師匠と森を出た天才魔法使いの私、実力差がありすぎて毎日が退屈です

mikadozero

文字の大きさ
16 / 29
闇堕ち編

16 半人半魔

しおりを挟む
私は困惑をしながらもアリサさんの方を見ていた。
すると、アリサさんは私の方に体を向けて言った。

「私がここにいてはいけないのですか?」

「いや…そんなことは…」

正論すぎて全く言葉が出なかった。
アリサさんは私の頭をなでなでしながら言った。

「あなたにはね…教えておくべきことがあった今いるのよ」

「教えるべきこと?」

私は思わず声に出して言ってしまった。
アリサさんは立ち上がり場所を変えて再び座って話し始めた。

「そう。教えるべきこと…それはねうちの娘ルナは半人半魔なのよ」

「半人半魔?それはどうゆうことですか?」

「それはね、半分人間で半分は魔物なの」

私は聞いて少し驚いてしまった…自分の周りに魔物がいたなんて…その前にルナが半分魔物だったなんて私は驚きすぎて言葉が出なかった。

アリサさんは続けて言った。

「半分魔物というのは本当に珍しい…世界各国探してももう一人いるかわからないくらいの確率だわ…そんな確率をルナは引いてしまった…」

「半分魔物だと何か悪いことでもあるんですか?」

「あるわ…」アリサさんは俯きながら言った。

「半人魔物だといつ暴走して暴れるかわからないもの…人間でいられるのはもう少ないことは確か…」

そんな暗い話を聞いて私の気分はめちゃくちゃの下がっていた。
アリサさんは私の方を向いて言った。

「暴れられたら、この城がいつ崩れてもおかしくない…残念だけど…殺してしまっても構わないわ…」

アリサさんの口から重たい言葉が私の心にぶつかってくる。「殺してしまう」そんな言葉を私は受け入れたくはなかった。

「何か助ける方法はないんですか?」

アリサさんは少し考えた後言った。

「あるわ…だけど…今はできない…」

「それはどうゆうことですか?」

「助ける方法は、魔王とルナを契約させて魔王が従わせる方法」

「えっ?」

「驚くのも無理はないわ。だって今はもう魔王は倒されてるもの…」

私はそっちに驚いたのではない。魔王に従わせるということはある意味魔王に人間の娘を献上しているのと変わらないのではないのか…と考えてしまった。

アリサさんの方を見るとだんだんと薄くなっていっていた。
私はそんなアリサさんに向かって言った。

「私が…ルナのことどうにかします!」

そう言うとアリサさんはニコッと笑い何もなかったかのように消えたのだった。
私はアリサさんと話せて良かったと内心思っていた。


お風呂を出て私はとりあえず父の部屋に向かった。
ドアのを勢いよく開けて私は開口一番に言う。

「父!」

そんな大声に驚いた父は面白い動作をしていた。
椅子に座っていた父が私の方に近づいて来て頭をポンと叩き怒られた。

私はやがて、部屋にあった椅子に座り父と話した。

「何の用だね?」

「実はさっきお風呂に入っていたのですが…入っていた時隣にアリサさんがいまして…」

私が小さな声で言うと父はテーブルを勢いよく叩き私との顔の距離をゼロに近くして言った。

「それは本当か!?」

「本当です」

父は慌てた様子で机の上にあった写真を持って来ていった。

「この写真だぞ!本当に見間違えじゃないな?」

見るとさっき見た人と同じだった。
私は静かに頷く。すると、父は言った。

「私も会いたかったな~」

「入ればいいじゃないですか?」

「それは…辞めておく」

「なんでですか?」

私が父に聞くと父は黙ったまま何も話さなくなってしまった。
まぁ男性が入って来たら少し怖いが…まぁ私は気にしないだろう。

そんなことを考えていると、父は言った。

「で、亡き妻はなんと言っておったんだ?」

私は一息置いていった。

「ルナについて言ってました」

「あぁ…そのことか」

父は再び黙り込んでしまった。私はそんな父に問いかける。

「ルナは…半人半魔って知ってたんですか?」

父は俯きながら重い空気の中言った。

「知っていたよ…妻はルナを直そうとして命を捧げたんだが…全く意味がなかった。妻の死は無駄死にだった…」

父は握り拳をしながら言った。私はそんな父に言った。

「娘さんを殺します…」

「それは辞めてくれ…本当に…」

「ルナはもう闇堕ちしている…」

私が小さく静かに呟くとその後の会話は続かなかった。
そして、部屋を出て自分の部屋に戻り入るとそこにはレミがいたのだった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

悪役令嬢が処刑されたあとの世界で

重田いの
ファンタジー
悪役令嬢が処刑されたあとの世界で、人々の間に静かな困惑が広がる。 魔術師は事態を把握するため使用人に聞き取りを始める。 案外、普段踏まれている側の人々の方が真実を理解しているものである。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

宮廷から追放された聖女の回復魔法は最強でした。後から戻って来いと言われても今更遅いです

ダイナイ
ファンタジー
「お前が聖女だな、お前はいらないからクビだ」 宮廷に派遣されていた聖女メアリーは、お金の無駄だお前の代わりはいくらでもいるから、と宮廷を追放されてしまった。 聖国から王国に派遣されていた聖女は、この先どうしようか迷ってしまう。とりあえず、冒険者が集まる都市に行って仕事をしようと考えた。 しかし聖女は自分の回復魔法が異常であることを知らなかった。 冒険者都市に行った聖女は、自分の回復魔法が周囲に知られて大変なことになってしまう。

悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。

向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。 それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない! しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。 ……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。 魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。 木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ! ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

聖女追放 ~私が去ったあとは病で国は大変なことになっているでしょう~

白横町ねる
ファンタジー
聖女エリスは民の幸福を日々祈っていたが、ある日突然、王子から解任を告げられる。 王子の説得もままならないまま、国を追い出されてしまうエリス。 彼女は亡命のため、鞄一つで遠い隣国へ向かうのだった……。 #表紙絵は、もふ様に描いていただきました。 #エブリスタにて連載しました。

処理中です...