文字の大きさ
大
中
小
680 / 877
連載
フィールド型ダンジョン⑲
第八階層は寒い。温度もそうだけど、風が強いから体感温度はもっと低い。
まずは保温効果の高い肌着、ババシャツね。それから薄手の保温効果のあるタイツ。これらはもへじ生活で以前手に入れていた。カシミアが入った薄手のセーターにワイバーンのアームウォーマー、その上に厚めのトレーナーを来てワイバーンのポンチョ。ワイバーンのレギンス。厚めの靴下にワイバーンのブーツ。薄手の手袋の上から滑り止めのある軍手。マスクは二重にして、ネックウォーマーにヘルメット。ホークさんも似たような感じだ。その上にいつもの餃子スタイルだ。
第八階層にはアリス以外のバトルジャンキー達がいく事になる。アリスは仔達と若手達を連れて、ルーティのダンジョンに向かう。冒険者の皆さんも手分けして向かう。数人はルームに残り、シルフィ達とお留守番しながら、夕御飯の準備をしてくれる。
「姉ちゃん、気をつけてな」
「分かっとうよ。シルフィ達ば頼むね」
「ん」
晃太がいつものように見送ってくれる。いつもと変わらずチュアンさんの肩を借りてノワールに騎乗する。
しっかりホークさんがマントで包んでくれる。
あー、安心感ー。
「ユイさん、お気をつけて」
「ありがとうございます。チュアンさん、後をお願いします」
「はい。ホーク、気をつけて」
「ああ、後を頼む」
心配そうなエマちゃんとテオ君が、チュアンさんの向こうにいる。私は大丈夫だと、ヘルメット越しに笑顔で浮かべる。私はルームの扉を閉める。
「ホークさん、お願いします。ノワール、頼むね」
「お任せください」
「ぶひひんっ」
ホークさんが手綱を握る。
『行くのだっ』
『はいはい。先走らないのですよ』
『ノワールのスピードに合わせなさい』
『マッタク、落チ着キノナイ』
「くうっ、くうっ」
アレスが落ち着きなく尻尾ぷりぷり。ビアンカとルージュも嫌な感じがすると言っていたのに、アレスを諫めながらも、早く行きたいと顔に出ている。イシスは変わらず落ち着き、オシリスはイシスにぴったりだ。いつもと変わらない。それが私に心に余裕を持たせる。
「皆、頼むねっ」
私の掛け声で、ぶひひん特許ノワールが発進。
発進して、数分も経たずに、波しぶきが上がる。
その上がる波しぶきの中に、なにやら無数の陰が。
『気持ち悪いわねっ』
『フンッ』
ルージュとイシスが光のリンゴを次々に放つ。打ち付ける波に、光のリンゴが吸い込まれていき、弾き出されたのは、ナマコだ。あれだ、ケルンさんが言っていたルーベサンスュだっ。ひーっ、いっぱいーっ。光のリンゴが次々に逆方向に弾いてくれる。後で聞いたけど、このルーベサンスュは、対象に食らいつき、小さな牙から麻痺毒を徐々に注入。ゆっくり対象を麻痺させていき、食らいついたところから溶かしながら食べるんだって。いややなあ。毒は即効性はないが、やっかいなのは食らいつかれたのなら、火傷覚悟の熱を当てるが、強引に引き離す。引き離したら皮膚ごと持っていかれてしまう。聞いただけで痛かっ。
打ち付けられた波の中に、何匹単位ではない、何十匹潜んでいる。くうっ、いっぱいやーっ。あんまり好きなフォルムではないーっ。
「ぶひひんっ」
ノワールの嘶き。
視線をずらすと、カサカサカサと動く船虫みたいなやつ。ひーっ、サイズサイズーッ。そして動き片っ。原付きバイクサイズが、カサカサ、カサカサやって来たっ。
『面倒なのだっ』
『鬱陶しいのですっ』
アレスとビアンカが水の矢を、ガトリングの様に発射する。お見事、全部命中する。
ノワールはどんなに波が来ようが、カサカサが来ようが全くぶれることなく進んでいく。頼もしいっ。
次に来たのは、蜥蜴だけど、一瞬分からなかった。岩に擬態していたみたいで、わずかに動いた時に目がギョロ、と目が動いたので、なんとか気がついた。
『フンッ、ソレデ隠レテイルト思ッテイルノカッ』
イシスが急降下。擬態していた蜥蜴を鉤爪で頭をつまみ、そのまま大回転。横にね。バッタバッタと擬態蜥蜴が弾き飛ばされていく。オシリスもイシスの真似っこしているが、やはり、夫婦連携がすばらしい。ある程度一ヶ所に追いやったところで、アレスの雷が降り注ぐ。
ドガガガガガーンッ
凄い音っ。
やけどノワールは慣れているのか、全く動じずに駆け抜ける。
『主ヨッ、ソロソロシーサーペントガ出ルゾッ』
私が無言で、ヘルメット越しにイシスに合図する。イシスに任せる、と。きちんと理解したイシスは翼を広げて高度を取り、シーサーペントの迎撃体制に入る。
こうして、王冠内部、フィールド型ダンジョン最終階層が始まった。
まずは保温効果の高い肌着、ババシャツね。それから薄手の保温効果のあるタイツ。これらはもへじ生活で以前手に入れていた。カシミアが入った薄手のセーターにワイバーンのアームウォーマー、その上に厚めのトレーナーを来てワイバーンのポンチョ。ワイバーンのレギンス。厚めの靴下にワイバーンのブーツ。薄手の手袋の上から滑り止めのある軍手。マスクは二重にして、ネックウォーマーにヘルメット。ホークさんも似たような感じだ。その上にいつもの餃子スタイルだ。
第八階層にはアリス以外のバトルジャンキー達がいく事になる。アリスは仔達と若手達を連れて、ルーティのダンジョンに向かう。冒険者の皆さんも手分けして向かう。数人はルームに残り、シルフィ達とお留守番しながら、夕御飯の準備をしてくれる。
「姉ちゃん、気をつけてな」
「分かっとうよ。シルフィ達ば頼むね」
「ん」
晃太がいつものように見送ってくれる。いつもと変わらずチュアンさんの肩を借りてノワールに騎乗する。
しっかりホークさんがマントで包んでくれる。
あー、安心感ー。
「ユイさん、お気をつけて」
「ありがとうございます。チュアンさん、後をお願いします」
「はい。ホーク、気をつけて」
「ああ、後を頼む」
心配そうなエマちゃんとテオ君が、チュアンさんの向こうにいる。私は大丈夫だと、ヘルメット越しに笑顔で浮かべる。私はルームの扉を閉める。
「ホークさん、お願いします。ノワール、頼むね」
「お任せください」
「ぶひひんっ」
ホークさんが手綱を握る。
『行くのだっ』
『はいはい。先走らないのですよ』
『ノワールのスピードに合わせなさい』
『マッタク、落チ着キノナイ』
「くうっ、くうっ」
アレスが落ち着きなく尻尾ぷりぷり。ビアンカとルージュも嫌な感じがすると言っていたのに、アレスを諫めながらも、早く行きたいと顔に出ている。イシスは変わらず落ち着き、オシリスはイシスにぴったりだ。いつもと変わらない。それが私に心に余裕を持たせる。
「皆、頼むねっ」
私の掛け声で、ぶひひん特許ノワールが発進。
発進して、数分も経たずに、波しぶきが上がる。
その上がる波しぶきの中に、なにやら無数の陰が。
『気持ち悪いわねっ』
『フンッ』
ルージュとイシスが光のリンゴを次々に放つ。打ち付ける波に、光のリンゴが吸い込まれていき、弾き出されたのは、ナマコだ。あれだ、ケルンさんが言っていたルーベサンスュだっ。ひーっ、いっぱいーっ。光のリンゴが次々に逆方向に弾いてくれる。後で聞いたけど、このルーベサンスュは、対象に食らいつき、小さな牙から麻痺毒を徐々に注入。ゆっくり対象を麻痺させていき、食らいついたところから溶かしながら食べるんだって。いややなあ。毒は即効性はないが、やっかいなのは食らいつかれたのなら、火傷覚悟の熱を当てるが、強引に引き離す。引き離したら皮膚ごと持っていかれてしまう。聞いただけで痛かっ。
打ち付けられた波の中に、何匹単位ではない、何十匹潜んでいる。くうっ、いっぱいやーっ。あんまり好きなフォルムではないーっ。
「ぶひひんっ」
ノワールの嘶き。
視線をずらすと、カサカサカサと動く船虫みたいなやつ。ひーっ、サイズサイズーッ。そして動き片っ。原付きバイクサイズが、カサカサ、カサカサやって来たっ。
『面倒なのだっ』
『鬱陶しいのですっ』
アレスとビアンカが水の矢を、ガトリングの様に発射する。お見事、全部命中する。
ノワールはどんなに波が来ようが、カサカサが来ようが全くぶれることなく進んでいく。頼もしいっ。
次に来たのは、蜥蜴だけど、一瞬分からなかった。岩に擬態していたみたいで、わずかに動いた時に目がギョロ、と目が動いたので、なんとか気がついた。
『フンッ、ソレデ隠レテイルト思ッテイルノカッ』
イシスが急降下。擬態していた蜥蜴を鉤爪で頭をつまみ、そのまま大回転。横にね。バッタバッタと擬態蜥蜴が弾き飛ばされていく。オシリスもイシスの真似っこしているが、やはり、夫婦連携がすばらしい。ある程度一ヶ所に追いやったところで、アレスの雷が降り注ぐ。
ドガガガガガーンッ
凄い音っ。
やけどノワールは慣れているのか、全く動じずに駆け抜ける。
『主ヨッ、ソロソロシーサーペントガ出ルゾッ』
私が無言で、ヘルメット越しにイシスに合図する。イシスに任せる、と。きちんと理解したイシスは翼を広げて高度を取り、シーサーペントの迎撃体制に入る。
こうして、王冠内部、フィールド型ダンジョン最終階層が始まった。
感想 854
あなたにおすすめの小説
『嘘の病気で同情を買うな』と私を死に追いやった婚約者、私の墓標の前で額を叩きつけ、血の涙を流して号泣する大破滅!
熾星婚姻届を出す前日、久世景人はようやく、十年遅れの婚約指輪を私の指にはめた。
銀色の輪が薬指に滑り込んだ瞬間、私は照明の下で光るダイヤをぼんやり見つめた。長く続いた待ち時間が、やっと終わったような気がした。けれど次の瞬間、彼は私の手を見下ろし、まるで似合わない品物を評するように静かな声で言った。
「正直、澪の手ってあまりきれいじゃないよな」
私は言葉を失った。
景人はそのまま私の指先を取ると、さっきはめたばかりの指輪を抜き取った。十年待ち続けた指輪は、彼の手のひらの上で冷たく光っていた。
「この指輪、瑠奈の手にあったほうが似合うと思う」
私は手を引き戻し、信じられない思いで彼を見た。
「どういう意味? 瑠奈と結婚するつもりなの?」
景人は目を伏せ、指輪の縁を指先でなぞった。まるで、たいしたことではない問いを少し考えているだけのようだった。
「そこまでじゃない。ただ、会えない時間が長くなると、どうしても瑠奈のことを考えるんだ」
その瞬間、私は自分がどうやってあのタワーマンションを出たのかさえ覚えていない。
「お姉様の刺繍は素人ね」と笑った義妹の婚礼衣装——裏地を見た女官十二人が、一斉に針を置いた
歩人(あゆと)「お姉様の刺繍は、素人の手習いに見えますわね」――王太子妃となる異母妹アデリーナは、王宮女官たちの前で姉ローゼを笑った。翌週の婚礼の朝。式典装の最終確認のため、十二人の女官が衣装の裏地を検めた瞬間――一人、また一人と、針を置いた。裏地に縫い込まれていたのは、女官たちが十二年間ずっと探していた一筆の銀糸。即位式の絹外套、二人の王女の婚礼ドレス、亡き王太后の弔意の喪服。王家儀礼衣装のすべての裏地に、同じ手で、同じ糸で、同じ銀の花が縫い込まれていた。「アデリーナ様、これは――あなた様の手では、ございません」縫い手は、ずっと一人だった。それを十二年間、誰の名でも呼べなかっただけのこと。
捨てられた赤ちゃんを拾ったら、創世神様でした。世界を救うより、お父さんを幸せにしたいそうです
由香山で捨てられていた赤ちゃんを拾い、家族として育てることを決めた青年。
その日から、枯れた大地は実り、病は癒え、伝説のもふもふ神獣たちが次々と家へ集まってくる。
実はその赤ちゃんの正体は、この世界を創った創世神だった。
「いっぱい育ててくれてありがとう。今度は私がお父さんを幸せにする番だよ。」
これは、神様が初めて手に入れた”家族”との、優しくて温かな奇跡の物語。
一度捨てた番を、都合よく取り戻せると思わないでください
紡里貴族の子息と平民の娘が「運命の番」だった。
しかし、先に感知した娘は「みすぼらしい平民はいらない」と拒絶され、権力と金によって強制的に番拒否の手術を受けさせられる。
一年後。成長した子息は娘を番だと認識し、今度は「解除しろ」と迫ってきた。
それを拒んだ娘を、彼は「番の義務違反だ」と裁判に訴える。
「拒否なさったのは、そちらです」震えながらも、少女は法廷で自らの意思を語る。
運命か、尊厳か――下された判決は?
捨てられた三歳の聖女ですが、辺境伯家に拾われたら家族全員が過保護でした
由香神殿で無能と決めつけられ、三歳で捨てられた少女リリア。
辺境伯家に保護された彼女は、厳つい辺境伯やお兄様たち、領民にまで溺愛されながら幸せな日々を送ることに。
けれど実はリリアは、数百年に一人現れる伝説級の聖女だった。
これは捨てられた幼女聖女が、たくさんの愛に包まれながら成長していく物語。
妹の入院費のため深夜の時給制ダンジョン清掃バイトを始めたら、掃除した階層が「単独完全攻略」扱いされ、正体不明の人類最強を巡り世界中が動き出す
さくらろ「悪いが、数字にならない人間を雇う余裕はないんだ」
大手クラン・ゼノギアを解雇された雑用係の灰崎湊、23歳。
持っているのは、汚れを消すだけのハズレスキル【クリーンアップ】。入院中の妹の治療費を稼ぐため、湊は深夜のダンジョン清掃バイトを始める。
——だがその夜、湊が「散らかってるなあ」と掃除した階層は、人類未踏破の第47層だった。
魔物の群れも、災害級の呪いも、残留魔素も。湊にとってはぜんぶ、ただの「汚れ」。
翌朝、ダンジョン協会は観測史上初の【単独完全攻略】を検知。正体不明の攻略者《ファントム》の存在に、世界中の探索者が、国家が、人類最強が動き出す。
「時給、ちょっと上がらないかな。妹に、いちご買ってやりたいんだよな」
本人だけが、何も知らない。
一方その頃、湊を切り捨てた古巣のクランでは、原因不明の事故が相次いでいて——。
これは、世界で一番静かな最強が、世界を綺麗にしていく物語。
『虐げられ幼女は回帰して、コワモテ公爵パパと幸せなスローライフを送ります!〜もふもふと美味しいご飯で心を癒す異世界ファンタジー〜』
白狸孤児院で育った10歳の少女リアナは、悪逆非道な令嬢イザベラに引き取られ、その特別な『創造と癒やしの魔法』を限界まで搾取される地獄のような毎日を送っていた。
ついに用済みとして危険な魔境へ捨てられ、命を落としかけたその瞬間――前世(日本)の記憶を取り戻し、なんと10歳の自分へと時間が巻き戻る【回帰(タイムリープ)】を果たしてしまう!
「また、あの恐ろしい日々が始まるの……?」と絶望で震えるリアナ。
しかし、運命の日に彼女の前に現れたのはイザベラではなく、「血塗れの熊」と恐れられる帝国最強の騎士・レオンハルト公爵だった。
「今度は兵器としてこき使われるんだわ!」と勘違いして怯えるリアナだったが、コワモテな公爵の正体は、ただの不器用で優しすぎる過保護な人だった!
ふかふかのベッド、初めての温かくて美味しいスープ、そして公爵の真っ直ぐな愛情に触れ、リアナの凍りついていた心は少しずつ溶け出していく。
前世の知識と『創造魔法』を活かして枯れた大地をふかふかの農地に変えたり、伝説のもふもふ魔獣(フェンリル)のルルをテイムしたり、傷ついた天才少年冒険者のシリウスを助けて専属騎士にしたりと、リアナの周りには次第に温かい笑顔の輪が広がっていく。
やがて、リアナが魔法で咲かせた「青い星のバラ」をきっかけに、彼女が公爵の生き別れた妹の娘(本当の姪っ子)であるという最大の秘密が明らかになる!
時を同じくして、一度目の人生の記憶を持ったまま逆行してきた悪女イザベラが、偽造契約書を片手に再びリアナを奪いにやってくる。
しかし……今のリアナはもう、一人ぼっちで泣いていたあの頃の少女ではない。
最強の公爵パパ、頼れる銀狼の騎士、もふもふの相棒という「最高の家族」がリアナの盾となり、悪女の野望を完全粉砕!
これは、誰からも愛されなかった少女が、温かな居場所を見つけ、美味しいご飯と魔法でみんなを笑顔にしながら最高の「スローライフ」を手に入れる、感動のヒーリング・ファンタジー!
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。