もふもふ大好き家族が聖女召喚に巻き込まれる~時空神様からの気まぐれギフト・スキル『ルーム』で家族と愛犬守ります~

鐘ケ江 しのぶ

文字の大きさ
726 / 865
連載

カルーラで年越し~春まで⑲

しおりを挟む
 ルーティから無事に両親が帰って来た。
 心配はしたが、アレスは元気いっぱいだ。
 比較的穏やかに日々が過ぎていき、チュアンさんのシスター・アモルとの面会日前日。
 役場の人が、御用聞きの冒険者の方とやってきた。
「パーヴェル・イコスティ様より、ミズサワ様にご報告したい件があるとの事で、面会希望がございます。アスラ王国の大使、モーガン夫妻も同席されます。急で申し訳ありません、明日の11時でお願いできますか?」
 例の件ね。シスター・アモルとの面会に、見事に被ってる。
「分かりました、伺います」
 チュアンさんはこっちに来るって言ったけど、シスター・アモルに面会に行ってもらい、必要なものがないか聞いてもらうことにした。
 次の日、支度して、と。私と晃太、ホークさん、ミゲル君、マデリーンさん、ビアンカとイシスだ。
 前回と同じような流れで、前回と同じ応接室だ。役場の人が外套をかけてくれる。対応がいい。少しパーティーハウスを早く出たので一番乗りだ。
 前回と同じソファーに座る。
 この話が来たって事はある程度目処が立ったってことだろうし。この襲撃事件にはアスラ王国の高位貴族が関わっていた、どうなるんやろう?
 あれから、アスラ王国の無料教室については、色々聞いた。各地を治めている領主さんの采配が大きく、地方によって差がある。ルーティの領主、アーグレ伯爵のように熱心な人なんて、ごく僅かだ。中には、それは各家庭でやるべきで、関係ないし、なんでそんな下層住民にめんどくさいこと、いつ、自分達の役に立つかも分からないのに、それに自分の時間と労力と金をかけたくないと思っているらしい。読み書きできない親が多いのに、各家庭なんて無理だよ。アスラ王国出身の方に聞いてみたら、リィマさんは商会の人から、なんと男爵令嬢のマデリーンさんはお姉さんから、ファングさんは読み書きできるお母さんから教えてもらったと。
 読み書き計算できたら、就労先も増えて、収入が増える。そうすれば、いずれ納税率だって上がるのになあ。
 それを、子供を集めたり、教師を募ったり、場所の確保をするのは、めんどくさし、いつ結果を見せるか分からないような事を、今労力を費やすのはいやだって。
 意識改革がまず先やな、と結論を出した。
 それを誰がするか、だ。
 結局、地位のあり、発言力がある人達に頼まなくてはならない。私が出きる事は少ないって事だ。
 どうしたものか。
「アスラ王国大使、モーガン夫妻がいらっしゃいました」
 いかん、考え事しとった。
 ソファーから立ち上がると、モーガン夫妻が侍従さんと護衛騎士二名、ベテラン感のある騎士と、丸耳で隈のすごい体格のよい騎士。前回のメンバーでやってきた。
 頭を下げて、お互いご挨拶。
 すぐに、正装したパーヴェル様が合流。ご挨拶。
「早速で申し訳ありませんが」
 と、着席したパーヴェル様が切り出す。
「先日の襲撃事件の黒幕達についてです。目星がつきましたので、ご報告させていただきます」
 達って、複数おるんやね。
 パーヴェル様は持ってきた書類に目を落とす。
 おそらくだいたいの内容はモーガン夫妻は知っているのか、落ち着いて聞いている。
「襲撃事件を画策したのはアスラ王国貴族、コスコル公爵を筆頭に、ダム伯爵、フラッジ子爵、リーズ子爵の四家が関わっていました。実際指示を出したのはコスコル公爵ですね」
「やっぱり、嫌がらせ目的?」
 過激すぎる嫌がらせ。私に言わせたら、犯罪だ。
「ええ、例の修道院の建設予定地が、コスコル公爵領の隣になったことで、行動を起こしたと」
 コスコル公爵はもともとあまり人族以外の人には、友好的ではない。この大陸で人族主義を掲げている西側の考えを持ち、例の『呪い持ち』の法案も最後まで反対。この法案が立ち上がれば、『呪い持ち』だからといって、彼らを害すれば、相応に罰せられる。今までは、『呪い持ち』だから、どうせ短命だし、子でも成して、その子が『呪い持ち』になる可能性があるからという下らない理由で害されてた。そして『呪い持ち』を生んだ母親、『呪い持ち』を兄弟にもつ姉妹もその対象だった。
 リィマさんとアルスさんみたいにね。
「今回の件で発覚したのですが、コスコル公爵は以前より、『呪い持ち』の幼児、その両親と兄弟の処理の指示をしていた。コスコル公爵は指示を出すだけ、実際手足になっていたのがこの三家です」
 なんや、最低やな。
「他にも動いていた者がいましたが、法案可決後に捕えられています。悪質なのは、コスコル公爵は口にはしたが、指示していない、そやつらが勝手にやったことと、すべての責任を押し付けていました」
 本当に最低。
「コスコル公爵は修道院の建設反対派筆頭でした。しかも自領の隣など認めないと。実際、建設計画は遅々として進んでいないのは、コスコル公爵が裏で手をひいていたようです。今回のモーガン伯爵がこのカルーラで襲わせ、更に時間を稼いで建設予定地を買収するつもりだったと。そうすれば修道院建設は事実上断念しなくてなりません」
 ふう、と息をつくパーヴェル様。
「建設賛成派トップであるモーガン伯爵夫妻を一線から引かせたかったのでしょうね。ご子息達への傷害、怪文書色々したんでしょう。実行犯を雇ったのは、ダム伯爵達ですが、まさか、一家揃ってアスラ王国を出られると思っていなかった。しびれを切らしたコスコル公爵は、最終手段を取り、それに応えて起こしたのが、あの襲撃事件です。アスラ王国の首都は大騒ぎだそうです。時期に裁判になるでしょう。すべて、ミズサワ殿のお手柄ですよ」
「え?」
 私?
「襲撃犯を生け捕りにしてくれました。これで大元のコスコル公爵に行き着けたんですよ」
「それは、ビアンカとルージュが優秀なだけで」
 う、嬉しかっ、ビアンカとルージュが誉められて、照れる、照れ照れ。
 よし、今日はご褒美やな。
「アスラ王国はしばらくはこの騒ぎは続きますが、いずれ沈静化するでしょう。修道院建設予定地も守れ、予算も得ましたしね。細やかですが、我がイコスティ辺境伯も支援することなりました」
「他国なのに?」
「以前よりユリアレーナの中央には許可も得ていますから。我らカルーラからは大工と石工が数人。レンガ職人を派遣する予定です」
 なるほど、人員派遣やね。
「今回の陣頭指揮を取っているオークリー王太子殿下は、徹底追求しています。これでアスラ王国の貴族間のパワーバランスは崩れるでしょうが、オークリー王太子殿下なら、調整されるでしょう」
 オークリー王太子殿下? あ、イヴリン王太子妃殿下の旦那さんね。
 この法案は王太子殿下夫妻が、軌道に乗せたんだった。そして、修道院建設はイヴリン王太子妃殿下が発起人。王太子夫妻は、主な仕事は外交もそうだけど、未成年の教育、呪い持ちと、その家族の為の法整備を進めているそうだ。今回は王太子夫妻を長く支援してくれているモーガン伯爵夫妻が襲われた、しかも隣国で。せっかくミッシェル王太后様が、ユリアレーナに嫁いで、友好国となっているのに、その関係に亀裂をいれるような事態になる。ミッシェル王太后様は、現在のアスラ王国国王の姉、オークリー王太子殿下の伯母になる。親戚関係になるが、とても良好な関係。あの襲撃事件で、色んな人達の努力で築かれた関係が、どうなるかって、分からなかったのかね。
「裁判にはなるでしょうが、長引かせる事はないでしょう。後は細々とした余罪と関連したものを調書が行われています。今回は襲撃事件の概要はこんな感じですね」
しおりを挟む
感想 817

あなたにおすすめの小説

婚約破棄の場に相手がいなかった件について

三木谷夜宵
ファンタジー
侯爵令息であるアダルベルトは、とある夜会で婚約者の伯爵令嬢クラウディアとの婚約破棄を宣言する。しかし、その夜会にクラウディアの姿はなかった。 断罪イベントの夜会に婚約者を迎えに来ないというパターンがあるので、では行かなければいいと思って書いたら、人徳あふれるヒロイン(不在)が誕生しました。 カクヨムにも公開しています。

完結 穀潰しと言われたので家を出ます

音爽(ネソウ)
恋愛
ファーレン子爵家は姉が必死で守って来た。だが父親が他界すると家から追い出された。 「お姉様は出て行って!この穀潰し!私にはわかっているのよ遺産をいいように使おうだなんて」 遺産などほとんど残っていないのにそのような事を言う。 こうして腹黒な妹は母を騙して家を乗っ取ったのだ。 その後、収入のない妹夫婦は母の財を喰い物にするばかりで……

【完結】私は聖女の代用品だったらしい

雨雲レーダー
恋愛
異世界に聖女として召喚された紗月。 元の世界に帰る方法を探してくれるというリュミナス王国の王であるアレクの言葉を信じて、聖女として頑張ろうと決意するが、ある日大学の後輩でもあった天音が真の聖女として召喚されてから全てが変わりはじめ、ついには身に覚えのない罪で荒野に置き去りにされてしまう。 絶望の中で手を差し伸べたのは、隣国グランツ帝国の冷酷な皇帝マティアスだった。 「俺のものになれ」 突然の言葉に唖然とするものの、行く場所も帰る場所もない紗月はしぶしぶ着いて行くことに。 だけど帝国での生活は意外と楽しくて、マティアスもそんなにイヤなやつじゃないのかも? 捨てられた聖女と孤高の皇帝が絆を深めていく一方で、リュミナス王国では次々と異変がおこっていた。 ・完結まで予約投稿済みです。 ・1日3回更新(7時・12時・18時)

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ! 

タヌキ汁
ファンタジー
 国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。  これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

聖女の私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。

重田いの
ファンタジー
聖女である私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。 あのお、私はともかくお父さんがいなくなるのは国としてマズイと思うのですが……。 よくある聖女追放ものです。

逆行令嬢は聖女を辞退します

仲室日月奈
恋愛
――ああ、神様。もしも生まれ変わるなら、人並みの幸せを。 死ぬ間際に転生後の望みを心の中でつぶやき、倒れた後。目を開けると、三年前の自室にいました。しかも、今日は神殿から一行がやってきて「聖女としてお出迎え」する日ですって? 聖女なんてお断りです!

〈完結〉妹に婚約者を獲られた私は実家に居ても何なので、帝都でドレスを作ります。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」テンダー・ウッドマンズ伯爵令嬢は両親から婚約者を妹に渡せ、と言われる。 了承した彼女は帝都でドレスメーカーの独立工房をやっている叔母のもとに行くことにする。 テンダーがあっさりと了承し、家を離れるのには理由があった。 それは三つ下の妹が生まれて以来の両親の扱いの差だった。 やがてテンダーは叔母のもとで服飾を学び、ついには? 100話まではヒロインのテンダー視点、幕間と101話以降は俯瞰視点となります。 200話で完結しました。 今回はあとがきは無しです。

〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。 だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。 十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。 ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。 元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。 そして更に二年、とうとうその日が来た…… 

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。