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優しいカラスとクラスメイト
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しおりを挟む移動先は、人気のない教室。
わたしは正座、千景くんは仁王立ち――という恐ろしい図で、お話は始まった。
「で、お前は今、どういう状況なんだよ」
「ど、どういう……と、言いますと?」
「お前の肩にのってる妖怪。そいつ、昨日のタヌキだろ?
なんで一緒にいるんだよ」
「へへ、バレちゃった?」
ポリポリと頭をかくと、千景くんがギロッと睨んで来た。
ヒー! 迫力ありすぎるよ!
あまりのおそろしさに、妖怪のキキでさえ、体を震わせる。
「まさか、本当に妖怪とお友達ごっこしてんのか?」
「いや、お友達っていうか……。
”主”って呼ばれるようになりまして」
かくかくしかじか――昨日の経緯を、千景くんに説明する。
絶対に文句を言われると思ったけど、千景くんは「分かった」と言って、わたしの肩をポンッと叩いた。
「お前、友達じゃなくて……本当はペットが欲しかったんだな」
「へ? いや、キキは、そういうんじゃなくて、」
「もう名前までつけて……」
「だから違うって! あわれみの目を向けないでよ!」
すると、わたしの肩に乗っていたキキが「おい」と口を開く。
「そこの小童。さっきから主に向かって、失礼なヤツめ」
「タヌキ、コイツを主にするのはやめとけ。
度胸はあるみたいだが、けっこうポンコツだぞ」
「え……?」
今、わたしのこと「度胸ある」って、褒めてくれた?
あの魔王サマ千景くんに褒められて、ちょっぴり嬉しい。
だけど、千景くんの言い方が気に入らなかったのか。
キキがわたしの肩に、小さな足で仁王立ちをした。
「ええい、口をつつしめ小童が!
花りん様こそ、わが主!
僕を助けてくれた恩は、生涯かけ主を守ることで、返させていただくのだ!」
「へ、えぇ~!?」
目をパチクリさせ、おどろくわたし。
その横で「げぇ……」と、千景くんはドン引きしていた。
「いまどき式神なんて、はやらねーよ」
「し、式神って……」
式神って確か、陰陽師が使役する神とか妖怪とか……そういうことだったよね?
ん? 陰陽師?
「わたし、陰陽師じゃないよ?」
「もちろん知っておりますよ、主!」
「し、知ってますって……」
じゃあ、どうしてわたしに仕えるんだろう。
わたしを「主」にしたって、良い事ないよ!?
「もっと力のある人のところに仕えた方が、いいんじゃないかな?」
「ほう、例えば?」
「えっと……。あ、千景くん!」
言うと、千景くんは「はあ!?」と驚いた。
「バカ! なんで俺なんだよ!」
「だって千景くんは、祓うことが出来るんでしょ?
ネコにだって、化けることができるし!」
すると、不機嫌な千景くんの顔が、ますます不機嫌になる。
あぁ、どんどん人間離れして、立派な魔王様の顔に……!
「実はアイツ妖怪ですか?」とわたしに聞くキキの声が、震えてる。
うん、気持ちは分かるよ。すごく。
だけど千景くんは、怒りに込めた力を、全身でゆるめた。
そして「アホらし」と。
もはや彼の口グセになった言葉を、ポツリと呟く。
「友達ごっこでも、ペットごっこでも、主従ごっこでも。
好きにやれ。ただし、俺を巻き込むな。
俺は――
好きで祓ってるわけでも、好きでネコになってるわけでもないんだ」
「え……」
それだけ言うと、千景くんは、教室から出て行ってしまった。
その後ろ姿が寂しそうに見えたのは……気のせい?
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