私が猫又族のお姫様!?

モルガナ

文字の大きさ
上 下
118 / 218
3章 マジョルカ学園編

一方その頃霖お姉様は…①

しおりを挟む
ナツメがアルカンシエルを紹介し、アルカンシエルがナツメをママと言ったことでナツメに好意を抱くクラスの男子の視線が氷点下まで下がりアルカンシエルを見ていた頃、ナツメがお姉様と慕う霙の姉である霖も苦境に立たされていた。



ナツメより2歳年上である3年生の霖も自身の教室である満月クラスに廊下を走らない程度の早足で向かっていた。

廊下の教室からは見えない死角から見ると担任教師である羊の獣人であるエトワール先生の授業がまもなく終わろうとしていた。


満月クラスは、だいたいどの学年も成績優秀であるだけでなく素行が良い為、授業をサボる者はほとんどいない霖のクラスも例外ではなく霖の座席である教室の中央の席だけがポツンと空いており、この時ばかりは自分の運を呪った。


あぁー最悪だわ、席が中央だなんてどう移動しても死角がないじゃない。

本来なら、正々堂々を信条とする霖であるが、できれば今回だけは正々堂々謝罪することは避けたかった…


というのも普段は大抵のことであれば笑って許してくれる仏のエトワール先生で知られているが、授業に遅れることだけは容認できない羊さんらしく、以前寝坊してしまった生徒に凍てつくような視線と超難題を解くよう名指ししてクラスの生徒を震えあがらせたからだ。


でも先ほども言ったように私の席はクラスの中央にあるため死角はなく、私は渋々覚悟を決めて教室に入った。



<先生、申し訳ありません。遅れました…>


とすぐさま私が腰を折って謝罪すると先生は黒板に書く手を止め、聞いてきた。



《頭を上げてください。何か事情があるんでしょう?霖さんは、朝に強い子だと思いますしっ…えっ!?》



珍しく怒ったわけではないような声音が途中で驚愕に変わり不思議に思って顔を上げると先生は、私の背後を見て目を丸くしていた。


背後を振り返れば、キョトンとしたあどけない顔立ちのライトニングが首を傾げて念話してきた。


"どうちたの?ママ?"


<えっ?なんでここにいるの?私ライトニングを置いて鍵もナツメちゃんが閉めてくれたはずなんだけど?>



"しょれわね、アルカンチェルが開けてくれたの!だからアルカンチェルもいまごりょ、ママのところに行ってりゅの。"


とまだ雛の為舌ったらずなライトニングの言葉を聞き私は頭が痛くなったのだった。
しおりを挟む

処理中です...