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第1章
闇夜の密談②
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この国の王妃が犯罪組織を率いているなど…。嘆かわしいと言わんばかりに、首を横に振る。そんなガスを見ながら、アレックスは言葉を続ける。
「国王である父は、あの女に魅了魔法をかけられ操り人形状態です。私が何を言っても、考え過ぎだと笑われるだけ」
悔しそうに、拳を握り締めるアレックス。父が操られているのに何も出来ない自分自身に酷く怒りを感じているのだ。
「何年もの間、私はあの女の悪事を暴く為に証拠集めに奔走してきました。ですが、あと一歩と言うところで毎回逃げられる。………そんな事ばかりが何年も続き、正直もう疲れ果てていました」
そこで、一旦言葉を切る。
そうして、次にガスを見つめたその瞳には希望の光が宿っていた。
「ーーですが、その時です。誘拐されて無事に帰って来た弟から貴方の事を聞いたのは」
アレックスは、強い眼差しを向けながら感謝を口にする。
「弟を、アルミンを助けて頂きありがとうございました。貴方から弟の無事を知らせる手紙が届いた時、どれ程安堵したことか」
「いえ、私が殿下を助けた訳ではありません。マリオンが殿下を連れて来なければ、殿下は今頃無事では無かったでしょう…」
その言葉に、アレックスは頷く。
「勿論、それは分かっています。彼は、弟の命の恩人だ」
アレックスは、マリオンを男と勘違いしていた。ガスは、一瞬口を開くが直ぐに閉じる。過去のある出来事があり、マリオンは男の様に過ごしている。別に、バレたらバレたで構わないのだが…。
(勘違いをしているなら、そのままにしておきましょう…)
態々教える必要は無いと、ガスは判断した。
「今日、マリオンをスカウトしたとか…」
「聞きましたか。彼に会って、話をして、話を聞いて、彼はスカウトする価値があると判断しました」
アレックスは、ガスがマリオンの秘密を知っているか分からなかったので、マリオンとの間の出来事を詳しくは話さなかった。
「………まぁ、未だ彼から了承は得ていませんが」
そうは言っているが、何処か自信ありげにアレックスは微笑む。そんなアレックスを見て、ガスは苦笑いをする。
「自信ありげですね」
「えぇ。かなりあります」
「まぁ、次期国王である殿下に、直々にスカウトされて断れる者は殆ど居ないでしょうからね。それが、平民なら尚更です。それを、殿下程の方が分からない筈が無いと思うのですが…」
ガスの咎める様な視線に、アレックスはニコリと笑う。
「自分でも、少し意地が悪いと自覚している。ーーだが、それでも彼の協力を仰ぎたいと思ったのです。彼には、その価値がある」
「………そうですか。私が何を言っても、決めるのはあの子です」
ーーですが。
「あの子を、マリオンを傷付けないと約束して下さい。もしも、あの子を危険な目に合わせたら例え殿下であろうと許すつもりはありません」
「わかっています。彼は、無事にガス殿の元へ返すと誓います」
その言葉に、ガスは満足そうに頷く。
「その言葉を忘れないで下さいね」
「はい。ーーそれで、彼に頼む事とは別にガス殿にお願いしたい事があります」
「お聞きしましょう」
そうして、2人は朝方近くまで話し合いを続けたのだった。
「国王である父は、あの女に魅了魔法をかけられ操り人形状態です。私が何を言っても、考え過ぎだと笑われるだけ」
悔しそうに、拳を握り締めるアレックス。父が操られているのに何も出来ない自分自身に酷く怒りを感じているのだ。
「何年もの間、私はあの女の悪事を暴く為に証拠集めに奔走してきました。ですが、あと一歩と言うところで毎回逃げられる。………そんな事ばかりが何年も続き、正直もう疲れ果てていました」
そこで、一旦言葉を切る。
そうして、次にガスを見つめたその瞳には希望の光が宿っていた。
「ーーですが、その時です。誘拐されて無事に帰って来た弟から貴方の事を聞いたのは」
アレックスは、強い眼差しを向けながら感謝を口にする。
「弟を、アルミンを助けて頂きありがとうございました。貴方から弟の無事を知らせる手紙が届いた時、どれ程安堵したことか」
「いえ、私が殿下を助けた訳ではありません。マリオンが殿下を連れて来なければ、殿下は今頃無事では無かったでしょう…」
その言葉に、アレックスは頷く。
「勿論、それは分かっています。彼は、弟の命の恩人だ」
アレックスは、マリオンを男と勘違いしていた。ガスは、一瞬口を開くが直ぐに閉じる。過去のある出来事があり、マリオンは男の様に過ごしている。別に、バレたらバレたで構わないのだが…。
(勘違いをしているなら、そのままにしておきましょう…)
態々教える必要は無いと、ガスは判断した。
「今日、マリオンをスカウトしたとか…」
「聞きましたか。彼に会って、話をして、話を聞いて、彼はスカウトする価値があると判断しました」
アレックスは、ガスがマリオンの秘密を知っているか分からなかったので、マリオンとの間の出来事を詳しくは話さなかった。
「………まぁ、未だ彼から了承は得ていませんが」
そうは言っているが、何処か自信ありげにアレックスは微笑む。そんなアレックスを見て、ガスは苦笑いをする。
「自信ありげですね」
「えぇ。かなりあります」
「まぁ、次期国王である殿下に、直々にスカウトされて断れる者は殆ど居ないでしょうからね。それが、平民なら尚更です。それを、殿下程の方が分からない筈が無いと思うのですが…」
ガスの咎める様な視線に、アレックスはニコリと笑う。
「自分でも、少し意地が悪いと自覚している。ーーだが、それでも彼の協力を仰ぎたいと思ったのです。彼には、その価値がある」
「………そうですか。私が何を言っても、決めるのはあの子です」
ーーですが。
「あの子を、マリオンを傷付けないと約束して下さい。もしも、あの子を危険な目に合わせたら例え殿下であろうと許すつもりはありません」
「わかっています。彼は、無事にガス殿の元へ返すと誓います」
その言葉に、ガスは満足そうに頷く。
「その言葉を忘れないで下さいね」
「はい。ーーそれで、彼に頼む事とは別にガス殿にお願いしたい事があります」
「お聞きしましょう」
そうして、2人は朝方近くまで話し合いを続けたのだった。
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