魔女転生〜転生したらご主人様になりました!?〜

ハルン

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No.16 アルス様

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ドナの町が見渡せる町外れの小高い丘。
そこに、2人の黒いローブを着た人物が立っていた。

「………本当に、あの町にあの方が?」

艶のある女性の声が、疑わしげにもう1人の人物に尋ねる。その問いに、もう1人の人物は頷く。

「あぁ、間違い無い。2ヶ月ほど前から、あの町にアルスと言う顔の整った人物が住み着いたらしい」

低い男性の声がそう言うと、ハッとした女は直ぐにでも走り出そうとする。そんな女の肩を、男がグッと掴んで止める。

「何するのよ、ダグラス!」
「落ち着け、ティナ」
「これが落ち着いていられる訳ないでしょっ!あの町に、アルス様が居るのよ!?5ヶ月もの間、ずっと探していたアルス様が見つかったのに、ダグラスは何で落ち着けるのよ!」

ティナと呼ばれた女は、自身の肩を掴むダグラスの手を振り払い、フードの奥からキッと睨む。そんな視線を受けても、ダグラスは動じずにティナを落ち着かせる。

「いいから落ち着け。俺だって、直ぐにでもアルス様の元へ行きたいさ」
「だったらっ!」
「だがな。俺達が今すぐアルス様の元へ行ったとして、アルス様が素直について来ると思うか?」
「そ、それは…」

ティナは、その言葉を聞いて漸く落ち着きを取り戻す。自分達は愚か、組織の誰にも何も言わずに消えたアルス。そんな彼が、素直に自分達と組織に戻るとは限らない。いや、彼の性格では絶対に戻らないだろう。

「………でも、私達にはアルス様が必要なのよ」
「分かってる。だから、こうしてアルス様を探しに来たんだ。まずは、どうしてアルス様は何も言わずに消えてしまったのか知る必要がある。原因が分からなければ、あの方を組織に連れ戻す事は出来ないだろうからな」

その言葉に、ティナは頷く。
どんな手段を使っても、アルスに戻って来て貰わなくてはならないのだから。

「これからどうするの?」
「まずは、アルス様の周辺を探る。だが、近付き過ぎるとアルス様にバレてしまう。そうなったら、また姿を眩ませてしまうだろうからな。慎重に行動する」
「分かったわ」

頷いたティナは、ドナの町を見下ろす。

「………何故アルス様は、この町に滞在する事を選んだのかしら」

今までは、町に数週間留まり次の町に移動するだけだった。なのに、このドナの町には2ヶ月もの間滞在するだけでは無く、住み着いているのだ。

「分からん。…だが、もしかしたらこの町にアルス様が組織から突然消えた原因があるのかも知れない。何にしろ、俺達の目的はただ一つ。アルス様を組織に連れ戻す事だ」
「そうね。なるべく早く、アルス様を連れ戻さないと」

改めて己の使命を胸に刻み、2人はドナの町に向かったのだった。

******

「くしゅっ!」
「リオちゃん、風邪?」
「いえ、何でも無いです」

小さなクシャミをしただけで、アルスは莉緒の側にやって来て心配そうな顔をする。

「おいおい、アルス。クシャミの一つくらいで大袈裟だぞ。前に、俺がクシャミしたって無視したくせに」

そんなアルスに、ダンテは呆れた様に話す。

「ダンテさんとリオちゃんでは、全然違うからね。ダンテさんは、裸で一日中過ごしてても風邪一つ引かなそうだよね」
「いや、そんな事したら唯の変態だろ!」

忍び寄る怪しい2人に気付く事なく、今日も平和な1日を過ごす莉緒であった。



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