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白夜⑬
由々しき事態や。
脱出用魔法陣がなければ、来た道を戻らなくてはならない。片道、3ヶ月以上かかったのにっ。そうなれば、年越ししてしまう。流石に両親が心配するっ。
「すでに修復が始まっておる。時間はかかるがそれを待った方が良かろう」
あ、ほっとした。
「どれくらい時間がかかるかは、父親にみてもらうと良いじゃろう。このボス部屋の先にある、ダンジョンではない場所があることは把握しておるな?」
「はい」
確か、父がフィールド型ダンジョンを鑑定した時に分かっていた。王冠山の内部をドーナツに見立てた場合、ドーナツの穴の部分に、ダンジョンではない場所があるって。
「そこはダンジョンではない。サブ・ドアも繋がろう。両親が心配しておるから、早く顔を見せてあげなさい」
「はい」
良かった、サブ・ドアが繋がる。きっと両親が心配している。もう真っ暗だし、明日抜けよう。
「それから、ちと早いが『原始のダンジョン』について少しヒントをあげようかの」
………………忘れてた。
「『原始のダンジョン』は、確かに広大じゃ、この王冠山のフィールド型ダンジョンのすくなくとも倍以上はあり、更にかつての勇者達、そしてそこにいるエンペラーグリフォンすらも遥かに凌駕する魔狼の特殊個体である、リルの番を引き連れて断念せざるを得なかった最大の理由。それは広大過ぎることじゃった」
ふう、と息をつく始祖神様。
「勇者達の広大さ故からの精神的、肉体的な疲労が限界をとうとう越えてしまい。彼らは『原始のダンジョン』の攻略を諦めてしまったのじゃ」
いや、このフィールド型ダンジョンですら、げんなりしたのに。ここの倍以上って。私達には、迷子防止の灯火の女神様のブーストを持つノワールとオシリスがいて、それに騎乗できるホークさんがいる。それに同行するのは向かうところ敵なしのバトルジャンキー達がいる。そして身体を休める安全地帯のルームがある。
だけど、気になっていた。
「どうして、勇者達、佐伯ゆりさん達は『原始のダンジョン』に挑んだのでしょう?」
ポロリ、と出た疑問。
「すまんな、お嬢さん、それは個人情報に引っ掛かってしまう」
ここで個人情報ー。
「じゃが、その勇者達の後に、挑んだ者達がおる。ほれ、そこに実際勇者の子孫がおろう」
子孫、あっ、佐伯ゆりさんの息子、ダイチ・サエキ様、その曾孫。
エドワルドさん。
当のエドワルドさんは困った顔だ。
もしかしたら、サエキ様から何か聞いているかも知れない。
「次は支援魔法がCになれば、儂らが与えられる『原始のダンジョン』への最後のヒントじゃ」
最後。
『原始のダンジョン』ビアンカとアレスを産み、ルージュを種族関係なく育てた。そして何より、私達と同じ日本人である佐伯ゆりさんの従魔であった、フォレストガーディアンウルフのリルさん。
ビアンカとルージュは、会いたいと言った。
私は叶えたいと思った。
「さて、お嬢さん、儂らはそろそろ帰る。最後までお嬢さんと共にいた従魔と冒険者達よ」
始祖神様が後ろに控えていた雨の女神様に目配せ。うーん、雨の女神様、相も変わらずお美しい。雨の女神様が微笑みながら、何やら両手を差し出していると、私は腕を引かれる。時空神様だ。晃太と共に、ダイニングキッチンのすみに連行される。
「よく聞け」
何々? 晃太も戸惑いの顔だ。
「『原始のダンジョン』に潜るには、ギリギリまでマッピング能力を上げろ」
え? と、晃太が更に戸惑いの顔。
「いいな、『原始のダンジョン』に挑むなら、戦力、最高度マッピング能力、そしてルームが絶対に必要だ」
だから、どうして?
時空神様は、ちら、と深く頭を下げているエドワルドさんに視線を投げている。
あ、もしかしたら、サエキ様に何か聞いているかも知れないから、聞きなさいって事かな?
私は晃太と目で合図。晃太も時空神様の視線の先が分かったみたい。
「はい、時空神様」
神妙な顔で頷く晃太、そして私。
「最後に、マッピング能力の効率的な上げ方は、地道に自分の目で確かめ、それを作図することだ。特にお前達が行ったことが無いダンジョンに行けば効率的だぞ」
…………………………………………何やろう、後ろで鼻息荒いのがいそうなんやけど。
「さ、終わったかの」
始祖神様の声で振り返る。
さっき、雨の女神様は何をしたんやろ?
「キズを癒し、体力を戻したぞ。それとご褒美に、基礎体力、基礎保有魔力を少し上乗せしておる。皆のもの、傲らず精進せよ」
更に深く頭を下げる皆さん。雨の女神様は優しく微笑んで下がる。
「ではなお嬢さん、何か困った事があれば相談しなさい。制限はあるが、出来る限りの事はしよう」
「ありがとうございます、始祖神様」
私は深く頭を下げて、お見送り。
てってれってー
【始祖神 時空神 雨の女神 降臨確認 ボーナスポイント 40000 追加されます】
ありがとうございます。
さて、と。これで本当に終わったかな。いや、帰りつくまでやね。
なんとなく嫌な予感をしながら振り返る。
『主よ、もう一回ボス部屋なのだっ』
体力おばけ完全復活。へっへと尻尾ぷりぷり。やめて、イシスもビアンカもルージュも爛々とせんと。ノワールや哀愁攻撃せんと。オシリスや前足出さんと。
「やめて、今日はここまでよっ。さ、皆さんお疲れ様です。お疲れでしょう? 明日改めて打ち上げしますか?」
「「「「全然大丈夫です」」」」
ですって。
特にミゲル君とツヴァイクさんの目に、ビールのジョッキのマークが浮かんでいる。
皆さん、頑張ってくれたもんね。
「よしっ、では、打ち上げしましょうっ」
私は景気よく片手を高く上げる。
同時に歓声が上がる。
魔境のウルフ達もきっと帰って来るから、サブ・ドア開けっ放しにしよっと。
私は優雲をタップ。
「さあっ、好きに食べてくださいっ、あ、乾杯してからですよーっ」
ミゲル君とツヴァイクさんが、ドリンクコーナーに走っていく。
はい、景気よくやりすぎて支払い額がとんでもないことになりました。開けっ放しのサブ・ドアから補佐ウルフやお父さんウルフ、お母さんウルフ達がチョロチョロ入ってきて、優雲でしれっと食べていたからだ。野良ダンジョンに向かっていた面子も、無事に勢揃いしていた。みんな、軽症くらいなので良かった。当然、頭に中はびーびー煩かったけど、気にしない、気にしない、だって私にはお金がある。
私が稼いだお金やないけどね。
脱出用魔法陣がなければ、来た道を戻らなくてはならない。片道、3ヶ月以上かかったのにっ。そうなれば、年越ししてしまう。流石に両親が心配するっ。
「すでに修復が始まっておる。時間はかかるがそれを待った方が良かろう」
あ、ほっとした。
「どれくらい時間がかかるかは、父親にみてもらうと良いじゃろう。このボス部屋の先にある、ダンジョンではない場所があることは把握しておるな?」
「はい」
確か、父がフィールド型ダンジョンを鑑定した時に分かっていた。王冠山の内部をドーナツに見立てた場合、ドーナツの穴の部分に、ダンジョンではない場所があるって。
「そこはダンジョンではない。サブ・ドアも繋がろう。両親が心配しておるから、早く顔を見せてあげなさい」
「はい」
良かった、サブ・ドアが繋がる。きっと両親が心配している。もう真っ暗だし、明日抜けよう。
「それから、ちと早いが『原始のダンジョン』について少しヒントをあげようかの」
………………忘れてた。
「『原始のダンジョン』は、確かに広大じゃ、この王冠山のフィールド型ダンジョンのすくなくとも倍以上はあり、更にかつての勇者達、そしてそこにいるエンペラーグリフォンすらも遥かに凌駕する魔狼の特殊個体である、リルの番を引き連れて断念せざるを得なかった最大の理由。それは広大過ぎることじゃった」
ふう、と息をつく始祖神様。
「勇者達の広大さ故からの精神的、肉体的な疲労が限界をとうとう越えてしまい。彼らは『原始のダンジョン』の攻略を諦めてしまったのじゃ」
いや、このフィールド型ダンジョンですら、げんなりしたのに。ここの倍以上って。私達には、迷子防止の灯火の女神様のブーストを持つノワールとオシリスがいて、それに騎乗できるホークさんがいる。それに同行するのは向かうところ敵なしのバトルジャンキー達がいる。そして身体を休める安全地帯のルームがある。
だけど、気になっていた。
「どうして、勇者達、佐伯ゆりさん達は『原始のダンジョン』に挑んだのでしょう?」
ポロリ、と出た疑問。
「すまんな、お嬢さん、それは個人情報に引っ掛かってしまう」
ここで個人情報ー。
「じゃが、その勇者達の後に、挑んだ者達がおる。ほれ、そこに実際勇者の子孫がおろう」
子孫、あっ、佐伯ゆりさんの息子、ダイチ・サエキ様、その曾孫。
エドワルドさん。
当のエドワルドさんは困った顔だ。
もしかしたら、サエキ様から何か聞いているかも知れない。
「次は支援魔法がCになれば、儂らが与えられる『原始のダンジョン』への最後のヒントじゃ」
最後。
『原始のダンジョン』ビアンカとアレスを産み、ルージュを種族関係なく育てた。そして何より、私達と同じ日本人である佐伯ゆりさんの従魔であった、フォレストガーディアンウルフのリルさん。
ビアンカとルージュは、会いたいと言った。
私は叶えたいと思った。
「さて、お嬢さん、儂らはそろそろ帰る。最後までお嬢さんと共にいた従魔と冒険者達よ」
始祖神様が後ろに控えていた雨の女神様に目配せ。うーん、雨の女神様、相も変わらずお美しい。雨の女神様が微笑みながら、何やら両手を差し出していると、私は腕を引かれる。時空神様だ。晃太と共に、ダイニングキッチンのすみに連行される。
「よく聞け」
何々? 晃太も戸惑いの顔だ。
「『原始のダンジョン』に潜るには、ギリギリまでマッピング能力を上げろ」
え? と、晃太が更に戸惑いの顔。
「いいな、『原始のダンジョン』に挑むなら、戦力、最高度マッピング能力、そしてルームが絶対に必要だ」
だから、どうして?
時空神様は、ちら、と深く頭を下げているエドワルドさんに視線を投げている。
あ、もしかしたら、サエキ様に何か聞いているかも知れないから、聞きなさいって事かな?
私は晃太と目で合図。晃太も時空神様の視線の先が分かったみたい。
「はい、時空神様」
神妙な顔で頷く晃太、そして私。
「最後に、マッピング能力の効率的な上げ方は、地道に自分の目で確かめ、それを作図することだ。特にお前達が行ったことが無いダンジョンに行けば効率的だぞ」
…………………………………………何やろう、後ろで鼻息荒いのがいそうなんやけど。
「さ、終わったかの」
始祖神様の声で振り返る。
さっき、雨の女神様は何をしたんやろ?
「キズを癒し、体力を戻したぞ。それとご褒美に、基礎体力、基礎保有魔力を少し上乗せしておる。皆のもの、傲らず精進せよ」
更に深く頭を下げる皆さん。雨の女神様は優しく微笑んで下がる。
「ではなお嬢さん、何か困った事があれば相談しなさい。制限はあるが、出来る限りの事はしよう」
「ありがとうございます、始祖神様」
私は深く頭を下げて、お見送り。
てってれってー
【始祖神 時空神 雨の女神 降臨確認 ボーナスポイント 40000 追加されます】
ありがとうございます。
さて、と。これで本当に終わったかな。いや、帰りつくまでやね。
なんとなく嫌な予感をしながら振り返る。
『主よ、もう一回ボス部屋なのだっ』
体力おばけ完全復活。へっへと尻尾ぷりぷり。やめて、イシスもビアンカもルージュも爛々とせんと。ノワールや哀愁攻撃せんと。オシリスや前足出さんと。
「やめて、今日はここまでよっ。さ、皆さんお疲れ様です。お疲れでしょう? 明日改めて打ち上げしますか?」
「「「「全然大丈夫です」」」」
ですって。
特にミゲル君とツヴァイクさんの目に、ビールのジョッキのマークが浮かんでいる。
皆さん、頑張ってくれたもんね。
「よしっ、では、打ち上げしましょうっ」
私は景気よく片手を高く上げる。
同時に歓声が上がる。
魔境のウルフ達もきっと帰って来るから、サブ・ドア開けっ放しにしよっと。
私は優雲をタップ。
「さあっ、好きに食べてくださいっ、あ、乾杯してからですよーっ」
ミゲル君とツヴァイクさんが、ドリンクコーナーに走っていく。
はい、景気よくやりすぎて支払い額がとんでもないことになりました。開けっ放しのサブ・ドアから補佐ウルフやお父さんウルフ、お母さんウルフ達がチョロチョロ入ってきて、優雲でしれっと食べていたからだ。野良ダンジョンに向かっていた面子も、無事に勢揃いしていた。みんな、軽症くらいなので良かった。当然、頭に中はびーびー煩かったけど、気にしない、気にしない、だって私にはお金がある。
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感想 854
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