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グラジオラス城砦城代様へ。
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コンコンと軽いノックの後に、
「姫ー、郵便ですよー。お手紙届けに来ましたー。入ってもいいですかー?」
間延びした低い声。
近頃、用事が無いと部屋へは入れんとキツく言って後より、ヴァルクは小賢しくも、姫のいる執務室への雑用を買って出るようになった。
「姫ー? 姫様ー?」
コンコンと響くノックの音。
「チッ・・・入れ」
「失礼しまーす」
返事をすると、へらへらと笑うヴァルクが執務室へと入って来た。
「お手紙でーす、姫ーどうぞー」
そして、姫へと一通の封筒を恭しく差し出す。
「・・・礼を言う。では、出て行け?」
手紙を受け取ったはいいが、「城ー城ー」と言われるのがウザいので、姫はさっさとヴァルクを追い出しにかかる。
「えー? 姫様つれなーい。それよりー、誰からなんでしょうねー? 差出人の名前無いんですよー、その手紙ー」
「? 確かに」
とはいえ、封蝋の紋章はグラジオラス辺境伯領の物。差出人は無くとも、グラジオラスの紋章を持てる地位の者が出した手紙だと判る。
「それでー、なんて書いてあるんですかー?」
「君が出て行ってから読む。早く出てけ?」
「え~? それじゃあ、後でまた来ますから、そのとき教えてくださいねー」
大して不満そうでもなく、ひらひらと手を振ったヴァルクが執務室を出て行った。
そして、姫が封筒を開けると・・・
「姫ー、郵便ですよー。お手紙届けに来ましたー。入ってもいいですかー?」
間延びした低い声。
近頃、用事が無いと部屋へは入れんとキツく言って後より、ヴァルクは小賢しくも、姫のいる執務室への雑用を買って出るようになった。
「姫ー? 姫様ー?」
コンコンと響くノックの音。
「チッ・・・入れ」
「失礼しまーす」
返事をすると、へらへらと笑うヴァルクが執務室へと入って来た。
「お手紙でーす、姫ーどうぞー」
そして、姫へと一通の封筒を恭しく差し出す。
「・・・礼を言う。では、出て行け?」
手紙を受け取ったはいいが、「城ー城ー」と言われるのがウザいので、姫はさっさとヴァルクを追い出しにかかる。
「えー? 姫様つれなーい。それよりー、誰からなんでしょうねー? 差出人の名前無いんですよー、その手紙ー」
「? 確かに」
とはいえ、封蝋の紋章はグラジオラス辺境伯領の物。差出人は無くとも、グラジオラスの紋章を持てる地位の者が出した手紙だと判る。
「それでー、なんて書いてあるんですかー?」
「君が出て行ってから読む。早く出てけ?」
「え~? それじゃあ、後でまた来ますから、そのとき教えてくださいねー」
大して不満そうでもなく、ひらひらと手を振ったヴァルクが執務室を出て行った。
そして、姫が封筒を開けると・・・
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