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連載
布確保⑪
「私達、春祭りの後にまたカルーラに戻る予定で。ジークフリード王太子殿下とファクル侯爵令嬢の披露宴の時には、魔境に籠っているんです。とても光栄なのですが、元が平民の私には場違いです」
困った感じの笑みを浮かべるダストン様。
もしかしたら、国から私に出席を促すように言われたのかな。
「もし、現在の後見人のアルベルト・ウルガー殿より要請があってもですか?」
う、そこを突かれますか。
私が魔境に籠る本当の理由は、事情を知っている人以外知らない。いくら、後見人とはいえ、私はアルベルトさんに魔境に籠ります、なんて連絡してない。エドワルドさんもわざわざしなくていいって言ってたし、バレたら不味いしね。ヤマタノオロチの存在。私の後見人の場合は、何か困った時の場合のみ、お名前出して、相手に引いてもらうか、話を付けてもらうだけのもの。
以前、サエキ様が私にお願いしたのはたった一つ。フェリアレーナ様の花嫁行列の護衛だ。
あれは苦肉の策で私にお願いしたんやと思う。
色々あったけど、あれは引き受けて良かったと思っている。だって、隣でフェリアレーナ様がいる。ガーガリア元妃が、お母さんの所に帰れた。アルティーナ帝国は皇帝が変わり、ユリアレーナと仲良くしようと頑張っている。
だけど、今回は、例えお願いされても、無理。
この世界を産み出した神様からの依頼。
いずれユリアレーナ王国を背負う方々の披露宴。
どちらも大切だけど、どっちに天秤が傾くのは分かりきってる。
「アルベルトさんからお話があったとしても、私は魔境に向かいます」
私ははっきりダストン様に宣言する。
「………そうですか」
深く聞いてくれないからありがたい。
「その代わりになるか分かりませんが。私から、今回の御成婚のお祝いと、今後のユリアレーナ王国の繁栄を願って、献上したいものがあります」
出番が来た。私はアイテムボックスから、転移門が入った箱を取り出す。
こちらもツヴァイクさんが箱を作ってくれた。母が綿を敷き詰め、シルクの布を貼った。
ハルスフォン侯爵家の皆様の視線が、私の手元に。
スチュワートさんに渡すのが正式なのだけど、なんとフェリアレーナ様が自ら手にする。白魚のような手。手まで美しか。
「お義父様」
「ありがとう」
箱は無事にダストン様の元に。私は息を吸う。
「先日、冷蔵庫ダンジョンより手に入れました転移門です」
流石に驚いた様子の皆様。
中には4本の細身の折り畳み傘。
「こ、これを国に?」
少し上擦りかけたけど、落ち着いて聞いてくる。
「はい。元々、個人が所有するものでもないですし。手に入れる事が出来たのは、ひとえにアレスが、従魔が優秀なおかげですから」
視界の端で、アレスのベタベタに、アリスがげんなりして、諦めモード。
「しかし、これは価値がとんでもないもののはず。以前も軍隊ダンジョンから出た転移門を献上されましたよね?」
ダストン様が聞きたいのは、転移門が億単位、下手したら数十億単位のものだから心配しているんやろう。
でも、私の懐は皆のおかげで激熱だからね。
「問題ありません。こちらもハルスフォン侯爵様から、国に献上していただけませんか?」
ダストン様は直ぐに判断する。
「我々ハルスフォン侯爵家が、責任を持ち、此度の婚礼祝いの品として、ユイ・ミズサワ殿より国に献上品としてお預かりします」
「よろしくお願いします」
ふう。これで多分披露宴出席問題もよかね。ほっ。
やけど、あの緑の生地とキラキラレース生地で作られたドレスは、ちょっと見たかったかな。
アリスがそろそろ限界のようなのでお暇することに。
わざわざ、ハルスフォン侯爵の皆様がお見送りに玄関まで来てくれた。だけど、やっぱりグリフォンのオシリスにはびっくりされたのは仕方ない。
「ユイ・ミズサワ殿」
馬車に乗る寸前。ホークさんの手を借りていると、ダストン様が。
「はい」
「いずれ貴女はSランク冒険者に押し上げられるでしょう。もし、その時に、保証人でお困りの際は、我がハルスフォン侯爵の名前をお使いください」
「お使いくださいって。私が本来お願いしなければならない事です」
「いいえ。我々ハルスフォン侯爵家は、貴女に言葉に出来ない程の恩義があります」
当たり前のように言葉を紡ぐダストン様。すぐそばでは、イザベラ様が美魔女の微笑みを浮かべている。セザール様はフェリアレーナ様と手を取り合い微笑んでいる。わっふ、絵面が半端なく、キラキラ破壊力。
しかし、なんやろ? 小児用内服薬とフェリアレーナ様の護衛しか思い付かないけど。
「ですからユイ・ミズサワ殿。必要な時はお使いください。我々はこれ以上は望みません。拘束するつもりはありません。何かあれば、ハルスフォン侯爵は貴女の盾となりましょう」
なんや、とっても嬉しか。
ご好意やし、ホークさんもアイコンタクトしているし。受けよう。
「ありがとうございますハルスフォン侯爵様」
私はお辞儀する。両親も晃太もお辞儀。
それから、馬車に乗り込む。シルフィ達は乗ったとたんにおねむだ。花もソファーによじ登り、へそてん体勢で寝始めた。わざわざ帰りもハルスフォン侯爵家の馬車が先導してくれた。
わざわざ見送ってくれたハルスフォン侯爵家の皆様。窓からもう一度、ぺこり。
「ぶひひん」
ホークさんの手綱捌きでノワールがゆっくり発車した。
貴族街を出て、やっと息を吐き出す。ああ、緊張した。晃太は日頃しないネクタイを緩めている。
やけど、マーファに戻って来た目的の一つが解決して本当に良かった。
さあ、明日からはきちんと冒険者せんとね。
明日から山風の皆さんと、冷蔵庫ダンジョンに挑むことになっている。お世話になってるリティアさんが待ってるし、気合い入れて頑張ろう。
困った感じの笑みを浮かべるダストン様。
もしかしたら、国から私に出席を促すように言われたのかな。
「もし、現在の後見人のアルベルト・ウルガー殿より要請があってもですか?」
う、そこを突かれますか。
私が魔境に籠る本当の理由は、事情を知っている人以外知らない。いくら、後見人とはいえ、私はアルベルトさんに魔境に籠ります、なんて連絡してない。エドワルドさんもわざわざしなくていいって言ってたし、バレたら不味いしね。ヤマタノオロチの存在。私の後見人の場合は、何か困った時の場合のみ、お名前出して、相手に引いてもらうか、話を付けてもらうだけのもの。
以前、サエキ様が私にお願いしたのはたった一つ。フェリアレーナ様の花嫁行列の護衛だ。
あれは苦肉の策で私にお願いしたんやと思う。
色々あったけど、あれは引き受けて良かったと思っている。だって、隣でフェリアレーナ様がいる。ガーガリア元妃が、お母さんの所に帰れた。アルティーナ帝国は皇帝が変わり、ユリアレーナと仲良くしようと頑張っている。
だけど、今回は、例えお願いされても、無理。
この世界を産み出した神様からの依頼。
いずれユリアレーナ王国を背負う方々の披露宴。
どちらも大切だけど、どっちに天秤が傾くのは分かりきってる。
「アルベルトさんからお話があったとしても、私は魔境に向かいます」
私ははっきりダストン様に宣言する。
「………そうですか」
深く聞いてくれないからありがたい。
「その代わりになるか分かりませんが。私から、今回の御成婚のお祝いと、今後のユリアレーナ王国の繁栄を願って、献上したいものがあります」
出番が来た。私はアイテムボックスから、転移門が入った箱を取り出す。
こちらもツヴァイクさんが箱を作ってくれた。母が綿を敷き詰め、シルクの布を貼った。
ハルスフォン侯爵家の皆様の視線が、私の手元に。
スチュワートさんに渡すのが正式なのだけど、なんとフェリアレーナ様が自ら手にする。白魚のような手。手まで美しか。
「お義父様」
「ありがとう」
箱は無事にダストン様の元に。私は息を吸う。
「先日、冷蔵庫ダンジョンより手に入れました転移門です」
流石に驚いた様子の皆様。
中には4本の細身の折り畳み傘。
「こ、これを国に?」
少し上擦りかけたけど、落ち着いて聞いてくる。
「はい。元々、個人が所有するものでもないですし。手に入れる事が出来たのは、ひとえにアレスが、従魔が優秀なおかげですから」
視界の端で、アレスのベタベタに、アリスがげんなりして、諦めモード。
「しかし、これは価値がとんでもないもののはず。以前も軍隊ダンジョンから出た転移門を献上されましたよね?」
ダストン様が聞きたいのは、転移門が億単位、下手したら数十億単位のものだから心配しているんやろう。
でも、私の懐は皆のおかげで激熱だからね。
「問題ありません。こちらもハルスフォン侯爵様から、国に献上していただけませんか?」
ダストン様は直ぐに判断する。
「我々ハルスフォン侯爵家が、責任を持ち、此度の婚礼祝いの品として、ユイ・ミズサワ殿より国に献上品としてお預かりします」
「よろしくお願いします」
ふう。これで多分披露宴出席問題もよかね。ほっ。
やけど、あの緑の生地とキラキラレース生地で作られたドレスは、ちょっと見たかったかな。
アリスがそろそろ限界のようなのでお暇することに。
わざわざ、ハルスフォン侯爵の皆様がお見送りに玄関まで来てくれた。だけど、やっぱりグリフォンのオシリスにはびっくりされたのは仕方ない。
「ユイ・ミズサワ殿」
馬車に乗る寸前。ホークさんの手を借りていると、ダストン様が。
「はい」
「いずれ貴女はSランク冒険者に押し上げられるでしょう。もし、その時に、保証人でお困りの際は、我がハルスフォン侯爵の名前をお使いください」
「お使いくださいって。私が本来お願いしなければならない事です」
「いいえ。我々ハルスフォン侯爵家は、貴女に言葉に出来ない程の恩義があります」
当たり前のように言葉を紡ぐダストン様。すぐそばでは、イザベラ様が美魔女の微笑みを浮かべている。セザール様はフェリアレーナ様と手を取り合い微笑んでいる。わっふ、絵面が半端なく、キラキラ破壊力。
しかし、なんやろ? 小児用内服薬とフェリアレーナ様の護衛しか思い付かないけど。
「ですからユイ・ミズサワ殿。必要な時はお使いください。我々はこれ以上は望みません。拘束するつもりはありません。何かあれば、ハルスフォン侯爵は貴女の盾となりましょう」
なんや、とっても嬉しか。
ご好意やし、ホークさんもアイコンタクトしているし。受けよう。
「ありがとうございますハルスフォン侯爵様」
私はお辞儀する。両親も晃太もお辞儀。
それから、馬車に乗り込む。シルフィ達は乗ったとたんにおねむだ。花もソファーによじ登り、へそてん体勢で寝始めた。わざわざ帰りもハルスフォン侯爵家の馬車が先導してくれた。
わざわざ見送ってくれたハルスフォン侯爵家の皆様。窓からもう一度、ぺこり。
「ぶひひん」
ホークさんの手綱捌きでノワールがゆっくり発車した。
貴族街を出て、やっと息を吐き出す。ああ、緊張した。晃太は日頃しないネクタイを緩めている。
やけど、マーファに戻って来た目的の一つが解決して本当に良かった。
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