ヴァンパイアハーフだが、血統に問題アリっ!?

月白ヤトヒコ

文字の大きさ
133 / 179
ヴァンパイア編。

124.とても、酷く、不安になった。

しおりを挟む
 リリのところへ向かうと、そのままリリの部屋へパッと移動させられた。

「アレク様♥️」
「リリ・・・」

 レモンイエローのドレスをまとい、腕に飛び込んで来たリリをぎゅっと抱き締める。

 アイマスクを引っがして、脱力。

 ああ・・・つっかれたーっ!!!

 舐めるような視線とか、マジキモいしっ!

 ったく…混血ハーフですけどなにかっ!? とか言って手当たり次第にぶっ飛ばしてやりてぇぜ!!!

 奴隷や愛玩がどうのとか言う奴、死ね!

 まあ、純血共に喧嘩売るとガチで危険だから、この怒りは我慢するけどねっ!?

 神経り減るわー。全く・・・

「大丈夫、ですか? アレク様…」

 アイマスクをしたままの、心配そうなアクアマリンが下から覗き込む。

「疲れた・・・」
「はい」
「気分悪い」
「はい」
「・・・リリ、大好き」
「リリも、アレク様を愛しています♥️」
「ありがと」

※※※※※※※※※※※※※※※

 お嬢さん達と泣く泣く別れ、船を物色していて、気付いたことがある。

 この船は、おかしい。

 お宝がありそうな場所へ侵入はいれない。

 鍵の掛かっているドアが、開かない。
 鍵が掛かっているからと開けようと(ピッキング)しても、鍵穴から弾かれる。

 拠って、鍵の掛かっているドアが全く開かない。

 かといって、全てのドアが開かないワケでもない。鍵の掛かっていないドアなら簡単に開く。

 けれど、そんな部屋には価値のある物が無い。

 なんて防犯のしっかりした船なんだ。
 盗賊に全く優しくない船だぜ。

 そして、あちこち歩き回って腹が減ったので、厨房から手掴みで食べられる物を少し失敬して来た。

 無論、誰にも見付かってないぜ!さすが俺!

 それを食べながら歩いていると・・・

「? なんだ?」

 ふと、物凄くいやな予感がして、バッと身体が勝手に動いた。そして、アイマスクと上着が廊下へ落ちる。

 瞬間、またもや身体が動き、大きく後ろに跳び退いていた。

「っ!?」

 ぞわりと、一斉に皮膚が粟立つと、アイマスクと上着が赤いなにかに貫かれて裂けて壊れた。

「な、んだ…これ、は・・・」

 冷たい汗が頬を流れる。

「侵入者撃退の仕掛けか?危なかったぜ・・・?」

 そして、気付いた。

 ひしめいていた吸血鬼の気配が・・・

「減った? しかも、一気に」

 どういう、ことだ?

 この船は、思っていたよりも危険なようだ。

「・・・お嬢さん達は無事か?」

 気になるので、彼女達を探してみようと思う。

 それから、この船を出よう。

※※※※※※※※※※※※※※※

 ・・・血の匂いがする。

 その場所へ向かうと、ヴァンパイアが数名倒れていた。胸と頭を貫かれて。

 ああ、こんな連中の血なんか飲みたくない。
 不味いに決まっている。
 けど、身体が重い。
 血が足りない。
 仕方ないから死んでる連中の血を集めて、圧縮。血晶けっしょう化して、それを飲み込む。

「ああ・・・少し、マシになった」

 膜が掛かったように遠かった音が少し近くなり、酷い耳鳴りが少し小さくなった。
 くらくらして、酷い目眩めまいと貧血とで明滅していた視界が、少し明るくなった。

 そして、見渡す。

「どこだ? ここは・・・」

 まあ、いいか。

 今は、身体がこんなに酷い状態だというのに、少し…いや、とても気分がいいんだ。

 だってさ、君の気配がするんだ。

 ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっと、長い、ながい間探して捜して捜して探して捜して探して捜して探し続けていた君が近くにいる。

 こんなに嬉しいことはないよ。

 ああ、ようやく君に逢える。

 君が大好きなんだ。
 君だけが好きなんだ。
 君を愛してるんだ。
 君だけを愛してるんだ。

 その、君が近くにいるんだ。

 だから、身体が焼け焦げて、半分以上吹っ飛んで、ずたぼろ状態なのも平気だよ。
 不味いけど、それなりに魔力を含んでいる血を飲んで、少しはマシになったからね。

 うん。いつもよりは少し小さいけど、人型を維持して動ける程度には回復した。

 長い、永いかくれんぼだったね。

 とても永くて、とても寂しかったんだ。

 でも、それも今日で終わりだよ。

「ふふっ、君はどこにいるのかな?」

 ねえ、君を見付けたら、また昔みたいにずっと一緒にいようね?

 もう、離れないで。
 独りは、もう嫌なんだ。
 寂しいのは、もういやなんだ。
 だから、今度こそずっとずっと一緒にいてよ。

「ああ……愛してるよ…アーク…」

※※※※※※※※※※※※※※※

「?」
「どうかされました? アレク様」
「い、や…わから、ない…」

 なんか、今、すごくぞわりとした。

「アレク様? お顔が蒼白になっています」

 とても、酷く、不安になった。

「アレク様?」

 なん、だろうこの悪寒は・・・

 厭な、予感がする。

 額が、ぴりぴりする。

 全身が、一気に冷たくなって強張こわばる。

 なんか、怖い・・・

 リリを、強く抱き締める。

「アレク様? どうされました?」

 なにか、怖いモノが、来る・・・

 疼く額を、強く押える。

「アレク様? 頭が痛むのですか?アレク様?」

 不安そうなリリの声に、ゆるく首を振る。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜

のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、 偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。 水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは―― 古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。 村を立て直し、仲間と絆を築きながら、 やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。 辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、 静かに進む策略と復讐の物語。

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

強制力がなくなった世界に残されたものは

りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った 令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達 世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか その世界を狂わせたものは

他人の寿命が視える俺は理を捻じ曲げる。学園一の美令嬢を助けたら凄く優遇されることに

千石
ファンタジー
【第17回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞】 魔法学園4年生のグレイ・ズーは平凡な平民であるが、『他人の寿命が視える』という他の人にはない特殊な能力を持っていた。 ある日、学園一の美令嬢とすれ違った時、グレイは彼女の余命が本日までということを知ってしまう。 グレイは自分の特殊能力によって過去に周りから気味悪がられ、迫害されるということを経験していたためひたすら隠してきたのだが、 「・・・知ったからには黙っていられないよな」 と何とかしようと行動を開始する。 そのことが切っ掛けでグレイの生活が一変していくのであった。 他の投稿サイトでも掲載してます。 ※表紙の絵はAIが生成したものであり、著作権に関する最終的な責任は負いかねます。

勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?

猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」 「え?なんて?」 私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。 彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。 私が聖女であることが、どれほど重要なことか。 聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。 ―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。 前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

処理中です...