210 / 243
第2章
No.209
しおりを挟む
執務室に入ると、バンラートがアルフォンスに向かって勢い良く抱きついて来た。
「アルーーっ!会いたかったぜ、我が友よ!」
「離れろ、鬱陶しいっ!大体、2、3日前に此処であったばかりだろうが!」
「無駄ですよ、アル」
「………どう言う事だ?」
必死に抱きついて来るバンラートの顔を押し除けているアルフォンスは、ドランの言葉に反応する。
「陛下は、最近マリアンヌ様と仕事ですれ違いが続いているんです。その寂しさがアルを見て爆発したんですよ」
「アルアルアル~~っ!」
「えぇいっ!鬱陶しいっ!俺は、男と抱き合う趣味は無いっ!俺に抱きついて良いのは、真琴だけだ!」
「そんなっ!!俺とマコ、どっちが大事なんだよっ!」
「真琴に決まっているだろう、このアホが!」
そんな二人のやり取りを見ている真琴を、ドランが席へと案内する。真琴の背中とソファーの間にクッションを入れる。そうして、宰相自ら紅茶を入れてくれた。
ーー完璧なエスコートだった。
「ありがとうございます」
「いえ、しょうもないやり取りを見せてしまったお詫びです」
そう言って、未だ騒ぐ二人に冷たい目を向ける。
「陛下、そろそろ本題に入りたいのですが。時間は有限なんですよ?陛下がこうしている間にも、次々と仕事は溜まっています。そうして、マリアンヌ様と会う時間も減って行くのです。分かってますか?」
「お、おう…」
「それは良かったです。……なら、さっさと無駄なやり取りをやめろ。このアホが」
絶対零度の眼差しのドランの言葉に、バンラートはサッと真琴の目の前のソファーに座る。漸くバンラートから解放されたアルフォンスは、ぐったりとした様子で真琴の隣に座ると彼女の腰に手を回し肩にに頭を乗せて甘えて来る。少し前の真琴なら、人前でこんな事をされたら羞恥心で顔が真っ赤になっていただろう。ーーしかし、常日頃からサザーランド邸の使用人達の前でこの様な事をされている為、此れ式の事では何とも思わなくなっていた。
ーー要は、慣れなのである。
だが、真琴は知らない。
竜人と言う種族は、自身の番がスキンシップを恥ずかしがる様なら、こうやって毎日少しずつ徐々に慣れさせて行き、最終的には自身と同じ位のスキンシップを取らせる、又はスキンシップに疑問を抱かない様にする生き物なのである。
その為、そんな二人を見てもバンラートとドランは何も言わないのだ。知らない間に、竜人のーーアルフォンスの術中に嵌っている真琴であった。
「アルーーっ!会いたかったぜ、我が友よ!」
「離れろ、鬱陶しいっ!大体、2、3日前に此処であったばかりだろうが!」
「無駄ですよ、アル」
「………どう言う事だ?」
必死に抱きついて来るバンラートの顔を押し除けているアルフォンスは、ドランの言葉に反応する。
「陛下は、最近マリアンヌ様と仕事ですれ違いが続いているんです。その寂しさがアルを見て爆発したんですよ」
「アルアルアル~~っ!」
「えぇいっ!鬱陶しいっ!俺は、男と抱き合う趣味は無いっ!俺に抱きついて良いのは、真琴だけだ!」
「そんなっ!!俺とマコ、どっちが大事なんだよっ!」
「真琴に決まっているだろう、このアホが!」
そんな二人のやり取りを見ている真琴を、ドランが席へと案内する。真琴の背中とソファーの間にクッションを入れる。そうして、宰相自ら紅茶を入れてくれた。
ーー完璧なエスコートだった。
「ありがとうございます」
「いえ、しょうもないやり取りを見せてしまったお詫びです」
そう言って、未だ騒ぐ二人に冷たい目を向ける。
「陛下、そろそろ本題に入りたいのですが。時間は有限なんですよ?陛下がこうしている間にも、次々と仕事は溜まっています。そうして、マリアンヌ様と会う時間も減って行くのです。分かってますか?」
「お、おう…」
「それは良かったです。……なら、さっさと無駄なやり取りをやめろ。このアホが」
絶対零度の眼差しのドランの言葉に、バンラートはサッと真琴の目の前のソファーに座る。漸くバンラートから解放されたアルフォンスは、ぐったりとした様子で真琴の隣に座ると彼女の腰に手を回し肩にに頭を乗せて甘えて来る。少し前の真琴なら、人前でこんな事をされたら羞恥心で顔が真っ赤になっていただろう。ーーしかし、常日頃からサザーランド邸の使用人達の前でこの様な事をされている為、此れ式の事では何とも思わなくなっていた。
ーー要は、慣れなのである。
だが、真琴は知らない。
竜人と言う種族は、自身の番がスキンシップを恥ずかしがる様なら、こうやって毎日少しずつ徐々に慣れさせて行き、最終的には自身と同じ位のスキンシップを取らせる、又はスキンシップに疑問を抱かない様にする生き物なのである。
その為、そんな二人を見てもバンラートとドランは何も言わないのだ。知らない間に、竜人のーーアルフォンスの術中に嵌っている真琴であった。
1
あなたにおすすめの小説
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
眷属神の花嫁〜四当主の花嫁争奪譚〜神縁の行方
雨香
恋愛
神々の眷属である四つの種族に、百年に一度当主の嫁取りがある。
花嫁を手にした当主は膨大な力を得、一族には繁栄が約束される。
神託により決定される花嫁は通常一人。
その一人を|八咫烏《やたがらす》一族、狐一族、狛犬一族、龍の一族で奪い合う。
何故か二人も選ばれてしまった花嫁をめぐる、お見合い現代ファンタジー。
魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました
iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。
両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。
両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。
しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。
魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。
自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。
一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。
初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。
恋人になりたいが、年上で雇い主。
もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。
そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。
そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。
レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか?
両片思いのすれ違いのお話です。
英雄の番が名乗るまで
長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。
大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。
※小説家になろうにも投稿
呪われた黒猫と蔑まれた私ですが、竜王様の番だったようです
シロツメクサ
恋愛
ここは竜人の王を頂点として、沢山の獣人が暮らす国。
厄災を運ぶ、不吉な黒猫─────そう言われ村で差別を受け続けていた黒猫の獣人である少女ノエルは、愛する両親を心の支えに日々を耐え抜いていた。けれど、ある日その両親も土砂崩れにより亡くなってしまう。
不吉な黒猫を産んだせいで両親が亡くなったのだと村の獣人に言われて絶望したノエルは、呼び寄せられた魔女によって力を封印され、本物の黒猫の姿にされてしまった。
けれど魔女とはぐれた先で出会ったのは、なんとこの国の頂点である竜王その人で─────……
「やっと、やっと、見つけた────……俺の、……番……ッ!!」
えっ、今、ただの黒猫の姿ですよ!?というか、私不吉で危ないらしいからそんなに近寄らないでー!!
「……ノエルは、俺が竜だから、嫌なのかな。猫には恐ろしく感じるのかも。ノエルが望むなら、体中の鱗を剥いでもいいのに。それで一生人の姿でいたら、ノエルは俺にも自分から近付いてくれるかな。懐いて、あの可愛い声でご飯をねだってくれる?」
「……この周辺に、動物一匹でも、近づけるな。特に、絶対に、雄猫は駄目だ。もしもノエルが……番として他の雄を求めるようなことがあれば、俺は……俺は、今度こそ……ッ」
王様の傍に厄災を運ぶ不吉な黒猫がいたせいで、万が一にも何かあってはいけない!となんとか離れようとするヒロインと、そんなヒロインを死ぬほど探していた、何があっても逃さない金髪碧眼ヤンデレ竜王の、実は持っていた不思議な能力に気がついちゃったりするテンプレ恋愛ものです。世界観はゆるふわのガバガバでつっこみどころいっぱいなので何も考えずに読んでください。
※ヒロインは大半は黒猫の姿で、その正体を知らないままヒーローはガチ恋しています(別に猫だから好きというわけではありません)。ヒーローは金髪碧眼で、竜人ですが本編のほとんどでは人の姿を取っています。ご注意ください。
【完結】2番目の番とどうぞお幸せに〜聖女は竜人に溺愛される〜
雨香
恋愛
美しく優しい狼獣人の彼に自分とは違うもう一人の番が現れる。
彼と同じ獣人である彼女は、自ら身を引くと言う。
自ら身を引くと言ってくれた2番目の番に心を砕く狼の彼。
「辛い選択をさせてしまった彼女の最後の願いを叶えてやりたい。彼女は、私との思い出が欲しいそうだ」
異世界に召喚されて狼獣人の番になった主人公の溺愛逆ハーレム風話です。
異世界激甘溺愛ばなしをお楽しみいただければ。
ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~
紅子
恋愛
魂の修行を終えた私は、ご褒美に神様から丈夫な身体をもらい最後の転生しました。公爵令嬢に生まれ落ち、素敵な仮婚約者もできました。家族や仮婚約者から溺愛されて、幸せです。ですけど、神様。私、お願いしましたよね?寿命をベッドの上で迎えるような普通の目立たない人生を送りたいと。やりすぎですよ💢神様。
毎週火・金曜日00:00に更新します。→完結済みです。毎日更新に変更します。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる