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連載
道のり②
しっかり準備して、ルームを出る。
私とビアンカ、ルージュ、ホークさんだけで進む。ビアンカの案内で進むと、少し開けた場所がある。
わー、鬼がおるー。一杯おるー。ひー、昔話の◯ヶ島やー。顔が、まさに邪悪な感じやー。
あ、なんかあれ、鬼やないのが、やたら大きくてメタボなフォルムが。首にガチャガチャした鎖巻かれている。メタボなフォルムは、あのGの親玉以来やけど。なんか、よだれ垂らして、なんだかいやや。
ホークさんが口パクで、ルームと言うので、静かにルームを開けて、そっとはいる。
「ふう、鬼、やない、オーガ一杯やー」
ドアを閉めて、私は息を吐き出す。
『あれくらいなら、殲滅可能なのですよ』
『そうね。トロールには注意が必要だけど』
軽く言う、レベル500越えから、簡単講座が始まる。
『トロールは頭が足りないので、ああやって別の知恵の魔物に使役されることがあるのです。そうされれば、考えなくても食事が運ばれてくるのですから』
『そう、トロールはある程度満腹にさせていれば、比較的に簡単に使役出きるのよ。ただ、気分屋なこともあるから、使役するには相応の力を持っていなければならないの』
へー。
トロールは単体なら、多方向からのひたすら遠距離攻撃を絶え間なく行えば倒せる。ただし、持久戦必須。
『ただ、一撃でも喰らったら、アウトなのです。私やルージュなら身体強化で防御力を上げていれば、防げるのですが。他は絶対に攻撃範囲に入らないようにするのです』
肝に免じよう。
『そしてトロールが私達より優れているのは、再生能力よ。浅いキズならすぐに塞がるわ。ダメージを与えたいなら、筋肉、もしくは骨まで攻撃を入れること。ただ、トロールの皮は硬いわ、生半可な攻撃は弾き返してしまう。もし、トロールと対抗するなら、必要なのは晃太のデバフよ』
「わいの?」
晃太が自分を示す。
『そうなのです。もし、対抗するならまずは腕力を下げるのです。やつらの武器は、その岩をも簡単に砕く腕力なのです』
『そして、硬い体よ。物理も魔法も通りにくいわ。だから、トロールの防御力をひたすら下げれば、倒す手間が省けるわ』
『とにかく、倒れ伏すまでは攻撃をやめないのです』
『動かないと確認するまではね』
最後の最後までぼこぼこにするのか、なんだか、気の毒だけど。
トロール講座は終了。オーガに関してはオルクと変わりないが、向こうはスピードとパワー、トロール程ではないが回復力があるし、連携して戦闘してくる。
巣は奥方面はビアンカとレッサードラコンの鎧を装備したノワールが爆走。中間地点でルージュと仔達が展開、最後尾に私達だ。私達にはしっかりビアンカの光のリンゴ、いや、光のスイカが守ってくれる。
晃太が支援魔法を連発している。ギリギリまで支援して、魔力回復ポーションを飲む。
私はほぼ回復している。
「気を付けるんよ」
母が花を抱えて最後まで心配そうだ。
「お母さん、あんまり外をみらんほうがよかけんね」
「ん、分かった」
私は全員を見渡して、確認。
「さ、行きましょう」
「ブヒヒヒヒーンッ」
『戦闘モード 風乙女(シルフィリア)』
風蹄(ヴァンオーブ)のノワールの突撃、ビアンカが続く。うわあ、オーガ、空を舞ってるぅ。ちょっとした戦車が爆走し、止まらない。
『皆ッ、続きなさいッ』
「わんわんっ」
「がるぅっ」
「わんわんっ」
「わんわんっ」
「がるぅっ」
仔達は火炎姫(フレアジャンヌ)のルージュに続いていく。
皆が通った後は、基本的に惨状だ。オーガがピクピクしてる。
本当にごめんなさい。ずるいと分かっていますよ。
フライパンで、オーガをごつん。晃太もごつん。
スッゴい罪悪感。そして、てってれってー。
だが、光のスイカが忙しなく動きだす。まだ、軽症のオーガ達がこちらをロックオン。ひーっ、鬼ーっ。
「ダウンッ、ダウンッ、ダウンッ」
晃太がデバフを連発。
ホークさんが弓をマデリーンさんが火の矢を連射。流石シーサーペントの矢尻、急所にあたったのか、ぱたり。マデリーンさんの火の矢とルージュの光のスイカでもう1体ぱたり。それでも次々に来るが、軽症ではなくなりながらも突進し、チュアンさんとミゲル君、エマちゃんとテオ君が冷静に対処している。改めてこちらの未成年は凄かっ。
ルージュと仔達も問題なさそうや。あの注意が必要なメタボトロールも、ルージュの前ではなすすべない。奥のビアンカとノワールは、うん、全く問題ない。
私はたまに、ルージュから放り出されるピクピクしているオーガをフライパンでごつん。本当に接待や。
『倒れるまでは攻撃を緩めないッ』
ルージュの激が飛ぶ。
ぶっとい腕を振り回したトロールに、仔達の魔法が集中砲火、ぼこぼこや。あ、トロールの後ろに、オーガがっ。トロールが倒れた瞬間飛び出してくる。が。
「わんわんっ」
元気の雷がもれなく直撃ッ。
「がぁぁぁぁッ」
そして、コハクのベビージャガーパンチが炸裂し餌食に。鬼やろうが、うちのかわいかメンズ達に勝てっこないんやっ。三人娘だって負けていない。スライム部屋でころんころんしていたのに、唸り声を上げながら、オーガ達を迎撃していく。あははははん、容赦ないー。
どれくらい、ごつんごつんしたか。白眼向いたオーガがあちこち転がっている。奥方面は壊滅状態で、最後のトロールとノワールのタイマンマッチが始まっている。レッサードラゴンの装備品のお陰か、トロールが腕を払い飛んでくる石礫を弾き返し、ノワールは真っ正面から突撃する。だ、大丈夫よねっ?
交差した瞬間、トロールの脇腹がごっそり抉られる。ひーっ、えぐいーっ。だが、それぐらいで倒れない、ノワールの鬣を掴もうとした瞬間、前肢を高く掲げ、後ろ足で立つ。
「ブヒヒヒヒーンッ」
メキャッ
ノワールの前肢が、トロールの頭に勢いよくめり込む。頭、半分が胴体にめり込んだ。え、体の構造的に、あんなことになるの? だが、それで、トロールは撃沈。ノワールがブヒブヒ言ってる。
ルージュ達の周囲も、動いているのはもうおらんし、終わったかな。ふう、接待なのに疲れた。
晃太もひーひー言ってる。デバフやバフやらかけまくっていたからね。水分補給ば。
『ユイッ、下がってーッ』
ルージュの叫ぶ声が響く。
その声に、私と晃太が弾かれるように立ち上がる。ルージュがあんなに声を上げるなんて。絶対にまずいことになることやっ。
「皆さん、下がってーっ」
私は叫ぶ。ルームを開けて、晃太を押し込む。
鷹の目の皆さんが、一目散に此方に向かって走って来る。
ゴウンッ
え、地面が揺らぐ。
地面が、揺らぐ、あ、亀裂が走る。小さいのじゃない。一面に走り、陥没していく。
「あっ……………」
その亀裂に、最後尾を走っていたミゲル君がバランスを崩す。血の気が引く。
「いっだぁぁぁぁッ」
ミゲル君が悲鳴を上げる。ルージュの黒いバスケットボールが背中を直撃して、押し上げる。違う、弾き飛ばす。ちょっと手荒すぎないかいっ。チュアンさんがキャッチ。まるでラグビー選手のように小脇に抱えてそのまま走って来て、ルームにイン。全員入ったっ、よしっ。
私は走る。ひーっひーっ。
『ユイッ、ルームにっ』
はいよっ。
「ルームッ」
私は目の前でドアを開けて滑り込む。ひーっ、ひーっ。喉が焼ける。
「ユイさん、大丈夫ですかっ」
ホークさんが駆けよってくる。
「な、なんとか、なんとか」
母がお茶を差し出してくれるので、一気飲み。そして、窓に張り付く。
割れた地面から、何かしら大きな影が。
「あれ、何?」
思わず呟く。
大きい、今まで見たことがある最高に大きいのは、海で見たクラーケン。地上では、これが最高に大きいかもしれない、ドラゴンやアイアンゴーレムより大きい。あれ、何? フォルム的にトロールやけど段違いにデカイッ。こちらを向いた目が、黄色で眼脂が張り付き、いややあ。足は短いが太く、腹は巨大なビール腹、腕は長いがこちらもぶっとい。地面を砕いて出てきた(仮)トロールは、倒れ伏しているオーガやトロールを踏みつけながら出てくる。ひーっ、えぐいーっ。母は奥に避難してて良かった。
ズザザザザザザッ
ルームの窓の前に、奥にいたはずのビアンカが土煙を上げて急停車。
『ふんっ、森で私に勝てると思わない事なのですね』
ビアンカが鼻で嗤う。
向こうの(仮)トロールもビアンカにロックオン。ロックオンしたが、そのぶっとい四肢に絡み付くのは黒い蔦。違う、ルージュの黒い触手だ。黒いシーサーペントもぐるぐる巻きにした触手。(仮)トロールの動きを止めるが、メキメキ言ってる。地面が割れているせいで、離れた場所でルージュが踏ん張っている。ルージュが踏ん張っている。嘘やろ? ルージュが踏ん張っている。
(仮)トロールの口から煙が上がる。煙? まるで機関車みたいな。
『私は誇り高き守護者、フォレスト『ガーディアン』ウルフ』
ビアンカも体から蜃気楼のような空気の揺らぎが現れる。
『我の牙に宿りし魔の力よ、頂きに立ちし鬣を揺らし、風の刃に息吹きを与えよ』
白い毛並みに翠のラインが浮かぶ、風乙女(シルフィリア)とは違うが、ラメの入ったような輝く翠。対する(仮)トロールの体もまるで鱗のような模様が浮かぶ。あ、ビアンカとルージュ、ノワール以外に初めて見た、戦闘モードやっ。
『戦闘モード 風牙姫(ラファ・アミール)』
クラウチングスタートの体勢から、弾丸のようにビアンカが一気に距離を縮める。(仮)トロールも負けじに鼓膜を破るような咆哮を上げる。
割れた地面なんて関係ない、危ない足場なんて存在しないように、我らのビアンカが駆け抜ける。
鱗模様を浮かび上がらせた、(仮)トロールとビアンカが正面衝突。
スパンッ
多分、2メートル以上分厚い(仮)トロールの体が、上下真っ二つ。真っ二つ。
物凄い音と、大量の血を振り撒きながら、(仮)トロールが倒れる。一撃だよ、たった一撃。
『他愛ないのですね』
…………………………我ながら、恐ろしい魔物ば従魔にしとるなあ。
私とビアンカ、ルージュ、ホークさんだけで進む。ビアンカの案内で進むと、少し開けた場所がある。
わー、鬼がおるー。一杯おるー。ひー、昔話の◯ヶ島やー。顔が、まさに邪悪な感じやー。
あ、なんかあれ、鬼やないのが、やたら大きくてメタボなフォルムが。首にガチャガチャした鎖巻かれている。メタボなフォルムは、あのGの親玉以来やけど。なんか、よだれ垂らして、なんだかいやや。
ホークさんが口パクで、ルームと言うので、静かにルームを開けて、そっとはいる。
「ふう、鬼、やない、オーガ一杯やー」
ドアを閉めて、私は息を吐き出す。
『あれくらいなら、殲滅可能なのですよ』
『そうね。トロールには注意が必要だけど』
軽く言う、レベル500越えから、簡単講座が始まる。
『トロールは頭が足りないので、ああやって別の知恵の魔物に使役されることがあるのです。そうされれば、考えなくても食事が運ばれてくるのですから』
『そう、トロールはある程度満腹にさせていれば、比較的に簡単に使役出きるのよ。ただ、気分屋なこともあるから、使役するには相応の力を持っていなければならないの』
へー。
トロールは単体なら、多方向からのひたすら遠距離攻撃を絶え間なく行えば倒せる。ただし、持久戦必須。
『ただ、一撃でも喰らったら、アウトなのです。私やルージュなら身体強化で防御力を上げていれば、防げるのですが。他は絶対に攻撃範囲に入らないようにするのです』
肝に免じよう。
『そしてトロールが私達より優れているのは、再生能力よ。浅いキズならすぐに塞がるわ。ダメージを与えたいなら、筋肉、もしくは骨まで攻撃を入れること。ただ、トロールの皮は硬いわ、生半可な攻撃は弾き返してしまう。もし、トロールと対抗するなら、必要なのは晃太のデバフよ』
「わいの?」
晃太が自分を示す。
『そうなのです。もし、対抗するならまずは腕力を下げるのです。やつらの武器は、その岩をも簡単に砕く腕力なのです』
『そして、硬い体よ。物理も魔法も通りにくいわ。だから、トロールの防御力をひたすら下げれば、倒す手間が省けるわ』
『とにかく、倒れ伏すまでは攻撃をやめないのです』
『動かないと確認するまではね』
最後の最後までぼこぼこにするのか、なんだか、気の毒だけど。
トロール講座は終了。オーガに関してはオルクと変わりないが、向こうはスピードとパワー、トロール程ではないが回復力があるし、連携して戦闘してくる。
巣は奥方面はビアンカとレッサードラコンの鎧を装備したノワールが爆走。中間地点でルージュと仔達が展開、最後尾に私達だ。私達にはしっかりビアンカの光のリンゴ、いや、光のスイカが守ってくれる。
晃太が支援魔法を連発している。ギリギリまで支援して、魔力回復ポーションを飲む。
私はほぼ回復している。
「気を付けるんよ」
母が花を抱えて最後まで心配そうだ。
「お母さん、あんまり外をみらんほうがよかけんね」
「ん、分かった」
私は全員を見渡して、確認。
「さ、行きましょう」
「ブヒヒヒヒーンッ」
『戦闘モード 風乙女(シルフィリア)』
風蹄(ヴァンオーブ)のノワールの突撃、ビアンカが続く。うわあ、オーガ、空を舞ってるぅ。ちょっとした戦車が爆走し、止まらない。
『皆ッ、続きなさいッ』
「わんわんっ」
「がるぅっ」
「わんわんっ」
「わんわんっ」
「がるぅっ」
仔達は火炎姫(フレアジャンヌ)のルージュに続いていく。
皆が通った後は、基本的に惨状だ。オーガがピクピクしてる。
本当にごめんなさい。ずるいと分かっていますよ。
フライパンで、オーガをごつん。晃太もごつん。
スッゴい罪悪感。そして、てってれってー。
だが、光のスイカが忙しなく動きだす。まだ、軽症のオーガ達がこちらをロックオン。ひーっ、鬼ーっ。
「ダウンッ、ダウンッ、ダウンッ」
晃太がデバフを連発。
ホークさんが弓をマデリーンさんが火の矢を連射。流石シーサーペントの矢尻、急所にあたったのか、ぱたり。マデリーンさんの火の矢とルージュの光のスイカでもう1体ぱたり。それでも次々に来るが、軽症ではなくなりながらも突進し、チュアンさんとミゲル君、エマちゃんとテオ君が冷静に対処している。改めてこちらの未成年は凄かっ。
ルージュと仔達も問題なさそうや。あの注意が必要なメタボトロールも、ルージュの前ではなすすべない。奥のビアンカとノワールは、うん、全く問題ない。
私はたまに、ルージュから放り出されるピクピクしているオーガをフライパンでごつん。本当に接待や。
『倒れるまでは攻撃を緩めないッ』
ルージュの激が飛ぶ。
ぶっとい腕を振り回したトロールに、仔達の魔法が集中砲火、ぼこぼこや。あ、トロールの後ろに、オーガがっ。トロールが倒れた瞬間飛び出してくる。が。
「わんわんっ」
元気の雷がもれなく直撃ッ。
「がぁぁぁぁッ」
そして、コハクのベビージャガーパンチが炸裂し餌食に。鬼やろうが、うちのかわいかメンズ達に勝てっこないんやっ。三人娘だって負けていない。スライム部屋でころんころんしていたのに、唸り声を上げながら、オーガ達を迎撃していく。あははははん、容赦ないー。
どれくらい、ごつんごつんしたか。白眼向いたオーガがあちこち転がっている。奥方面は壊滅状態で、最後のトロールとノワールのタイマンマッチが始まっている。レッサードラゴンの装備品のお陰か、トロールが腕を払い飛んでくる石礫を弾き返し、ノワールは真っ正面から突撃する。だ、大丈夫よねっ?
交差した瞬間、トロールの脇腹がごっそり抉られる。ひーっ、えぐいーっ。だが、それぐらいで倒れない、ノワールの鬣を掴もうとした瞬間、前肢を高く掲げ、後ろ足で立つ。
「ブヒヒヒヒーンッ」
メキャッ
ノワールの前肢が、トロールの頭に勢いよくめり込む。頭、半分が胴体にめり込んだ。え、体の構造的に、あんなことになるの? だが、それで、トロールは撃沈。ノワールがブヒブヒ言ってる。
ルージュ達の周囲も、動いているのはもうおらんし、終わったかな。ふう、接待なのに疲れた。
晃太もひーひー言ってる。デバフやバフやらかけまくっていたからね。水分補給ば。
『ユイッ、下がってーッ』
ルージュの叫ぶ声が響く。
その声に、私と晃太が弾かれるように立ち上がる。ルージュがあんなに声を上げるなんて。絶対にまずいことになることやっ。
「皆さん、下がってーっ」
私は叫ぶ。ルームを開けて、晃太を押し込む。
鷹の目の皆さんが、一目散に此方に向かって走って来る。
ゴウンッ
え、地面が揺らぐ。
地面が、揺らぐ、あ、亀裂が走る。小さいのじゃない。一面に走り、陥没していく。
「あっ……………」
その亀裂に、最後尾を走っていたミゲル君がバランスを崩す。血の気が引く。
「いっだぁぁぁぁッ」
ミゲル君が悲鳴を上げる。ルージュの黒いバスケットボールが背中を直撃して、押し上げる。違う、弾き飛ばす。ちょっと手荒すぎないかいっ。チュアンさんがキャッチ。まるでラグビー選手のように小脇に抱えてそのまま走って来て、ルームにイン。全員入ったっ、よしっ。
私は走る。ひーっひーっ。
『ユイッ、ルームにっ』
はいよっ。
「ルームッ」
私は目の前でドアを開けて滑り込む。ひーっ、ひーっ。喉が焼ける。
「ユイさん、大丈夫ですかっ」
ホークさんが駆けよってくる。
「な、なんとか、なんとか」
母がお茶を差し出してくれるので、一気飲み。そして、窓に張り付く。
割れた地面から、何かしら大きな影が。
「あれ、何?」
思わず呟く。
大きい、今まで見たことがある最高に大きいのは、海で見たクラーケン。地上では、これが最高に大きいかもしれない、ドラゴンやアイアンゴーレムより大きい。あれ、何? フォルム的にトロールやけど段違いにデカイッ。こちらを向いた目が、黄色で眼脂が張り付き、いややあ。足は短いが太く、腹は巨大なビール腹、腕は長いがこちらもぶっとい。地面を砕いて出てきた(仮)トロールは、倒れ伏しているオーガやトロールを踏みつけながら出てくる。ひーっ、えぐいーっ。母は奥に避難してて良かった。
ズザザザザザザッ
ルームの窓の前に、奥にいたはずのビアンカが土煙を上げて急停車。
『ふんっ、森で私に勝てると思わない事なのですね』
ビアンカが鼻で嗤う。
向こうの(仮)トロールもビアンカにロックオン。ロックオンしたが、そのぶっとい四肢に絡み付くのは黒い蔦。違う、ルージュの黒い触手だ。黒いシーサーペントもぐるぐる巻きにした触手。(仮)トロールの動きを止めるが、メキメキ言ってる。地面が割れているせいで、離れた場所でルージュが踏ん張っている。ルージュが踏ん張っている。嘘やろ? ルージュが踏ん張っている。
(仮)トロールの口から煙が上がる。煙? まるで機関車みたいな。
『私は誇り高き守護者、フォレスト『ガーディアン』ウルフ』
ビアンカも体から蜃気楼のような空気の揺らぎが現れる。
『我の牙に宿りし魔の力よ、頂きに立ちし鬣を揺らし、風の刃に息吹きを与えよ』
白い毛並みに翠のラインが浮かぶ、風乙女(シルフィリア)とは違うが、ラメの入ったような輝く翠。対する(仮)トロールの体もまるで鱗のような模様が浮かぶ。あ、ビアンカとルージュ、ノワール以外に初めて見た、戦闘モードやっ。
『戦闘モード 風牙姫(ラファ・アミール)』
クラウチングスタートの体勢から、弾丸のようにビアンカが一気に距離を縮める。(仮)トロールも負けじに鼓膜を破るような咆哮を上げる。
割れた地面なんて関係ない、危ない足場なんて存在しないように、我らのビアンカが駆け抜ける。
鱗模様を浮かび上がらせた、(仮)トロールとビアンカが正面衝突。
スパンッ
多分、2メートル以上分厚い(仮)トロールの体が、上下真っ二つ。真っ二つ。
物凄い音と、大量の血を振り撒きながら、(仮)トロールが倒れる。一撃だよ、たった一撃。
『他愛ないのですね』
…………………………我ながら、恐ろしい魔物ば従魔にしとるなあ。
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