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第2章

No.208

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「おいおい、マジか~……」
「陛下、はしたないですよ。そのアホみたいに開いた口を閉じて下さい。………まぁ、驚く気持ちは分かりますが」

そう言って、ドランは目の前に座る真琴と彼女の周りを楽しそうに飛ぶ精霊達を見つめた。

***

精霊が現れた次の日、真琴はアルフォンスと共に城へとやって来ていた。精霊が現れた事を、精霊の存在を知っているバンラートとドランに報告する為だ。

「きっと、彼奴ら凄く驚くぞ」

騎士に案内されて王の執務室に向かう途中、アルフォンスが心底楽しそうに笑う。

「バンラートは兎も角、もしかしたらドランの間抜けな顔が見られるかもしれないな」
「そうですか?……正直、ドラン様がそんな表情をする事が想像出来ません」

遠回しに、バンラートは間抜けな表情をすると思っていると言っている事に真琴は気付いていない。

「まぁな。ドランは、小さい頃から冷静な奴だった。だから、幼馴染みの俺とバンラートでもドランのそんな表情は滅多に見た事がない」
「でも、一度は見た事があるんですね」
「あぁ。ドランが番を見つけた時にな」

そう言って、その時の事を思い出したのだろう。クスクスと楽しそうに笑うアルフォンスを見て、その時の事が凄く気になった。

「そんなに面白かったんですか?」
「あぁ。ドランの番は、踊り子をしながら旅をしている猫の獣人だったんだ。その時も、ドラゴニールの祭りを見にやって来ててな。旅の資金を稼ぐ為に、広場で踊りを披露してたんだ。あの時、バンラートが祭りに行きたいと駄々をこねてな。余りにもしつこかったんで、仕方なく三人で祭りを見に出掛けたんだ」

***

『おい、見ろよ!あの肉美味そうじゃないか?』
『おいっ!勝手に動き回るな!』
『………全く。いいですか、陛下?祭りに行くのは許しましたが、3時間だけですよ?城の者達に、陛下がいない事を隠せるのが3時間だけですからね。その代わり、私達から決して離れないと約束しましたよね?』
『わかってるって、任せろ!………おっ!あそこで売ってる焼き菓子も美味そうだな!』
『だから勝手に動くな!』
『ハァ……。全く………っ!』
『………ん?ドラン、どうした?口が開きっぱなしだぞ?お前、何時もオレに言ってるだろう?「馬鹿みたいに口を開けていると、虫が入りますよ」って。なぁ、アル?』
『あぁ。………本当に、どうしたんだ?』
『………私の麗しき女神だ』
『『は?』』

***

「えっ!あのドラン様が、そんな事を言ったんですか!?」

真琴は、驚きの声を上げる。
正直、あのドランがそんな事を言うとは思わなかった。

「俺も、最初は自身の耳を疑った。後にも先にも、そんな事を俺達の前で言ったのはアレが最後だがな」
「到着しました。中で、王がお待ちです」

そんな話をしているうちに、王の執務室に着いたのだった。




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