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友達⑤
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身構えていたけど、キスティ夫人との話しは穏やかに過ぎていった。
キスティ夫人から見てのティアラ・ローザに関してはオブリィ嬢より深く分からなかった。
ただ。
「娘は、貴女がティアラ嬢に似ていると言うけど、私にしたらティーナ様の面影が強いわ」
「祖母の、ですか」
「ええ」
キスティ夫人はカップを置く。
「同じ親であるもの。ティアラ嬢が亡くなった時の辛さ、理不尽に訴えられたときの歯痒さ、裁判に真っ向から立ち向かう時の毅然とした姿。忘れなれないわ」
思い出すように話すキスティ夫人。
「ウィンティア嬢の為にあれだけ心血を注いでいた第一線から退いて。結局、あんな結果に。私ね、後悔しているの」
何に?
まるで、ウィンティアのせいで、ティーナ・ローザが第一線から退いてしまったと含ませているのに、かちん、としていた。
「何故、ティーナ様と連絡を取り続けなかったか。何故、裁判が終わった後、オブリィが学園を卒業した後も交友していなかったか」
そうすれば何だったんだろう。
ティーナ・ローザの毒殺が防げたんだろうか? ウィンティアが二どめのコクーン修道院に保護される事を防げたのだろか。
あ、違う、この人、謝って、後悔から解放されて、楽になりたいだけだ。
あ、かちん、としてきた。
「そんなの結果論ですよね。もう祖母は生き返りませんし、私のキズは一生消えないんですから」
すう、と部屋の空気が凍りつく。
「ふふっ、そうね。全く持ってそうだわ」
笑うキスティ夫人。だけど、笑っているように見えない。
「ウィンティア嬢、何故、その様に判断されたんですか?」
「キスティ夫人が勝手に後悔して、謝って、楽になりたいだけだと思ったからです」
私は素直に言葉を放つ。
「そうね、そう取るわよね」
キスティ夫人が静かに言う。まるで違うんだよ、と伝えたいみたいだけど。私の言葉は確信をついていると思う。
「あのキスティ夫人の罪悪感を払拭したいだけで私が呼ばれたのであれば、もうここで話す必要ってないですよね? オブリィ様も退席されましたし。直接祖母に謝りたいなら墓前に行ってください。後、やはりこのお洋服はお返しします。オブリィ様の赤ちゃん、女の子の可能性だってありますから」
我ながら、短気だな。
でも、これ以上はここにだらだらいる必要はない気がする。ティアラ・ローザの事が多少分かったしね、これでいいや。
「そうね、お客様がお帰りよ。そのドレスは貰って頂戴。でもね、ウィンティア嬢、余計なお世話だと思って。私だからいいけど、余所のお茶会でそう言った態度は許さないわよ」
貴族のお茶会は情報合戦だ。
ちょっとした事で相手を陥れ、不利な状況を噂し、搾取し、孤立される。
「ご忠告感謝します。ですが、私はこれ以上評判は下がりませんし、もともと一人ですので」
皮肉よ、皮肉。
ウィンティアには貴族女性として致命的、顔にキズがあり、コクーン修道院に二度も保護された経歴がある。知らない人にしたら格好の噂の種だ。
「あら? 先日の彼は?」
「彼? ああ、あの人は」
レオナルド・キーファーね。
うーん、最近よく、分からなくなる。対応がね。悪い人ではないが、深く付き合うと、結局絆されるだけだし。何より私はいずれウィンティアの中からいなくなる。その時の違和感で、レオナルド・キーファーが離れる可能性が高い。それに内側のウィンティアに対して何度もレオナルド・キーファーについて交信しても、一切の応答がない。
もしかしたら、ウィンティア、レオナルド・キーファーがタイプじゃないのかもって、思い始めている。
で、結局、どうなるか、だ。
「いずれは私から離れていきますよ」
キスティ夫人から見てのティアラ・ローザに関してはオブリィ嬢より深く分からなかった。
ただ。
「娘は、貴女がティアラ嬢に似ていると言うけど、私にしたらティーナ様の面影が強いわ」
「祖母の、ですか」
「ええ」
キスティ夫人はカップを置く。
「同じ親であるもの。ティアラ嬢が亡くなった時の辛さ、理不尽に訴えられたときの歯痒さ、裁判に真っ向から立ち向かう時の毅然とした姿。忘れなれないわ」
思い出すように話すキスティ夫人。
「ウィンティア嬢の為にあれだけ心血を注いでいた第一線から退いて。結局、あんな結果に。私ね、後悔しているの」
何に?
まるで、ウィンティアのせいで、ティーナ・ローザが第一線から退いてしまったと含ませているのに、かちん、としていた。
「何故、ティーナ様と連絡を取り続けなかったか。何故、裁判が終わった後、オブリィが学園を卒業した後も交友していなかったか」
そうすれば何だったんだろう。
ティーナ・ローザの毒殺が防げたんだろうか? ウィンティアが二どめのコクーン修道院に保護される事を防げたのだろか。
あ、違う、この人、謝って、後悔から解放されて、楽になりたいだけだ。
あ、かちん、としてきた。
「そんなの結果論ですよね。もう祖母は生き返りませんし、私のキズは一生消えないんですから」
すう、と部屋の空気が凍りつく。
「ふふっ、そうね。全く持ってそうだわ」
笑うキスティ夫人。だけど、笑っているように見えない。
「ウィンティア嬢、何故、その様に判断されたんですか?」
「キスティ夫人が勝手に後悔して、謝って、楽になりたいだけだと思ったからです」
私は素直に言葉を放つ。
「そうね、そう取るわよね」
キスティ夫人が静かに言う。まるで違うんだよ、と伝えたいみたいだけど。私の言葉は確信をついていると思う。
「あのキスティ夫人の罪悪感を払拭したいだけで私が呼ばれたのであれば、もうここで話す必要ってないですよね? オブリィ様も退席されましたし。直接祖母に謝りたいなら墓前に行ってください。後、やはりこのお洋服はお返しします。オブリィ様の赤ちゃん、女の子の可能性だってありますから」
我ながら、短気だな。
でも、これ以上はここにだらだらいる必要はない気がする。ティアラ・ローザの事が多少分かったしね、これでいいや。
「そうね、お客様がお帰りよ。そのドレスは貰って頂戴。でもね、ウィンティア嬢、余計なお世話だと思って。私だからいいけど、余所のお茶会でそう言った態度は許さないわよ」
貴族のお茶会は情報合戦だ。
ちょっとした事で相手を陥れ、不利な状況を噂し、搾取し、孤立される。
「ご忠告感謝します。ですが、私はこれ以上評判は下がりませんし、もともと一人ですので」
皮肉よ、皮肉。
ウィンティアには貴族女性として致命的、顔にキズがあり、コクーン修道院に二度も保護された経歴がある。知らない人にしたら格好の噂の種だ。
「あら? 先日の彼は?」
「彼? ああ、あの人は」
レオナルド・キーファーね。
うーん、最近よく、分からなくなる。対応がね。悪い人ではないが、深く付き合うと、結局絆されるだけだし。何より私はいずれウィンティアの中からいなくなる。その時の違和感で、レオナルド・キーファーが離れる可能性が高い。それに内側のウィンティアに対して何度もレオナルド・キーファーについて交信しても、一切の応答がない。
もしかしたら、ウィンティア、レオナルド・キーファーがタイプじゃないのかもって、思い始めている。
で、結局、どうなるか、だ。
「いずれは私から離れていきますよ」
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