文字の大きさ
大
中
小
738 / 877
連載
カルーラで年明け~春まで⑧
いいね、60万超えました、ありがとうございます。励みになります。いいね、くださった皆さんありがとうございます。
「ミズサワ様、お騒がせしまして申し訳ありません」
「いいえ、デリック君落ち着くといいですね」
「はい。お心遣い感謝いたします」
新しくお菓子を出してくれる。ふんが、言わんで。ふんが、ふんが。お茶も新しく出してくれそうになったが、私は猫舌気味、晃太はしっかり猫舌なのでそのまま頂く。薄くスライスされたレモンが添えられていたので、レモンティーにしてみた。爽やかな香り。温度が飲みやすい。
ふう、あ、話、呪い持ちに関しての話だったけど、それどころじゃなくなった。でも、デリック君心配やしなあ、どうしよう、あ、そうや。
「あのモーガンさん、追加でお渡ししたいものがあるのですが、受け取って頂けないでしょうか?」
会話のきっかけ、ぷらす自己満足。
「え? こちらがご迷惑をおかけしていますのに」
モーガンさん達が戸惑いの顔。
「これはそうですね。私の自己満足ですので」
顔を見合わせる面々。
「ルーベサンシュというものはご存じですか?」
私が投げ掛ける。
「はい、アスラ王国では北部の一部でとれる魔物ですね」
良かった、ご存じみたい。
「実はかなり手に入りまして、お譲りしたいんです」
最近雪かき依頼があるので、ビアンカとアレスが出掛けている率は高いし、ルージュは寒がりだし、ノワールはせっせとレディ・ロストークの元に通っているので、そうそう頻度は高くないが、ちゅどんドカンして手に入って来ている。
「しかし、ルーベサンシュは高級品では」
「これはダンジョンで手に入ったのです。なので、元手はタダですよ。あ、ギルドが非公開を決めましたので、ご内密に」
私は晃太に耳打ち。こそこそとレースのハンカチに、乾燥処理されたルーベサンシュを三枚のせて包む。
「どうぞ。デボラさんに必要な栄養が含まれていますので」
そこでびっくりされる。
「ど、どういう事でしょうか?」
「乳飲み子抱えていますよね。うちのビアンカとルージュは鼻がいいので」
あー、みたいな顔をされた。私は乾燥ナマコ、ルーベサンシュを包んだハンカチをテーブルに乗せて押し出す。
「まだたくさんあるのでどうぞ」
戸惑いのジェフリーさんに、モーヴさんがそっと耳打ちする。やっと決心がついたみたい。
「ありがとうございますミズサワ様、早速、デボラのために調理を致します」
ジェフリーさんはハンカチごと受け取り、メイドさんに渡す。
「赤ちゃん、いま、おいくつなんですか?」
「生後二ヶ月です。やっと首が座りまして」
「へー、って、まさか、カルーラで産まれたんですか?」
「はい、そうですね」
「移動、大変だったんじゃ」
そう。モーガンさん一家がカルーラに大使として移ったのは、秋のはず。デボラさん、かなりお腹が大きかったんやない?
「はい。大変でした。いつどうなってしまうかとヒヤヒヤしながらでの移動で」
ジェフリーさんがカルーラまでの移動を話てくれる。
モーガンさんの長男バーナーさんが階段から突き飛ばされ、次男のコーディさんはナイフを持った破落戸に襲われた。自宅には怪文書が投げ込まれ挙げ句ボヤ騒ぎ。とうとうイヴリン王太子妃殿下が、モーガンさん一家を守るために、大使として理由を着けて国外に避難させた。
理由としては、『呪い持ち』に関する法案や、保護する修道院建設推進派代表みたいなものだったから。法案は国会で可決されたからどうしようもないが、修道院建設を反対する色んな人達からの度が過ぎる嫌がらせ。
「当時デボラは妊娠七ヶ月でした、カルーラまでの長距離移動は悩みましたが、置いていくには不安で不安で、コーディ達だけアスラ王国に残り、コロンが産まれてから、移動と考えなかったわけではないのです。しかし、あのボヤ騒ぎで、アスラ王国内に留まるのが危険だと判断しました」
「そんなひどいボヤ騒ぎ? 放火レベルやないですか?」
私が反射的に口にすると、表情を更に固くするモーガンさん達。
『ユイ、様子がおかしいのですよ』
『少しずつ怒りが沸いているわね』
「正式にはボヤ騒ぎとされましたが、あれはミズサワ様の仰る通りに放火です。ケイシー達が眠っていた子供部屋を狙って」
最悪っ。
モーガンさんは悔しそう。
「幸いにも、我が家は水魔法に長けたメイドと騎士がおり、怪文書の事もあったので警戒を強めていたところでした。ケイシー達は直ぐに避難させて無事でしたが、これをきっかけにコーディ達だけ残しておけないと思ったのです。放火は警備に圧力がかかってボヤ騒ぎとされてしまいましたしね。それで、皆でカルーラに参りました」
圧力って。多分、権力のある人達、コルコス公爵か、その腰巾着の伯爵達かな? 本当に質悪い。確かに物理的に距離を置くのも一つの手だよね。アスラ王国から出て、ユリアレーナに移動すれば、国境を超えての嫌がらせも確実に減る。それでも毒矢なんか使って襲って来たが、それが結局、向こうの運のつきだ。
モーガンさん達はお腹が大きいデボラさんの体調を第一にして慎重に移動。何とか到着はしたが、やはり無理がかかったのかデボラさんは予定日かなりも早く出産。それがコロンちゃん、女の子ね。
あら? デボラさんのご実家はどうしたのかな? 関わるとやっぱり火の粉がかかるからと、デボラさんを保護しなかったのか? モーガンさん達が迷惑かけれないと、断ったのかな? これは後日、デボラさんから聞くことになる。
ここから話はモーヴさんにバトンタッチ。
「デボラは精神面の疲弊をきたし、母乳の出が悪かったのです。このような状況の為に、乳母を雇い入れるのもなかなかうまくいかずもどかしい思いでした。ミズサワ様、ルーベサンシュ、ありがとうございます、これでデボラも安心できます、コロンにもしっかり栄養がいきますわ」
『落ち着いて来たのです』
『大丈夫みたいね』
話をすることで、当時の事を思い出しただけやったかな。しかし、抵抗力のない子供のケイシーちゃん達を狙うとは、許せん。
「それは良かったです」
私は性懲りもなくお菓子を狙うビアンカとルージュの鼻面を押し返す。
そこに扉がノックされる。
『大丈夫なのです、ふごー』
『そうね、ふごー』
やめて、恥ずかしか。
『コーディです。入室の許可を』
ジャスパーさんは私にお伺い。問題ないようやし、了承する。
扉がメイドさんが開けて、入ってきたのはエリンちゃんを腕に抱いたコーディさん、デボラさんと手を繋いだデリック君。あらあら、お鼻がまだ赤いよデリック君。やけど、明らかに落ち着いた様子で、私はホッとした。
「ミズサワ様、お騒がせしまして申し訳ありません」
「いいえ、デリック君落ち着くといいですね」
「はい。お心遣い感謝いたします」
新しくお菓子を出してくれる。ふんが、言わんで。ふんが、ふんが。お茶も新しく出してくれそうになったが、私は猫舌気味、晃太はしっかり猫舌なのでそのまま頂く。薄くスライスされたレモンが添えられていたので、レモンティーにしてみた。爽やかな香り。温度が飲みやすい。
ふう、あ、話、呪い持ちに関しての話だったけど、それどころじゃなくなった。でも、デリック君心配やしなあ、どうしよう、あ、そうや。
「あのモーガンさん、追加でお渡ししたいものがあるのですが、受け取って頂けないでしょうか?」
会話のきっかけ、ぷらす自己満足。
「え? こちらがご迷惑をおかけしていますのに」
モーガンさん達が戸惑いの顔。
「これはそうですね。私の自己満足ですので」
顔を見合わせる面々。
「ルーベサンシュというものはご存じですか?」
私が投げ掛ける。
「はい、アスラ王国では北部の一部でとれる魔物ですね」
良かった、ご存じみたい。
「実はかなり手に入りまして、お譲りしたいんです」
最近雪かき依頼があるので、ビアンカとアレスが出掛けている率は高いし、ルージュは寒がりだし、ノワールはせっせとレディ・ロストークの元に通っているので、そうそう頻度は高くないが、ちゅどんドカンして手に入って来ている。
「しかし、ルーベサンシュは高級品では」
「これはダンジョンで手に入ったのです。なので、元手はタダですよ。あ、ギルドが非公開を決めましたので、ご内密に」
私は晃太に耳打ち。こそこそとレースのハンカチに、乾燥処理されたルーベサンシュを三枚のせて包む。
「どうぞ。デボラさんに必要な栄養が含まれていますので」
そこでびっくりされる。
「ど、どういう事でしょうか?」
「乳飲み子抱えていますよね。うちのビアンカとルージュは鼻がいいので」
あー、みたいな顔をされた。私は乾燥ナマコ、ルーベサンシュを包んだハンカチをテーブルに乗せて押し出す。
「まだたくさんあるのでどうぞ」
戸惑いのジェフリーさんに、モーヴさんがそっと耳打ちする。やっと決心がついたみたい。
「ありがとうございますミズサワ様、早速、デボラのために調理を致します」
ジェフリーさんはハンカチごと受け取り、メイドさんに渡す。
「赤ちゃん、いま、おいくつなんですか?」
「生後二ヶ月です。やっと首が座りまして」
「へー、って、まさか、カルーラで産まれたんですか?」
「はい、そうですね」
「移動、大変だったんじゃ」
そう。モーガンさん一家がカルーラに大使として移ったのは、秋のはず。デボラさん、かなりお腹が大きかったんやない?
「はい。大変でした。いつどうなってしまうかとヒヤヒヤしながらでの移動で」
ジェフリーさんがカルーラまでの移動を話てくれる。
モーガンさんの長男バーナーさんが階段から突き飛ばされ、次男のコーディさんはナイフを持った破落戸に襲われた。自宅には怪文書が投げ込まれ挙げ句ボヤ騒ぎ。とうとうイヴリン王太子妃殿下が、モーガンさん一家を守るために、大使として理由を着けて国外に避難させた。
理由としては、『呪い持ち』に関する法案や、保護する修道院建設推進派代表みたいなものだったから。法案は国会で可決されたからどうしようもないが、修道院建設を反対する色んな人達からの度が過ぎる嫌がらせ。
「当時デボラは妊娠七ヶ月でした、カルーラまでの長距離移動は悩みましたが、置いていくには不安で不安で、コーディ達だけアスラ王国に残り、コロンが産まれてから、移動と考えなかったわけではないのです。しかし、あのボヤ騒ぎで、アスラ王国内に留まるのが危険だと判断しました」
「そんなひどいボヤ騒ぎ? 放火レベルやないですか?」
私が反射的に口にすると、表情を更に固くするモーガンさん達。
『ユイ、様子がおかしいのですよ』
『少しずつ怒りが沸いているわね』
「正式にはボヤ騒ぎとされましたが、あれはミズサワ様の仰る通りに放火です。ケイシー達が眠っていた子供部屋を狙って」
最悪っ。
モーガンさんは悔しそう。
「幸いにも、我が家は水魔法に長けたメイドと騎士がおり、怪文書の事もあったので警戒を強めていたところでした。ケイシー達は直ぐに避難させて無事でしたが、これをきっかけにコーディ達だけ残しておけないと思ったのです。放火は警備に圧力がかかってボヤ騒ぎとされてしまいましたしね。それで、皆でカルーラに参りました」
圧力って。多分、権力のある人達、コルコス公爵か、その腰巾着の伯爵達かな? 本当に質悪い。確かに物理的に距離を置くのも一つの手だよね。アスラ王国から出て、ユリアレーナに移動すれば、国境を超えての嫌がらせも確実に減る。それでも毒矢なんか使って襲って来たが、それが結局、向こうの運のつきだ。
モーガンさん達はお腹が大きいデボラさんの体調を第一にして慎重に移動。何とか到着はしたが、やはり無理がかかったのかデボラさんは予定日かなりも早く出産。それがコロンちゃん、女の子ね。
あら? デボラさんのご実家はどうしたのかな? 関わるとやっぱり火の粉がかかるからと、デボラさんを保護しなかったのか? モーガンさん達が迷惑かけれないと、断ったのかな? これは後日、デボラさんから聞くことになる。
ここから話はモーヴさんにバトンタッチ。
「デボラは精神面の疲弊をきたし、母乳の出が悪かったのです。このような状況の為に、乳母を雇い入れるのもなかなかうまくいかずもどかしい思いでした。ミズサワ様、ルーベサンシュ、ありがとうございます、これでデボラも安心できます、コロンにもしっかり栄養がいきますわ」
『落ち着いて来たのです』
『大丈夫みたいね』
話をすることで、当時の事を思い出しただけやったかな。しかし、抵抗力のない子供のケイシーちゃん達を狙うとは、許せん。
「それは良かったです」
私は性懲りもなくお菓子を狙うビアンカとルージュの鼻面を押し返す。
そこに扉がノックされる。
『大丈夫なのです、ふごー』
『そうね、ふごー』
やめて、恥ずかしか。
『コーディです。入室の許可を』
ジャスパーさんは私にお伺い。問題ないようやし、了承する。
扉がメイドさんが開けて、入ってきたのはエリンちゃんを腕に抱いたコーディさん、デボラさんと手を繋いだデリック君。あらあら、お鼻がまだ赤いよデリック君。やけど、明らかに落ち着いた様子で、私はホッとした。
感想 854
あなたにおすすめの小説
『嘘の病気で同情を買うな』と私を死に追いやった婚約者、私の墓標の前で額を叩きつけ、血の涙を流して号泣する大破滅!
熾星婚姻届を出す前日、久世景人はようやく、十年遅れの婚約指輪を私の指にはめた。
銀色の輪が薬指に滑り込んだ瞬間、私は照明の下で光るダイヤをぼんやり見つめた。長く続いた待ち時間が、やっと終わったような気がした。けれど次の瞬間、彼は私の手を見下ろし、まるで似合わない品物を評するように静かな声で言った。
「正直、澪の手ってあまりきれいじゃないよな」
私は言葉を失った。
景人はそのまま私の指先を取ると、さっきはめたばかりの指輪を抜き取った。十年待ち続けた指輪は、彼の手のひらの上で冷たく光っていた。
「この指輪、瑠奈の手にあったほうが似合うと思う」
私は手を引き戻し、信じられない思いで彼を見た。
「どういう意味? 瑠奈と結婚するつもりなの?」
景人は目を伏せ、指輪の縁を指先でなぞった。まるで、たいしたことではない問いを少し考えているだけのようだった。
「そこまでじゃない。ただ、会えない時間が長くなると、どうしても瑠奈のことを考えるんだ」
その瞬間、私は自分がどうやってあのタワーマンションを出たのかさえ覚えていない。
捨てられた赤ちゃんを拾ったら、創世神様でした。世界を救うより、お父さんを幸せにしたいそうです
由香山で捨てられていた赤ちゃんを拾い、家族として育てることを決めた青年。
その日から、枯れた大地は実り、病は癒え、伝説のもふもふ神獣たちが次々と家へ集まってくる。
実はその赤ちゃんの正体は、この世界を創った創世神だった。
「いっぱい育ててくれてありがとう。今度は私がお父さんを幸せにする番だよ。」
これは、神様が初めて手に入れた”家族”との、優しくて温かな奇跡の物語。
「お姉様の刺繍は素人ね」と笑った義妹の婚礼衣装——裏地を見た女官十二人が、一斉に針を置いた
歩人(あゆと)「お姉様の刺繍は、素人の手習いに見えますわね」――王太子妃となる異母妹アデリーナは、王宮女官たちの前で姉ローゼを笑った。翌週の婚礼の朝。式典装の最終確認のため、十二人の女官が衣装の裏地を検めた瞬間――一人、また一人と、針を置いた。裏地に縫い込まれていたのは、女官たちが十二年間ずっと探していた一筆の銀糸。即位式の絹外套、二人の王女の婚礼ドレス、亡き王太后の弔意の喪服。王家儀礼衣装のすべての裏地に、同じ手で、同じ糸で、同じ銀の花が縫い込まれていた。「アデリーナ様、これは――あなた様の手では、ございません」縫い手は、ずっと一人だった。それを十二年間、誰の名でも呼べなかっただけのこと。
一度捨てた番を、都合よく取り戻せると思わないでください
紡里貴族の子息と平民の娘が「運命の番」だった。
しかし、先に感知した娘は「みすぼらしい平民はいらない」と拒絶され、権力と金によって強制的に番拒否の手術を受けさせられる。
一年後。成長した子息は娘を番だと認識し、今度は「解除しろ」と迫ってきた。
それを拒んだ娘を、彼は「番の義務違反だ」と裁判に訴える。
「拒否なさったのは、そちらです」震えながらも、少女は法廷で自らの意思を語る。
運命か、尊厳か――下された判決は?
捨てられた三歳の聖女ですが、辺境伯家に拾われたら家族全員が過保護でした
由香神殿で無能と決めつけられ、三歳で捨てられた少女リリア。
辺境伯家に保護された彼女は、厳つい辺境伯やお兄様たち、領民にまで溺愛されながら幸せな日々を送ることに。
けれど実はリリアは、数百年に一人現れる伝説級の聖女だった。
これは捨てられた幼女聖女が、たくさんの愛に包まれながら成長していく物語。
妹の入院費のため深夜の時給制ダンジョン清掃バイトを始めたら、掃除した階層が「単独完全攻略」扱いされ、正体不明の人類最強を巡り世界中が動き出す
さくらろ「悪いが、数字にならない人間を雇う余裕はないんだ」
大手クラン・ゼノギアを解雇された雑用係の灰崎湊、23歳。
持っているのは、汚れを消すだけのハズレスキル【クリーンアップ】。入院中の妹の治療費を稼ぐため、湊は深夜のダンジョン清掃バイトを始める。
——だがその夜、湊が「散らかってるなあ」と掃除した階層は、人類未踏破の第47層だった。
魔物の群れも、災害級の呪いも、残留魔素も。湊にとってはぜんぶ、ただの「汚れ」。
翌朝、ダンジョン協会は観測史上初の【単独完全攻略】を検知。正体不明の攻略者《ファントム》の存在に、世界中の探索者が、国家が、人類最強が動き出す。
「時給、ちょっと上がらないかな。妹に、いちご買ってやりたいんだよな」
本人だけが、何も知らない。
一方その頃、湊を切り捨てた古巣のクランでは、原因不明の事故が相次いでいて——。
これは、世界で一番静かな最強が、世界を綺麗にしていく物語。
断罪相手は人違い?最強婚約者乱入で現場が破綻しました。
衛星 奏志
「あの人よ!あの人が突き落としたの!殺される」
会ったこともない男爵令嬢が、私を指差した。
まさかこのまま断罪されて婚約破棄されるの!?
そんなの嫌!
男爵令嬢は、狙う相手を間違えた。
けれど、それが運の尽き。
なぜなら私の婚約者は──この国最強と名高い、辺境伯の跡取りなのだから。
「誰だ。我が可愛い婚約者を貶めようとする輩は」
強面で、寡黙で、王すら一目置く北の守護神。
だけど私の前でだけ、とろけるように笑う人です。
人違いから始まった断罪劇。一撃で、終わらせます。
短編・完結。溺愛×ざまぁの婚約破棄コメディ。
『虐げられ幼女は回帰して、コワモテ公爵パパと幸せなスローライフを送ります!〜もふもふと美味しいご飯で心を癒す異世界ファンタジー〜』
白狸孤児院で育った10歳の少女リアナは、悪逆非道な令嬢イザベラに引き取られ、その特別な『創造と癒やしの魔法』を限界まで搾取される地獄のような毎日を送っていた。
ついに用済みとして危険な魔境へ捨てられ、命を落としかけたその瞬間――前世(日本)の記憶を取り戻し、なんと10歳の自分へと時間が巻き戻る【回帰(タイムリープ)】を果たしてしまう!
「また、あの恐ろしい日々が始まるの……?」と絶望で震えるリアナ。
しかし、運命の日に彼女の前に現れたのはイザベラではなく、「血塗れの熊」と恐れられる帝国最強の騎士・レオンハルト公爵だった。
「今度は兵器としてこき使われるんだわ!」と勘違いして怯えるリアナだったが、コワモテな公爵の正体は、ただの不器用で優しすぎる過保護な人だった!
ふかふかのベッド、初めての温かくて美味しいスープ、そして公爵の真っ直ぐな愛情に触れ、リアナの凍りついていた心は少しずつ溶け出していく。
前世の知識と『創造魔法』を活かして枯れた大地をふかふかの農地に変えたり、伝説のもふもふ魔獣(フェンリル)のルルをテイムしたり、傷ついた天才少年冒険者のシリウスを助けて専属騎士にしたりと、リアナの周りには次第に温かい笑顔の輪が広がっていく。
やがて、リアナが魔法で咲かせた「青い星のバラ」をきっかけに、彼女が公爵の生き別れた妹の娘(本当の姪っ子)であるという最大の秘密が明らかになる!
時を同じくして、一度目の人生の記憶を持ったまま逆行してきた悪女イザベラが、偽造契約書を片手に再びリアナを奪いにやってくる。
しかし……今のリアナはもう、一人ぼっちで泣いていたあの頃の少女ではない。
最強の公爵パパ、頼れる銀狼の騎士、もふもふの相棒という「最高の家族」がリアナの盾となり、悪女の野望を完全粉砕!
これは、誰からも愛されなかった少女が、温かな居場所を見つけ、美味しいご飯と魔法でみんなを笑顔にしながら最高の「スローライフ」を手に入れる、感動のヒーリング・ファンタジー!