ヴァンパイアハーフだが、血統に問題アリっ!?

月白ヤトヒコ

文字の大きさ
76 / 179
ヴァンパイア編。

69.なんて恐ろしい策でしょう・・・

しおりを挟む
 リリアナイトから、『仕事中』『格好いい』『二割増し』『兄さん』『仕事』『頑張れ』『アルより』というロゼットからの手紙を貰い・・・

 ロゼットが、仕事中の僕を格好いいと思ってくれていますっ!? しかも、二割増しでっ!?
 これはもう、気合いを入れて仕事をするしかないでしょうっ! さあ、張り切りますよっ!!!
 と、本気で仕事をこなして早三日。僕は大変重大なことに気付いてしまったのです・・・
 肝心のロゼットが、僕を見ていないことにっ!?

 なんてことでしょうっ!?

 これは、ハルトの策に違いありません・・・
 なんて恐ろしい策でしょう・・・
 僕がロゼットに、格好いいと思われたいということを逆手にとって、ロゼットに逢わせることなく僕を仕事詰めにするとは・・・

 あれはハルトからの手紙でしたよね?
 おのれ、ハルトめ・・・
 今度、エレイスの仕事のときにハルトの装備品のグレードを下げておく嫌がらせをしましょう。
 あと、ハルトの携帯食糧だけを不味いものに変えておきます。ついでに、毒も仕込んでおきましょう。ハルトが耐性を付けていない毒を微量・・・

 勿論、毒を仕込むのは、僕の親切ですよ?
 ハルトは、毒に耐性を付けたいそうなので。
 解毒に、ロゼットの血に頼りたくないそうです。
 そこは、ハルトを評価しています。

 ロゼットの血は非常に貴重ですからね。できれば、誰にも口にしてほしくありません。

 だから、毒は微量なのです。

 まあ、ハルトのことはどうでもいいのです。

 ロゼットっ!!!
 僕は、貴女に逢いたいのですっ!?

 僕の美しい妹・・・
 金のような銀のような淡いプラチナブロンド。それを月色だと称したのはフェイドでしたね。
 長く伸びる真っ直ぐな月色の髪に、柔らかくかぐわしい白磁の肌。髪の毛と同じ月色の長い睫毛が彩る柔らかい翡翠の瞳には、銀色の瞳孔が浮かぶ。凜と冴える白皙の美貌・・・ほんのりと薄く色付く柔らかい唇。少し低めのアルト。

 ロゼット。貴女に触れたいです。
 貴女の声が聞きたいです。

 貴女に、逢いたい・・・

 貴女は今、どこにいるのでしょうか?
 怪我はしていませんか?
 食事はちゃんと摂っていますか?
 貴女は身体が丈夫でないのでとても心配です。

 まさか、貴女に言い寄る男などいませんよね?

 ・・・貴女が有象無象の男共の視線に晒されているかと思うとっ、殺意が湧いて来ますっ!!!

 優しい貴女は、「お願いだから兄さん、そんなことやめて」と言うのでしょうが・・・

 ああ、ロゼット。できることなら、貴女を僕の腕の中へ閉じ籠めてしまいたい・・・

 貴女がその瞳に映すのは僕だけであってほしい。
 貴女に触れるのは僕だけでいい。
 貴女の血が、欲しい。飲みたい。

 白く柔らかい、芳しい肌。
 滑らかなその首筋に牙を突き立て、蕩けるように甘く、熱い貴女の血をすすりたい。
 と、本来なら、貴女の首筋へ吸血キスしたいのですが、僕にはそれが許されていませんからね。
 白くたおやかな手首で我慢しますけど・・・

 それに、僕はロゼットと二人切りになることも許されていません。忌々しいことに…あの、ロゼットを自分の妹だと妄言を吐く無駄にデカい狼が、常に監視していますからね。
 ハルトがいないことは…滅多にありませんが、そのときにはリリアナイトとフェイドの二人が僕を監視するのです。そして、極偶に椿の監視。

 この、極偶にある椿とロゼットの二人に囲まれる時間は僕の至福の時間で・・・
 まあ、数年に一度くらいしか無いことですけど。
 椿になら、僕は年中監視されてもいいのですが…
 むしろ、それで椿が戻って来るのなら、僕の監視を・・・と、提言してみたのですが、残念なことに「バカ言ってンじゃないよ、フェンネル」と椿に一蹴されてしまいましたからね。
 ロゼットも椿が好きなので喜ぶと思ったのですが・・・椿の意志を尊重するそうです。

 本当に、心底残念で堪りませんっ・・・

 何故、椿もロゼットも、愛しい妹達は僕の手の中には閉じ籠めておけないのでしょうね?

 僕は妹達が愛しいだけなのに・・・
 何故、手に入らないのでしょうか?

 僕の腕の中で、僕だけを見詰めて、僕だけの声を聞いて、僕にだけ微笑んでほしい・・・
 なんでも与えてあげて、どろどろのぐちゃぐちゃに甘やかして、僕がいないと生きて行けないくらいに、僕を必要としてほしいのです。
 そう思うことの、なにがいけないのでしょうか?
 愛しているのです。僕は、彼女達を。
 僕は、椿を愛しているのです。
 僕は、ロゼットを愛しているのです。

 けれど、そんな僕の愛情を、椿は間違っていると言うのです。受け入れられない、と・・・

 何故でしょうか?
 なにがいけないのでしょうか?

 間違っていると言われても、わかりません。

「フェンネル様。ローズマリー様からです」

 メイドが書類を追加します。

 そういえば、リリアナイト・・・
 彼女が僕をこの船へ足留めして、ロゼットを探す邪魔をしているのでしたっ!?

 僕はロゼットに逢いたいのにっ!!!

 ロゼット、ロゼット、ロゼット、ロゼット、ロゼット、ロゼット、ロゼット、ロゼット・・・

 貴女だけは、誰にも奪われたくない。
 椿のように、別の誰かを選んでほしくない。
 椿のように、誰かのものにはさせません。

 僕の愛しいヒト。
 貴女の血に溺れて、貴女を僕の血で満たしたい。
 貴女を、僕のモノにしたい。

「・・・ハァァ…」

 喉が、渇きました。

 ここには、ロゼットがいません。
 仕方ないのでフェイドから巻き上げ…ではなく、フェイドが僕に献上したロゼットの血晶けっしょうで我慢します。

 ロゼットの血晶を口に含みます。

「・・・」

 愛するヒトの血は、極上の甘露。
 脳が痺れる程に甘美な味。

 少し、落ち着きました。
 あと、幾つ残っていたでしょうか・・・
 まあ、幾つあっても足りる気はしませんが。

 なぜか僕は、ロゼットに関しては父上の信用が無いようなので、ロゼットの血晶の管理はフェイドがしているのです。全く、うらやましい限りですね。

 ロゼットに逢って、ロゼットの血を頂いて来るのもフェイドの仕事だとは・・・
 そして、ロゼットの回復を担い、その後ロゼットの血晶を椿にも渡しに行く。

 なんて、なんて羨ましいっ!!!
 くっ・・・フェイドが本気でねたましいですっ!

 まあ、僕がロゼットの血を独占することを見越しての父上の判断なのでしょうけど・・・

 無論、椿には渡しますよ?あの子にはまだ、ロゼットの血液が定期的に必要ですからね。
 けど、それ以外は独占しますともっ!
 独占してなにが悪いのでしょうかっ?
 僕の愛する妹の血ですよっ? 僕以外が服用するのも、誰かの目に晒すことも嫌なのですからっ!

 ちなみにフェイドは、ロゼットの血晶を使用した刃物なんかを作っているそうです。
 僕にも流しては頂けないでしょうかね?

 欲しいですっ! 物凄くっ!!!

 今度、届けさせましょう。

 まあ、あまりフェイドから巻き上…ではなく、頂き過ぎると父上に叱られてしまうので、程々にしなくてはいけないのですが・・・
 本当なら、椿とロゼットが関わった物は、全て欲しいのですけどね?

 さて、落ち着いたところで・・・

「では、僕はリリアナイトへ抗議して来ます」

 仕事の合間の情報収集で、とても気になる情報も入って来たことですし。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?

猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」 「え?なんて?」 私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。 彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。 私が聖女であることが、どれほど重要なことか。 聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。 ―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。 前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。

他人の寿命が視える俺は理を捻じ曲げる。学園一の美令嬢を助けたら凄く優遇されることに

千石
ファンタジー
【第17回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞】 魔法学園4年生のグレイ・ズーは平凡な平民であるが、『他人の寿命が視える』という他の人にはない特殊な能力を持っていた。 ある日、学園一の美令嬢とすれ違った時、グレイは彼女の余命が本日までということを知ってしまう。 グレイは自分の特殊能力によって過去に周りから気味悪がられ、迫害されるということを経験していたためひたすら隠してきたのだが、 「・・・知ったからには黙っていられないよな」 と何とかしようと行動を開始する。 そのことが切っ掛けでグレイの生活が一変していくのであった。 他の投稿サイトでも掲載してます。 ※表紙の絵はAIが生成したものであり、著作権に関する最終的な責任は負いかねます。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

処理中です...