ミルクティーな君へ。ひねくれ薄幸少女が幸せになるためには？

嘘つき②

「お嬢様、ドレスはどちらになさいますか？」

　ナタリアが二着のナタリアチェックが済んだドレスを差し出す。青いのと黄色のドレス。もうどっちでもいいけど。ウィンティアはかわいいからね。

「じゃあ、青いのにするかな」

「はい、お嬢様っ」

　ナタリアがせっせとお世話してくれる。心地いい。髪はセットしてくれる。テヘロン大使館でも侍女さんの甘やかしでつやつやの髪。
　うん、ウィンティア、かわいいよ。
　何度も声をかけるが、全く反応なし。仕方ない、ここはウィンティアにしたら魔窟だもんね。
　とうとうレオナルド・キーファーが、後少しでやって来る。うーん、上手く行くかなあ。
　ウーヴァ公爵家の皆様の話では、レオンハルト殿下の影武者になることで捨て鉢にならないかってことね。
　渇を入れるって事だけど。上手く行くかな？
　そういえば、レオナルド・キーファーについて、私は全く知らない。
　ゲームとは違うし、赤い本でもあまり触れられていない。ただ、セシリア・ウーヴァ女公爵の実の兄シーザーの子供。シーザー・ウーヴァ、つまりシーザー・キーファーになったのは、トラブルだとちょっとしか触れていない。ゲームではまだ学生で、しかも名字はウーヴァだった。そこがゲームなんだろうなあ。
　今後を考えてあまり親しくならないようにしていたけど、諸々諸事情で親しくなる機会もなかったし。

　どうしたものか。

　ウーヴァ公爵家の話では悪い人でないようだけど、いろいろ間の悪い人だ。キャサリンとだって波風たてないようにした結果なんだろうけどね。
　あの大遅刻した後、それからテヘロン大使館で保護されていた時もせっせと手紙を送ってきたし。

　どうしたものか？

　うーん、上手く説得出来なくて、ウーヴァ公爵がナタリアの後見から外れるのだけは避けないと。
　それにアンジェリカ様にも、よろしくね、なんて言われたし。レオナルド・キーファーを実の弟だと思っているアンジェリカ様。だから、無事に帰って来て欲しいんだろうね。

　よしっ。ナタリアとアンジェリカ様の為に頑張ろうっ。

　コンコン

『レオナルド・キーファー様がお見えになりました』

　来た。

「はい」

　私は息をついて、景気付けに顔をぱんっ、とした。