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#3:慣れてきた学院生活~新たな出会い
#3-5.あれ?これって逃げられない感じですか?
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「休憩終わり。さあ踊ろう、マリネッテ嬢」
手を取られてフロアに出る。
マリナがダンス部に入って何度目かの部活動の日。
あれから自主トレも始め、ランニングの成果もあって徐々に体力も付きつつあった。
おかげでオーリーからのスパルタダンス指導も、息を切らしつつも今の所付いて行けている。
「君、思ったより上手だね」
「そうですか、ありがとうございます」
「あ、嘘。とても上手だよ」
(うん、ブランクがあったからちょっと心配だったけど、大丈夫かな)
忘れかけていたステップも、体が覚えているのか、オーリーの巧みなリードにも助けられてなのか、それなりに踊れている。
ダンス仕様になっているオーリーにも、上手だと褒めてもらえた。
「出来ればもう少し笑顔のほうがいいね。せっかくの美人がもったいない……って、オレが言うのも何だけど」
「ふえっ!?」
腰をぐっと引き寄せられ耳元でそう囁かれて、膝がかくっとなって転けそうになる。
すると、それを察知したのか既のところでオーリーがマリナの腰を持ってくるっと一回転。
危うく、転けずに済んだが驚いて固まってしまった。
「ごめんごめん、びっくりしたよね」
「オーリー何してるんですの、お巫山戯も大概になさって」
レイアが寄ってきてオーリーに怒り出す。
「すみません、今のはわたしが転けそうになったのを誤魔化していただいたので、悪いのはわたしなんです」
ワルツの途中でイレギュラーに一回転してしまったのは、マリナを庇っての事なので、オーリーが怒られるのは申し訳ない。
こういうハプニングもダンスにはつきものだし、何事もなかったかのようにやり過ごすのも必要なことだ。
しかし、せっかくオーリーに庇ってもらったのに止まってしまって、結局誤魔化しも無駄にしてしまった。
「そうでしたの。だとしたら、そんなのわからないくらい貴女たち息ぴったりでしたわ。オーリーいかがでした?」
「ああ、そうだな。悪くない」
「貴女は?」
「ええ、あの……踊りやすいです」
基本形は一通り習ってはいるが、ダンスは個人の癖も出やすい。
マリナは屋敷の外では踊ったことがない為、練習も本番の夜会も、必然的に相手はゲネルかマルセルか家令ぐらいしかいない。
どうしても避けられない夜会の時は、始めに祖父か父と踊ってあとは壁の花になるのが常だ。
その為、他に比べようがないが、それでもオーリーとは踊りやすかったように思う。
「ですわよね!!オーリーってばダンスの腕前は抜群ですのに、この身長と性格のせいで相手になれるパートナーが見つからなくてヤキモキしていましたの」
(身長はまだしも、性格って……ダンスの事になるといい方がキツかったり?普段が無愛想とか?それってそんなに問題あるかなあ?)
マリナが屋敷にいた頃に関わってきた個性豊かな面々に比べたら、オーリー如き「普通の人」の範疇を出ない。
受ける指摘ももっともだし、マリナにとってオーリーは何ら付き合いにくい人物ではなかった。
しゃんと背筋を伸ばし基本姿勢を取り笑顔を浮かべたオーリーは、文句なく美しく格好良いと思う。
(でも、これってダンスの間だけなのよね)
それを知った今となっては、踊ってない時のヘタレたオーリーを可愛いなあと思うのはヘンだろうか。
「良かったですわね、これで今年のメイ・キングを狙えますわよ」
「いや、オレは……」
「オーリー、折角最高のパートナーが見付かったと言うのに、コナー家次期当主がそんな弱気でどうしますの?」
「あ、あの……?」
(メイ・キングってなに?)
「あらマリナさんご存じない?休み前に行われる学院主催のダンスパーティーがあるのですよ。その日一番美しく踊った方を褒め称え、男性はメイ・キング、女性はメイ・クイーンとなるのですわ」
「そうなんですね」
「ちなみに、去年のメイ・クイーンは当然わたくしですわよ」
「なるほど、流石です」
そう聞いてマリナは思わずパチパチと拍手を送る。
去年なら、まだレイアは1年生だ。それなのにトップになるとは。
反して、オーリーの視線が不安げに右へ左へと泳いでいる。
「ああ、オーリー?相手に自動人形を連れてきて踊ってましたけど、残念ながら審査対象外でしたわね」
「なるほど」
「ですから、マリナさん。オーリーが今年メイ・キングを取れるかどうかは貴女次第ですのよ」
「え?わたしですか?」
「うん…………よろしく……ね?」
瞳を輝かせて詰め寄るレイアとオーリーに、なんとなく勢いに流されながらも、社交ダンス部はあくまでも「お試し」で本格的に入部する気がなかったと……マリナが言える訳もなく。
(そりゃランニングとかトレーニングとかやっちゃってるけど、それは運動不足解消も兼ねているわけで……)
……なんて、今更言える雰囲気じゃないなと、マリナはオーリーに取られた手をきゅっと握り返してやんわりと微笑んだ。
手を取られてフロアに出る。
マリナがダンス部に入って何度目かの部活動の日。
あれから自主トレも始め、ランニングの成果もあって徐々に体力も付きつつあった。
おかげでオーリーからのスパルタダンス指導も、息を切らしつつも今の所付いて行けている。
「君、思ったより上手だね」
「そうですか、ありがとうございます」
「あ、嘘。とても上手だよ」
(うん、ブランクがあったからちょっと心配だったけど、大丈夫かな)
忘れかけていたステップも、体が覚えているのか、オーリーの巧みなリードにも助けられてなのか、それなりに踊れている。
ダンス仕様になっているオーリーにも、上手だと褒めてもらえた。
「出来ればもう少し笑顔のほうがいいね。せっかくの美人がもったいない……って、オレが言うのも何だけど」
「ふえっ!?」
腰をぐっと引き寄せられ耳元でそう囁かれて、膝がかくっとなって転けそうになる。
すると、それを察知したのか既のところでオーリーがマリナの腰を持ってくるっと一回転。
危うく、転けずに済んだが驚いて固まってしまった。
「ごめんごめん、びっくりしたよね」
「オーリー何してるんですの、お巫山戯も大概になさって」
レイアが寄ってきてオーリーに怒り出す。
「すみません、今のはわたしが転けそうになったのを誤魔化していただいたので、悪いのはわたしなんです」
ワルツの途中でイレギュラーに一回転してしまったのは、マリナを庇っての事なので、オーリーが怒られるのは申し訳ない。
こういうハプニングもダンスにはつきものだし、何事もなかったかのようにやり過ごすのも必要なことだ。
しかし、せっかくオーリーに庇ってもらったのに止まってしまって、結局誤魔化しも無駄にしてしまった。
「そうでしたの。だとしたら、そんなのわからないくらい貴女たち息ぴったりでしたわ。オーリーいかがでした?」
「ああ、そうだな。悪くない」
「貴女は?」
「ええ、あの……踊りやすいです」
基本形は一通り習ってはいるが、ダンスは個人の癖も出やすい。
マリナは屋敷の外では踊ったことがない為、練習も本番の夜会も、必然的に相手はゲネルかマルセルか家令ぐらいしかいない。
どうしても避けられない夜会の時は、始めに祖父か父と踊ってあとは壁の花になるのが常だ。
その為、他に比べようがないが、それでもオーリーとは踊りやすかったように思う。
「ですわよね!!オーリーってばダンスの腕前は抜群ですのに、この身長と性格のせいで相手になれるパートナーが見つからなくてヤキモキしていましたの」
(身長はまだしも、性格って……ダンスの事になるといい方がキツかったり?普段が無愛想とか?それってそんなに問題あるかなあ?)
マリナが屋敷にいた頃に関わってきた個性豊かな面々に比べたら、オーリー如き「普通の人」の範疇を出ない。
受ける指摘ももっともだし、マリナにとってオーリーは何ら付き合いにくい人物ではなかった。
しゃんと背筋を伸ばし基本姿勢を取り笑顔を浮かべたオーリーは、文句なく美しく格好良いと思う。
(でも、これってダンスの間だけなのよね)
それを知った今となっては、踊ってない時のヘタレたオーリーを可愛いなあと思うのはヘンだろうか。
「良かったですわね、これで今年のメイ・キングを狙えますわよ」
「いや、オレは……」
「オーリー、折角最高のパートナーが見付かったと言うのに、コナー家次期当主がそんな弱気でどうしますの?」
「あ、あの……?」
(メイ・キングってなに?)
「あらマリナさんご存じない?休み前に行われる学院主催のダンスパーティーがあるのですよ。その日一番美しく踊った方を褒め称え、男性はメイ・キング、女性はメイ・クイーンとなるのですわ」
「そうなんですね」
「ちなみに、去年のメイ・クイーンは当然わたくしですわよ」
「なるほど、流石です」
そう聞いてマリナは思わずパチパチと拍手を送る。
去年なら、まだレイアは1年生だ。それなのにトップになるとは。
反して、オーリーの視線が不安げに右へ左へと泳いでいる。
「ああ、オーリー?相手に自動人形を連れてきて踊ってましたけど、残念ながら審査対象外でしたわね」
「なるほど」
「ですから、マリナさん。オーリーが今年メイ・キングを取れるかどうかは貴女次第ですのよ」
「え?わたしですか?」
「うん…………よろしく……ね?」
瞳を輝かせて詰め寄るレイアとオーリーに、なんとなく勢いに流されながらも、社交ダンス部はあくまでも「お試し」で本格的に入部する気がなかったと……マリナが言える訳もなく。
(そりゃランニングとかトレーニングとかやっちゃってるけど、それは運動不足解消も兼ねているわけで……)
……なんて、今更言える雰囲気じゃないなと、マリナはオーリーに取られた手をきゅっと握り返してやんわりと微笑んだ。
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