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騒ぎの後⑨
ホークさんが付き添ってくれて、しばらく海面をみていると、あたり一面、隆起した様に大きく波打つ。グラリ、と揺れるが、私でも十分に踏ん張れる。
『心配ないのですよ』
『終わったようよ、ほら、上がってきたわ』
ビアンカとルージュの言うように、白い影が見えた。
ざぱぁ、と顔を出すアレス。そして同時に浮かぶ銀色の長い影。いやや、あれやん。しかし、サイズがとんでもなく長そう。なんか、キラキラした長いのも、浮かんでいる。
『手こずったのだー』
どこまでも呑気な。
「あ、あれはーっ」
隣で大興奮の船長さん。今度は何?
「テイマー様っ」
ぎゅるんっ、と見てくる船長さん。
「珍しいんですか?」
「あれはおそらくドラゴンテイマーですっ」
「は? ド、ドラゴン?」
エキサイティングしている船長さんの説明が始まる。
「実際に近くで確認は必要ですが、おそらくそうですっ。あの流れる流星の様に美しい鰭っ。深海の女王と呼ばれるドラゴンテイマーッ。亜竜種に属し、地上でいうレッサードラゴンに匹敵しますっ」
レッサードラゴンなのに、ドラゴンテイマーなんて名前なの? これには逸話があるそうだ。本家の海龍を絞め殺したとかなんとか、とっても物騒な逸話。
「食べられます?」
私の肝心な事はこれ。
「食べたれたという話はございませんっ。味は不明ですっ。大昔にシーラの海岸に死体が打ち上げられていたのは確認されていますが、その時点で腐敗していたそうですっ」
へー。晃太がとりあえず回収。ルージュが闇の触手を伸ばして引き上げている。うん、とても綺麗な鱗だが、くたぁっ、となった口からのぞく牙の鋭かこと。体長も何十メートルもありそう。頭あたりから伸びた鰭は、鮮やかな赤だ。しかし、あのフォルムは、あっ、あれじゃない? 竜宮の使い。
「ただ、このドラゴンテイマーは、亜竜種に属しているために、劣化エリクサーの材料になりますっ。特に消化器官に特化したものになるそうですっ」
なるほどね。なら、このドラゴンテイマーで救われる人がいるってわけね。船長さんの興奮は、これね。
「では、エリクサーの材料になる部位すべてはギルドに卸します」
「ありがとうございますっ、テイマー様ーっ」
船長さんが、私の前でお祈りの姿勢できゅるん。いや、あの、ごつい方のきゅるんはちょっと…
『ねえね、あれ、美味しいのー?』
『ルリも気になるー』
『クリスもー』
本物のきゅるんが来た。
「お父さんに見てもらおうね」
『『『はーい』』』
アルスは氷の階段を作り上がってきたし、こうして、大騒ぎの大漁祭が終了した。
漁港に帰り着き、すべての魚をアイテムボックスに入れている晃太が、ミゲル君、テオ君、ルージュが付いて、船長さんに誘導されていく。
帰りの船上で、取り分は決めてある。ただ、ドラゴンテイマーだけは、食べられるかでどうなるか決まる。
私はホークさんとビアンカ、オスヴァルドさんで手揉みギルド職員さんに案内される。今回ドラゴンテイマーがあるので、色々と話があるって。
「お疲れの所申し訳ございません」
手揉み職員さんは、私達を見て申し訳なさそうな顔。海水でびしょ濡れになり、魔法で水分飛ばしても、よれよれなのは変わらない。早く帰ってお風呂に入って髪を洗いたいが、そうもいかない。
「アスィミイールの解体は済んでおります。他のブラックツナ、アスィミクレイ鱒などもすべて済んでおります。こちら、お預かりしていますマジックバッグにすべて。こちらはリストでございます」
「ありがとうございます」
結構な量だけど、この短い時間でありがたい。特にブラックツナは、柵の状態にしてくれてある。母のリクエストで、クレイ鱒やアップルシーブルーブ、鯵等は三枚おろしに。今回新しいアップルサクルフィッシュや、あんこうはできるだけ三枚おろしにしてもらうようにしたが、あんこうはやはり吊るし切りにするので、食べやすいようにしてもらえばいいと言うことになった。
で、今回のメインのドラゴンテイマーだけど。
さっきまでアスィミイールを解体していた職人さん達がそのまま作業に入るって。大丈夫なの? 長時間労働やない?
「前回のクラーケン、ブラックサーペントを超す大物でございます。解体を生業としているものとしては、ここで離れれば、二度と巡り合えない希少な機会です。逃すのは一生の不覚となりましょう」
そ、そうなんだ。
解体職人さん達、やる気満々らしいので、下手に止めないほうがいいって。
「それから申し訳ございません。なにせドラゴンテイマーは、我がギルド初解体でございます。解体と、査定には薬師ギルドの協力の下で行います。内臓のサイズは、解体してみないと分からないため、どうかお時間を頂きたいのですが」
解体自体もそうだけど、やはり査定に時間がかかるって。
「構いません。しばらくは首都にいますので」
「ありがとうございます。あ、解体代は、今回は必要ございません。ドラゴンテイマーの内臓を卸していただけで十分でございますので」
丁寧に説明してくれるが、いいのかなあ。たぶん、ドラゴンテイマーがそれだけの事をしてくれているんやね。
細々な書類にサインする。
数体のブラックツナは、ギルドに卸す。何匹も巻き上がったし、前回のもあるしね。何匹くらい回してもいい、とバトルジャンキー達からも許可があったしね。お世話になった赤騎士団と、例の騒ぎで今でも駆け回っている青騎士団にも、500キロクラスのブラックツナを進呈した。
よし、サインはいいかな。
「ドラゴンテイマーの解体と査定が終わりしましたら、ご連絡致します」
「よろしくお願いします」
晃太達と合流し、手揉み職員さんと、船長さんに見送られる。
「テイマー様、次回は何日後に?」
ニコニコと船長さん。
「あー、もう船は、いいかなー」
「そんなーっ」
船長さんが悲鳴を上げる。
「ウルフやジャガーの坊やはきっとたくさん食べますよねっ。今回行けなかった海域もっ」
「あー、ちょっと、お休みしたいのでー」
ブラック臭プンプンだし。
「で、ではっ、お休みの後にっ是非っ」
「あー」
私は生返事に、半笑い、だってクタクタなんやもん。
「今日はお世話になりました。私達失礼しますね」
私達はノワールの馬車に乗り込む。
「テイマー様っ、いつでもお待ちしていますーっ」
船長さんの声を聞きながら、馬車の中に設置したソファに深く座る。ノワールがホークさんの手綱捌きで進み出し、心地よい揺れに、私は隣に座った晃太のあくびを聞きながら、意識を飛ばした。
『心配ないのですよ』
『終わったようよ、ほら、上がってきたわ』
ビアンカとルージュの言うように、白い影が見えた。
ざぱぁ、と顔を出すアレス。そして同時に浮かぶ銀色の長い影。いやや、あれやん。しかし、サイズがとんでもなく長そう。なんか、キラキラした長いのも、浮かんでいる。
『手こずったのだー』
どこまでも呑気な。
「あ、あれはーっ」
隣で大興奮の船長さん。今度は何?
「テイマー様っ」
ぎゅるんっ、と見てくる船長さん。
「珍しいんですか?」
「あれはおそらくドラゴンテイマーですっ」
「は? ド、ドラゴン?」
エキサイティングしている船長さんの説明が始まる。
「実際に近くで確認は必要ですが、おそらくそうですっ。あの流れる流星の様に美しい鰭っ。深海の女王と呼ばれるドラゴンテイマーッ。亜竜種に属し、地上でいうレッサードラゴンに匹敵しますっ」
レッサードラゴンなのに、ドラゴンテイマーなんて名前なの? これには逸話があるそうだ。本家の海龍を絞め殺したとかなんとか、とっても物騒な逸話。
「食べられます?」
私の肝心な事はこれ。
「食べたれたという話はございませんっ。味は不明ですっ。大昔にシーラの海岸に死体が打ち上げられていたのは確認されていますが、その時点で腐敗していたそうですっ」
へー。晃太がとりあえず回収。ルージュが闇の触手を伸ばして引き上げている。うん、とても綺麗な鱗だが、くたぁっ、となった口からのぞく牙の鋭かこと。体長も何十メートルもありそう。頭あたりから伸びた鰭は、鮮やかな赤だ。しかし、あのフォルムは、あっ、あれじゃない? 竜宮の使い。
「ただ、このドラゴンテイマーは、亜竜種に属しているために、劣化エリクサーの材料になりますっ。特に消化器官に特化したものになるそうですっ」
なるほどね。なら、このドラゴンテイマーで救われる人がいるってわけね。船長さんの興奮は、これね。
「では、エリクサーの材料になる部位すべてはギルドに卸します」
「ありがとうございますっ、テイマー様ーっ」
船長さんが、私の前でお祈りの姿勢できゅるん。いや、あの、ごつい方のきゅるんはちょっと…
『ねえね、あれ、美味しいのー?』
『ルリも気になるー』
『クリスもー』
本物のきゅるんが来た。
「お父さんに見てもらおうね」
『『『はーい』』』
アルスは氷の階段を作り上がってきたし、こうして、大騒ぎの大漁祭が終了した。
漁港に帰り着き、すべての魚をアイテムボックスに入れている晃太が、ミゲル君、テオ君、ルージュが付いて、船長さんに誘導されていく。
帰りの船上で、取り分は決めてある。ただ、ドラゴンテイマーだけは、食べられるかでどうなるか決まる。
私はホークさんとビアンカ、オスヴァルドさんで手揉みギルド職員さんに案内される。今回ドラゴンテイマーがあるので、色々と話があるって。
「お疲れの所申し訳ございません」
手揉み職員さんは、私達を見て申し訳なさそうな顔。海水でびしょ濡れになり、魔法で水分飛ばしても、よれよれなのは変わらない。早く帰ってお風呂に入って髪を洗いたいが、そうもいかない。
「アスィミイールの解体は済んでおります。他のブラックツナ、アスィミクレイ鱒などもすべて済んでおります。こちら、お預かりしていますマジックバッグにすべて。こちらはリストでございます」
「ありがとうございます」
結構な量だけど、この短い時間でありがたい。特にブラックツナは、柵の状態にしてくれてある。母のリクエストで、クレイ鱒やアップルシーブルーブ、鯵等は三枚おろしに。今回新しいアップルサクルフィッシュや、あんこうはできるだけ三枚おろしにしてもらうようにしたが、あんこうはやはり吊るし切りにするので、食べやすいようにしてもらえばいいと言うことになった。
で、今回のメインのドラゴンテイマーだけど。
さっきまでアスィミイールを解体していた職人さん達がそのまま作業に入るって。大丈夫なの? 長時間労働やない?
「前回のクラーケン、ブラックサーペントを超す大物でございます。解体を生業としているものとしては、ここで離れれば、二度と巡り合えない希少な機会です。逃すのは一生の不覚となりましょう」
そ、そうなんだ。
解体職人さん達、やる気満々らしいので、下手に止めないほうがいいって。
「それから申し訳ございません。なにせドラゴンテイマーは、我がギルド初解体でございます。解体と、査定には薬師ギルドの協力の下で行います。内臓のサイズは、解体してみないと分からないため、どうかお時間を頂きたいのですが」
解体自体もそうだけど、やはり査定に時間がかかるって。
「構いません。しばらくは首都にいますので」
「ありがとうございます。あ、解体代は、今回は必要ございません。ドラゴンテイマーの内臓を卸していただけで十分でございますので」
丁寧に説明してくれるが、いいのかなあ。たぶん、ドラゴンテイマーがそれだけの事をしてくれているんやね。
細々な書類にサインする。
数体のブラックツナは、ギルドに卸す。何匹も巻き上がったし、前回のもあるしね。何匹くらい回してもいい、とバトルジャンキー達からも許可があったしね。お世話になった赤騎士団と、例の騒ぎで今でも駆け回っている青騎士団にも、500キロクラスのブラックツナを進呈した。
よし、サインはいいかな。
「ドラゴンテイマーの解体と査定が終わりしましたら、ご連絡致します」
「よろしくお願いします」
晃太達と合流し、手揉み職員さんと、船長さんに見送られる。
「テイマー様、次回は何日後に?」
ニコニコと船長さん。
「あー、もう船は、いいかなー」
「そんなーっ」
船長さんが悲鳴を上げる。
「ウルフやジャガーの坊やはきっとたくさん食べますよねっ。今回行けなかった海域もっ」
「あー、ちょっと、お休みしたいのでー」
ブラック臭プンプンだし。
「で、ではっ、お休みの後にっ是非っ」
「あー」
私は生返事に、半笑い、だってクタクタなんやもん。
「今日はお世話になりました。私達失礼しますね」
私達はノワールの馬車に乗り込む。
「テイマー様っ、いつでもお待ちしていますーっ」
船長さんの声を聞きながら、馬車の中に設置したソファに深く座る。ノワールがホークさんの手綱捌きで進み出し、心地よい揺れに、私は隣に座った晃太のあくびを聞きながら、意識を飛ばした。
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