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ボクも応えたいその気持ち
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午後の授業も終わり、部活動に励む生徒と帰宅に勤しむ生徒とで、道を分かつ時間。
ボクは人気のない、旧校舎裏へと足を運んでいた。
旧校舎は、そもそも生徒が立ち寄ることはほとんどなく、生徒会や先生たちなら来るかもしれないけれど、それにしても滅多に人が来ることはない。
そんな校舎のさらに裏庭ともなれば、まず人は来ないと思う。
生暖かい風に吹かれながら目的の場所に到着すると、一人の男子生徒が目に映ってきた。
身長は充よりも高く、ボクからじゃ見上げないと顔を見ることも出来そうにない。
細身の体で、こちらに気付いた彼のお辞儀する様子は、まさに好青年という言葉がぴったりとハマる雰囲気だ。
「君が、凪 修平くんかい?」
ボクの声に顔を上げ、とても真っ直ぐに見つめてくる。真面目そうな子だね。
「はい。凪と申します。朱思先輩、こんな人気の無い場所にお呼び立てしてしまい、深くお詫び申し上げます」
「堅いなぁ、君。ボクはそんなこと気にしないんだから。もっとフランクにいこうよ。ね?」
ボクの提案に悩んでくれているのかな? 眉根を顰めて視線を泳がせている。……中々ボクの嗜好に触れてくれるじゃ無いか。
「フランクにとはいきませんが、確かに少し堅かったように思います。以後気をつけるようにします」
「うんまあ、そんな感じでもいいんじゃないかな?」
まだお堅いけれど、人には人の性格というものがあるからね。とりあえずはよしとしようか。
「あまりお時間を割いてもらうわけにもいかないので、単刀直入に要件を述べますね」
「手紙のことだね? いいよ、話してみるといい」
もっとも、要件とやらが何かは手紙に書いてあった通りだろうさ。あまりに多かったから、全部には目を通せていないけど、察しはつくというもの。
「朱思 愛理先輩。自分と異性交遊の程、お願いします!」
彼からの手紙はいわゆるラブレターと呼ばれる物。ボクへの恋文だね。こういうことなんだ。
──しかしそうきたか! まさか告白の言葉までこんなお堅い子は初めてだよ。──とっても、面白いじゃないか!
「返事の方は決まってるんだけど、一つ君に問おう」
「はい」
「何故ボクなんだい?」
これは、今までに交際を申し込んできた相手みんなに聞いていることなんだ。
理由なんてなんでもいいんだけど、ボクの中でどうしても許せない理由がある。
彼はとても真面目そうで、よく考えてくれている気がするので、大丈夫だと信じてあげたいんだけどね。
即答しないことはとてもいい。そうやって考え、悩む姿を見せてくれるのは、ボクにとってとても好印象だ。
「……一番の理由をあげるなら、貴女のその容姿が最も適切な解答になります」
──残念だよ、後輩君。
ボクはこの外見に惚れたと言って告白してきた相手に、尽く裏切られてきたんだ。
もちろん、君は他にボクの興味をそそる部分があるだけましなんだけど、それを理由に持ってきたのは、ボクの中で君の評価が地の底まで落ちたような状態と言える。
「分かったよ。それじゃ──」
「ただ」
? まだ続くのか。
いいよ、聞こうじゃないか。ボクを納得させるだけの理由があるというなら、ボクは幾らだって聞いてやる。
「自分は入学してからこの一年、朱思先輩の事を見てきました」
「一年?」
それはとても──ボクの心をくすぐる内容だ。是非続きを聞きたいな。
「誰かと話している時、その中でも何かを悩んでらっしゃる時。それが貴女の姿の中で、最も自分が心奪われた瞬間です」
──言葉を失ってしまった。
ボクの悩む姿に心を? それはつまり、ボクと同じ趣向の持ち主ということかい?
真剣に見つめてくるその瞳は濁りもなく、ボクの趣味を知った上で合わせにきた、という風ではないようだ。
今こうして見つめているボクに、その頬を赤く染めていく君の様子は、とても印象深い。
今ボクが思考を巡らせている。この姿に君は魅力を感じてくれたと言う。
……こんなのは初めてだよ、後輩君──いや、凪くん。
「今の先輩は、今まで見てきたどの先輩よりも魅力的です。自分のことで悩んでくれている、その姿に心を奪わるようです」
彼のその言葉は、とても心地いい。
ボクはどうしてしまったんだろう。
胸に手を置けばその鼓動はとても早いことが分かる。
小さく漏れる息には熱がこもっているみたいだ。
目の前にいる彼から目を背けることができない。こんなことは、十七年の人生の中で初めてのことかも知れない。
ボクの意思に関係なく、口角が持ち上がっていくのが分かる。
「いい。いいよ凪くん。ボクは今君に、とてもときめいているようだ!」
ボクの言葉に、どう反応したら良いのか分からないといった風だろうか?
不思議そうに呆けつつも、何かを思案するかのようなその表情……あぁ、とてもゾクゾクしてしまう!
「凪くん! 君は今、ボクの人生の中で出会った、どの男性よりも魅力的な存在となっている!」
「つまり、答えの方は……?」
「君には正直に言おう。仮に、君がボクの最も嫌う人種だったとしても、告白を受けたならボクは間違いなく承諾した。恋を知る上で、相手を選んでなどいられないからね」
真面目に聞き入るその表情もいい……!
君はどれほどに、ボクの心を揺さぶれば気が済むんだい?
「しかし、君のその魅力に、今のボクはぞっこんだ! こちらからお願いしたい──ボクと、恋仲になっておくれ!」
「……! ありがとうございます!」
それはボクのセリフだ!
ボクの返答に喜ぶその姿、生暖かい風ですら涼しく感じるボクの火照った身体……とっても心地がいいよ、凪くん。
君はこの先、ボクにどんな未来を見せてくれるんだい?
ボクは人気のない、旧校舎裏へと足を運んでいた。
旧校舎は、そもそも生徒が立ち寄ることはほとんどなく、生徒会や先生たちなら来るかもしれないけれど、それにしても滅多に人が来ることはない。
そんな校舎のさらに裏庭ともなれば、まず人は来ないと思う。
生暖かい風に吹かれながら目的の場所に到着すると、一人の男子生徒が目に映ってきた。
身長は充よりも高く、ボクからじゃ見上げないと顔を見ることも出来そうにない。
細身の体で、こちらに気付いた彼のお辞儀する様子は、まさに好青年という言葉がぴったりとハマる雰囲気だ。
「君が、凪 修平くんかい?」
ボクの声に顔を上げ、とても真っ直ぐに見つめてくる。真面目そうな子だね。
「はい。凪と申します。朱思先輩、こんな人気の無い場所にお呼び立てしてしまい、深くお詫び申し上げます」
「堅いなぁ、君。ボクはそんなこと気にしないんだから。もっとフランクにいこうよ。ね?」
ボクの提案に悩んでくれているのかな? 眉根を顰めて視線を泳がせている。……中々ボクの嗜好に触れてくれるじゃ無いか。
「フランクにとはいきませんが、確かに少し堅かったように思います。以後気をつけるようにします」
「うんまあ、そんな感じでもいいんじゃないかな?」
まだお堅いけれど、人には人の性格というものがあるからね。とりあえずはよしとしようか。
「あまりお時間を割いてもらうわけにもいかないので、単刀直入に要件を述べますね」
「手紙のことだね? いいよ、話してみるといい」
もっとも、要件とやらが何かは手紙に書いてあった通りだろうさ。あまりに多かったから、全部には目を通せていないけど、察しはつくというもの。
「朱思 愛理先輩。自分と異性交遊の程、お願いします!」
彼からの手紙はいわゆるラブレターと呼ばれる物。ボクへの恋文だね。こういうことなんだ。
──しかしそうきたか! まさか告白の言葉までこんなお堅い子は初めてだよ。──とっても、面白いじゃないか!
「返事の方は決まってるんだけど、一つ君に問おう」
「はい」
「何故ボクなんだい?」
これは、今までに交際を申し込んできた相手みんなに聞いていることなんだ。
理由なんてなんでもいいんだけど、ボクの中でどうしても許せない理由がある。
彼はとても真面目そうで、よく考えてくれている気がするので、大丈夫だと信じてあげたいんだけどね。
即答しないことはとてもいい。そうやって考え、悩む姿を見せてくれるのは、ボクにとってとても好印象だ。
「……一番の理由をあげるなら、貴女のその容姿が最も適切な解答になります」
──残念だよ、後輩君。
ボクはこの外見に惚れたと言って告白してきた相手に、尽く裏切られてきたんだ。
もちろん、君は他にボクの興味をそそる部分があるだけましなんだけど、それを理由に持ってきたのは、ボクの中で君の評価が地の底まで落ちたような状態と言える。
「分かったよ。それじゃ──」
「ただ」
? まだ続くのか。
いいよ、聞こうじゃないか。ボクを納得させるだけの理由があるというなら、ボクは幾らだって聞いてやる。
「自分は入学してからこの一年、朱思先輩の事を見てきました」
「一年?」
それはとても──ボクの心をくすぐる内容だ。是非続きを聞きたいな。
「誰かと話している時、その中でも何かを悩んでらっしゃる時。それが貴女の姿の中で、最も自分が心奪われた瞬間です」
──言葉を失ってしまった。
ボクの悩む姿に心を? それはつまり、ボクと同じ趣向の持ち主ということかい?
真剣に見つめてくるその瞳は濁りもなく、ボクの趣味を知った上で合わせにきた、という風ではないようだ。
今こうして見つめているボクに、その頬を赤く染めていく君の様子は、とても印象深い。
今ボクが思考を巡らせている。この姿に君は魅力を感じてくれたと言う。
……こんなのは初めてだよ、後輩君──いや、凪くん。
「今の先輩は、今まで見てきたどの先輩よりも魅力的です。自分のことで悩んでくれている、その姿に心を奪わるようです」
彼のその言葉は、とても心地いい。
ボクはどうしてしまったんだろう。
胸に手を置けばその鼓動はとても早いことが分かる。
小さく漏れる息には熱がこもっているみたいだ。
目の前にいる彼から目を背けることができない。こんなことは、十七年の人生の中で初めてのことかも知れない。
ボクの意思に関係なく、口角が持ち上がっていくのが分かる。
「いい。いいよ凪くん。ボクは今君に、とてもときめいているようだ!」
ボクの言葉に、どう反応したら良いのか分からないといった風だろうか?
不思議そうに呆けつつも、何かを思案するかのようなその表情……あぁ、とてもゾクゾクしてしまう!
「凪くん! 君は今、ボクの人生の中で出会った、どの男性よりも魅力的な存在となっている!」
「つまり、答えの方は……?」
「君には正直に言おう。仮に、君がボクの最も嫌う人種だったとしても、告白を受けたならボクは間違いなく承諾した。恋を知る上で、相手を選んでなどいられないからね」
真面目に聞き入るその表情もいい……!
君はどれほどに、ボクの心を揺さぶれば気が済むんだい?
「しかし、君のその魅力に、今のボクはぞっこんだ! こちらからお願いしたい──ボクと、恋仲になっておくれ!」
「……! ありがとうございます!」
それはボクのセリフだ!
ボクの返答に喜ぶその姿、生暖かい風ですら涼しく感じるボクの火照った身体……とっても心地がいいよ、凪くん。
君はこの先、ボクにどんな未来を見せてくれるんだい?
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