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番外編

アレンカ番外編5

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「……はぁ。なぜだ? なぜ言わなかった。その話し方や表情、すべて演技か? 偽って、私が振り回されるのを見て楽しかったか?」
「んー、言わなかったのは、聞かれなかったから。もう少し言うと、異世界で不安だったから守ってもらいたかったから。演技は、最初の頃はちょっとね。今ではこれに馴染んじゃったから、演技じゃないよ」

 元の外見と年齢だったら、ちょっと引くようなしゃべり方をしても、新しい体では違和感がなかった。それに合わせただけだから、特に罪悪感はない。

「最後の質問には答えてないな」
「うーん、正直、楽しかったかな」

 アレンカがここに来て傷ついたような顔をした。僕の嗜虐心がムクリと頭をもたげる。

「僕はアレンカを愛してるよ。本当に。だから、僕を幼いと思って大事にしてくれるのはとても嬉しかった」
「なんだか丸め込もうとしている気がするな」
「そう?」

 僕はにっこり笑う。本当に、嘘はついてないんだけどな。

「……私が、おまえに手を出せなくて、性衝動を持て余しているのを見ても、楽しんでいたか?」
「まあね。僕も結構我慢したよ」

 また少し、傷ついたように目を伏せた。ああ、あの目にキスをしたい。

「なぜそこまでする?」
「僕わりとひねくれてるからね。悩んでるアレンカは可愛かったし、我慢に値すると思った」
「……わからん」
「そう? 気を張って大人ぶって、僕を大事にしてくれて、でもほんとは甘えたいのを我慢してるアレンカ、とても可愛かったよ。セックスはあっさりしてるのが好きとか言って、実はちょっと欲求不満なのも、僕の本性に気づかずにいる甘いところも、可愛い」
「なっ……」

 一応抑えているつもりだけど、今、舌なめずりするような顔をしてしまっていると思う。

「僕ねぇ、おねショタって憧れてたんだよねぇ。まあ、そこまで若くはなれなかったけど」

 そう、これが本音中の本音。
 一番魂の相性がいい相手がかなりの年上だって聞いたら、もう、夢を叶えるしかないと思ったんだ。もうちょっと年齢も近くて、状況も楽な相手もいるとは言われたんだけど、僕はアレンカを選んだ。

「おねショタ? なんだそれは」
「まあ、わからなくてもいいよ。それはもう十分に満喫したし」

 年上のつがいに、優しくセックスの手ほどきをされるなんて、最高のプレイだ。アレンカは大真面目だったけど、僕にとってはプレイという感覚。

 何も言わなかったら、僕が何も知らないと思ったのか、どう触れれば女性を気持ちよくすることができるかとか、挿れる場所とか、真っ赤になりながらも丁寧に教えてくれた。はじめての刺激にすぐにイッてしまったのもフォローしてくれたし、そのあとがっついても怒られなかった。

 正直、魂レベルでは全然はじめてではなかったのだけど、新しい体での、我慢に我慢を重ねたあとのセックスは、目もくらむほど気持ちよかった。

 その後も、アレンカは僕を「とても年下の、初心な男の子」として扱ってきた。本当は、大体の経験を済ませた、しかもどちらかというとアブノーマルなところまで足を突っ込んだこともある、精神年齢同じくらいの男なのに。

 あ、体はほんとに新品だし、前よりちょっと敏感で困ってはいるんだけど。

「もうしばらくおねショタ的プレイを楽しむのもアリだったけど、僕もいい加減つらくなってきたから、ここでバレてよかったかな」
「……よくわからないが、おまえが純粋で幼い子どもではないことはよく理解した」
「ふふ。じゃあ、どうする?」
「一発殴らせろ」

 そう言うや否や、僕の返答を待たずに、研究者とはいえ軍属のアレンカの拳が僕に襲いかかった。
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