347 / 673
302
しおりを挟む「女の子こわい、女の子こわい……」
がたがたと震えながらレザンの後ろでぶつぶつ呟くアルトの声。
「まぁ、落ち着けフィールズ」
ぽんぽんと、あやすように震える背中を撫でるレザンの手。
「レザンぜんばい~っ」
「えっと、わたしは席を外した方が宜しいでしょうか? 怪我も心配ですし、ご挨拶もしようと思ったのですが……この様子だと、無理そうですよね?」
情けないエリオットの姿を、困ったように見詰めるケイトさん。
「ああ、いえ。あれは放っておいて大丈夫です」
まぁ、挨拶は一応しといた方がいいとは思うけど・・・どうせコイツは一頻り泣いたら、またきゃんきゃん喚き始める。
「え? ネイサン様?」
「つか、え~と、フィールズだっけ? 部長にめっちゃ失礼じゃね?」
「ああ、フィールズは女性が苦手だからな。なんでも、年の離れた三人の姉君におもちゃにされて育ったのが原因だと聞いたぞ」
「ぁ~、ねーちゃん達のおもちゃかー。ドンマイ」
「……同情する」
なんて話していると、そろそろ馬場を閉めるから出なさいと顧問に促された。そう言えば、十八時はとっくに過ぎている。
「では、出ましょうか」
と、馬を厩舎へ連れて行って馬場を出た。
「今日はお疲れ様でした。ゆっくり身体を休めてくださいね」
「はい」
返事をすると、ケイトさんは心配そうな顔でレザンに引っ付いたままのエリオットを見ている。
「フィールズ様はミラベル様の弟君だと思うので、ご挨拶をしたかったのですが……」
「っ!? み、ミラ姉様のお知り合いですかっ!?」
姉君の名前に反応したのか、パッと顔を上げるエリオット。
「え? ええ、はい。ミラベル様がご在学の頃には、よくして頂いたので」
「ご、ごめんなさいっ! 失礼な態度をとってしまいました! ミラベル・フィールズの弟のエリオット・フィールズです! 謝罪致しますので、ど、どうかっ、ミラ姉様には言わないでくださいっ!!」
小さく呟くテッド。
「ええ、わかりました。わたしはケイト・セルビアです。宜しくお願いします。フィールズ様」
ケイトさんが頷くと、
「ケイト・セルビア様……って、ハウウェル先輩のお兄様の、セディック様の婚約者様ですかっ!?」
驚いたようなアルトの声。
「はい」
「知ってたの? エリオット」
「もちろんです! セディック様は、ハウウェル侯爵家の跡取りと目されている方ですからね! 僕がハウウェル先輩にお世話になったということもあって、お祖父様がお祝いを贈っていました」
「ああ、そう言えば君って、フィールズ公爵のお孫さんだったっけ」
「はいっ!」
「え?」
「……公爵令孫?」
「うむ。フィールズは、フィールズ伯爵令息でもあるがな」
「マジでっ!?」
「マジだねぇ。しかも、嫡男だったりするし」
「え? 伯爵令息がなんでそんなもんで顔隠してんの? めっちゃ怪しいんだけど?」
「え? 怪しいですか? この格好してると、誰も僕に話し掛けて来ないんですよ? 女の子が避けて行くんです! すごいでしょ!」
ふふんと胸を張るエリオット。女の子避けということで、ストールで顔をぐるぐる巻きなのか。女の子というか、普通の生徒もエリオットを避けていると思うけど。
「すごいっつーか……なぁ? ハウウェル」
47
あなたにおすすめの小説
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
【完結】私から全てを奪った妹は、地獄を見るようです。
凛 伊緒
恋愛
「サリーエ。すまないが、君との婚約を破棄させてもらう!」
リデイトリア公爵家が開催した、パーティー。
その最中、私の婚約者ガイディアス・リデイトリア様が他の貴族の方々の前でそう宣言した。
当然、注目は私達に向く。
ガイディアス様の隣には、私の実の妹がいた──
「私はシファナと共にありたい。」
「分かりました……どうぞお幸せに。私は先に帰らせていただきますわ。…失礼致します。」
(私からどれだけ奪えば、気が済むのだろう……。)
妹に宝石類を、服を、婚約者を……全てを奪われたサリーエ。
しかし彼女は、妹を最後まで責めなかった。
そんな地獄のような日々を送ってきたサリーエは、とある人との出会いにより、運命が大きく変わっていく。
それとは逆に、妹は──
※全11話構成です。
※作者がシステムに不慣れな時に書いたものなので、ネタバレの嫌な方はコメント欄を見ないようにしていただければと思います……。
【完結】離縁ですか…では、私が出掛けている間に出ていって下さいね♪
山葵
恋愛
突然、カイルから離縁して欲しいと言われ、戸惑いながらも理由を聞いた。
「俺は真実の愛に目覚めたのだ。マリアこそ俺の運命の相手!」
そうですか…。
私は離婚届にサインをする。
私は、直ぐに役所に届ける様に使用人に渡した。
使用人が出掛けるのを確認してから
「私とアスベスが旅行に行っている間に荷物を纏めて出ていって下さいね♪」
悪役断罪?そもそも何かしましたか?
SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。
男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。
あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。
えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。
勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。
「お前との婚約はなかったことに」と言われたので、全財産持って逃げました
ほーみ
恋愛
その日、私は生まれて初めて「人間ってここまで自己中心的になれるんだ」と知った。
「レイナ・エルンスト。お前との婚約は、なかったことにしたい」
そう言ったのは、私の婚約者であり王太子であるエドワルド殿下だった。
「……は?」
まぬけな声が出た。無理もない。私は何の前触れもなく、突然、婚約を破棄されたのだから。
結婚したけど夫の不倫が発覚して兄に相談した。相手は親友で2児の母に慰謝料を請求した。
佐藤 美奈
恋愛
伯爵令嬢のアメリアは幼馴染のジェームズと結婚して公爵夫人になった。
結婚して半年が経過したよく晴れたある日、アメリアはジェームズとのすれ違いの生活に悩んでいた。そんな時、机の脇に置き忘れたような手紙を発見して中身を確かめた。
アメリアは手紙を読んで衝撃を受けた。夫のジェームズは不倫をしていた。しかも相手はアメリアの親しい友人のエリー。彼女は既婚者で2児の母でもある。ジェームズの不倫相手は他にもいました。
アメリアは信頼する兄のニコラスの元を訪ね相談して意見を求めた。
王家も我が家を馬鹿にしてますわよね
章槻雅希
ファンタジー
よくある婚約者が護衛対象の王女を優先して婚約破棄になるパターンのお話。あの手の話を読んで、『なんで王家は王女の醜聞になりかねない噂を放置してるんだろう』『てか、これ、王家が婚約者の家蔑ろにしてるよね?』と思った結果できた話。ひそかなサブタイは『うちも王家を馬鹿にしてますけど』かもしれません。
『小説家になろう』『アルファポリス』(敬称略)に重複投稿、自サイトにも掲載しています。
『婚約者を大好きな自分』を演じてきた侯爵令嬢、自立しろと言われたので、好き勝手に生きていくことにしました
皇 翼
恋愛
「リーシャ、君も俺にかまってばかりいないで、自分の趣味でも見つけて自立したらどうだ?正直、こうやって話しかけられるのはその――やめて欲しいんだ……周りの目もあるし、君なら分かるだろう?」
頭を急に鈍器で殴られたような感覚に陥る一言だった。
彼がチラリと見るのは周囲。2学年上の彼の教室の前であったというのが間違いだったのかもしれない。
この一言で彼女の人生は一変した――。
******
※タイトル少し変えました。
・暫く書いていなかったらかなり文体が変わってしまったので、書き直ししています。
・トラブル回避のため、完結まで感想欄は開きません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる