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連載
カルーラで年越し~春まで⑭
一礼してホースさんの説明が始まる。
「戦車馬は属性魔法馬が進化先にあります。ペガサスやスレイプルは有名な話でありますが、属性魔法馬の進化先の多くは戦車馬なんです」
「確か、元はギルド所有の魔法馬であったはず。その時に既に属性魔法馬なら、簡単に手放さないのでは?」
確かにそうだね。馬の王国ジューバが滅びてからは、属性魔法馬すら産まれていないって話だし。そんな貴重な属性魔法馬を簡単に手放さないわな。
「あのパーヴェル様、ノワールを引き取った時は、まだ魔法馬だったんです」
私がちょっと説明。
「まだ?」
「はい。初めてカルーラに向かう前に進化しまして」
これこれこうこうと説明。
「で、本来なら魔法馬の一つ上、属性魔法馬に進化するはずなんでしょうが、すっ飛ばしてしまいまして、はい」
「その進化に、ホークが関わっていると?」
「いえ、うちのバトルジャンキー達の影響だと思います」
パーヴェル様が噴き出す。
「バ、バトルジャンキーって………」
「はい、そうです」
きっぱり。
クスクス笑うパーヴェル様。
「よく分かりました。なかなか貴重な種、こちらも故意に言いふらすような真似は致しません。そうなれば、ノワールの種欲しさに、今以上にミズサワ殿に接触してくるはずでしょうから」
「私はノワールが望むようなら何も言いません。それに悪意があればビアンカやルージュ達がわからないわけではありませんし」
「そうですな」
ふう、とパーヴェル様が一息つく。
「しかし、ジューバが滅ぼされてから、初めての属性魔法馬。いずれ、首都にシャルロットと行くのであれば、必ず大きな話題になるはず」
うん、レディ・ロストークそっくり美少女馬だしね。
「そうなれば、その父馬はなんだ? その世話をしている者は誰だと勘ぐるものが出るはず。ミズサワ殿」
改まるパーヴェル様。
「これは必要ないと思いますが、単なるおせっかいと思ってください。ミズサワ殿の戦闘奴隷であるホークが、ジューバの生き残りであろうと思っています。それにホークはジューバの典型的な外見をしていますからね。今はワーズビートの情勢は落ち着きを見せていますし、ここは離れています。心配なのは、シルフィリアが御披露目された後です。ジューバが滅びた後に産まれた初の属性魔法馬。父馬か母馬のどちらかがそう思われるでしょう、我が愛馬レディ・ロストークは魔法馬です。つまり、父馬がそうだろうと考える。まともな者であれば、後見人を通してミズサワ殿に接触するでしょうが、そうでなければ、強奪の手段を取るはず」
その心配はないかなあ、ノワールが大人しく捕まるわけないし。
「ただ、あのノワールが簡単に別の誰かに捕らえられるとは思えません。次の手段です。かつて、ワーズビートが行ったように、馬の飼育員の誘拐。つまり、ホークが狙われるでしょう。魔法馬であるレディ・ロストークが上位種であるシルフィリアを無事に産んだ。本当に一時は、レディ・ロストークもシルフィリアもあきらめた時があります。それでも、ホークが残してくれた手掛かりで、何とか乗り越えた。愛馬家であれば、この出産には卓越した技術を持つジューバの民が関わっていると結びつけるのは簡単です。ジューバの民でなければ、上位種は産まれないのは周知の事実ですから。単なる勧誘ならいいでしょうが、悪質ならば、別の手段を取るはず」
「別の?」
物凄く嫌な予感。
「ミズサワ殿が可愛がっている、双子の戦闘奴隷がいるでしょう? 従魔殿はとてもじゃないが無理なら、この双子ならできるでしょうね、誘拐が」
ざーっ、と血の気が引く。エマちゃんとテオ君を拐って、ノワールかホークさんを要求するってこと?
「これはあくまで単なる私の憶測です。そしてこれもおせっかいです」
す、とパーヴェル様が胸ポケットからメモを取り出す。
「これは?」
「かなり黒に近いグレイな噂がある愛馬家のリストです。特に苛烈な愛馬家達ですね。ジューバが滅びてからは、魔法馬の上位種の入手は絶望的でしたから。シルフィリアの存在を知れば、金と力があり、動く可能性がある愛馬家です。これはあくまで私の偏見で作成しました、どうかご内密に」
「は、はい、ありがとうございます」
私はメモを受け取る。名前は三つ、全て首都在中みたい。なら、カルーラなら大丈夫かな。
「繰り返しますが、あくまで、私が心配しているだけです。取り越し苦労になると思いますが」
「いえ、私には考え付かない可能性です。教えて頂きありがとうございます」
私は大事にメモを見て、名前をインプット。晃太もしっかり見てからアイテムボックスに。
「では、堅苦しい話はこれで終いです。ミズサワ殿はいつまでカルーラに? 大討伐までは居ていただけるのでしょうか?」
「ああ、そうでしたね」
言ってなかったや。地脈の乱れに関して魔物がおかしくなり、魔の森から溢れる所謂『魔物の氾濫』。それを最小にするために行われるのが大討伐だ。だけど今回の地脈の乱れは、落ち着いたはず。原因となるヤマタノオロチはおらず、今は白夜として私と一緒だし。
だけど、そんなこと言えない。
「えっと、春先までいますが、あっ、うちには魔の森に関して強いビアンカとアレスがいますので、春先になってから、ちょっと調べてみますね。心配なければ、私達はマーファに帰ろうと思います」
『もう心配ないのですよ』
わかっとるがな、口実だって。
「それは有難い」
と、ほっとしたようなパーヴェル様。そりゃ心配だよね、魔物の氾濫なんてあったら、最前線に出るのはパーヴェル様だしね。後ろにあるカルーラは、大事な故郷だしね。
「あ、そうだ。パーヴェル様にダンジョンのお土産あるんですよ」
こんなこともあろうと、準備していました。
晃太が素早く出す。
ツヴァイクさんに箱を作って貰いました。
「ダンジョン?」
「野良のダンジョンですが、ギルドが非公開を決めましたのでご内密に」
「ギルドがですか、それは残念ですね。騎士団の演習に使えるかと思ってしまいました」
「私達でなければ、入り口にもたどり着けませんよ」
「なるほど、それで非公開ですか」
ははは、と笑うパーヴェル様。
晃太が箱を出す。
「開けても?」
「はい、どうぞどうぞ」
ワクワクとパーヴェル様。びしっ、と固まる。
「こ、これは?」
「下級エリクサーです」
お歳暮みたいに三本並べて見ました。どやっ。
「戦車馬は属性魔法馬が進化先にあります。ペガサスやスレイプルは有名な話でありますが、属性魔法馬の進化先の多くは戦車馬なんです」
「確か、元はギルド所有の魔法馬であったはず。その時に既に属性魔法馬なら、簡単に手放さないのでは?」
確かにそうだね。馬の王国ジューバが滅びてからは、属性魔法馬すら産まれていないって話だし。そんな貴重な属性魔法馬を簡単に手放さないわな。
「あのパーヴェル様、ノワールを引き取った時は、まだ魔法馬だったんです」
私がちょっと説明。
「まだ?」
「はい。初めてカルーラに向かう前に進化しまして」
これこれこうこうと説明。
「で、本来なら魔法馬の一つ上、属性魔法馬に進化するはずなんでしょうが、すっ飛ばしてしまいまして、はい」
「その進化に、ホークが関わっていると?」
「いえ、うちのバトルジャンキー達の影響だと思います」
パーヴェル様が噴き出す。
「バ、バトルジャンキーって………」
「はい、そうです」
きっぱり。
クスクス笑うパーヴェル様。
「よく分かりました。なかなか貴重な種、こちらも故意に言いふらすような真似は致しません。そうなれば、ノワールの種欲しさに、今以上にミズサワ殿に接触してくるはずでしょうから」
「私はノワールが望むようなら何も言いません。それに悪意があればビアンカやルージュ達がわからないわけではありませんし」
「そうですな」
ふう、とパーヴェル様が一息つく。
「しかし、ジューバが滅ぼされてから、初めての属性魔法馬。いずれ、首都にシャルロットと行くのであれば、必ず大きな話題になるはず」
うん、レディ・ロストークそっくり美少女馬だしね。
「そうなれば、その父馬はなんだ? その世話をしている者は誰だと勘ぐるものが出るはず。ミズサワ殿」
改まるパーヴェル様。
「これは必要ないと思いますが、単なるおせっかいと思ってください。ミズサワ殿の戦闘奴隷であるホークが、ジューバの生き残りであろうと思っています。それにホークはジューバの典型的な外見をしていますからね。今はワーズビートの情勢は落ち着きを見せていますし、ここは離れています。心配なのは、シルフィリアが御披露目された後です。ジューバが滅びた後に産まれた初の属性魔法馬。父馬か母馬のどちらかがそう思われるでしょう、我が愛馬レディ・ロストークは魔法馬です。つまり、父馬がそうだろうと考える。まともな者であれば、後見人を通してミズサワ殿に接触するでしょうが、そうでなければ、強奪の手段を取るはず」
その心配はないかなあ、ノワールが大人しく捕まるわけないし。
「ただ、あのノワールが簡単に別の誰かに捕らえられるとは思えません。次の手段です。かつて、ワーズビートが行ったように、馬の飼育員の誘拐。つまり、ホークが狙われるでしょう。魔法馬であるレディ・ロストークが上位種であるシルフィリアを無事に産んだ。本当に一時は、レディ・ロストークもシルフィリアもあきらめた時があります。それでも、ホークが残してくれた手掛かりで、何とか乗り越えた。愛馬家であれば、この出産には卓越した技術を持つジューバの民が関わっていると結びつけるのは簡単です。ジューバの民でなければ、上位種は産まれないのは周知の事実ですから。単なる勧誘ならいいでしょうが、悪質ならば、別の手段を取るはず」
「別の?」
物凄く嫌な予感。
「ミズサワ殿が可愛がっている、双子の戦闘奴隷がいるでしょう? 従魔殿はとてもじゃないが無理なら、この双子ならできるでしょうね、誘拐が」
ざーっ、と血の気が引く。エマちゃんとテオ君を拐って、ノワールかホークさんを要求するってこと?
「これはあくまで単なる私の憶測です。そしてこれもおせっかいです」
す、とパーヴェル様が胸ポケットからメモを取り出す。
「これは?」
「かなり黒に近いグレイな噂がある愛馬家のリストです。特に苛烈な愛馬家達ですね。ジューバが滅びてからは、魔法馬の上位種の入手は絶望的でしたから。シルフィリアの存在を知れば、金と力があり、動く可能性がある愛馬家です。これはあくまで私の偏見で作成しました、どうかご内密に」
「は、はい、ありがとうございます」
私はメモを受け取る。名前は三つ、全て首都在中みたい。なら、カルーラなら大丈夫かな。
「繰り返しますが、あくまで、私が心配しているだけです。取り越し苦労になると思いますが」
「いえ、私には考え付かない可能性です。教えて頂きありがとうございます」
私は大事にメモを見て、名前をインプット。晃太もしっかり見てからアイテムボックスに。
「では、堅苦しい話はこれで終いです。ミズサワ殿はいつまでカルーラに? 大討伐までは居ていただけるのでしょうか?」
「ああ、そうでしたね」
言ってなかったや。地脈の乱れに関して魔物がおかしくなり、魔の森から溢れる所謂『魔物の氾濫』。それを最小にするために行われるのが大討伐だ。だけど今回の地脈の乱れは、落ち着いたはず。原因となるヤマタノオロチはおらず、今は白夜として私と一緒だし。
だけど、そんなこと言えない。
「えっと、春先までいますが、あっ、うちには魔の森に関して強いビアンカとアレスがいますので、春先になってから、ちょっと調べてみますね。心配なければ、私達はマーファに帰ろうと思います」
『もう心配ないのですよ』
わかっとるがな、口実だって。
「それは有難い」
と、ほっとしたようなパーヴェル様。そりゃ心配だよね、魔物の氾濫なんてあったら、最前線に出るのはパーヴェル様だしね。後ろにあるカルーラは、大事な故郷だしね。
「あ、そうだ。パーヴェル様にダンジョンのお土産あるんですよ」
こんなこともあろうと、準備していました。
晃太が素早く出す。
ツヴァイクさんに箱を作って貰いました。
「ダンジョン?」
「野良のダンジョンですが、ギルドが非公開を決めましたのでご内密に」
「ギルドがですか、それは残念ですね。騎士団の演習に使えるかと思ってしまいました」
「私達でなければ、入り口にもたどり着けませんよ」
「なるほど、それで非公開ですか」
ははは、と笑うパーヴェル様。
晃太が箱を出す。
「開けても?」
「はい、どうぞどうぞ」
ワクワクとパーヴェル様。びしっ、と固まる。
「こ、これは?」
「下級エリクサーです」
お歳暮みたいに三本並べて見ました。どやっ。
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