄様は、やっぱりちょっとおかしいと思う。
俺のイキ顔なんて、一瞬で忘れて欲しい。
というか、見ないでくれ!
絶対にイキ顔なんか見せてやるもんか、と俺は兄様にキスを強請った。
顔を見せない作戦だ。
「兄様のバカ……っ、キスして? おねがい」
「っ、リオン!」
感極まったように俺の名前を呼ぶファーガス兄様は、濃厚なキスをしてくれる。
「ふぁんッ、んっ、んっ、んッ、んん、んんんんんん────ッ!!」
兄様に舌を吸われて、深海色のギラつく瞳に凝視されながら、俺は射精を迎えていた。
ガクガクと体を震わせる俺を、瞬きもせずにうっとりと見つめるファーガス兄様。
恐ろしいほどの執念を感じた。
「世界一可愛かった、リオン。想像以上だ」
「っはぁ、はぁ、どんな想像、してるんですか……」
二人でくすくすと笑いながら、恋人のような甘い時間を過ごす。
兄様の体温が心地良くて胸元に頬を寄せると、兄様は俺の額に口付けを送ってくれる。
少しダラダラとしてわかったことは、ファーガス兄様は俺に激甘だってこと。
性行為の知識があまりない俺だけど、俺も兄様の期待に応えたい。
そう思っているのに、俺の体を清めてくれた兄様は、先程の謝罪を始めた。
「リオンに嫌われたら、生きていけない」
「そんな大袈裟な! 俺の勘違いだったんですから」
「だが、嫌いだと言われた……」
子供のように拗ねた口調で話すファーガス兄様が可愛らしくて、くすっと笑ってしまう。
「俺はいつも優しいファギー兄様が大好きです。ファギー兄様と兄弟じゃなかったら、結婚したかったなって昔から思っていましたよ?」
「っ……リ、オン、が、私の嫁……」
俺の顔を見ながらぶつぶつと話し始めた兄様は、何やら不穏なことを言っている気がしたけど、口許を緩めて明らかに機嫌が良くなっている気がする。
「ファギー兄様の恋人になれたら、すごく大切にしてもらえそうで、羨ましいなって……」
「リオン、私と結婚してくれないか?」
「はっ、はい?! あ、えっと……来世でお願いします?」
「来世か。考えておく」
神妙に頷くファーガス兄様に、俺なんかに兄様は勿体ないと思いながら微笑む。
来世でも、兄様の弟にしてくださいと神に祈りながら、逞しい体に抱きついた。
そろそろ寝ようと、部屋の明かりを消したファーガス兄様。
鼻先が触れそうなほど近い距離でファーガス兄様に腕枕をされた俺は、恥ずかしすぎて兄様の顔を見ることができない。
「リオン? こっちを向いて」
「は、恥ずかしい……です」
「さっきまで、もっと恥ずかしいことをしていたのにか?」
「っもう、兄様の意地悪っ!」
「意地悪? 事実を述べたまでだ」
ふっと笑うファーガス兄様は、意地悪を言っているつもりはないのだろうけど、俺は辱められている気持ちになる。
「兄様は明日も朝からお仕事でしょう? もう寝ましょうか」
「ああ、リオンも疲れたよな? おやすみ」
「おやすみなさい、兄様。また明日……」
目を閉じると、兄様の腕が俺の体を優しく包み込む。
子供を寝かしつけるような優しい手つきで、俺の黒髪をゆっくりと撫でる。
その手が気持ち良くて、すぐに眠気が襲ってきた。
うとうととしていると、俺の唇にむにゅっとした柔らかい何かが触れる。
おやすみのキスかな? とぼんやりとしながら受け入れていると、徐々に啄むようなキスをされる。
随分と長いキスだなぁと思っていると、熱い舌が俺の口内に侵入してきた。
少し口を動かして、兄様の舌をゆっくりと味わっていると、上顎を集中的にチロチロと舐められて、俺は熱い息を吐いた。
薄らと目を開けると、蕩けた表情の兄様と視線が交わった。
「にいさま? ねむれないよ……」
「んっ、すまない……もう少しだけ……」
「ぅん。ちょっとだけだよ?」
ゆるりと首を傾げると、ファーガス兄様が激しく舌を絡ませてくる。
やっぱりファーガス兄様は、あまのじゃくな性格だった。
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