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鉱山の魔物⑧
私は走って下まで駆け降りる。
下ではエマちゃんとテオ君が水分補給係りとして、動き回っている。ミゲル君はひーひー言って座り込み、チュアンさんとマデリーンさんにはケガは見られない。マデリーンさんはミゲル君の様子を見ている。
「ホークさん、ケガの具合はっ」
「問題ありません」
はい、説得力なし。だらだらと流れた血が顔の左側に流れ落ちて汚れている。顔に着いた血を、ごしごしと袖で拭いてるし。
「チュアンさん、エマちゃんとテオ君の手伝いを」
「はい、ユイさん」
チュアンさんは直ぐに走っていく。
「ホークさん、見せてください」
「いや、塞がってますよ」
チュアンさんの治療が効いているみたいやけど。痛そうな雰囲気無さそうだけど。
「私は、貴方の何ですか?」
はい、偉そうに言ってみた。これが効いた。
「はい。ユイさん」
ホークさんは私に向かってキズを見せるように、頭を下げる。どれどれ。キズの長さは約5センチ位。既に出血はしていない。キズ周囲に血が固まっているけど、無理に剥がす訳にはいかんしね。あの放った何かは石の礫だったようだ。直撃した訳ではなく、ちょっとかすっただけだと。確かにあんなスピードで頭に直撃したら、大ケガじゃすまないね。
「あの、ユイさん、だ、大丈夫なんですが………」
「はいはい」
私はキズ口をチェック。お猿さんの毛繕いみたいや。だけど、頭のキズは怖かしね。
「ホークさん、吐き気やしびれは?」
ノワールも心配したのか、ホークさんの背中にブヒブヒと鼻を押し付ける。ノワールのブラッシングを常にしているから、ホークさんに懐いているんだよね。ただ、1t越してるノワールが鼻を軽く押し付けただけで、ホークさんはつんのめる。
「ッ、ありません、ありませんからっ」
質問していると、慌ててホークさんが私の腕を掴んで引き剥がす。何を慌てているんやろ?
「ホークさん、頭のキズはですね…………」
「何かおかしい症状が出たら報告しますからっ」
「? そうですか、必ず報告してくださいね。数日間はキズ口のチェックしますからね」
「ユイさん、本当に大丈夫ですから」
「私は貴方の何ですか?」
「……………………………………………はい」
なんやねん、その間は? 何をそんなに嫌がるかね。あ、もしかして、こちらの世界で男性の頭を見るのは失礼しましたなのかな? 後でマデリーンさんに確認したら、そんなことないらしい。何がダメやったんやろ? 微妙にホークさんの耳赤いけど、やっぱり痛いんやないかな? だけど、ホークさんは大丈夫と言い張るし。うーん、無理に聞かん方がいいかな? でもなあ。何かあれば直ぐに言ってもらうように再度ホークさんに伝えておく。だけど本当に珍しいな、ホークさんがこんなに頑なに言うなんて。
「ビアンカ、ルージュ、お疲れ様」
『流石に疲れたのです』
『そうね。上位戦闘モードは疲れるわね』
「今日はお粥くらいにしてゆっくり休んで、明日ご馳走しようか?」
『いくらでも食べられるのです』
『エビエビエビ』
「はいはい」
ビアンカもルージュも仔達もノワールもケガはなし、良かった。ただし、仔達はくたびれてる。ノワールはブヒヒンッ。
お茶を飲んで一休みした晃太はアイアンゴーレムを回収している。
私はメインの坑道を覗き込む。
『ユイ、危ないのです』
『この洞穴、その内崩れるわよ。奥の方はもう潰れているし』
「あ、やっぱり」
坑道の天井から、パラパラと石が落ちているし、壁のあちこちが崩れている。素人の私が見ても危なそう。
「ビオーザさん、奥の方は潰れているそうです」
「そのようですな」
はあ、とため息をつくビオーザさんとディンジィさん。
「崩落は時間の問題ですね」
ディンジィさんも入り口から見て、呟く。
「補強は? 出来そうか?」
「今から資材や人員集めても間に合わないさ」
補強ね。確かに危なそうだなあ。あ、そうだ。
「ねえ、ビアンカ」
確かビアンカには土の魔法使えたはず。あのオルクの巣でいろいろ出来ていたし。
『どうしたのです?』
「疲れとうやろうけど、坑道の壁、補強とか出来ん? ガチやなくて、一時的な感じでさ」
ぐりん、と私の方を見る、ビオーザさんとディンジィさん。
『そうなのですね』
悩む仕草のビアンカ。
「流石のビアンカでも無理やね、ごめん」
『出来るのです』
悩む仕草から、素早い切り返しやね。多分、出来ないとかじゃなくて、負けず嫌いで答えた感じかな。
『だけど』
「何?」
『疲れるのです。甘い果実の乗ったケーキの大きいの食べたいのです』
きゅるん。
「はいはい、それくらいよかたい」
『ユイ、私は? 私は?』
「ルージュだけ食べさせん事はせんよ」
本日の撃墜王やからね。
『だけどユイ、私の魔法で補強はするのですが、崩れなくなる訳ではないのですよ。一時しのぎにしかならないのです』
私がビオーザさんとディンジィさんに通訳する。
「テイマー殿、是非にもお願いします」
「一時的だとしても、助かります。後は我々が何とかしますので」
凄く必死だ。
「ビアンカ、お願いできるね?」
『任せるのです』
ビアンカがとことこ坑道の前に。チョロチョロと元気がビアンカの周りを走るので、回収する。
『クリエイターモード 大地の構築者(エザフォース)』
ビシビシビシビシッ。
坑道の壁や天井から音が響き、落ちていた石が止まる。
『ふう、補強は済んだのです。だけど長くは持たないのですよ。もって3日、よくて5日なのです』
「ありがとうビアンカ、だ、そうですけど」
「そ、そうですか」
あっという間に補強出来たので、ビオーザさんは言葉を失っているけど、ディンジィさんは違うようだ。
「…………………テイマー様、もしよかったら、明日もまたこれをお願い出来ませんか?」
すがるような感じだけど。
「ビアンカ、どうね?」
『出来ない事はないのですが、元のあの洞穴には戻らないのです。私の魔法では表面を一時的に無理に固めただけで、根本的な解決にはならないのです。結局はその場限りになって、最後は崩れるのですよ』
私が通訳すると、ディンジィさんは考える仕草。
「表面だけ、そうですか。そうですか……………テイマー様、時間を稼ぎたいので、やはり明日もお願い出来ませんか?」
人員や資材調達するための時間ね。
「ビアンカ、出来る?」
『いいのですよ』
「だ、そうです」
「ありがとうございますテイマー様」
坑道の補強の間に、アイアンゴーレムの回収も終わる。それからやっと地上に上がる。
『ねえね、つかれた、ひすい、ねむい~』
「よう頑張ったね。もうちょっとやからね」
『るりも~』
『くりちゅも~』
三人娘が眠そうにすりすり来た。よしよし。コハクはとことこ、元気は元気よく歩いている。ノワールは軽やかに闊歩している。
そして地上には、ずらーっと並ぶ冒険者や警備の人達。びし、と一礼してくれた。私もぺこり。
「テイマー殿、今から報酬やアイアンゴーレムの引き取りの相談をさせて頂けませんか?」
「あー」
三人娘が疲れてるし、ビアンカとルージュもそうだろうしなあ。
「皆を宿に戻してもいいですか? 流石に疲れているようなので」
「そうでしたな。配慮が足りず申し訳ない。明日にしましょう。今日はゆっくり休まれてください。明日、昼過ぎに迎えを寄越します」
「ありがとうございます」
ディンジィさんは挨拶した後、現場指揮を取るために残り、私達はビオーザさんに誘導されて宿に戻った。馬車の中で三人娘は直ぐに眠ってしまった。
魔力をギリギリまで使った晃太とミゲル君も直ぐに眠ってしまう。
問題なく宿に着いて、ビオーザさんが挨拶して、来た道を戻っていった。きっとディンジィさんのお手伝いするんだろうなあ。
『ねえね、ひすい、おなかへったあ~』
「あ、はいはい。起きたね。さ、ご飯にしようね。今日は奮発しようね」
さ、宿の中でルームを開けてから、準備しようかね。ビアンカとルージュの熱視線も来てるからね。分かってますよ。
下ではエマちゃんとテオ君が水分補給係りとして、動き回っている。ミゲル君はひーひー言って座り込み、チュアンさんとマデリーンさんにはケガは見られない。マデリーンさんはミゲル君の様子を見ている。
「ホークさん、ケガの具合はっ」
「問題ありません」
はい、説得力なし。だらだらと流れた血が顔の左側に流れ落ちて汚れている。顔に着いた血を、ごしごしと袖で拭いてるし。
「チュアンさん、エマちゃんとテオ君の手伝いを」
「はい、ユイさん」
チュアンさんは直ぐに走っていく。
「ホークさん、見せてください」
「いや、塞がってますよ」
チュアンさんの治療が効いているみたいやけど。痛そうな雰囲気無さそうだけど。
「私は、貴方の何ですか?」
はい、偉そうに言ってみた。これが効いた。
「はい。ユイさん」
ホークさんは私に向かってキズを見せるように、頭を下げる。どれどれ。キズの長さは約5センチ位。既に出血はしていない。キズ周囲に血が固まっているけど、無理に剥がす訳にはいかんしね。あの放った何かは石の礫だったようだ。直撃した訳ではなく、ちょっとかすっただけだと。確かにあんなスピードで頭に直撃したら、大ケガじゃすまないね。
「あの、ユイさん、だ、大丈夫なんですが………」
「はいはい」
私はキズ口をチェック。お猿さんの毛繕いみたいや。だけど、頭のキズは怖かしね。
「ホークさん、吐き気やしびれは?」
ノワールも心配したのか、ホークさんの背中にブヒブヒと鼻を押し付ける。ノワールのブラッシングを常にしているから、ホークさんに懐いているんだよね。ただ、1t越してるノワールが鼻を軽く押し付けただけで、ホークさんはつんのめる。
「ッ、ありません、ありませんからっ」
質問していると、慌ててホークさんが私の腕を掴んで引き剥がす。何を慌てているんやろ?
「ホークさん、頭のキズはですね…………」
「何かおかしい症状が出たら報告しますからっ」
「? そうですか、必ず報告してくださいね。数日間はキズ口のチェックしますからね」
「ユイさん、本当に大丈夫ですから」
「私は貴方の何ですか?」
「……………………………………………はい」
なんやねん、その間は? 何をそんなに嫌がるかね。あ、もしかして、こちらの世界で男性の頭を見るのは失礼しましたなのかな? 後でマデリーンさんに確認したら、そんなことないらしい。何がダメやったんやろ? 微妙にホークさんの耳赤いけど、やっぱり痛いんやないかな? だけど、ホークさんは大丈夫と言い張るし。うーん、無理に聞かん方がいいかな? でもなあ。何かあれば直ぐに言ってもらうように再度ホークさんに伝えておく。だけど本当に珍しいな、ホークさんがこんなに頑なに言うなんて。
「ビアンカ、ルージュ、お疲れ様」
『流石に疲れたのです』
『そうね。上位戦闘モードは疲れるわね』
「今日はお粥くらいにしてゆっくり休んで、明日ご馳走しようか?」
『いくらでも食べられるのです』
『エビエビエビ』
「はいはい」
ビアンカもルージュも仔達もノワールもケガはなし、良かった。ただし、仔達はくたびれてる。ノワールはブヒヒンッ。
お茶を飲んで一休みした晃太はアイアンゴーレムを回収している。
私はメインの坑道を覗き込む。
『ユイ、危ないのです』
『この洞穴、その内崩れるわよ。奥の方はもう潰れているし』
「あ、やっぱり」
坑道の天井から、パラパラと石が落ちているし、壁のあちこちが崩れている。素人の私が見ても危なそう。
「ビオーザさん、奥の方は潰れているそうです」
「そのようですな」
はあ、とため息をつくビオーザさんとディンジィさん。
「崩落は時間の問題ですね」
ディンジィさんも入り口から見て、呟く。
「補強は? 出来そうか?」
「今から資材や人員集めても間に合わないさ」
補強ね。確かに危なそうだなあ。あ、そうだ。
「ねえ、ビアンカ」
確かビアンカには土の魔法使えたはず。あのオルクの巣でいろいろ出来ていたし。
『どうしたのです?』
「疲れとうやろうけど、坑道の壁、補強とか出来ん? ガチやなくて、一時的な感じでさ」
ぐりん、と私の方を見る、ビオーザさんとディンジィさん。
『そうなのですね』
悩む仕草のビアンカ。
「流石のビアンカでも無理やね、ごめん」
『出来るのです』
悩む仕草から、素早い切り返しやね。多分、出来ないとかじゃなくて、負けず嫌いで答えた感じかな。
『だけど』
「何?」
『疲れるのです。甘い果実の乗ったケーキの大きいの食べたいのです』
きゅるん。
「はいはい、それくらいよかたい」
『ユイ、私は? 私は?』
「ルージュだけ食べさせん事はせんよ」
本日の撃墜王やからね。
『だけどユイ、私の魔法で補強はするのですが、崩れなくなる訳ではないのですよ。一時しのぎにしかならないのです』
私がビオーザさんとディンジィさんに通訳する。
「テイマー殿、是非にもお願いします」
「一時的だとしても、助かります。後は我々が何とかしますので」
凄く必死だ。
「ビアンカ、お願いできるね?」
『任せるのです』
ビアンカがとことこ坑道の前に。チョロチョロと元気がビアンカの周りを走るので、回収する。
『クリエイターモード 大地の構築者(エザフォース)』
ビシビシビシビシッ。
坑道の壁や天井から音が響き、落ちていた石が止まる。
『ふう、補強は済んだのです。だけど長くは持たないのですよ。もって3日、よくて5日なのです』
「ありがとうビアンカ、だ、そうですけど」
「そ、そうですか」
あっという間に補強出来たので、ビオーザさんは言葉を失っているけど、ディンジィさんは違うようだ。
「…………………テイマー様、もしよかったら、明日もまたこれをお願い出来ませんか?」
すがるような感じだけど。
「ビアンカ、どうね?」
『出来ない事はないのですが、元のあの洞穴には戻らないのです。私の魔法では表面を一時的に無理に固めただけで、根本的な解決にはならないのです。結局はその場限りになって、最後は崩れるのですよ』
私が通訳すると、ディンジィさんは考える仕草。
「表面だけ、そうですか。そうですか……………テイマー様、時間を稼ぎたいので、やはり明日もお願い出来ませんか?」
人員や資材調達するための時間ね。
「ビアンカ、出来る?」
『いいのですよ』
「だ、そうです」
「ありがとうございますテイマー様」
坑道の補強の間に、アイアンゴーレムの回収も終わる。それからやっと地上に上がる。
『ねえね、つかれた、ひすい、ねむい~』
「よう頑張ったね。もうちょっとやからね」
『るりも~』
『くりちゅも~』
三人娘が眠そうにすりすり来た。よしよし。コハクはとことこ、元気は元気よく歩いている。ノワールは軽やかに闊歩している。
そして地上には、ずらーっと並ぶ冒険者や警備の人達。びし、と一礼してくれた。私もぺこり。
「テイマー殿、今から報酬やアイアンゴーレムの引き取りの相談をさせて頂けませんか?」
「あー」
三人娘が疲れてるし、ビアンカとルージュもそうだろうしなあ。
「皆を宿に戻してもいいですか? 流石に疲れているようなので」
「そうでしたな。配慮が足りず申し訳ない。明日にしましょう。今日はゆっくり休まれてください。明日、昼過ぎに迎えを寄越します」
「ありがとうございます」
ディンジィさんは挨拶した後、現場指揮を取るために残り、私達はビオーザさんに誘導されて宿に戻った。馬車の中で三人娘は直ぐに眠ってしまった。
魔力をギリギリまで使った晃太とミゲル君も直ぐに眠ってしまう。
問題なく宿に着いて、ビオーザさんが挨拶して、来た道を戻っていった。きっとディンジィさんのお手伝いするんだろうなあ。
『ねえね、ひすい、おなかへったあ~』
「あ、はいはい。起きたね。さ、ご飯にしようね。今日は奮発しようね」
さ、宿の中でルームを開けてから、準備しようかね。ビアンカとルージュの熱視線も来てるからね。分かってますよ。
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