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三度目の首都㉙
無事に出荷となりました。
それに伴い書籍化された部分は取り下げとなりました。
書店さんに届くには数日要するようです。
いいねが130万超えました、ありがとうございます。励みになります、いいねくださった皆さんありがとうございます。
ふわぁっ、と女の子の頭上に光り輝く、薄いベールが幾重にも広がる。とても綺麗で、私は言葉が出ない。女の子も輝くベールに意識が奪われたように見上げている。
指示を出していた教会の人と、鎖をどうにかしようとしてくれたトビアスさんが言葉を失っている。
光り輝くベールは、ふわぁっと女の子を包む。
次の瞬間、私は思わず引きそうになる。
女の子の身体から、細かい真っ黒な粉が噴き出してきた。まるで蚋みたいで、見た目がかなり悪かっ、完全にホラーやっ。近くにいた父も、何か詰まったような声が出そうになり、必死に抑えている。
「え、え……」
女の子も自分から噴き出すそれに、一気に恐怖の色に。いかんっ、私でも引く現象に、精神的に参っている女の子には、かなり、いやとんでもなくヘビーなやつやっ。
これはおそらく呪いとかを解除する過程で出るもんやろうけど。
「だ、大丈夫っ、ルージュが呪いを解いてくれているだけやからねっ」
父が安心させるように声を掛けるが、女の子の顔には恐怖がいっぱい。さまよう視線が私を捉える。
視線が物語る、怖い、と。
「大丈夫よっ、おいでっ」
咄嗟に私は両手を広げると、女の子はこちらに向かって体を動かす。動かすが鎖が邪魔をしているから、私は女の子の体を抱き寄せる。
布越しでもわかる。ガリガリに痩せた体。お風呂にも入れてもらえなかったのだろう、体臭が鼻を突く。
まだ、成長期真っ盛りの女の子なのに。
怒りと同時に、悲しくなるが、私にしがみつこうとする女の子の体から、絶え間なく真っ黒な蚋が噴き出す。
私は光り輝くベールを邪魔していないが、心配したが、魔法を操るルージュが目で問題ないと伝えてくれる。
「大丈夫よ、ルージュが、神様が、あなたを助けてくれるけんね」
この騒ぎが治まった後があるが、今は、女の子を縛る呪いと拷問用の魔道具をどうにかせんと。女の子を抱き寄せて分かったが、枷と鎖から小さな音が響く。呪いの解除と同時に、魔道具の解除もやりこなしている。やっぱりルージュは凄かっ。
必死に私の服の裾を握る女の子に、大丈夫と繰り返す私。
どれくらいしたか、時間にしたら、おそらく一分かかっているかどうか。
女の子から噴き出す真っ黒な蚋がピタリと止むと同時に、枷と鎖が砕け散る。
『私にかかればこんなものよ。ユイ、お父さん、終わったわ』
ルージュが今までで一番のドヤ顔を出す。
「ありがとうルージュ。ほらね、大丈夫やろ」
私は腕の中で震える女の子に、優しく声を掛ける。枷が嵌められていた手首の皮膚は、青紫に変色し、一部いびつな跡になっている。
女の子はぷるぷると外れた枷を見て、戸惑いながら私を見上げてくる。顔色悪いが、かわいか顔してるやん。
「なんて素晴らしいんだっ、これだけの解呪の魔法を、この短時間でっ」
駆けつけれてくれた教会の人の言葉に、私は鼻が伸びる。ふふん、うちのルージュはすごかのよ。すると、視界の端で私と同じ顔の父。
「さ、手の傷は治そうね」
次はずっと枷を、ダメージを受け過ぎた手首の治療や。なんせ私にはこれがある。
てってれってー。
効果音をつぶやきながら、アイテムボックスから取り出したるは、下級エリクサー。
びくうっ、となる女の子。
「あ、これはね、とってもよく効くポーションでね」
「ミズサワ殿、お待ち下さい」
なんと止めてきたのはオスヴァルドさん。
なんで? 思いっきり顔に出てしまった。
「傷の記録をしなければ、虐待の証拠となりません。必ず手当てをします」
すう、とオスヴァルドさんが息をつく。
「連中を徹底的に叩くために」
オスヴァルドさんは私の腕の中で呆然としている女の子に声を掛ける。
「私は君を助けたい、どうか、協力してくれないだろうか?」
声を掛けられた女の子は、どうしていいか分からない顔だ。
『主ヨ、コノ臭イ雌ハドウスル?』
あ、忘れとった。
イシスの風圧で……あら、なんか、ちょっとおかしか? あら? 頭、あら? 石畳にへばりついている、あのゴテゴテローブ、ピエロ感が増した聖女よね? そして元気が何やら咥えている。金色の、あれ、まさか。
か、か、鬘やっ。
金色の鬘やっ。ピエロ感が増した聖女の地毛って、茶色やっ。しかも、斑に地肌が見える。脱毛症なんやっ。残っていたギャラリーの人達が気がついて、こそこそと話している。元気が鬘を咥えて、たったと振り回しながら走っているから余計に。
確かにこの子に酷いことをしたかもしれないが、同じ女としては、人の目に晒したくない事やない? 息も絶え絶えの様子で顔を上げると、ものすごく悔しさが溢れているが、恥ずかしさがしっかり混じっている。
これは、ちょっといかんやろ。
「お父さん、こん子お願いっ、ちょっと待ってね。大丈夫よ。ここにいるビアンカもルージュもアレスも、ドラゴンが来たって鼻息でちょんって倒せるけんね」
私は父に、キョトンとする女の子を託す。
馬車から飛び降りて、アイテムボックスから魔境のウルフ達の為に、常備しているおやつで元気を捕まえる。おやつを見ると、元気は、鬘をぺっ、としてから飛びかかってくる。慣れたもので、躱しておやつを上げる。私は鬘を拾い上げる。あ、元気のよだれが。そっと拭いて、顔を真っ赤にして、立ち上がれないピエロ感が増した聖女の元に。すぐ近くに、ホークさんとチュアンさんが付いてきてくれる。
「ユイさん危険ですっ、アレに近付くのはっ」
「それはわかるんですけど、さすがにこれは返さんと。もう動けんと思いますし、向こうが何かする前に、イシスが抑えるでしょうし、私には白夜がいますから」
イシスは当然だと言わんばかりの顔だ。私は鬘を手に精も根も尽き果てた様に蹲るピエロ感が増した聖女の元に駆け寄った。
それに伴い書籍化された部分は取り下げとなりました。
書店さんに届くには数日要するようです。
いいねが130万超えました、ありがとうございます。励みになります、いいねくださった皆さんありがとうございます。
ふわぁっ、と女の子の頭上に光り輝く、薄いベールが幾重にも広がる。とても綺麗で、私は言葉が出ない。女の子も輝くベールに意識が奪われたように見上げている。
指示を出していた教会の人と、鎖をどうにかしようとしてくれたトビアスさんが言葉を失っている。
光り輝くベールは、ふわぁっと女の子を包む。
次の瞬間、私は思わず引きそうになる。
女の子の身体から、細かい真っ黒な粉が噴き出してきた。まるで蚋みたいで、見た目がかなり悪かっ、完全にホラーやっ。近くにいた父も、何か詰まったような声が出そうになり、必死に抑えている。
「え、え……」
女の子も自分から噴き出すそれに、一気に恐怖の色に。いかんっ、私でも引く現象に、精神的に参っている女の子には、かなり、いやとんでもなくヘビーなやつやっ。
これはおそらく呪いとかを解除する過程で出るもんやろうけど。
「だ、大丈夫っ、ルージュが呪いを解いてくれているだけやからねっ」
父が安心させるように声を掛けるが、女の子の顔には恐怖がいっぱい。さまよう視線が私を捉える。
視線が物語る、怖い、と。
「大丈夫よっ、おいでっ」
咄嗟に私は両手を広げると、女の子はこちらに向かって体を動かす。動かすが鎖が邪魔をしているから、私は女の子の体を抱き寄せる。
布越しでもわかる。ガリガリに痩せた体。お風呂にも入れてもらえなかったのだろう、体臭が鼻を突く。
まだ、成長期真っ盛りの女の子なのに。
怒りと同時に、悲しくなるが、私にしがみつこうとする女の子の体から、絶え間なく真っ黒な蚋が噴き出す。
私は光り輝くベールを邪魔していないが、心配したが、魔法を操るルージュが目で問題ないと伝えてくれる。
「大丈夫よ、ルージュが、神様が、あなたを助けてくれるけんね」
この騒ぎが治まった後があるが、今は、女の子を縛る呪いと拷問用の魔道具をどうにかせんと。女の子を抱き寄せて分かったが、枷と鎖から小さな音が響く。呪いの解除と同時に、魔道具の解除もやりこなしている。やっぱりルージュは凄かっ。
必死に私の服の裾を握る女の子に、大丈夫と繰り返す私。
どれくらいしたか、時間にしたら、おそらく一分かかっているかどうか。
女の子から噴き出す真っ黒な蚋がピタリと止むと同時に、枷と鎖が砕け散る。
『私にかかればこんなものよ。ユイ、お父さん、終わったわ』
ルージュが今までで一番のドヤ顔を出す。
「ありがとうルージュ。ほらね、大丈夫やろ」
私は腕の中で震える女の子に、優しく声を掛ける。枷が嵌められていた手首の皮膚は、青紫に変色し、一部いびつな跡になっている。
女の子はぷるぷると外れた枷を見て、戸惑いながら私を見上げてくる。顔色悪いが、かわいか顔してるやん。
「なんて素晴らしいんだっ、これだけの解呪の魔法を、この短時間でっ」
駆けつけれてくれた教会の人の言葉に、私は鼻が伸びる。ふふん、うちのルージュはすごかのよ。すると、視界の端で私と同じ顔の父。
「さ、手の傷は治そうね」
次はずっと枷を、ダメージを受け過ぎた手首の治療や。なんせ私にはこれがある。
てってれってー。
効果音をつぶやきながら、アイテムボックスから取り出したるは、下級エリクサー。
びくうっ、となる女の子。
「あ、これはね、とってもよく効くポーションでね」
「ミズサワ殿、お待ち下さい」
なんと止めてきたのはオスヴァルドさん。
なんで? 思いっきり顔に出てしまった。
「傷の記録をしなければ、虐待の証拠となりません。必ず手当てをします」
すう、とオスヴァルドさんが息をつく。
「連中を徹底的に叩くために」
オスヴァルドさんは私の腕の中で呆然としている女の子に声を掛ける。
「私は君を助けたい、どうか、協力してくれないだろうか?」
声を掛けられた女の子は、どうしていいか分からない顔だ。
『主ヨ、コノ臭イ雌ハドウスル?』
あ、忘れとった。
イシスの風圧で……あら、なんか、ちょっとおかしか? あら? 頭、あら? 石畳にへばりついている、あのゴテゴテローブ、ピエロ感が増した聖女よね? そして元気が何やら咥えている。金色の、あれ、まさか。
か、か、鬘やっ。
金色の鬘やっ。ピエロ感が増した聖女の地毛って、茶色やっ。しかも、斑に地肌が見える。脱毛症なんやっ。残っていたギャラリーの人達が気がついて、こそこそと話している。元気が鬘を咥えて、たったと振り回しながら走っているから余計に。
確かにこの子に酷いことをしたかもしれないが、同じ女としては、人の目に晒したくない事やない? 息も絶え絶えの様子で顔を上げると、ものすごく悔しさが溢れているが、恥ずかしさがしっかり混じっている。
これは、ちょっといかんやろ。
「お父さん、こん子お願いっ、ちょっと待ってね。大丈夫よ。ここにいるビアンカもルージュもアレスも、ドラゴンが来たって鼻息でちょんって倒せるけんね」
私は父に、キョトンとする女の子を託す。
馬車から飛び降りて、アイテムボックスから魔境のウルフ達の為に、常備しているおやつで元気を捕まえる。おやつを見ると、元気は、鬘をぺっ、としてから飛びかかってくる。慣れたもので、躱しておやつを上げる。私は鬘を拾い上げる。あ、元気のよだれが。そっと拭いて、顔を真っ赤にして、立ち上がれないピエロ感が増した聖女の元に。すぐ近くに、ホークさんとチュアンさんが付いてきてくれる。
「ユイさん危険ですっ、アレに近付くのはっ」
「それはわかるんですけど、さすがにこれは返さんと。もう動けんと思いますし、向こうが何かする前に、イシスが抑えるでしょうし、私には白夜がいますから」
イシスは当然だと言わんばかりの顔だ。私は鬘を手に精も根も尽き果てた様に蹲るピエロ感が増した聖女の元に駆け寄った。
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