20 / 28
番外
宰相付第一書記官は語る
しおりを挟む
※モブ視点挿話
……はい?
は、確かに自分は宰相閣下の第一書記官を務めております。それは確かでありますが。
何の御用でしょうか? その前に貴方はどなたで……あ?! あ、あ、貴方様は………………いえ、何でもございません。宰相閣下は今、どちらに? 近くにはいらっしゃらないようですが。一時間ほど、絶対に抜けられない用事を作って押し付けてきた? それはお見事です。
では、改めまして。御用をお聞きしても宜しいですか?
宰相閣下について、話を聞きたい。特に失敗談、黒い噂、恥ずかしい話や弱みであればなお良い? あの方の黒い噂というのは、本当に洒落にならないのですが……いえ、物証や証人を残しておくような方ではないので、実際の事件の暴露というより、単なる噂話の域を出ないのですが。そういった話には事欠かないお方ですね。酒の場であの方の話題が出ると、底冷えするほど場の空気が盛り下がるんですよ、ははは。
笑い事じゃない? そうですねえ、それはそうなんですが。十年もあの方に仕えていると、自ずとどこか麻痺するというか、感覚がずれてしまうというか。しかし、以前の惨状を思えば、今は平和も平和、気も緩むというものです。以前というのは、宰相閣下が現れて、我々が閣下にお仕えするようになる前、ということですが……無能な貴族が我が物顔にのさばって、大声で怒鳴り、押し付け、手柄を奪い、憂さ晴らしのために殴り飛ばす世界。王族もあれでしたし……王宮というよりは、やたら金だけは掛かっている場末の売春宿みたいな状態でしたね。
私は平民出身でして、少しばかり賢いとおだてられ、自分も驕り高ぶった結果、周囲の期待を一身に担って王宮に上がったんです。それからはもう……毎日薄い水のようなスープと黴の生えたパンを食べ、肥えた貴族に杖で殴られ、不興を買った同僚が潰されていくのを眺めながら、これが夢に見た王宮仕えの現実と思い知らされる日々で。弱い者というより、まっとうな者の方から先に消えていきましたね。あと少し続いていたら、私もどうなっていたことか、ははは。
それが、あれは女王陛下が即位なさる少し前、現在の宰相閣下が台頭なさいまして。その三日後に起きたのが、あの「血染めの手袋事件」です。
え、「血染めの手袋事件」をご存知ない?
まあ、我々もはっきりと仔細を理解しているわけではないのですが……
新たな宰相閣下が立たれても、宮中の貴族たちの態度は変わらないままで、我々を殴ったり、下働きの娘を泣かせたり、心の赴くままに愉快に暮らしておられまして。宰相閣下が彼らを執務室に呼び付けられたのですが、彼らは叱責されるとも夢にも思っていないようで、へらへらした笑いを浮かべながら部屋の中に入っていかれまして。
重たい扉が閉ざされ、それから何かがぶつかるような、骨に響くような音が数回。しばらくして扉が開いて、宰相閣下が出て来られたのですが、入っていったはずの面々の姿はどこにも無く。私を始め、近くで控えていた者たちは疑問に思って尋ねたのです。「あの方たちはどちらへ?」と。
宰相閣下は直接その問いに答えられることはなく、肩を竦めて、「獣相手には獣の作法に限る」と仰いました。その手に嵌めてらっしゃる手袋が、血のような……やたらと濃い赤に染まっておいでで、我々は思わず凝視してしまったのですが、すると、宰相閣下は鬱陶しそうな仕草で剥ぎ取って投げ捨てられました。その手袋と、汚れた絨毯を片付けるために小間使いが呼ばれた、それ以外のことは我々には知らされていないのですが、これが後に血染めの手袋事件として広まりまして。
その貴族たちはどうなったのか? どうでしょう……二度と日の目を見ることはなかったと婉曲に言われておりますが、命は助かったのではないかと。流石に就任三日目で大量殺人は思い留まられたのではないでしょうか。あまり手段を選ぶような方ではないとはいえ。
ともあれ、それ以後は我々が悩まされるような、高貴かつ無能な方々は綺麗に一掃されまして。
たまに無茶振りはされますが、その分給料はたっぷり出して下さるし、たまに悪魔も真っ青というような案件を見てしまったりしますが、ご本人はいたって無欲な方ですしね。お仕えするのに不足はないです。
え、どこが無欲? 欲の塊ではないかと?
まあ、そうですね、女王陛下に対する態度は、我々下々の者もたまに思うところがありますが……あの方が陛下に関してはひたすら忠誠を貫いていらっしゃるのは確かですし。それがあの方も機械ではなく人なのだと、しかも清廉なものに対する憧れをお持ちなのだと、改めてあの方を近しく感じさせているところはありますね。あの方も弱みをお持ちなのだというか。そうでなければ、もっと深く恐れられていたと思います。
そんな弱みは求めていなかった?
他にないのかと仰られても……もとより「五十歳になる前に宰相職を返上する」と仰っておられた方ですからねえ。「老害になるつもりはない」とも。
本当にそんなことを言っていたのか? それはもう。ご自分が一線を退くときを想定して、できる限り簡便に、自発的に回る機構を作り上げることに尽力してらっしゃいまして。今、こうして宰相閣下が椅子になられても、大きな問題が起きていないのはその為かと。しかし、五十歳どころか四十にもならないうちに第二の人生を歩まれて、それがあの椅子としての人生だと発覚したとき、我々は……割と複雑ではありましたねえ。
いえ、その、申し訳ありません。分かったようなことを申し上げて。女王陛下の方が余程、複雑な心境でいらっしゃるというのは重々お察し申し上げているのですが……
というか、陛下、そのような格好ではあまり変装の意味がないというか。宰相閣下は匂いで陛下を嗅ぎ分けられるともっぱらの噂ですし、今も恐らく監視の目が……
ええ、では、我々下々の者が使っている抜け道をご案内いたしましょう。少しは時間が稼げるかと思います。いえ、陛下に逃げられた時の宰相閣下の顔を見てみたいとか、そんな不純な気持ちが少々あるのは確かでして。最近の閣下は、美味しそうな兎が飛び跳ねているのをじっと見守る狼みたいな顔をなさっておいでですからね……いえ、全く余計なことを申し上げました。どうぞお気になさらず。こちらの道をまっすぐ、そのままお進み下さい。心からご健闘をお祈り申し上げております。
……はい?
は、確かに自分は宰相閣下の第一書記官を務めております。それは確かでありますが。
何の御用でしょうか? その前に貴方はどなたで……あ?! あ、あ、貴方様は………………いえ、何でもございません。宰相閣下は今、どちらに? 近くにはいらっしゃらないようですが。一時間ほど、絶対に抜けられない用事を作って押し付けてきた? それはお見事です。
では、改めまして。御用をお聞きしても宜しいですか?
宰相閣下について、話を聞きたい。特に失敗談、黒い噂、恥ずかしい話や弱みであればなお良い? あの方の黒い噂というのは、本当に洒落にならないのですが……いえ、物証や証人を残しておくような方ではないので、実際の事件の暴露というより、単なる噂話の域を出ないのですが。そういった話には事欠かないお方ですね。酒の場であの方の話題が出ると、底冷えするほど場の空気が盛り下がるんですよ、ははは。
笑い事じゃない? そうですねえ、それはそうなんですが。十年もあの方に仕えていると、自ずとどこか麻痺するというか、感覚がずれてしまうというか。しかし、以前の惨状を思えば、今は平和も平和、気も緩むというものです。以前というのは、宰相閣下が現れて、我々が閣下にお仕えするようになる前、ということですが……無能な貴族が我が物顔にのさばって、大声で怒鳴り、押し付け、手柄を奪い、憂さ晴らしのために殴り飛ばす世界。王族もあれでしたし……王宮というよりは、やたら金だけは掛かっている場末の売春宿みたいな状態でしたね。
私は平民出身でして、少しばかり賢いとおだてられ、自分も驕り高ぶった結果、周囲の期待を一身に担って王宮に上がったんです。それからはもう……毎日薄い水のようなスープと黴の生えたパンを食べ、肥えた貴族に杖で殴られ、不興を買った同僚が潰されていくのを眺めながら、これが夢に見た王宮仕えの現実と思い知らされる日々で。弱い者というより、まっとうな者の方から先に消えていきましたね。あと少し続いていたら、私もどうなっていたことか、ははは。
それが、あれは女王陛下が即位なさる少し前、現在の宰相閣下が台頭なさいまして。その三日後に起きたのが、あの「血染めの手袋事件」です。
え、「血染めの手袋事件」をご存知ない?
まあ、我々もはっきりと仔細を理解しているわけではないのですが……
新たな宰相閣下が立たれても、宮中の貴族たちの態度は変わらないままで、我々を殴ったり、下働きの娘を泣かせたり、心の赴くままに愉快に暮らしておられまして。宰相閣下が彼らを執務室に呼び付けられたのですが、彼らは叱責されるとも夢にも思っていないようで、へらへらした笑いを浮かべながら部屋の中に入っていかれまして。
重たい扉が閉ざされ、それから何かがぶつかるような、骨に響くような音が数回。しばらくして扉が開いて、宰相閣下が出て来られたのですが、入っていったはずの面々の姿はどこにも無く。私を始め、近くで控えていた者たちは疑問に思って尋ねたのです。「あの方たちはどちらへ?」と。
宰相閣下は直接その問いに答えられることはなく、肩を竦めて、「獣相手には獣の作法に限る」と仰いました。その手に嵌めてらっしゃる手袋が、血のような……やたらと濃い赤に染まっておいでで、我々は思わず凝視してしまったのですが、すると、宰相閣下は鬱陶しそうな仕草で剥ぎ取って投げ捨てられました。その手袋と、汚れた絨毯を片付けるために小間使いが呼ばれた、それ以外のことは我々には知らされていないのですが、これが後に血染めの手袋事件として広まりまして。
その貴族たちはどうなったのか? どうでしょう……二度と日の目を見ることはなかったと婉曲に言われておりますが、命は助かったのではないかと。流石に就任三日目で大量殺人は思い留まられたのではないでしょうか。あまり手段を選ぶような方ではないとはいえ。
ともあれ、それ以後は我々が悩まされるような、高貴かつ無能な方々は綺麗に一掃されまして。
たまに無茶振りはされますが、その分給料はたっぷり出して下さるし、たまに悪魔も真っ青というような案件を見てしまったりしますが、ご本人はいたって無欲な方ですしね。お仕えするのに不足はないです。
え、どこが無欲? 欲の塊ではないかと?
まあ、そうですね、女王陛下に対する態度は、我々下々の者もたまに思うところがありますが……あの方が陛下に関してはひたすら忠誠を貫いていらっしゃるのは確かですし。それがあの方も機械ではなく人なのだと、しかも清廉なものに対する憧れをお持ちなのだと、改めてあの方を近しく感じさせているところはありますね。あの方も弱みをお持ちなのだというか。そうでなければ、もっと深く恐れられていたと思います。
そんな弱みは求めていなかった?
他にないのかと仰られても……もとより「五十歳になる前に宰相職を返上する」と仰っておられた方ですからねえ。「老害になるつもりはない」とも。
本当にそんなことを言っていたのか? それはもう。ご自分が一線を退くときを想定して、できる限り簡便に、自発的に回る機構を作り上げることに尽力してらっしゃいまして。今、こうして宰相閣下が椅子になられても、大きな問題が起きていないのはその為かと。しかし、五十歳どころか四十にもならないうちに第二の人生を歩まれて、それがあの椅子としての人生だと発覚したとき、我々は……割と複雑ではありましたねえ。
いえ、その、申し訳ありません。分かったようなことを申し上げて。女王陛下の方が余程、複雑な心境でいらっしゃるというのは重々お察し申し上げているのですが……
というか、陛下、そのような格好ではあまり変装の意味がないというか。宰相閣下は匂いで陛下を嗅ぎ分けられるともっぱらの噂ですし、今も恐らく監視の目が……
ええ、では、我々下々の者が使っている抜け道をご案内いたしましょう。少しは時間が稼げるかと思います。いえ、陛下に逃げられた時の宰相閣下の顔を見てみたいとか、そんな不純な気持ちが少々あるのは確かでして。最近の閣下は、美味しそうな兎が飛び跳ねているのをじっと見守る狼みたいな顔をなさっておいでですからね……いえ、全く余計なことを申し上げました。どうぞお気になさらず。こちらの道をまっすぐ、そのままお進み下さい。心からご健闘をお祈り申し上げております。
1
あなたにおすすめの小説
「転生したら推しの悪役宰相と婚約してました!?」〜推しが今日も溺愛してきます〜 (旧題:転生したら報われない悪役夫を溺愛することになった件)
透子(とおるこ)
恋愛
読んでいた小説の中で一番好きだった“悪役宰相グラヴィス”。
有能で冷たく見えるけど、本当は一途で優しい――そんな彼が、報われずに処刑された。
「今度こそ、彼を幸せにしてあげたい」
そう願った瞬間、気づけば私は物語の姫ジェニエットに転生していて――
しかも、彼との“政略結婚”が目前!?
婚約から始まる、再構築系・年の差溺愛ラブ。
“報われない推し”が、今度こそ幸せになるお話。
「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」
透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。
そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。
最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。
仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕!
---
モブなのに、転生した乙女ゲームの攻略対象に追いかけられてしまったので全力で拒否します
みゅー
恋愛
乙女ゲームに、転生してしまった瑛子は自分の前世を思い出し、前世で培った処世術をフル活用しながら過ごしているうちに何故か、全く興味のない攻略対象に好かれてしまい、全力で逃げようとするが……
余談ですが、小説家になろうの方で題名が既に国語力無さすぎて読むきにもなれない、教師相手だと淫行と言う意見あり。
皆さんも、作者の国語力のなさや教師と生徒カップル無理な人はプラウザバック宜しくです。
作者に国語力ないのは周知の事実ですので、指摘なくても大丈夫です✨
あと『追われてしまった』と言う言葉がおかしいとの指摘も既にいただいております。
やらかしちゃったと言うニュアンスで使用していますので、ご了承下さいませ。
この説明書いていて、海外の商品は訴えられるから、説明書が長くなるって話を思いだしました。
竜帝に捨てられ病気で死んで転生したのに、生まれ変わっても竜帝に気に入られそうです
みゅー
恋愛
シーディは前世の記憶を持っていた。前世では奉公に出された家で竜帝に気に入られ寵姫となるが、竜帝は豪族と婚約すると噂され同時にシーディの部屋へ通うことが減っていった。そんな時に病気になり、シーディは後宮を出ると一人寂しく息を引き取った。
時は流れ、シーディはある村外れの貧しいながらも優しい両親の元に生まれ変わっていた。そんなある日村に竜帝が訪れ、竜帝に見つかるがシーディの生まれ変わりだと気づかれずにすむ。
数日後、運命の乙女を探すためにの同じ年、同じ日に生まれた数人の乙女たちが後宮に召集され、シーディも後宮に呼ばれてしまう。
自分が運命の乙女ではないとわかっているシーディは、とにかく何事もなく村へ帰ることだけを目標に過ごすが……。
はたして本当にシーディは運命の乙女ではないのか、今度の人生で幸せをつかむことができるのか。
短編:竜帝の花嫁 誰にも愛されずに死んだと思ってたのに、生まれ変わったら溺愛されてました
を長編にしたものです。
溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~
夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」
弟のその言葉は、晴天の霹靂。
アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。
しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。
醤油が欲しい、うにが食べたい。
レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。
既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・?
小説家になろうにも掲載しています。
悪役令嬢、記憶をなくして辺境でカフェを開きます〜お忍びで通ってくる元婚約者の王子様、私はあなたのことなど知りません〜
咲月ねむと
恋愛
王子の婚約者だった公爵令嬢セレスティーナは、断罪イベントの最中、興奮のあまり階段から転げ落ち、頭を打ってしまう。目覚めた彼女は、なんと「悪役令嬢として生きてきた数年間」の記憶をすっぽりと失い、動物を愛する心優しくおっとりした本来の性格に戻っていた。
もはや王宮に居場所はないと、自ら婚約破棄を申し出て辺境の領地へ。そこで動物たちに異常に好かれる体質を活かし、もふもふの聖獣たちが集まるカフェを開店し、穏やかな日々を送り始める。
一方、セレスティーナの豹変ぶりが気になって仕方ない元婚約者の王子・アルフレッドは、身分を隠してお忍びでカフェを訪れる。別人になったかのような彼女に戸惑いながらも、次第に本当の彼女に惹かれていくが、セレスティーナは彼のことを全く覚えておらず…?
※これはかなり人を選ぶ作品です。
感想欄にもある通り、私自身も再度読み返してみて、皆様のおっしゃる通りもう少しプロットをしっかりしてればと。
それでも大丈夫って方は、ぜひ。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎
水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。
もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。
振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!!
え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!?
でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!?
と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう!
前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい!
だからこっちに熱い眼差しを送らないで!
答えられないんです!
これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。
または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。
小説家になろうでも投稿してます。
こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる