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優雅なお茶会

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メイドがヅラ……ウイッグをセットしてくれた。

私の髪に触れるとき、だいぶ迷っていたが、意を決したように、ようやくウイッグのセットを始めた。
大袈裟なっ……!

ウイッグは、金髪だ。
セットが終わったあと、(頭が重い)と思いながらも、少し興奮気味だった。

しばらく、ウイッグの毛をいじいじと触っていて、あることに気づいた。

「…これって、本物の髪の毛……?」

普通、ウイッグは本物だ。
けれど、このウイッグは違う気がした。

「いえ、違いますよ。偽物です。」

「どうして本物じゃないのかしら…?」

節約を考えたのだろうか……?

偽物と本物、どっちの方が値段が高いのかは知らないが。

「平民は、そこまで上質な髪をしておりませんし、貴族様は、髪を切って売るほど貧しくはありません。」

おお……。

「では、お嬢様。来週のお茶会に向け、準備致しましょう。」

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ーお茶会 当日ー

「スーリン。見えてない?」
「はい。見えておりません、お嬢様」

まるで、ハゲを確認しているみたいだが、そうではないことを理解してほしい。

「完璧ね。行くわよ。」
「かしこまりました。」

馬車に乗って、ブトウカイ……いや、お茶会に向かう。

見た目はカッコいいのに、馬車はガタガタと揺れて乗り心地が悪い。

「到着致しました。」

とうとう、来てしまったか……


いざっ…!!!

会場に入ると、一斉にこちらに目が向いた。

「あれが噂の……」
「お美しい…。」
「どうして今までご出席なさらなかったのかしら。」

会場が一気にザワつく。
第一印象は大事よね。
気高い感じで、けれど、優しく私は微笑んだ。

「ヴィクトリア嬢。」

不意に名前を呼ばれた。
そこには、ひざまずき、手を差し伸べてくるイケメンがいた。

同年代に見えるが……
一体、どちら様なんだろうか。

「第一王子、レオザス・ディルック様です。」

メイドのスーリンがコソッと耳打ちしてくれた。
……第一王子!?
何で、そんなお偉いさんを私がしらなかったかというと、今までお茶会に出席していなかったからだ。

「えと……レオザス・ディルック様…」

なんて言えばいいかわからず、ただただ名前を呼ぶと、彼はふっと優しく微笑みを向けてきた。

「ヴィクトリア・エヴァ・ルティ殿。私と踊って頂けないだろうか。」
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