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#2:邂逅~それぞれの思い
#2-7.1号2号が大物過ぎる件(友達の定義とは?)
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「今日の仕事は、冊子作りです」
休憩と称したお茶の時間を終え、作業室に向かうとテーブルには紙の山。
「1年生の分だけだから冊数はないけど、枚数が多いんだよね」
1年生のってことはマリナにも関係あることなのだろう。
積まれた紙を見ると、先輩方が言ったとおり、山自体は高くないが小山がいっぱいって感じ。
一番端の、恐らく表紙になるであろう紙のタイトルを見ると「宿泊研修」の文字が見える。
「宿泊研修……?」
「1年生の恒例行事ですよ。新入生同士親睦を深めるってやつです」
「親睦を深める……」
「どうしました?学院のパンフレットにも載っていたでしょう?」
(そんなのあったかな……)
入学式で渡された案内冊子なら全て目を通したわけではないが、そもそもアカデミーのパンフレットなんて見た覚えがない。
この学院に入ることを決めたのはマルセルだし、自分は父に言われるままマルセルに付いてきただけだ。要するに、宿泊研修なんて行事の存在を知らない。
宿泊研修……文字通り「宿泊」して「研修」すること。
どこで?
誰と?
何を?
どうもマリナは、領地で引きこもって社交界を嫌厭してきただけあって、未だ同年代の人との付き合い方がよくわからないままだ。
クラスの女子からはなんだか遠巻きにされてるような気がするし、いつの間にか仲良しグループみたいなのは出来ているし。
もしかして、引きこもりの負のオーラでも出して友達作りを失敗してるのだろうか?
唯一の友達……かもしれないヒイロも、常に周りに人がいるため話す機会もあまりない。
「って言っても、貴族同士は大抵顔見知りだからさ、今更親睦もないんだよねー」
そんな状態の宿泊研修って……ぼっち参加可能なのか。
最悪、マルセルがいる……いや、マルセルとはあくまでも「他人」を装わないといけないのだからこんな事で頼ることはできない。
身内、ましてや姉弟だなんてバレたら、マルセルの「王宮騎士になる」って夢が潰えてしまうかもしれない。
姉としてそれは絶対に避けなければ……。
「狭い世界だよねー。親睦ってったって「ソーレ」と「ルーナ」が交わることもないしね」
「ソーレ」とはマリナやマルセルがいるクラス、もう一つ「ルーナ」が中庭を挟んだ向かいの校舎にある。
ソーレもルーナも同学年だが接点はほぼない。
自分のクラスで友達を作れないなら他から……ってのも厳しそうだ。
順番に並んだ紙の山から一枚ずつ取り、冊子にしていく作業をしながら気になった中身を目で追う。
まず、当日は5~6人に分かれて馬車に乗り、島をぐるっと回った反対側にある研修施設へと向かう。
到着したら、割り当てられた部屋で荷解きし昼食。
午後は、施設で特別講師を招いての講演会と残りは自由時間、その後夕食となっている。
次の日は海側と山側に分かれて採集実習。
これは自然に生息する動植物のレポートだと予想する。
昼食を挟んで海山交代して実習の続き、夜は天体観測か。
「楽しそう……」
同世代と一緒に過ごすこと自体が初体験なのに、海も山も初めて。
ただ、現状友達が一人もいないことを考えて、単独行動できるかどうかが大事なところではある。
果たして、現状ぼっちの自分が同級生と親睦を深めることが出来るのか……。
「マリナちゃん、楽しみなの?」
「ええ、わたしこういうの初めてで……お友達いなくても楽しめるでしょうか」
「友達……いないんですか?」
「えっと……まあ……はい……」
教室で挨拶をすれば返してくれるし、話しかければ答えてくれる。
仲間はずれにされてるとかいじめられてるなんて事は全く無いけれど、クラスの一員として溶け込めているかと言われれば浮いてるような気がする。
(挨拶程度の仲って「友達」とは言わないよね)
恐らく「友達」ってこう、もっと深い付き合いというか、いろいろ話せる仲というか……マリナが今まで読んできた小説の中に出てくる「友達」というものは、こういうのではない。
先輩方に改めて指摘されると、自分が友だちも作ることが出来ないつまらない人間に思えてきて軽く落ち込んだ。
「マリナちゃんちってそこそこのおウチじゃないの?今まで他所とそういうお付き合いなかった?」
「そうですね、王都へはほぼ来たことがなくて、ずっと領地にいたもので」
「デビュタントはどうしたんです?」
「それもまあ……領地で」
マリナの返答を聞いて、先輩方は驚いて目を丸くしている。
そりゃそうだ。デビュタントなんて、滅多なことでは足を踏み入れることもない王城に大義名分を持って入れるという人生にとって一大行事を、マリナはすっぽかしたと言っているのだ。
やはり領地に引きこもってばかりのオージェ家って変かも?
年頃の人たちってそんなに挙って王都へ来たがるものなのか。
だからって、周りにはマルセルも兄もゲネルもメルもいたし、欲しいものはだいたい手に入っていたし、別段困らなかったのも事実で。
(わたしが変なだけ?)
……とは、さすがに言えない。
「どうりで……。ねえ、じゃあさ、僕が友だちになってあげる……じゃなくて、僕と友だちになって。だからさ、僕のこと『マシュー』って呼んで」
「えっ、ダメですよ、先輩は先輩です」
「えー、マリナちゃん僕と友だちになってくれないの?」
長い前髪から覗く眉をハの字にしてルビーのような瞳をうるうるさせてこっちを見られると、なんだかいじめてるみたいで居心地が悪い。
「そ、そういうわけでは……」
「ふふっ、ってわけで僕がマリナちゃんの友だち1号だからね。これからよろしく!」
片手を取られて指先にキスを落とされる。
初めてされたそんな行為に驚いて、固まっていると反対側の手の先にもキスを落とされる。
「じゃあ私はマリナの友だち2号ってことですね。よろしくお願いします」
ええーーー。
「もちろん、『ドール』と呼んでいただけますね?」
そんなこんなで、マリナに「マシューくん」と「ドールくん」という友達が出来た。
呼び捨てはさすがに無理ですから!!
休憩と称したお茶の時間を終え、作業室に向かうとテーブルには紙の山。
「1年生の分だけだから冊数はないけど、枚数が多いんだよね」
1年生のってことはマリナにも関係あることなのだろう。
積まれた紙を見ると、先輩方が言ったとおり、山自体は高くないが小山がいっぱいって感じ。
一番端の、恐らく表紙になるであろう紙のタイトルを見ると「宿泊研修」の文字が見える。
「宿泊研修……?」
「1年生の恒例行事ですよ。新入生同士親睦を深めるってやつです」
「親睦を深める……」
「どうしました?学院のパンフレットにも載っていたでしょう?」
(そんなのあったかな……)
入学式で渡された案内冊子なら全て目を通したわけではないが、そもそもアカデミーのパンフレットなんて見た覚えがない。
この学院に入ることを決めたのはマルセルだし、自分は父に言われるままマルセルに付いてきただけだ。要するに、宿泊研修なんて行事の存在を知らない。
宿泊研修……文字通り「宿泊」して「研修」すること。
どこで?
誰と?
何を?
どうもマリナは、領地で引きこもって社交界を嫌厭してきただけあって、未だ同年代の人との付き合い方がよくわからないままだ。
クラスの女子からはなんだか遠巻きにされてるような気がするし、いつの間にか仲良しグループみたいなのは出来ているし。
もしかして、引きこもりの負のオーラでも出して友達作りを失敗してるのだろうか?
唯一の友達……かもしれないヒイロも、常に周りに人がいるため話す機会もあまりない。
「って言っても、貴族同士は大抵顔見知りだからさ、今更親睦もないんだよねー」
そんな状態の宿泊研修って……ぼっち参加可能なのか。
最悪、マルセルがいる……いや、マルセルとはあくまでも「他人」を装わないといけないのだからこんな事で頼ることはできない。
身内、ましてや姉弟だなんてバレたら、マルセルの「王宮騎士になる」って夢が潰えてしまうかもしれない。
姉としてそれは絶対に避けなければ……。
「狭い世界だよねー。親睦ってったって「ソーレ」と「ルーナ」が交わることもないしね」
「ソーレ」とはマリナやマルセルがいるクラス、もう一つ「ルーナ」が中庭を挟んだ向かいの校舎にある。
ソーレもルーナも同学年だが接点はほぼない。
自分のクラスで友達を作れないなら他から……ってのも厳しそうだ。
順番に並んだ紙の山から一枚ずつ取り、冊子にしていく作業をしながら気になった中身を目で追う。
まず、当日は5~6人に分かれて馬車に乗り、島をぐるっと回った反対側にある研修施設へと向かう。
到着したら、割り当てられた部屋で荷解きし昼食。
午後は、施設で特別講師を招いての講演会と残りは自由時間、その後夕食となっている。
次の日は海側と山側に分かれて採集実習。
これは自然に生息する動植物のレポートだと予想する。
昼食を挟んで海山交代して実習の続き、夜は天体観測か。
「楽しそう……」
同世代と一緒に過ごすこと自体が初体験なのに、海も山も初めて。
ただ、現状友達が一人もいないことを考えて、単独行動できるかどうかが大事なところではある。
果たして、現状ぼっちの自分が同級生と親睦を深めることが出来るのか……。
「マリナちゃん、楽しみなの?」
「ええ、わたしこういうの初めてで……お友達いなくても楽しめるでしょうか」
「友達……いないんですか?」
「えっと……まあ……はい……」
教室で挨拶をすれば返してくれるし、話しかければ答えてくれる。
仲間はずれにされてるとかいじめられてるなんて事は全く無いけれど、クラスの一員として溶け込めているかと言われれば浮いてるような気がする。
(挨拶程度の仲って「友達」とは言わないよね)
恐らく「友達」ってこう、もっと深い付き合いというか、いろいろ話せる仲というか……マリナが今まで読んできた小説の中に出てくる「友達」というものは、こういうのではない。
先輩方に改めて指摘されると、自分が友だちも作ることが出来ないつまらない人間に思えてきて軽く落ち込んだ。
「マリナちゃんちってそこそこのおウチじゃないの?今まで他所とそういうお付き合いなかった?」
「そうですね、王都へはほぼ来たことがなくて、ずっと領地にいたもので」
「デビュタントはどうしたんです?」
「それもまあ……領地で」
マリナの返答を聞いて、先輩方は驚いて目を丸くしている。
そりゃそうだ。デビュタントなんて、滅多なことでは足を踏み入れることもない王城に大義名分を持って入れるという人生にとって一大行事を、マリナはすっぽかしたと言っているのだ。
やはり領地に引きこもってばかりのオージェ家って変かも?
年頃の人たちってそんなに挙って王都へ来たがるものなのか。
だからって、周りにはマルセルも兄もゲネルもメルもいたし、欲しいものはだいたい手に入っていたし、別段困らなかったのも事実で。
(わたしが変なだけ?)
……とは、さすがに言えない。
「どうりで……。ねえ、じゃあさ、僕が友だちになってあげる……じゃなくて、僕と友だちになって。だからさ、僕のこと『マシュー』って呼んで」
「えっ、ダメですよ、先輩は先輩です」
「えー、マリナちゃん僕と友だちになってくれないの?」
長い前髪から覗く眉をハの字にしてルビーのような瞳をうるうるさせてこっちを見られると、なんだかいじめてるみたいで居心地が悪い。
「そ、そういうわけでは……」
「ふふっ、ってわけで僕がマリナちゃんの友だち1号だからね。これからよろしく!」
片手を取られて指先にキスを落とされる。
初めてされたそんな行為に驚いて、固まっていると反対側の手の先にもキスを落とされる。
「じゃあ私はマリナの友だち2号ってことですね。よろしくお願いします」
ええーーー。
「もちろん、『ドール』と呼んでいただけますね?」
そんなこんなで、マリナに「マシューくん」と「ドールくん」という友達が出来た。
呼び捨てはさすがに無理ですから!!
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