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駅前のカラオケルームにて(二)・彼女が今の家に住み始めた経緯
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そんな小二の冬の、とある土曜日の日暮れ過ぎのことです。夕食を、その母の再婚相手と囲むことになりました。なるべく同席していたくない私は、ひたすら母にくっついて、配膳を手伝っていました。その様子を、繋ぎのビールを飲みながらにやにや笑って見ていたその男が、「葵ちゃんはいいお嫁さんになるなあ」って言いながら手を伸ばしてきて、私の背中を撫でたんです。
私、意味が分からないなりにぞっとしました。反射的に男の手を振り払って、母の背中にしがみついて身を隠して、母の後ろから顔だけ出して、精一杯声を張り上げて、小父さんなんか大っ嫌い!私からお母さんを取り上げておいて!今すぐこの家から出てって!!って、無我夢中で相手に向かって叫び立てました。ちょうど、生まれて初めて毒蛇に出くわした子猫が、相手の正体を知らないながらに、必死で全身の毛を逆立てて威嚇する、あんな感じでした。
当然の反応かも知れませんが、男は「この餓鬼!生意気言いやがって!」って激昂して、…母はただただ、「あなた!?葵!?」って、ひたすらおろおろするばっかりで…。
何度も申し上げた通り、当時の私はほんの子供でしたけれど、それでもその時、その家、…物心ついて以来、その日まで暮らしてきた、そのマンションの一室と、それから、この先の母の人生には、少なくとも、今までみたいな自分の居場所はもうないんだって、それはもうはっきりと悟りました。
私、自分の部屋から、さっき脱いだばかりの上着とマフラー、それに、祖母に貰って、気に入っていつも持ち歩いていた巾着の手提げに、身上…全財産の入ったお財布、…お財布ったって小銭入れですけれど、それだけ放り込んで、靴を突っ掛けて家を飛び出しました。食べ盛りの子供のことで、お腹が減って、正直目が回りそうになりましたけれど、それでも子供ながらに必死で気を張って、隣町、つまり、この町を経由するバスに乗って、馴染みのバス停で降りて、ひたすら祖母の家、伍代さんが先ほどいらしたあの家を目指しました。
私が玄関の戸を叩いて、お祖母ちゃん!!って叫んだら、ほとんど間を置かずに、いつもの割烹着姿に突っ掛けを履いた祖母が出てきて、物も言わずに抱きしめてくれました。普段、唯一の孫だからって、無闇に甘やかしたりする人じゃなかったのに。
それから祖母は私を抱えたまま、玄関先の電話機の、外してあった受話器を取って、まず一言、抑えた口調で母の名前を呼んで、「葵のことはね、本日只今から、私が引き取って育てるから。お前、…あの男には、今後、葵に近付きでもしたら、まずこの私が一切…それこそ微塵も容赦するつもりはないって、そう言っときな!」って、叩き付けるように言うなり、返事する声も聞きたくないっていう勢いで通話を切りました。私、…ここに、お祖母ちゃんのこの家にいてもいいんだ、良かった…って思ったら、ほっとして気が抜けたついでに、初めて頬に温かな涙が流れたのを記憶しています。それとほぼ同時に、私のお腹が盛大に鳴って、祖母が「まあまあ、あんたは」って大笑いして、…肉じゃがだったか、それとも小芋の煮っ転がしだったか、とにかく有り合わせのおかずでしたけれど、温かいご飯とお味噌汁とで食べさせてもらって、…炊飯器に残ってたご飯がほとんど空になるくらいお代わりをして、祖母がお給仕をしてくれながらの、「こりゃ竈返しだね」っていう、その、呆れたって言わんばかりの声と、苦笑いの表情までもが、今も温かな記憶として残っているんです。
え、…その母の再婚相手ですか?…二年ほど母と暮らしていたらしいですが、どうやらあちこちに不義理をしたらしく、その、…若い女性と駆け落ちしたそうです。母と暮らしている間も、半分ヒモのような生活状態だったようで…。そんな男に引っ掛かる母も、…いえ、今の私には、母のことは言えません。
…あ、…ええ、そうですね…。確かに、私があの家で、母やあの男と一緒に暮らしていたら、そのうち、本当に私の身が危なくなったかも知れません。そう言う意味では、私を引き取ってくれた祖母と同時に、それ以降、私を一切、祖母のところから連れ戻そうとはせずに、私の養育費を、父からの分も合わせて、毎月祖母に渡してくれていた母にも感謝です。…もしかしたら、それが、自分の大事な男を、他ならぬ自分の娘に奪われたくないっていう、多分に利己的な考えから出たことであっても。
その晩以来、私は祖母の家に厄介に…と言うと、今の状況では少し変ですけれど、今に至るまで、あの家に住み続けています。…いえ、去年の、例の、春の半ばから夏の初めにかけての数ヶ月を除けば、ですけれど…。そうですね、無事…とは言えませんけれど、何とかあの、大切な思い出の数々が詰まった、大好きな祖母の家に戻って来られて、本当に良かったと思っています。
隣町のマンションに残された私の荷物は、ランドセルと教科書やノート、筆記用具、それに最低限の着替えを除いては、年度末の終業式の後で、祖母が母に言って有給を取ってもらって、二日ほど家に居てもらって、祖母と私、それから、祖母の妹の孫、…私にとっては又従兄に当たる人が、ちょうど大学の長期休暇中で、軽トラックを一台と、あと、力の要る作業を手伝ってもらうために、学校のお友達を一人連れてきてくれたので、私の荷物を片端から祖母と二人で段ボールに詰めて、宏孝さん、…その又従兄です。宏孝さんと、そのお友達に、軽トラの荷台に詰んでもらいました。
有給とは言え休暇の最中だと言うのに、母は、ダイニングテーブルの周りをうろうろ歩きながら、誰かと携帯電話でやり取りしていたかと思えば、唐突にがばりと椅子に腰掛けて、広げた資料を繰り、自分の目の前のノートパソコンのキーボードを操作する合間に、誰に言うともなく「ただでさえ年度末で忙しいのに」って溢してましたけれど、祖母の「誰のせいだと思ってるんだい」という一声で黙り込んでしまい、しばらくひたすらキーボードをただカタカタと弄っていました。私には、そんな母が、もうすっかり懐かしさも親しみもない赤の他人に見え、そして、そのこと自体に、乾いた北風が吹き抜けるような、妙にすかすかした痛みと悲しみを覚えて仕方なくて、その感情を押さえつける、と言うよりは、その感情自体をなかったことにするために、ひたすら手元の作業に没頭していました。
最後の段ボールを宏孝さん達が軽トラに運んで行った後、祖母と私が、片付けやら掃除やらの後始末を終えて、自分達の身支度に掛かった頃に、母がふらりと言う感じで、自分のマグカップを片手に私達のところにやって来て、部屋の入り口の扉の柱に自分の背を凭れさせて、母の視線から顔を背けるように黙々と支度をする私の方を、コーヒーを啜りながら眺めていました。
祖母は、自分の身支度を済ませると、同じく身支度を終えた私を母の前に押し遣って、「葵、仮にもあんたのおっ母さんだ。今まで育てて貰ったお礼だけはちゃんと言いなさい」って、静かでしたけれど、決して私の反抗を許さない、ずしりと重みのある口調で命じました。私が口の中でもごもご言って、母に頭を下げてみせると、母は、ほんの一瞬だけ、自分の中に存在する感情に戸惑ったような顔をしていましたけれど、すぐに私の頭に自分の右の掌を置いて、「体には気をつけなさいよ。風邪は万病の元なんだから。特にあんたは、ちょっと風邪引いただけでエラいことになるんだから…。あと、お祖母ちゃんに迷惑は掛けないのよ」って、何だか、私を春休みに祖母の家に預ける時にでも言うようなことを言って、怒ったような手付きで私の髪をくしゃくしゃと撫でて、それからくるりと私達の方に背を向けて、変に肩の怒った大股歩きで、一直線にダイニングテーブルに向かって行って、勢い良く椅子に腰掛けてノートパソコンに相対したかと思うと、鬼のような勢いでキーボードを叩き始めました。
祖母はそんな母を尻目に、私の髪を手櫛で梳いて整えると、私を促してそのまま玄関に向かい、私達はそれぞれ履き物を履いて部屋の外に出ました。ドアを閉める間際に、祖母が「鍵、ちゃんと掛けなさいよ」って掛けた声に、「わかってる!」っていう、ほとんど怒鳴るような母の声が応じて、そのやり取りを耳の端で聞きながら、私は祖母がドアを閉めるのを待ち、それから祖母に手を引かれてエレベーターに向かいました。
祖母が閉めたドアの向こうから、あれは多分母の、…妙にくぐもった、何やら獣の呻くような声が聞こえたような気がしましたけれど、でもそれは、当時、八歳の誕生日を祖母の家で迎えて程無かった私の、単なる空耳だったかも知れません。
私、意味が分からないなりにぞっとしました。反射的に男の手を振り払って、母の背中にしがみついて身を隠して、母の後ろから顔だけ出して、精一杯声を張り上げて、小父さんなんか大っ嫌い!私からお母さんを取り上げておいて!今すぐこの家から出てって!!って、無我夢中で相手に向かって叫び立てました。ちょうど、生まれて初めて毒蛇に出くわした子猫が、相手の正体を知らないながらに、必死で全身の毛を逆立てて威嚇する、あんな感じでした。
当然の反応かも知れませんが、男は「この餓鬼!生意気言いやがって!」って激昂して、…母はただただ、「あなた!?葵!?」って、ひたすらおろおろするばっかりで…。
何度も申し上げた通り、当時の私はほんの子供でしたけれど、それでもその時、その家、…物心ついて以来、その日まで暮らしてきた、そのマンションの一室と、それから、この先の母の人生には、少なくとも、今までみたいな自分の居場所はもうないんだって、それはもうはっきりと悟りました。
私、自分の部屋から、さっき脱いだばかりの上着とマフラー、それに、祖母に貰って、気に入っていつも持ち歩いていた巾着の手提げに、身上…全財産の入ったお財布、…お財布ったって小銭入れですけれど、それだけ放り込んで、靴を突っ掛けて家を飛び出しました。食べ盛りの子供のことで、お腹が減って、正直目が回りそうになりましたけれど、それでも子供ながらに必死で気を張って、隣町、つまり、この町を経由するバスに乗って、馴染みのバス停で降りて、ひたすら祖母の家、伍代さんが先ほどいらしたあの家を目指しました。
私が玄関の戸を叩いて、お祖母ちゃん!!って叫んだら、ほとんど間を置かずに、いつもの割烹着姿に突っ掛けを履いた祖母が出てきて、物も言わずに抱きしめてくれました。普段、唯一の孫だからって、無闇に甘やかしたりする人じゃなかったのに。
それから祖母は私を抱えたまま、玄関先の電話機の、外してあった受話器を取って、まず一言、抑えた口調で母の名前を呼んで、「葵のことはね、本日只今から、私が引き取って育てるから。お前、…あの男には、今後、葵に近付きでもしたら、まずこの私が一切…それこそ微塵も容赦するつもりはないって、そう言っときな!」って、叩き付けるように言うなり、返事する声も聞きたくないっていう勢いで通話を切りました。私、…ここに、お祖母ちゃんのこの家にいてもいいんだ、良かった…って思ったら、ほっとして気が抜けたついでに、初めて頬に温かな涙が流れたのを記憶しています。それとほぼ同時に、私のお腹が盛大に鳴って、祖母が「まあまあ、あんたは」って大笑いして、…肉じゃがだったか、それとも小芋の煮っ転がしだったか、とにかく有り合わせのおかずでしたけれど、温かいご飯とお味噌汁とで食べさせてもらって、…炊飯器に残ってたご飯がほとんど空になるくらいお代わりをして、祖母がお給仕をしてくれながらの、「こりゃ竈返しだね」っていう、その、呆れたって言わんばかりの声と、苦笑いの表情までもが、今も温かな記憶として残っているんです。
え、…その母の再婚相手ですか?…二年ほど母と暮らしていたらしいですが、どうやらあちこちに不義理をしたらしく、その、…若い女性と駆け落ちしたそうです。母と暮らしている間も、半分ヒモのような生活状態だったようで…。そんな男に引っ掛かる母も、…いえ、今の私には、母のことは言えません。
…あ、…ええ、そうですね…。確かに、私があの家で、母やあの男と一緒に暮らしていたら、そのうち、本当に私の身が危なくなったかも知れません。そう言う意味では、私を引き取ってくれた祖母と同時に、それ以降、私を一切、祖母のところから連れ戻そうとはせずに、私の養育費を、父からの分も合わせて、毎月祖母に渡してくれていた母にも感謝です。…もしかしたら、それが、自分の大事な男を、他ならぬ自分の娘に奪われたくないっていう、多分に利己的な考えから出たことであっても。
その晩以来、私は祖母の家に厄介に…と言うと、今の状況では少し変ですけれど、今に至るまで、あの家に住み続けています。…いえ、去年の、例の、春の半ばから夏の初めにかけての数ヶ月を除けば、ですけれど…。そうですね、無事…とは言えませんけれど、何とかあの、大切な思い出の数々が詰まった、大好きな祖母の家に戻って来られて、本当に良かったと思っています。
隣町のマンションに残された私の荷物は、ランドセルと教科書やノート、筆記用具、それに最低限の着替えを除いては、年度末の終業式の後で、祖母が母に言って有給を取ってもらって、二日ほど家に居てもらって、祖母と私、それから、祖母の妹の孫、…私にとっては又従兄に当たる人が、ちょうど大学の長期休暇中で、軽トラックを一台と、あと、力の要る作業を手伝ってもらうために、学校のお友達を一人連れてきてくれたので、私の荷物を片端から祖母と二人で段ボールに詰めて、宏孝さん、…その又従兄です。宏孝さんと、そのお友達に、軽トラの荷台に詰んでもらいました。
有給とは言え休暇の最中だと言うのに、母は、ダイニングテーブルの周りをうろうろ歩きながら、誰かと携帯電話でやり取りしていたかと思えば、唐突にがばりと椅子に腰掛けて、広げた資料を繰り、自分の目の前のノートパソコンのキーボードを操作する合間に、誰に言うともなく「ただでさえ年度末で忙しいのに」って溢してましたけれど、祖母の「誰のせいだと思ってるんだい」という一声で黙り込んでしまい、しばらくひたすらキーボードをただカタカタと弄っていました。私には、そんな母が、もうすっかり懐かしさも親しみもない赤の他人に見え、そして、そのこと自体に、乾いた北風が吹き抜けるような、妙にすかすかした痛みと悲しみを覚えて仕方なくて、その感情を押さえつける、と言うよりは、その感情自体をなかったことにするために、ひたすら手元の作業に没頭していました。
最後の段ボールを宏孝さん達が軽トラに運んで行った後、祖母と私が、片付けやら掃除やらの後始末を終えて、自分達の身支度に掛かった頃に、母がふらりと言う感じで、自分のマグカップを片手に私達のところにやって来て、部屋の入り口の扉の柱に自分の背を凭れさせて、母の視線から顔を背けるように黙々と支度をする私の方を、コーヒーを啜りながら眺めていました。
祖母は、自分の身支度を済ませると、同じく身支度を終えた私を母の前に押し遣って、「葵、仮にもあんたのおっ母さんだ。今まで育てて貰ったお礼だけはちゃんと言いなさい」って、静かでしたけれど、決して私の反抗を許さない、ずしりと重みのある口調で命じました。私が口の中でもごもご言って、母に頭を下げてみせると、母は、ほんの一瞬だけ、自分の中に存在する感情に戸惑ったような顔をしていましたけれど、すぐに私の頭に自分の右の掌を置いて、「体には気をつけなさいよ。風邪は万病の元なんだから。特にあんたは、ちょっと風邪引いただけでエラいことになるんだから…。あと、お祖母ちゃんに迷惑は掛けないのよ」って、何だか、私を春休みに祖母の家に預ける時にでも言うようなことを言って、怒ったような手付きで私の髪をくしゃくしゃと撫でて、それからくるりと私達の方に背を向けて、変に肩の怒った大股歩きで、一直線にダイニングテーブルに向かって行って、勢い良く椅子に腰掛けてノートパソコンに相対したかと思うと、鬼のような勢いでキーボードを叩き始めました。
祖母はそんな母を尻目に、私の髪を手櫛で梳いて整えると、私を促してそのまま玄関に向かい、私達はそれぞれ履き物を履いて部屋の外に出ました。ドアを閉める間際に、祖母が「鍵、ちゃんと掛けなさいよ」って掛けた声に、「わかってる!」っていう、ほとんど怒鳴るような母の声が応じて、そのやり取りを耳の端で聞きながら、私は祖母がドアを閉めるのを待ち、それから祖母に手を引かれてエレベーターに向かいました。
祖母が閉めたドアの向こうから、あれは多分母の、…妙にくぐもった、何やら獣の呻くような声が聞こえたような気がしましたけれど、でもそれは、当時、八歳の誕生日を祖母の家で迎えて程無かった私の、単なる空耳だったかも知れません。
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