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第2章

No.166

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「ーーさて、俺はそろそろ仕事に戻る時間だ。今日の対談は此処までにしよう」

部屋に置かれている振り子時計を見て、バンラートが皆に言う。その一言で、驚きに満ちた対談は終わりを告げる。

「そうですね。陛下がサボってばかりいるので、仕事が山積みなんです。これ以上、仕事が滞る事は出来ません」
「なっ!俺はやれば出来るんだよ!ただ、やる気が起きないだけで……」
「それより」
「無視かよ!!」

叫くバンラートを無視しながら、ドランはステインを見る。

「貴方は、これからどうしますか?」
「どう、とは?」

ステインが、不思議そうにドランに尋ねる。

「貴方が、マコ様の叔父で今までの話が本当だと言う事は、この場にいる私達全員が信じています。その為、貴方を拘束する理由が無くなりました。なので、これから貴方は自由です。勿論、この国を出て行かせる事は出来ません。貴方には、この王都内で過ごしてもらいます。それを守って頂けたら後は好きにして下さい。ーーで、どう過ごしますか?」

ステインは、悩む間も無く真琴を見つめながら話す。

「勿論、マコの側にいる。………やっと、やっとマコと、俺の家族に会えたんだ。今は、側を離れたくない」
「ーーだ、そうですよ?」

そう言って、ドランはアルフォンスを見る。
当のアルフォンスは、眉間にシワを寄せてステインを見つめる。

アルフォンス自身、ステインの話した事は事実だと思っているし、真琴の家族が見つかって嬉しいとも思っている。真琴が世界から消えた日から、アルフォンスはずっと自分を責め続けて来た。何故そうなったかは分からないが、真琴が消えた理由に少なからずアルフォンスが関係しているからだ。

ーー自身の軽率な発言で、真琴から大切な家族を奪ってしまった。

真琴の祖父母達からも、遺された娘夫婦の忘形見である真琴を奪ったのだ。祖父母達は死ぬ間際、雨の日も風の日も、どんな時でも毎日欠かさず2人に頭を下げて謝るアルフォンスを許した。だから、娘夫婦と自身の墓を一緒にして、見晴らしの良い場所に建ててくれとお願いしたのだ。

だが、それでもアルフォンスは自身の犯した罪を忘れる事は一生無いだろう。

だから、真琴がこの世界の家族と再会した事は本当に嬉しい。ーーだが。

「グルルル」

無意識に、喉から威嚇音が出てしまった。
それを聞いたバンラートが、呆れた目をする。

「おいおい、アル。マコの叔父だぜ?血の繋がった家族だぜ?それなのに、嫉妬して威嚇するなよ」
「そうですよ。男とは言え、彼は歴としたマコ様の親族です。それなのに、一緒に住む事に嫉妬するなんて………。いくら何でも、心が狭すぎますよ」

2人の呆れた非難の声に、アルフォンスはムッとする。

「そんな事は、分かっている。……それでも、真琴の側に男が近付くのが気に入らないと思ってしまうんだ」

仕方ないだろうと、アルフォンスが抗議する。

「俺は、絶対にマコの側にいるぞ」

ステインが、強い口調でアルフォンスに告げる。

「………………」
「いや、そこで黙るなよ!!」

最後の抵抗とばかりに無言を貫くアルフォンスに、バンラートが叫ぶ。そんな事が数分続いたが、結局は真琴のお願いに、アルフォンスが態度をコロッと変えて頷く事で終わりを告げたのだった。




※完結していないのに、新しい連載始めてしまいました。よかったら、そちらもどうぞ!
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