77 / 179
ヴァンパイア編。
70.ロゼットを保護することを提言します。
しおりを挟む
「リリアナイト。いい加減にしてください」
こちらを見詰める赤毛の少女を見下ろします。
「いい加減に、とはどういう意味でしょうか?」
にこりと甘やかな声が問い掛けます。
「僕はロゼットに逢いたいのです」
「フェンネル様のお気持ちは、大変よくわかりますわ。わたくしも、アレク様にお逢いしたいのです」
「・・・腹芸は結構。率直にお訊ねします。あなたは、今回のことを、どこまで知っているのですか?」
「どこまで、とは?」
にこりと首を傾げるリリアナイトの、アクアマリンの瞳をじっと見詰めます。そして、
「子殺しの始祖が、活動を再開したそうです」
昨日手に入れた情報を明かします。裏も取りましたからね。確実な情報です。
「そう、でしたか…」
見開くアクアマリン。どうやら、リリアナイトには知らされていなかったようですね。
「ええ。これで父上の意図がわかりました」
リリアナイトに、僕を軟禁させている理由。そして、クレアさんやレオンハルトの不可解な行動の理由も、おおよそ理解できました。
一番危険なのは、彼の方の直系である父上と僕。父上は、それで僕をアダマス本邸から隔離したのでしょう。
「ロゼットも、本当は家出ではないのでしょう」
子殺しの始祖。そう称されるあの方は、基本的に混血の方は放置する傾向にありますが、それも絶対にという保証があるワケではない。
父上は、彼の方を憎んでおいでですから・・・
打てる手は全て打つつもりなのでしょうね。
僕がリリアナイトの船にいるとなると・・・椿達が一番危険なのではないでしょうか?
いえ、あのヘタレ野郎…アクセルのブライト家は、船を有していた筈です。
あのヘタレが、椿と子供達を危険に晒されている状況を看過するとは思えませんからね。
海上…それも、既に国外へ出ている可能性が高い。
あのヘタレ野郎は、殺したい程に嫌いではありますが、それなりに評価もしています。
僕が狙っているというのに、簡単には殺させてくれないのですから、ね・・・危機察知能力が高い。
そして、自分が死んでも椿と子供達を守るという気概を持ち合せているようなので、嫌いではありますが、そこは評価に値します。
ロゼットと、フェイドは・・・
あの二人は、その存在を秘匿されています。
アダマスを名乗ることを許されていない。
アダマスの家の跡継ぎだと公表している僕や、他家へ…ブライトへと嫁いだ椿とは違って、まだその存在を知られていない。
そう、思いたいのですが・・・
「ロゼットを保護することを提言します」
「アレク様を保護、ですか・・・」
リリアナイトが、口元へ手を当て思案します。
「ええ。海上の、人魚であるあなたの船の中ならば安全でしょう? リリアナイト」
「・・・フェンネル様。それはもうアレク様へ打診致しましたが、脚下されてしまいました。わたくしの船は、アダマスの金融業の施設の一環。アレク様は、アダマス系列の施設への滞在を、ローレル様より禁じられているそうなのです」
父上・・・徹底していますね。
そんなに僕とロゼットを逢わせたくないのでしょうか? 僕個人の有する敷地には、ロゼットの方が立ち入りを禁止されていますし・・・
昔、あの子を軟禁して殺し掛けた場所など、跡形も無く破壊されましたからね。
僕達が逢える場所は、アダマス本邸とリリアナイトの船、そしてエレイスの家と、それに準じる機密性の高い施設。それ以外では、僕は個人的にロゼットと接触することが許されていないのです。
しかも、ハルトやリリアナイト、フェイド、椿の監視下においての接触のみ、ですからね。
「シーフさんは、どうなのでしょう?」
「フェイドも心配ではありますが…あの子は鍛冶師ですからね。今の状況では、とても重要な存在になるでしょう。下手に動かすことは、できません」
まあ、あの子は大丈夫…だと思いたいですね。
「ところで、リリアナイト。お茶にしませんか?」
では、リリアナイトを説得しに掛かりましょう。
ロゼットを、この船へ保護する方向へと。
リリアナイトも、ロゼットへ逢いたいでしょうからね・・・今のこの状況ならば、おそらく父上を出し抜くことも可能でしょう。
今は目障りなハルトも、なにを考えているかわからないフェイドも動けません。
僕は、ハルトとフェイドがロゼットに触れるのは少し嫌なのですが、あなたは女性ですからね? リリアナイト。
ロゼットは、女性を好むのです。だから、あなたはロゼットのオマケとして、僕の視界に入れてあげても構わないと思っているのです。
「宜しいですわ。フェンネル様」
アクアマリンの瞳が、挑むように僕を見据えます。
さあ、リリアナイト。
あなたを説き伏せてみせましょう。
ロゼットへ逢う為に。
こちらを見詰める赤毛の少女を見下ろします。
「いい加減に、とはどういう意味でしょうか?」
にこりと甘やかな声が問い掛けます。
「僕はロゼットに逢いたいのです」
「フェンネル様のお気持ちは、大変よくわかりますわ。わたくしも、アレク様にお逢いしたいのです」
「・・・腹芸は結構。率直にお訊ねします。あなたは、今回のことを、どこまで知っているのですか?」
「どこまで、とは?」
にこりと首を傾げるリリアナイトの、アクアマリンの瞳をじっと見詰めます。そして、
「子殺しの始祖が、活動を再開したそうです」
昨日手に入れた情報を明かします。裏も取りましたからね。確実な情報です。
「そう、でしたか…」
見開くアクアマリン。どうやら、リリアナイトには知らされていなかったようですね。
「ええ。これで父上の意図がわかりました」
リリアナイトに、僕を軟禁させている理由。そして、クレアさんやレオンハルトの不可解な行動の理由も、おおよそ理解できました。
一番危険なのは、彼の方の直系である父上と僕。父上は、それで僕をアダマス本邸から隔離したのでしょう。
「ロゼットも、本当は家出ではないのでしょう」
子殺しの始祖。そう称されるあの方は、基本的に混血の方は放置する傾向にありますが、それも絶対にという保証があるワケではない。
父上は、彼の方を憎んでおいでですから・・・
打てる手は全て打つつもりなのでしょうね。
僕がリリアナイトの船にいるとなると・・・椿達が一番危険なのではないでしょうか?
いえ、あのヘタレ野郎…アクセルのブライト家は、船を有していた筈です。
あのヘタレが、椿と子供達を危険に晒されている状況を看過するとは思えませんからね。
海上…それも、既に国外へ出ている可能性が高い。
あのヘタレ野郎は、殺したい程に嫌いではありますが、それなりに評価もしています。
僕が狙っているというのに、簡単には殺させてくれないのですから、ね・・・危機察知能力が高い。
そして、自分が死んでも椿と子供達を守るという気概を持ち合せているようなので、嫌いではありますが、そこは評価に値します。
ロゼットと、フェイドは・・・
あの二人は、その存在を秘匿されています。
アダマスを名乗ることを許されていない。
アダマスの家の跡継ぎだと公表している僕や、他家へ…ブライトへと嫁いだ椿とは違って、まだその存在を知られていない。
そう、思いたいのですが・・・
「ロゼットを保護することを提言します」
「アレク様を保護、ですか・・・」
リリアナイトが、口元へ手を当て思案します。
「ええ。海上の、人魚であるあなたの船の中ならば安全でしょう? リリアナイト」
「・・・フェンネル様。それはもうアレク様へ打診致しましたが、脚下されてしまいました。わたくしの船は、アダマスの金融業の施設の一環。アレク様は、アダマス系列の施設への滞在を、ローレル様より禁じられているそうなのです」
父上・・・徹底していますね。
そんなに僕とロゼットを逢わせたくないのでしょうか? 僕個人の有する敷地には、ロゼットの方が立ち入りを禁止されていますし・・・
昔、あの子を軟禁して殺し掛けた場所など、跡形も無く破壊されましたからね。
僕達が逢える場所は、アダマス本邸とリリアナイトの船、そしてエレイスの家と、それに準じる機密性の高い施設。それ以外では、僕は個人的にロゼットと接触することが許されていないのです。
しかも、ハルトやリリアナイト、フェイド、椿の監視下においての接触のみ、ですからね。
「シーフさんは、どうなのでしょう?」
「フェイドも心配ではありますが…あの子は鍛冶師ですからね。今の状況では、とても重要な存在になるでしょう。下手に動かすことは、できません」
まあ、あの子は大丈夫…だと思いたいですね。
「ところで、リリアナイト。お茶にしませんか?」
では、リリアナイトを説得しに掛かりましょう。
ロゼットを、この船へ保護する方向へと。
リリアナイトも、ロゼットへ逢いたいでしょうからね・・・今のこの状況ならば、おそらく父上を出し抜くことも可能でしょう。
今は目障りなハルトも、なにを考えているかわからないフェイドも動けません。
僕は、ハルトとフェイドがロゼットに触れるのは少し嫌なのですが、あなたは女性ですからね? リリアナイト。
ロゼットは、女性を好むのです。だから、あなたはロゼットのオマケとして、僕の視界に入れてあげても構わないと思っているのです。
「宜しいですわ。フェンネル様」
アクアマリンの瞳が、挑むように僕を見据えます。
さあ、リリアナイト。
あなたを説き伏せてみせましょう。
ロゼットへ逢う為に。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?
猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」
「え?なんて?」
私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。
彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。
私が聖女であることが、どれほど重要なことか。
聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。
―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。
前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。
備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?
サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。
*この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。
**週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる