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#1:入学前夜~出会い
#1-3.ほんの少しだけ隣のブラコン弟が可哀想になりました
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教室でのオリエンテーションも無事終わり、あとは寮へと戻るのみ。
明日からの授業の時間割や用意するものなど書かれたプリントを鞄にしまい、マリナが教室を出ようとした時だった。
前の方から何やらざわざわと聞こえだし、それがだんだんと近づいてくるのを感じる。
「……兄さん?一年の教室にどうしたの?」
隣の席のユーゴイルが立ち上がって、嬉しそうにそちらに駆けていく。
マリナもその姿を追ってそちらを見ると、ユーゴイルと同じ金髪の背の高い人が、少しだけ誰かを探すような素振りをした後、こちらに向かってゆっくりと歩いてくるところだった。
マリナが自分には関係ないと、立ち上がってすぐ横にある扉から出ようとすると、同時に出ようとした人とぶつかりかけた。
「あ、マ……」
思わず名前を呼びそうになって慌てて口を噤む。
マルセルもマリナに何かを言おうとして向かい合って立ち止まってた所に、先程の金髪の人がやってきた。
「ちょっといいかな」
先に出ようとしていたマルセルが腕を掴まれていた。
「あの……?」
マリナには見覚えがないが、マルセルの知り合いなのだろうか。
その割に腕を掴まれたマルセルが戸惑ってるようにも見える。
「君、今年の首席だよね、マルセイラ君」
「ああ、はい」
なに、この人。藪から棒に。
ウチのコ優秀ですけど、何か?
マリナは弟に不躾に接する人物に対し、静かに憤慨していた。
「私は生徒会長のユーリウス」
「……どうも」
マルセルが微かにびっくりした顔をしつつも軽く頭を下げ、有無を言わせぬ圧で差し出された会長の手を取り握手を交わす。
どうやらこの人は生徒会長らしい。
そう言えば、入学式で挨拶をしていたようなしていないような……夢現で記憶が。
「早速だが、慣習として首席入学の子は生徒会に入ってもらう事になっている」
「……はい?」
青天の霹靂とばかりに目を見開いて驚くマルセル。
そりゃそうでしょう、初めて聞いたわそんな制度。
他人のフリをしなきゃならないのに、そんな目を向けられても困るとマリナは戸惑った。
「お前!兄さんがわざわざ教室まで来てくださったのに、何だよその態度は」
マルセルの手が会長から離れた瞬間、ユーゴイルがマルセルの胸倉を掴みまくし立てた。
あー……さっきも「兄さん」って呼んでたけど、君のお兄ちゃんは生徒会長様だったのか。
(なるほど、お兄ちゃん大好きっ子かー、ユーゴイルは。ブラコンめ)
かく言うマリナも弟大好きなので、マルセルに手を出したことは許さないぞと軽く睨みつける。
「ユーゴ、首席を取れなかったお前が何かを言う資格はない」
「兄さん……」
マルセルに憤りをぶつけた弟に対し、極寒ブリザードの如き冷たさで応じる生徒会長様。
ユーゴってユーゴイルの愛称か。
会長がユーゴイルの手を掴んで降ろさせると、さっきまでの威勢はどこへやらユーゴイルは見る間にしょぼくれた。
マリナはその様子が可哀想に思えて、ユーゴイルを許してあげることにした。
「まあ幸いにして新入生の生徒会枠は3つある、首席の君と次点のユーゴ。それと……」
会長がマリナの方へ視線を向けるのに気付き、無意識に素早く目をそらす。
何か用だろうか?
遮断しきれないザクザクと刺さりそうに感じる視線は一体どういう……。
「成績順の座席の最後方、君が残り一枠だ」
コンタクトをしているとは言え、出来るだけ目を合わせないように、マリナは殊更ゆっくりと顔を向けた。
何をおっしゃってるんでしょうか。
意味がわかりません。
「え……?わたし?」
「この席に座っているのは?」
「わたしです」
「その通り、マリネッテ嬢」
どうして名前を知っているのか。
「今から顔合わせを兼ねて昼食会を行う。生徒会室まで同行願おう」
そう言って会長は、マリナの手を取ろうと手を伸ばした。
手が触れた瞬間、二人の間にバチッと静電気のような衝撃が走る。
な、なに?今の……。
「あー……うん」
マリナと同じ衝撃を彼も受けたのか、掴もうとした手をしげしげと見つめ何やら納得した様子の会長は、改めて逃げられないようにかしっかり指まで絡めて手を取り扉を出ようとする。
今度はマリナが困ってマルセルの方を見ると、マルセルも驚いた顔をしていた。
他人のフリしなきゃなのはわかるが、少しは助けて欲しい。
しかし、幾らこんな横暴とも言える所業を受けたとして、入学したばかりの一年生ごときが、アカデミー全校生徒のトップである生徒会長様に、何を申し立てられるというのか。
「ユーリ!勝手に動かないでくださいと!」
「……見つけたのか」
そこに、会長の後を追ってかさらに上級生と思しき人が二人やってきた。
「ドール、ケント。新入生は確保した。手配はどうなっている?」
「それはマシューがやっていますが」
会長に親しげに話しかけるこの人たちも生徒会の人たちなんだろうか。
会長とはまた毛色の違った人たちだ。
助けが来たと思った見通しは甘かったとマリナは肩を落とす。
「さ、行こうか」
意味深に笑みを浮かべる会長は、マリナの手を離す気はないらしい。
結局掴まれた手は振りほどけないまま、マリナとマルセル、ユーゴイルの3人は、会長を先頭に人だかりをかき分け連れて行かれる羽目になった。
目立ちたくないというマリナのささやかな願いは、どうやら聞き入れられないようだ。
1ミリも信じちゃいないが、神様を恨めしく思うのは仕方ないと思う!
明日からの授業の時間割や用意するものなど書かれたプリントを鞄にしまい、マリナが教室を出ようとした時だった。
前の方から何やらざわざわと聞こえだし、それがだんだんと近づいてくるのを感じる。
「……兄さん?一年の教室にどうしたの?」
隣の席のユーゴイルが立ち上がって、嬉しそうにそちらに駆けていく。
マリナもその姿を追ってそちらを見ると、ユーゴイルと同じ金髪の背の高い人が、少しだけ誰かを探すような素振りをした後、こちらに向かってゆっくりと歩いてくるところだった。
マリナが自分には関係ないと、立ち上がってすぐ横にある扉から出ようとすると、同時に出ようとした人とぶつかりかけた。
「あ、マ……」
思わず名前を呼びそうになって慌てて口を噤む。
マルセルもマリナに何かを言おうとして向かい合って立ち止まってた所に、先程の金髪の人がやってきた。
「ちょっといいかな」
先に出ようとしていたマルセルが腕を掴まれていた。
「あの……?」
マリナには見覚えがないが、マルセルの知り合いなのだろうか。
その割に腕を掴まれたマルセルが戸惑ってるようにも見える。
「君、今年の首席だよね、マルセイラ君」
「ああ、はい」
なに、この人。藪から棒に。
ウチのコ優秀ですけど、何か?
マリナは弟に不躾に接する人物に対し、静かに憤慨していた。
「私は生徒会長のユーリウス」
「……どうも」
マルセルが微かにびっくりした顔をしつつも軽く頭を下げ、有無を言わせぬ圧で差し出された会長の手を取り握手を交わす。
どうやらこの人は生徒会長らしい。
そう言えば、入学式で挨拶をしていたようなしていないような……夢現で記憶が。
「早速だが、慣習として首席入学の子は生徒会に入ってもらう事になっている」
「……はい?」
青天の霹靂とばかりに目を見開いて驚くマルセル。
そりゃそうでしょう、初めて聞いたわそんな制度。
他人のフリをしなきゃならないのに、そんな目を向けられても困るとマリナは戸惑った。
「お前!兄さんがわざわざ教室まで来てくださったのに、何だよその態度は」
マルセルの手が会長から離れた瞬間、ユーゴイルがマルセルの胸倉を掴みまくし立てた。
あー……さっきも「兄さん」って呼んでたけど、君のお兄ちゃんは生徒会長様だったのか。
(なるほど、お兄ちゃん大好きっ子かー、ユーゴイルは。ブラコンめ)
かく言うマリナも弟大好きなので、マルセルに手を出したことは許さないぞと軽く睨みつける。
「ユーゴ、首席を取れなかったお前が何かを言う資格はない」
「兄さん……」
マルセルに憤りをぶつけた弟に対し、極寒ブリザードの如き冷たさで応じる生徒会長様。
ユーゴってユーゴイルの愛称か。
会長がユーゴイルの手を掴んで降ろさせると、さっきまでの威勢はどこへやらユーゴイルは見る間にしょぼくれた。
マリナはその様子が可哀想に思えて、ユーゴイルを許してあげることにした。
「まあ幸いにして新入生の生徒会枠は3つある、首席の君と次点のユーゴ。それと……」
会長がマリナの方へ視線を向けるのに気付き、無意識に素早く目をそらす。
何か用だろうか?
遮断しきれないザクザクと刺さりそうに感じる視線は一体どういう……。
「成績順の座席の最後方、君が残り一枠だ」
コンタクトをしているとは言え、出来るだけ目を合わせないように、マリナは殊更ゆっくりと顔を向けた。
何をおっしゃってるんでしょうか。
意味がわかりません。
「え……?わたし?」
「この席に座っているのは?」
「わたしです」
「その通り、マリネッテ嬢」
どうして名前を知っているのか。
「今から顔合わせを兼ねて昼食会を行う。生徒会室まで同行願おう」
そう言って会長は、マリナの手を取ろうと手を伸ばした。
手が触れた瞬間、二人の間にバチッと静電気のような衝撃が走る。
な、なに?今の……。
「あー……うん」
マリナと同じ衝撃を彼も受けたのか、掴もうとした手をしげしげと見つめ何やら納得した様子の会長は、改めて逃げられないようにかしっかり指まで絡めて手を取り扉を出ようとする。
今度はマリナが困ってマルセルの方を見ると、マルセルも驚いた顔をしていた。
他人のフリしなきゃなのはわかるが、少しは助けて欲しい。
しかし、幾らこんな横暴とも言える所業を受けたとして、入学したばかりの一年生ごときが、アカデミー全校生徒のトップである生徒会長様に、何を申し立てられるというのか。
「ユーリ!勝手に動かないでくださいと!」
「……見つけたのか」
そこに、会長の後を追ってかさらに上級生と思しき人が二人やってきた。
「ドール、ケント。新入生は確保した。手配はどうなっている?」
「それはマシューがやっていますが」
会長に親しげに話しかけるこの人たちも生徒会の人たちなんだろうか。
会長とはまた毛色の違った人たちだ。
助けが来たと思った見通しは甘かったとマリナは肩を落とす。
「さ、行こうか」
意味深に笑みを浮かべる会長は、マリナの手を離す気はないらしい。
結局掴まれた手は振りほどけないまま、マリナとマルセル、ユーゴイルの3人は、会長を先頭に人だかりをかき分け連れて行かれる羽目になった。
目立ちたくないというマリナのささやかな願いは、どうやら聞き入れられないようだ。
1ミリも信じちゃいないが、神様を恨めしく思うのは仕方ないと思う!
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