文字の大きさ
大
中
小
125 / 878
連載
軍隊ダンジョン⑦
買い取りから数日後、再び軍隊ダンジョンへ。
予定は10日間。ビアンカとルージュは最終階まで行きたいと。
色々話し合い、私と晃太のレベルアップに関してだけど、出来れば10階あたりの初心者エリアが良かったけど。最終的に手っ取り早くレベルを上げようと言うことに。
いいのかなあ。
結局、転移石を使用して30階に。
晃太が地図を片手に30階を見て回っている。もちろんビアンカかルージュの、どちらかに付いてもらっている。
情報がお金になったので、やる気になって、せっせと書き込んでいる。晃太の貴重な収入源だ。なので、せっせと書き込んでいる。
時々、軍隊蟻を、ひーひー言いながらフライパンで叩く。
そんなこんなで5日後、35階のボス部屋に。
情報では、とかげとかの爬虫類が多く出るそうだ。
いやや、爬虫類。
「あえて残さんでいいからね」
『分かったのです』
『任せて』
ビアンカが開けて、ルージュが飛び込む。ノワールが行きたいと、ブヒヒン言っているが宥める。
相変わらず、ちゅどん、どかん。
ビアンカが援護の為に、風乙女(シルフィリア)で飛び込む。
ちゅどん、どかん。
相変わらず、凄か。
とことこと、ビアンカとルージュが出てくる。
「お疲れ様、なんやったね?」
『リザードなのです』
『サラマンダーもいたわ』
サラマンダーとは火を噴くとかげとな。いかんでよかった。
「大丈夫ね? 火傷とかしてない?」
『あの程度の火で、私達にキズはつかないわ』
『そうよ。倍の火炎でお返ししたわ』
「そうね」
火を噴くとかげを、火で制したのね。
せっせとドロップ品を拾う。
何枚か赤っぽい革がある。牙に、瓶に入った肝。あ、牙も赤っぽいのがある。魔石の何個か赤い物もある。
カートの籠に次々入れて、晃太に渡す。
〆に出てきた宝箱。
ルージュがチェックする。罠なし。
「では、開けましょう」
ワクワク。
お、ビロードの箱。
開けるとキラキラ、キラキラ、キラキラ。
ダイヤモンドのブレスレットにネックレス、イヤリング。軍隊ダンジョンで初めて宝飾品がでた。
もう一つ、ビロードの箱。
小さな石の嵌まった指輪。
『それ、魔力を感じるわ』
マジックアイテムね。
「お父さんの鑑定待ちやね。晃太、合計は?」
「えっとなあ。革が30、赤い革が25、牙が350、赤い牙は163、肝は20、魔石が68、赤い魔石が50、大きめな魔石が8、赤い大きめな魔石が7」
3桁。
明日は未開の階のため、本日はボス部屋の前でルームを開けた。
それからも夕食後に食後の運動と、ボス部屋をちゅどん、どかん。
金属やら大量の絵具が出てきた。
『マジックバッグがもう一つ欲しいのです』
『そうね、もう一つ欲しいわ』
「一つあればよかやん?」
『『ぶーぶー』』
私はビアンカとルージュを宥めた。
次の日、36階に。
「沼あぁ」
見渡す限り、湿地帯。
「ビアンカ、こんな感じやけん、道ば作ってくれる?」
『いいのですよ』
「ルージュ、方角お願いね。他に冒険者の方はおらん?」
『任せて。他に誰もいないわ』
ルームに晃太、ノワール、5匹は避難。
ビアンカが地面を凍りつかせて、まっすぐ進む。
途中で、色んな虫が来た。
ひー、でっかい蜻蛉がー。
足がもつれそうになりながら走り抜ける。
途中のセーフティゾーンで休みながら進む。
ボス部屋に着いたのは、昼を回っていた。
「ああ、疲れた………」
『ユイ、ボス部屋なのです』
『早く行きましょう』
人気のスイーツを買いに行きましょう、みたいな感じで言わんで。
お茶を飲んで、一呼吸する。
扉は大きな鋼鉄製だ。
ルージュが扉の中に、黒い霞を入り込ませている。
「どうしたん?」
『これである程度は中に何がいるか分かるのよ』
「へえ、便利やね」
『レベルが上がってから使えるようになったのよ。まあ、精度はいまいちだけどね』
分かるのはボス部屋の広さ、構造。それから潜んでいる魔物だが、これは扉を開ける者によって変わるので、あまり当てにならないと。
「十分凄かよ。何か分かった?」
『そうね。かなり中は広いわ。それと亀のようね』
亀か。コラーゲン。いかんいかん。
どうするか、ビアンカとルージュが相談。ルージュが開けて、ビアンカが雷女帝(エル・カテリーナ)で飛び込むことに。
飛び込む前に、防音の魔法をかけてもらう。
私は念のために耳を塞ぐ。
ルージュが扉を開けて、ビアンカが雷を纏って弾丸のように飛び込んで行く。すぐにルージュが続く。
ちゅどどどどどん
ちゅどどどどどん
どかーん
どかーん
相変わらず凄かあ。
ちゅどーん
ちゅどーん
どかーん
どかーん
しばらくして、ビアンカとルージュが出てくる。
何か時間かかったね。
「大丈夫ね? 時間かかったね」
『大丈夫なのです。ちょっと、魔法が効きにくいのがいたのです』
「魔法が効かん? カブトムシやったと?」
『いいえ。亀ばっかりだったけど、一匹だけ、ドラゴンが混じってて。装甲竜(アーマードラゴン)よ』
出ましたドラゴンッ。
恐る恐る覗くと散らばるドロップ品。
晃太にルームから出てもらい、ドロップ品を拾う。ひー、目玉の入った瓶があるう。だけど、きっとこれで出来たポーションは、たくさんの人を救うはず。感謝して拾おう。
最後に出てきた大きな宝箱。ルージュがチェックして、罠がある。
『ちょっと手強いわ。少し待ってね』
「よかよ、ゆっくりしてね」
しばらくルージュは宝箱と対面し、ぱきり、と音がする。
『大丈夫よ』
「ありがとうルージュ、さ、晃太どうぞ」
「ん」
開けると、びっしり竹の水筒が。合計48本。ビールケースふたつぶん。後は上級ポーションが10本。単純計算で1740万かあ。すごかあ。ポーションは引き取りになる。
『ねえねえユイ』
『ドラゴンのお肉焼いてなのです』
「今のドラゴン? ダメよ、お父さんの鑑定待ちよ。お腹でも壊したら、元気達のお乳どうするん? ダメよダメ」
『『ぶーぶー』』
「代わりに、マーファのドラゴンステーキ出すけん、我慢してん」
『分かったのです』
『いいわ。甘いのも欲しいわ』
「分かっとるって。今日はフルーツたっぷりのケーキやからね」
『早くルームに入るのです』
『お腹すいたわ』
「はいはい」
もう、かわいかね。
「晃太、いくつね?」
「えっとな。甲羅が48、亀の肉が36、血が100本。ドラゴンの革、腎臓、目玉、肺、心臓が1個ずつ。血の瓶が20本、骨が大小合わせて43、爪が3、牙が6、装甲が5、後は肉やな。魔石が55、特大が1個や」
ダンジョンの便利なところは、解体した状態でドロップ品が出てくるが、一体で取れる種類も量が少ない。ダンジョンの不思議だ。前回のドラゴンはすべての素材を得られたけど、今回は肝臓とかなかった。
『ユイ、どうしたの?』
『お腹、空いたのです』
「はいはい、ごめんね」
予定は10日間。ビアンカとルージュは最終階まで行きたいと。
色々話し合い、私と晃太のレベルアップに関してだけど、出来れば10階あたりの初心者エリアが良かったけど。最終的に手っ取り早くレベルを上げようと言うことに。
いいのかなあ。
結局、転移石を使用して30階に。
晃太が地図を片手に30階を見て回っている。もちろんビアンカかルージュの、どちらかに付いてもらっている。
情報がお金になったので、やる気になって、せっせと書き込んでいる。晃太の貴重な収入源だ。なので、せっせと書き込んでいる。
時々、軍隊蟻を、ひーひー言いながらフライパンで叩く。
そんなこんなで5日後、35階のボス部屋に。
情報では、とかげとかの爬虫類が多く出るそうだ。
いやや、爬虫類。
「あえて残さんでいいからね」
『分かったのです』
『任せて』
ビアンカが開けて、ルージュが飛び込む。ノワールが行きたいと、ブヒヒン言っているが宥める。
相変わらず、ちゅどん、どかん。
ビアンカが援護の為に、風乙女(シルフィリア)で飛び込む。
ちゅどん、どかん。
相変わらず、凄か。
とことこと、ビアンカとルージュが出てくる。
「お疲れ様、なんやったね?」
『リザードなのです』
『サラマンダーもいたわ』
サラマンダーとは火を噴くとかげとな。いかんでよかった。
「大丈夫ね? 火傷とかしてない?」
『あの程度の火で、私達にキズはつかないわ』
『そうよ。倍の火炎でお返ししたわ』
「そうね」
火を噴くとかげを、火で制したのね。
せっせとドロップ品を拾う。
何枚か赤っぽい革がある。牙に、瓶に入った肝。あ、牙も赤っぽいのがある。魔石の何個か赤い物もある。
カートの籠に次々入れて、晃太に渡す。
〆に出てきた宝箱。
ルージュがチェックする。罠なし。
「では、開けましょう」
ワクワク。
お、ビロードの箱。
開けるとキラキラ、キラキラ、キラキラ。
ダイヤモンドのブレスレットにネックレス、イヤリング。軍隊ダンジョンで初めて宝飾品がでた。
もう一つ、ビロードの箱。
小さな石の嵌まった指輪。
『それ、魔力を感じるわ』
マジックアイテムね。
「お父さんの鑑定待ちやね。晃太、合計は?」
「えっとなあ。革が30、赤い革が25、牙が350、赤い牙は163、肝は20、魔石が68、赤い魔石が50、大きめな魔石が8、赤い大きめな魔石が7」
3桁。
明日は未開の階のため、本日はボス部屋の前でルームを開けた。
それからも夕食後に食後の運動と、ボス部屋をちゅどん、どかん。
金属やら大量の絵具が出てきた。
『マジックバッグがもう一つ欲しいのです』
『そうね、もう一つ欲しいわ』
「一つあればよかやん?」
『『ぶーぶー』』
私はビアンカとルージュを宥めた。
次の日、36階に。
「沼あぁ」
見渡す限り、湿地帯。
「ビアンカ、こんな感じやけん、道ば作ってくれる?」
『いいのですよ』
「ルージュ、方角お願いね。他に冒険者の方はおらん?」
『任せて。他に誰もいないわ』
ルームに晃太、ノワール、5匹は避難。
ビアンカが地面を凍りつかせて、まっすぐ進む。
途中で、色んな虫が来た。
ひー、でっかい蜻蛉がー。
足がもつれそうになりながら走り抜ける。
途中のセーフティゾーンで休みながら進む。
ボス部屋に着いたのは、昼を回っていた。
「ああ、疲れた………」
『ユイ、ボス部屋なのです』
『早く行きましょう』
人気のスイーツを買いに行きましょう、みたいな感じで言わんで。
お茶を飲んで、一呼吸する。
扉は大きな鋼鉄製だ。
ルージュが扉の中に、黒い霞を入り込ませている。
「どうしたん?」
『これである程度は中に何がいるか分かるのよ』
「へえ、便利やね」
『レベルが上がってから使えるようになったのよ。まあ、精度はいまいちだけどね』
分かるのはボス部屋の広さ、構造。それから潜んでいる魔物だが、これは扉を開ける者によって変わるので、あまり当てにならないと。
「十分凄かよ。何か分かった?」
『そうね。かなり中は広いわ。それと亀のようね』
亀か。コラーゲン。いかんいかん。
どうするか、ビアンカとルージュが相談。ルージュが開けて、ビアンカが雷女帝(エル・カテリーナ)で飛び込むことに。
飛び込む前に、防音の魔法をかけてもらう。
私は念のために耳を塞ぐ。
ルージュが扉を開けて、ビアンカが雷を纏って弾丸のように飛び込んで行く。すぐにルージュが続く。
ちゅどどどどどん
ちゅどどどどどん
どかーん
どかーん
相変わらず凄かあ。
ちゅどーん
ちゅどーん
どかーん
どかーん
しばらくして、ビアンカとルージュが出てくる。
何か時間かかったね。
「大丈夫ね? 時間かかったね」
『大丈夫なのです。ちょっと、魔法が効きにくいのがいたのです』
「魔法が効かん? カブトムシやったと?」
『いいえ。亀ばっかりだったけど、一匹だけ、ドラゴンが混じってて。装甲竜(アーマードラゴン)よ』
出ましたドラゴンッ。
恐る恐る覗くと散らばるドロップ品。
晃太にルームから出てもらい、ドロップ品を拾う。ひー、目玉の入った瓶があるう。だけど、きっとこれで出来たポーションは、たくさんの人を救うはず。感謝して拾おう。
最後に出てきた大きな宝箱。ルージュがチェックして、罠がある。
『ちょっと手強いわ。少し待ってね』
「よかよ、ゆっくりしてね」
しばらくルージュは宝箱と対面し、ぱきり、と音がする。
『大丈夫よ』
「ありがとうルージュ、さ、晃太どうぞ」
「ん」
開けると、びっしり竹の水筒が。合計48本。ビールケースふたつぶん。後は上級ポーションが10本。単純計算で1740万かあ。すごかあ。ポーションは引き取りになる。
『ねえねえユイ』
『ドラゴンのお肉焼いてなのです』
「今のドラゴン? ダメよ、お父さんの鑑定待ちよ。お腹でも壊したら、元気達のお乳どうするん? ダメよダメ」
『『ぶーぶー』』
「代わりに、マーファのドラゴンステーキ出すけん、我慢してん」
『分かったのです』
『いいわ。甘いのも欲しいわ』
「分かっとるって。今日はフルーツたっぷりのケーキやからね」
『早くルームに入るのです』
『お腹すいたわ』
「はいはい」
もう、かわいかね。
「晃太、いくつね?」
「えっとな。甲羅が48、亀の肉が36、血が100本。ドラゴンの革、腎臓、目玉、肺、心臓が1個ずつ。血の瓶が20本、骨が大小合わせて43、爪が3、牙が6、装甲が5、後は肉やな。魔石が55、特大が1個や」
ダンジョンの便利なところは、解体した状態でドロップ品が出てくるが、一体で取れる種類も量が少ない。ダンジョンの不思議だ。前回のドラゴンはすべての素材を得られたけど、今回は肝臓とかなかった。
『ユイ、どうしたの?』
『お腹、空いたのです』
「はいはい、ごめんね」
感想 867
あなたにおすすめの小説
「今日限りで君を解雇する」――20年仕えた地味なメイドですが、料理も手紙も暗殺者対策も私がやっていました
「エナメル。今日限りで君を解雇する」
20年仕えた屋敷をクビになった、地味なエルフのメイド・エナメル。
だが、晩餐会の料理も、侯爵への手紙も、調度品の手配も、屋敷を狙う暗殺者の処理も――すべて彼女が陰で支えていたものだった。
エナメルが去ったあと、屋敷は少しずつ綻び始める。
一方の本人は、そんなことも知らず。
「さて。次はどこで雇っていただきましょう」
地味で目立たないベテランメイド・エナメルの、新しい奉公先探しが始まる。
※本作は『メイドのエナメルは今日も静かにお仕えします』シリーズの第1作です。本作単体でもお楽しみいただけます。
異世界転移した僕と彼のスキルは「貯金箱」と「犬」だったので即追放。でもこれが意外と強かった
高校の英語の授業中、勇者召喚で僕たちクラスメイト7名は異世界にやって来た。
目的は魔王討伐では無くて、高難易度ダンジョンの封印?!
でも僕ユイトのスキルは「貯金箱」、エイジは「犬」。
役立たず認定で、二人とも城を追放されてしまった。
のんびり暮らそうとしたけどそうもいかなくなって。
僕たちは奇妙なスキルを駆使して異世界で生き延びる。
緩~いファンタージ物語です。のんびりと書いていきます。
本文はなるべく簡潔に、サクサク進むようにしています。
暇つぶしに読んでいただいて、楽しんでくださると嬉しいです。
なろう様にも投稿。
捨てられた幼女ですが、公爵家に拾われたら家族みんなの愛が重すぎました
幼い頃に母親に捨てられ、孤児院で暮らしていた少女リリア。
「役に立たなければ、また捨てられる」
そう思い、いつも“いい子”でいようとしていた彼女は、ある日、公爵家の馬車を助けたことをきっかけに屋敷へ招かれる。
そこで待っていたのは、娘に甘すぎる公爵夫妻に、妹を構いたがるレオン、そしてリリアを甘やかしたい使用人たち。
戸惑いながらも、少しずつ公爵家に居場所を見つけていくリリア。やがて夫妻から「私たちの娘になってほしい」と告げられて――。
これは、捨てられないために“いい子”でいようとしていた少女が、重すぎるほどの愛情に包まれ、本当の家族を見つけていく物語。
初夜のあとに愛する人がいると言われたので祝福で身体の時間を一日戻しました
夫婦となって初めて迎えた夜、セレンティアは夫リオールから「俺には、愛する人がいる」と告げられる。
彼が初夜を済ませた理由は、三年後に白い結婚として婚姻無効を申し立てられないようにするためだった。
けれどリオールは知らなかった。セレンティアの祝福《一日回帰》が、自分自身の身体にも使えることを。
セレンティアは自分の身体の時間を一日前へ戻し、三年間、侯爵家の妻として務めを果たすことを決める。
夫に愛されるためではない。三年後、白い結婚としてこの家を出ていくために。
番の証が出ないと捨てられたので、神様に確かめてもらいます
「番の証が出ぬからだ」
和平のために獣人国へ嫁いで四年。獣王ガイウス様との儀式は三度、三度とも証は出ませんでした。「人間の娘では神は認めぬ」——そう言われて、離宮へ。
雨漏りの下で眠り、井戸をさらい、畑を耕して。泣かなかったのは強いからではありません。獣人には、匂いでわかってしまうから。
嫁ぐ前に三年かけて読み込んだ婚姻法典。その第四章に、こうありました。
『既に誓いを結びたる者が、重ねて他者と誓いを立てんとする時、神は後の誓いを認めず』
——証が出なかったのは、わたしが人間だからではない。
長老会に申し立てたのは、解釈の確認だけ。わたしは悪くない、とは一言も書きませんでした。
遡誓の儀で神殿に浮かんだのは、六年前の秋の「成立」と、わたしの三度の「不成立(重複)」でした。
飛べないと捨てられたので、竜ごと出て行きます
「お前は竜に乗れもしない、ただの妻だろう」
竜騎士団長の夫はそう言って、飛べる従騎士の娘を選びましたわ。
ええ、わたくしは飛べません。十二年、地上におりました。
夜明け前に三十一頭の寝息を数え、歯を磨き、爪の砂を取り、冬に毛布を掛け、契約を編んで。——この国でただひとりの「調律者」として。
竜は、人を乗せない生き物ですのよ。竜自身が「乗せてもいい」と決めない限り。そして竜が誰の言葉で頷いてきたか、あの方は十二年、一度もお考えにならなかった。
離縁されて、わたくしは竜舎を出ました。
三日後から、竜は一頭も飛ばなくなりましたの。
怒っているのではありませんのよ。竜は報復をしませんもの。ただ——寂しいのです。
そして来月は、三年に一度の、契約更新日ですわ。
土下座する王妃の座などいらないので、冒険者に転職します。
「私が愛しているのはエルナ。君だけだ」
エルナは自分の夫でありハーメルン王国の国王であるカメルを愛していた。
彼がどれほど自分より隣国の聖女を優先しようとも。
結婚して二年が経っても初夜を迎えたことがなかろうとも。
しかし。
「エルナ。君に失望した。聖女を陥れていじめるとはな。罪を認め、ひざまずいて謝罪するように」
一年に一度の建国記念宴会であり結婚記念日に、カメルはすべての貴族や外国の使節団が見ている前で、エルナに身に覚えのない罪を認めろと断罪した。
愛が壊れるのは一瞬。
だからこそ、エルナはその場でひざまずいた。頭を地面にこすりつけて謝罪した。
「聖女を陰謀にかけた大罪人エルナは、この時間をもって王妃の座から退き、平民となりますことをお許しください。聖女様とどうかお幸せに」
*ゆるい設定です。不快に思われる方はブラウザバックをお願いします。
婚約破棄を受け入れた瞬間、王太子殿下が青ざめました
王都でもっとも華やかな春の夜会。その中央で、王太子エドワードは冷ややかな目を婚約者へ向けていた。
「リリアーナ・フォン・アルベルト公爵令嬢。君との婚約を、ここで破棄する」
会場が一瞬で静まり返る。
リリアーナは淡い金髪を揺らし、静かに王太子を見つめ返した。
「理由を、お聞きしてもよろしいでしょうか」
「理由など明白だ。君は嫉妬深く、心が狭い。それに比べ、私は真実の愛を見つけた」
そう言ってエドワードが隣へ引き寄せたのは、男爵令嬢のセシリアだった。