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カルーラで年明け~春まで⑥
通された応接室は、温かく、落ち着いた感じの部屋だった。壁にはアスラ王国の国旗が飾られている。赤地と白地のツートンで、赤地には国花の鈴蘭が刺繍されている。
「お座り下さい」
ジャスパーさんが促してくれるので、着席する。ビアンカとルージュは思い思いにお座りの体勢。
晃太と並んで座る。後ろにはホークさんとマデリーンさんが控える。
てきぱきとメイドさん達が動いている。よし、お茶が来る前に、
「モーガンさん、本日はお招きありがとうございます。こちら、細やかですが」
と、ラッピングしたハンカチを差し出す。
執事さんっぽい人が受け取ろうとするが、わざわざモーヴさんがソファーから立ち上がり受け取ってくれる。これは渡す側を受け取り側が、とっても信頼していますよって事ね。以前、ハルスフォン侯爵家でも、フェリアレーナ様が受け取ってくれた。白魚ような手やったなあ。
「母の手作りなんですが」
必殺、手作り作戦。うちうちのお茶会の手土産は、あまり高級品は避けるように、と言われて、元男爵令嬢のフリンダさんに相談してから準備した。
「まあ、ミズサワ様のお母様の? 拝見してもよろしいですか?」
「はい、どうぞ」
嬉しそうなモーヴさんは、ラッピングをあける。
「まあっ、あの素敵なハンカチーフですねっ」
ぱぁっ、と更に嬉しそうなモーヴさん。やっぱり覚えていたね。あの寄付の時に、興味を引いていたようだったからね。
「息子さん夫婦と同居されているとお聞きしたので、息子さんの奥さん達にもどうぞ」
「ありがとうございますミズサワ様」
嬉しそうなモーヴさん。良かった、喜んでもらって。
「ミズサワ様のお母様は、刺繍の腕が一流なんですね。繊細で上品です」
「ありがとうございます。母が聞いたら喜びます」
うん。雰囲気がいい感じ。ハンカチのレースをしげしげと眺めならがモーヴが聞いてくる。
「お母様はどちらかの職人ギルドに?」
「ギルドランクはありますが、フリーなんです。空いた時間に作っている服はマーファの知り合いのお店に、ご厚意で置かせてもらっているんです」
「まあ、そうなんですの。残念ですわ、是非拝見したかったですわ」
うん、話のつかみはいいんやない?
メイドさんがお茶と焼き菓子を差し出す。お菓子はマドレーヌに似たお菓子と、ジャムクッキーにしては大きくて、カップケーキに近いお菓子だ。
『甘い匂いなのです』
『そうね、いい匂いだわ』
と、ビアンカとルージュが私と晃太の肩越しから覗き込む。
「ダメよ、じっとしとかんね」
ふんが、ふんが、言わんで。ほら、メイドさん、真っ青やん。
お茶やお菓子が並んだ頃に、奥さん達、ブレンダさんとデボラさんが戻って来た。
失礼します、入って来る前に、おとなしくしなさい、いい子にしていなさい、と言っていた。
こちらを伺っていたと言う子供達は、四人だ。背丈の関係で階段みたいに横並び。
うん、興味津々、みたいね、約一名以外は。あ、あの子かな、ビアンカとルージュが言ってたパニック寸前の子供。
「ミズサワ様、我が孫達にございます」
ジャスパーさんが紹介してくれる。
「バーナーの長女ケイシー、長男カール」
「ケイシーと申します」
「カールです」
ケイシーちゃんはまさにしっかりものの長女のような感じで、スカート摘まんでご挨拶してくれる。カール君は十歳くらいかな、興味津々でビアンカとルージュを見ながらペコリ。
「コーディの長男デリック、長女エリン」
「……………」
「?」
「どうしたの? ご挨拶なさい」
沈黙するデリック君は七歳くらいの新一年生みたい。その沈黙するデリック君を不思議そうに見上げるのは、三歳くらいのエリンちゃん。
パニック寸前だと言われたのは、デリック君だ。私でも様子がおかしいのが見てとれる。表情は硬いし、視線はさ迷っている感じがあるし。ぎゅ、と手も握っているし。
「ほら、ご挨拶なさい」
母親のデボラさんが急かすが、デリック君は口を開かない。
「エリンでしゅ」
先にご挨拶してくれたのは、エリンちゃん。ぺこんっ、かわいかっ。口を開かないデリック君と母親を見ながら、ビアンカとルージュをちらほら。
「ほら、デリック」
母親のデボラさんに言われて、デリック君がやっと口を開く。開くがカタカタしているは、緊張や恐怖か。
「あ、あ、あっちいけぇぇぇ、ば、ばかぁぁぁぁっ」
うん、パニック。
やっと口を開いてくれたかと思ったら、これだ。まあ、予測していたけどね。やっぱり私達を先日のモーガン大使の襲撃に関連していると勘違いしとるんやな。
だけど、一瞬にして部屋の空気の温度が下がる。
「デリックッ」
デボラさんが叫ぶ。
『ユイ、どうするのです?』
『こっちには来ないと思うけど、その時は止めましょうか?』
「やめて、なんの? 息の根?」
「あん子、大丈夫なあ」
『小さすぎて、驚異は欠片もないのですよ』
『流石に手は出さないわよ、潰しちゃいそうだもの』
こそこそ話している間も、モーガン家のやり取りが進む。
真っ青の大人達に、びっくりな子供達。叫んだデリック君は、わなわなと震えている。多分、思わず飛び出した自分の言葉にも、驚いて、理解出来ていない様子。
大人達に一斉に、めっ、されて、デリック君はうわーんっ。
「申し訳ございませんっ」
デボラさんが手を掴んで、デリック君と退室する。
『あの雌、かなり怒っているのですよ』
『それにちょっと様子もおかしいわね』
『母乳の匂いが僅かにするのです』
『ビアンカも分かった? あの雌、乳飲み子抱えているわよ』
大変やなあ。乳飲み子って………………あら、逆算したら、凄く大変な時期にカルーラに避難したんやない? 違う?
壁の向こうで、僅かに響くデボラさんの声。
「あれだけお利口にしなさいと言ったでしょう」
と、微かに聞こえた。
『手が出そうなのです』
『そうね、あの、雌も混乱とひどい焦りね』
それは止めんと。
私は立ち上がる。
「ミズサワ様、デリックが失礼な態度で申し訳ございませんっ」
モーガンさんが父親コーディさんと頭を下げる。
もしかしたら、私が気分を害したかと思われてしまったのかも。
「はい、大丈夫ですよ。あの子の誤解を解こうと思っただけです」
「「誤解?」」
「お座り下さい」
ジャスパーさんが促してくれるので、着席する。ビアンカとルージュは思い思いにお座りの体勢。
晃太と並んで座る。後ろにはホークさんとマデリーンさんが控える。
てきぱきとメイドさん達が動いている。よし、お茶が来る前に、
「モーガンさん、本日はお招きありがとうございます。こちら、細やかですが」
と、ラッピングしたハンカチを差し出す。
執事さんっぽい人が受け取ろうとするが、わざわざモーヴさんがソファーから立ち上がり受け取ってくれる。これは渡す側を受け取り側が、とっても信頼していますよって事ね。以前、ハルスフォン侯爵家でも、フェリアレーナ様が受け取ってくれた。白魚ような手やったなあ。
「母の手作りなんですが」
必殺、手作り作戦。うちうちのお茶会の手土産は、あまり高級品は避けるように、と言われて、元男爵令嬢のフリンダさんに相談してから準備した。
「まあ、ミズサワ様のお母様の? 拝見してもよろしいですか?」
「はい、どうぞ」
嬉しそうなモーヴさんは、ラッピングをあける。
「まあっ、あの素敵なハンカチーフですねっ」
ぱぁっ、と更に嬉しそうなモーヴさん。やっぱり覚えていたね。あの寄付の時に、興味を引いていたようだったからね。
「息子さん夫婦と同居されているとお聞きしたので、息子さんの奥さん達にもどうぞ」
「ありがとうございますミズサワ様」
嬉しそうなモーヴさん。良かった、喜んでもらって。
「ミズサワ様のお母様は、刺繍の腕が一流なんですね。繊細で上品です」
「ありがとうございます。母が聞いたら喜びます」
うん。雰囲気がいい感じ。ハンカチのレースをしげしげと眺めならがモーヴが聞いてくる。
「お母様はどちらかの職人ギルドに?」
「ギルドランクはありますが、フリーなんです。空いた時間に作っている服はマーファの知り合いのお店に、ご厚意で置かせてもらっているんです」
「まあ、そうなんですの。残念ですわ、是非拝見したかったですわ」
うん、話のつかみはいいんやない?
メイドさんがお茶と焼き菓子を差し出す。お菓子はマドレーヌに似たお菓子と、ジャムクッキーにしては大きくて、カップケーキに近いお菓子だ。
『甘い匂いなのです』
『そうね、いい匂いだわ』
と、ビアンカとルージュが私と晃太の肩越しから覗き込む。
「ダメよ、じっとしとかんね」
ふんが、ふんが、言わんで。ほら、メイドさん、真っ青やん。
お茶やお菓子が並んだ頃に、奥さん達、ブレンダさんとデボラさんが戻って来た。
失礼します、入って来る前に、おとなしくしなさい、いい子にしていなさい、と言っていた。
こちらを伺っていたと言う子供達は、四人だ。背丈の関係で階段みたいに横並び。
うん、興味津々、みたいね、約一名以外は。あ、あの子かな、ビアンカとルージュが言ってたパニック寸前の子供。
「ミズサワ様、我が孫達にございます」
ジャスパーさんが紹介してくれる。
「バーナーの長女ケイシー、長男カール」
「ケイシーと申します」
「カールです」
ケイシーちゃんはまさにしっかりものの長女のような感じで、スカート摘まんでご挨拶してくれる。カール君は十歳くらいかな、興味津々でビアンカとルージュを見ながらペコリ。
「コーディの長男デリック、長女エリン」
「……………」
「?」
「どうしたの? ご挨拶なさい」
沈黙するデリック君は七歳くらいの新一年生みたい。その沈黙するデリック君を不思議そうに見上げるのは、三歳くらいのエリンちゃん。
パニック寸前だと言われたのは、デリック君だ。私でも様子がおかしいのが見てとれる。表情は硬いし、視線はさ迷っている感じがあるし。ぎゅ、と手も握っているし。
「ほら、ご挨拶なさい」
母親のデボラさんが急かすが、デリック君は口を開かない。
「エリンでしゅ」
先にご挨拶してくれたのは、エリンちゃん。ぺこんっ、かわいかっ。口を開かないデリック君と母親を見ながら、ビアンカとルージュをちらほら。
「ほら、デリック」
母親のデボラさんに言われて、デリック君がやっと口を開く。開くがカタカタしているは、緊張や恐怖か。
「あ、あ、あっちいけぇぇぇ、ば、ばかぁぁぁぁっ」
うん、パニック。
やっと口を開いてくれたかと思ったら、これだ。まあ、予測していたけどね。やっぱり私達を先日のモーガン大使の襲撃に関連していると勘違いしとるんやな。
だけど、一瞬にして部屋の空気の温度が下がる。
「デリックッ」
デボラさんが叫ぶ。
『ユイ、どうするのです?』
『こっちには来ないと思うけど、その時は止めましょうか?』
「やめて、なんの? 息の根?」
「あん子、大丈夫なあ」
『小さすぎて、驚異は欠片もないのですよ』
『流石に手は出さないわよ、潰しちゃいそうだもの』
こそこそ話している間も、モーガン家のやり取りが進む。
真っ青の大人達に、びっくりな子供達。叫んだデリック君は、わなわなと震えている。多分、思わず飛び出した自分の言葉にも、驚いて、理解出来ていない様子。
大人達に一斉に、めっ、されて、デリック君はうわーんっ。
「申し訳ございませんっ」
デボラさんが手を掴んで、デリック君と退室する。
『あの雌、かなり怒っているのですよ』
『それにちょっと様子もおかしいわね』
『母乳の匂いが僅かにするのです』
『ビアンカも分かった? あの雌、乳飲み子抱えているわよ』
大変やなあ。乳飲み子って………………あら、逆算したら、凄く大変な時期にカルーラに避難したんやない? 違う?
壁の向こうで、僅かに響くデボラさんの声。
「あれだけお利口にしなさいと言ったでしょう」
と、微かに聞こえた。
『手が出そうなのです』
『そうね、あの、雌も混乱とひどい焦りね』
それは止めんと。
私は立ち上がる。
「ミズサワ様、デリックが失礼な態度で申し訳ございませんっ」
モーガンさんが父親コーディさんと頭を下げる。
もしかしたら、私が気分を害したかと思われてしまったのかも。
「はい、大丈夫ですよ。あの子の誤解を解こうと思っただけです」
「「誤解?」」
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