37 / 78
#3:慣れてきた学院生活~新たな出会い
♯3-7.誰が主人公でもおかしくない
しおりを挟む
「申し訳ありませんお兄様。ここで少しお待ちになっていて」
「私は大丈夫だから」
「忘れ物を取りに戻るだけですから。絶対ですよ、動かないで下さいね」
キラキラと光を弾く長い銀髪を揺らして、フォルクローレ公女が早足で去っていく。
同じく煌めく銀髪をして頭一つ半ほど背の高いフォルクローレ公子は、緩く頷きつつ壁を背にして佇んでいた。
二人はこの「ロープレ学院」の建つフォルクローレ公国の双子の嫡子で、共にアカデミーの2年生に在籍する生徒でもあった。
「あ……」
放課後の雑多な喧騒の中、少し離れた場所から上がったその声は、然程大きくもないのに不思議と鮮明にこちらまで届いた。
(聞いたことの無い声だが……)
慌てたような声は、突発的に何かが起こった様を現していて、数拍して風と共にこちらまで煽られた数枚の紙が公子に当たった。
開いていた窓から突風でも吹き込んだのだろう。今日は時折風が強く吹く日であった。
紙束でも飛ばされたのか、ひらひらと紙が足元に落ちた気配がして、手探りで拾おうと屈んだ公子の手が何かに触れる。
「申し訳ありません」
公子は見えないばかりに、恐らく声の主である彼女の手を意図せず掴んでしまった。
同時に拾おうとした手と公子の手が触れてしまったようだ。
掴んだ手はレースの手袋をしている感触がした。
「こちらこそ申し訳ない」
「いえ、ありがとうございました」
すぐそばで聞こえた聞き覚えのない、それでいて柔らかい落ち着いた声に公子は、掴んだ手をそのままに徐に顔を上げた。
ただ、酷く視力の弱い公子は声のするその姿を認められない。
「君は……」
「1年のマリネッテと申します」
「そうか、私は2年のプリウスだ」
そう名乗ったプリウスは、視力が弱く目で見えない分、他の感覚を研ぎ澄まし見える以外の部分をつい視ようとしてしまう。
普段なら、自身の認知していない者になど名乗るプリウスでは無い。
立場的にも、見えなくなる以前も以後も警戒心は人一倍強い自負がある。
「プリウス公子殿下、目が……」
顔を合わせても、どこを見ているのか分からない焦点の合わない瞳は、やはり奇異に映るのだろうか。
そう思ってプリウスは、辛うじてわかる明度と大凡の輪郭でこちらに向けられたマリナからの視線を感じたが、そこに常日頃感じる憐れみや好奇の感情はなかった。
ただ、迷惑を掛けた申し訳なさと、目の見えない自分を心配げに案じる単純でわかりやすい心遣いがそこにあった。
「ああ、心配ない。見えずとも問題ない」
差し出された腕を借りて立ち上がった公子は、大丈夫だとマリナに屈託ない笑顔を向ける。
マリナからはホッとした笑顔を向けられたのを感じた。
「お待たせしました。お兄様どうかされましたの?」
そこに公女が戻ってきて、一人でいたはずのプリウスと一緒にいるマリナを交互に見やる。
マリナの腕を掴んだままだったプリウスは、慌てて手を離した。
「別に……」
「わたしが紙を飛ばしてしまったのを、プリウス公子殿下が拾ってくださったのです」
「あら、お兄様が……そう。貴女は?」
公女は、少し赤らんだ顔を隠すように外方を向くプリウスに一瞥をくれると、改めてマリナを金の瞳を光らせてじっと見た。
「改めまして、公子殿下並びに公女殿下にご挨拶申し上げます。ウルバーンから参りましたマリネッテと申します」
プリメーラからの視線を受けたマリナは、紙の束を片手で抱えたまま些か不躾ではあったが、二人に完璧なカーテシーで挨拶をした。
いくら「アカデミー内では貴族平民の差別なし」と言ったところで、所詮そんなものは子供のうちの建前だ。
アカデミー卒業と同時に成人を迎える貴族に置いては、どう足掻いても越えられない明確な家門の差が着いて回る。
ここフォルクローレにおける彼ら二人は、間違いなくこの国の公王公妃に次いで敬意を示すべき高貴な存在であった。
「マリネッテ様からの丁寧な挨拶、しかとお受けいたしましたわ。わたくしはプリメーラ、彼は双子の兄でプリウスと申しますの。以後、学院内では敬称不要ですわ」
「では、プリウス様、プリメーラ様と。わたしに対する敬称こそ不要にございます」
そう言って胸に手を当て腰を折るマリナを見て、プリメーラは鈴を転がしたように「わかったわ」と軽やかな声で笑った。
「では、わたしはこれで」
「ああ、ねえ。この後お時間はある?お茶でもいかが?」
挨拶を済ませ、さて頼まれた書類を届けに行かねばとマリナが去ろうとすると、プリメーラからのお茶の誘いを受ける。
「はい、大丈夫です」
「じゃあそれを届けたあと教室で待ってて。迎えを寄越すわ」
「わかりました」
それじゃ後でねと、プリメーラはプリウスの手を引いて去って行った。
その後、案内されて連れて行かれたフォルクローレ専用のサロンには、公子公女だけでなくレイアやオーリーもいた。
(そう言えばレイアさんたちと同じ学年だったわね)
意外な繋がりではあったが、プリメーラとレイアが友人同士でもあり会話は途切れることは無かった。
殊更、オーリーがマリナを自動人形と間違えて踊った話はプリウスを楽しませたようだ。
「オーリーは私より見えてるのに全く見えてないんだね」
くくっと声を上げて笑うプリウスに、オーリーは耳まで真っ赤になりながら「だって……仕方ない……。理想の……姿が……あった」と言い、オーリーにされた事を思い出してマリナも顔を赤くすることになった。
「マリナが顔を赤くしましたわ。何があったんですの?」
「ふふっ、大馬鹿オーリーがやらかしただけですわ」
「気になりますわ、レイアもっと詳しく!」
「もう、やめてください……」
さらに顔を赤くして恥じ入るマリナの頭を、隣に座ったプリウスが優しく撫でる。
「彼女が嫌がってる」
「あら、からかい過ぎましたわね」
「お兄様ったら……」
「……恥ずかし……がってる……のも……かわ……」
その後も、話上手なレイアとそこに突っ込みまくるプリメーラにより話は尽きることなく、時間も忘れて盛り上がりを見せた。
最後には、プリウスからもプリメーラからも「マリナ」と呼ばれるほど打ち解けることができ、次のお茶会の約束までしてその日は解散となった。
・‥…‥・◇・‥…‥・◇・‥…‥・
(うわあぁ……びっくりしたー。フォルクローレの公子公女とお知り合いになるとは……)
マリナにとっては、父により予め伝えられていた避けるべき家門にはなかったため、こうしてアカデミーに通っている彼らと出会うことは全くの想定外ではあるが、相手が誰であろうと適切な礼を尽くすのは今まで受けてきた教育の賜物、自明の理だった。
特別なことは何もしていない。
(綺麗な髪と瞳だったなー。美男美女で羨ましい。レイアさんもオーリーさんも。ホント、このアカデミーどうなってるの?)
まるで、読み慣れた少女小説に出てくる、キラキラしい登場人物たちのようではないか。
マリナは着心地の良い夜着に身を包み、ベッドで仰向けに寝転んで今日の出来事を思い出していた。
「今日もお疲れ様。はい、いつもの」
「ありがとう」
ベッドから起き上がり、今日も今日とてマリナの部屋にやってきて当然のように世話してくるゲネルから、お茶の入ったカップを受け取り口を付ける。
「今日は何かあった?」
「ん?……ううん、何も無い」
マリナはこのアカデミーでの3年間を「あくまでもマルセルの付き添い」という心持ちで過ごすつもりだった。
しかし、今となっては、あの頃には予想だにしなかった毎日を過ごしていて、マリナ自身が学院生活を楽しみ始めている。
何かあったようで何も無い、そんな日常を日々過ごしていた。
「ま、いいけど。おやすみ、マリナ」
飲み終わったカップを受け取り、いつものようにマリナの頭を一撫でしてゲネルは部屋を出て行った。
(会長との事が気にはなるけど……)
ベッドに入ると直様やってくる睡魔に抗えず、深く考える間もなくマリナは意識を手放した。
「私は大丈夫だから」
「忘れ物を取りに戻るだけですから。絶対ですよ、動かないで下さいね」
キラキラと光を弾く長い銀髪を揺らして、フォルクローレ公女が早足で去っていく。
同じく煌めく銀髪をして頭一つ半ほど背の高いフォルクローレ公子は、緩く頷きつつ壁を背にして佇んでいた。
二人はこの「ロープレ学院」の建つフォルクローレ公国の双子の嫡子で、共にアカデミーの2年生に在籍する生徒でもあった。
「あ……」
放課後の雑多な喧騒の中、少し離れた場所から上がったその声は、然程大きくもないのに不思議と鮮明にこちらまで届いた。
(聞いたことの無い声だが……)
慌てたような声は、突発的に何かが起こった様を現していて、数拍して風と共にこちらまで煽られた数枚の紙が公子に当たった。
開いていた窓から突風でも吹き込んだのだろう。今日は時折風が強く吹く日であった。
紙束でも飛ばされたのか、ひらひらと紙が足元に落ちた気配がして、手探りで拾おうと屈んだ公子の手が何かに触れる。
「申し訳ありません」
公子は見えないばかりに、恐らく声の主である彼女の手を意図せず掴んでしまった。
同時に拾おうとした手と公子の手が触れてしまったようだ。
掴んだ手はレースの手袋をしている感触がした。
「こちらこそ申し訳ない」
「いえ、ありがとうございました」
すぐそばで聞こえた聞き覚えのない、それでいて柔らかい落ち着いた声に公子は、掴んだ手をそのままに徐に顔を上げた。
ただ、酷く視力の弱い公子は声のするその姿を認められない。
「君は……」
「1年のマリネッテと申します」
「そうか、私は2年のプリウスだ」
そう名乗ったプリウスは、視力が弱く目で見えない分、他の感覚を研ぎ澄まし見える以外の部分をつい視ようとしてしまう。
普段なら、自身の認知していない者になど名乗るプリウスでは無い。
立場的にも、見えなくなる以前も以後も警戒心は人一倍強い自負がある。
「プリウス公子殿下、目が……」
顔を合わせても、どこを見ているのか分からない焦点の合わない瞳は、やはり奇異に映るのだろうか。
そう思ってプリウスは、辛うじてわかる明度と大凡の輪郭でこちらに向けられたマリナからの視線を感じたが、そこに常日頃感じる憐れみや好奇の感情はなかった。
ただ、迷惑を掛けた申し訳なさと、目の見えない自分を心配げに案じる単純でわかりやすい心遣いがそこにあった。
「ああ、心配ない。見えずとも問題ない」
差し出された腕を借りて立ち上がった公子は、大丈夫だとマリナに屈託ない笑顔を向ける。
マリナからはホッとした笑顔を向けられたのを感じた。
「お待たせしました。お兄様どうかされましたの?」
そこに公女が戻ってきて、一人でいたはずのプリウスと一緒にいるマリナを交互に見やる。
マリナの腕を掴んだままだったプリウスは、慌てて手を離した。
「別に……」
「わたしが紙を飛ばしてしまったのを、プリウス公子殿下が拾ってくださったのです」
「あら、お兄様が……そう。貴女は?」
公女は、少し赤らんだ顔を隠すように外方を向くプリウスに一瞥をくれると、改めてマリナを金の瞳を光らせてじっと見た。
「改めまして、公子殿下並びに公女殿下にご挨拶申し上げます。ウルバーンから参りましたマリネッテと申します」
プリメーラからの視線を受けたマリナは、紙の束を片手で抱えたまま些か不躾ではあったが、二人に完璧なカーテシーで挨拶をした。
いくら「アカデミー内では貴族平民の差別なし」と言ったところで、所詮そんなものは子供のうちの建前だ。
アカデミー卒業と同時に成人を迎える貴族に置いては、どう足掻いても越えられない明確な家門の差が着いて回る。
ここフォルクローレにおける彼ら二人は、間違いなくこの国の公王公妃に次いで敬意を示すべき高貴な存在であった。
「マリネッテ様からの丁寧な挨拶、しかとお受けいたしましたわ。わたくしはプリメーラ、彼は双子の兄でプリウスと申しますの。以後、学院内では敬称不要ですわ」
「では、プリウス様、プリメーラ様と。わたしに対する敬称こそ不要にございます」
そう言って胸に手を当て腰を折るマリナを見て、プリメーラは鈴を転がしたように「わかったわ」と軽やかな声で笑った。
「では、わたしはこれで」
「ああ、ねえ。この後お時間はある?お茶でもいかが?」
挨拶を済ませ、さて頼まれた書類を届けに行かねばとマリナが去ろうとすると、プリメーラからのお茶の誘いを受ける。
「はい、大丈夫です」
「じゃあそれを届けたあと教室で待ってて。迎えを寄越すわ」
「わかりました」
それじゃ後でねと、プリメーラはプリウスの手を引いて去って行った。
その後、案内されて連れて行かれたフォルクローレ専用のサロンには、公子公女だけでなくレイアやオーリーもいた。
(そう言えばレイアさんたちと同じ学年だったわね)
意外な繋がりではあったが、プリメーラとレイアが友人同士でもあり会話は途切れることは無かった。
殊更、オーリーがマリナを自動人形と間違えて踊った話はプリウスを楽しませたようだ。
「オーリーは私より見えてるのに全く見えてないんだね」
くくっと声を上げて笑うプリウスに、オーリーは耳まで真っ赤になりながら「だって……仕方ない……。理想の……姿が……あった」と言い、オーリーにされた事を思い出してマリナも顔を赤くすることになった。
「マリナが顔を赤くしましたわ。何があったんですの?」
「ふふっ、大馬鹿オーリーがやらかしただけですわ」
「気になりますわ、レイアもっと詳しく!」
「もう、やめてください……」
さらに顔を赤くして恥じ入るマリナの頭を、隣に座ったプリウスが優しく撫でる。
「彼女が嫌がってる」
「あら、からかい過ぎましたわね」
「お兄様ったら……」
「……恥ずかし……がってる……のも……かわ……」
その後も、話上手なレイアとそこに突っ込みまくるプリメーラにより話は尽きることなく、時間も忘れて盛り上がりを見せた。
最後には、プリウスからもプリメーラからも「マリナ」と呼ばれるほど打ち解けることができ、次のお茶会の約束までしてその日は解散となった。
・‥…‥・◇・‥…‥・◇・‥…‥・
(うわあぁ……びっくりしたー。フォルクローレの公子公女とお知り合いになるとは……)
マリナにとっては、父により予め伝えられていた避けるべき家門にはなかったため、こうしてアカデミーに通っている彼らと出会うことは全くの想定外ではあるが、相手が誰であろうと適切な礼を尽くすのは今まで受けてきた教育の賜物、自明の理だった。
特別なことは何もしていない。
(綺麗な髪と瞳だったなー。美男美女で羨ましい。レイアさんもオーリーさんも。ホント、このアカデミーどうなってるの?)
まるで、読み慣れた少女小説に出てくる、キラキラしい登場人物たちのようではないか。
マリナは着心地の良い夜着に身を包み、ベッドで仰向けに寝転んで今日の出来事を思い出していた。
「今日もお疲れ様。はい、いつもの」
「ありがとう」
ベッドから起き上がり、今日も今日とてマリナの部屋にやってきて当然のように世話してくるゲネルから、お茶の入ったカップを受け取り口を付ける。
「今日は何かあった?」
「ん?……ううん、何も無い」
マリナはこのアカデミーでの3年間を「あくまでもマルセルの付き添い」という心持ちで過ごすつもりだった。
しかし、今となっては、あの頃には予想だにしなかった毎日を過ごしていて、マリナ自身が学院生活を楽しみ始めている。
何かあったようで何も無い、そんな日常を日々過ごしていた。
「ま、いいけど。おやすみ、マリナ」
飲み終わったカップを受け取り、いつものようにマリナの頭を一撫でしてゲネルは部屋を出て行った。
(会長との事が気にはなるけど……)
ベッドに入ると直様やってくる睡魔に抗えず、深く考える間もなくマリナは意識を手放した。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
次期騎士団長の秘密を知ってしまったら、迫られ捕まってしまいました
Karamimi
恋愛
侯爵令嬢で貴族学院2年のルミナスは、元騎士団長だった父親を8歳の時に魔物討伐で亡くした。一家の大黒柱だった父を亡くしたことで、次期騎士団長と期待されていた兄は騎士団を辞め、12歳という若さで侯爵を継いだ。
そんな兄を支えていたルミナスは、ある日貴族学院3年、公爵令息カルロスの意外な姿を見てしまった。学院卒院後は騎士団長になる事も決まっているうえ、容姿端麗で勉学、武術も優れているまさに完璧公爵令息の彼とはあまりにも違う姿に、笑いが止まらない。
お兄様の夢だった騎士団長の座を奪ったと、一方的にカルロスを嫌っていたルミナスだが、さすがにこの秘密は墓場まで持って行こう。そう決めていたのだが、翌日カルロスに捕まり、鼻息荒く迫って来る姿にドン引きのルミナス。
挙句の果てに“ルミタン”だなんて呼ぶ始末。もうあの男に関わるのはやめよう、そう思っていたのに…
意地っ張りで素直になれない令嬢、ルミナスと、ちょっと気持ち悪いがルミナスを誰よりも愛している次期騎士団長、カルロスが幸せになるまでのお話しです。
よろしくお願いしますm(__)m
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
十六歳の妹の誕生日、私はこの世を去る。
あいみ
恋愛
碌に手入れもされていない赤毛の伯爵令嬢、スカーレット。
宝石のように澄んだ青い髪をした伯爵令嬢、ルビア。
対極のような二人は姉妹。母親の違う。
お世辞にも美しいと言えない前妻の子供であるスカーレットは誰からも愛されない。
そばかすだらけで、笑顔が苦手な醜い姉。
天使のように愛らしく、誰からも好かれる可愛い妹。
生まれつき体の弱いルビアは長くは生きられないと宣告されていた。
両親の必死に看病や、“婚約者の献身的なサポート”のおかげで、日常生活が送れるようになるまで回復した。
だが……。運命とは残酷である。
ルビアの元に死神から知らせが届く。
十六歳の誕生日、ルビアの魂は天に還る、と。
美しい愛しているルビア。
失いたくない。殺されてなるものか。
それぞれのルビアを大切に思う想いが、一つの選択をさせた。
生まれてくる価値のない、醜いスカーレットを代わりに殺そう、と。
これは彼女が死ぬ前と死んだ後の、少しの物語。
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
猫なので、もう働きません。
具なっしー
恋愛
不老不死が実現した日本。600歳まで社畜として働き続けた私、佐々木ひまり。
やっと安楽死できると思ったら――普通に苦しいし、目が覚めたら猫になっていた!?
しかもここは女性が極端に少ない世界。
イケオジ貴族に拾われ、猫幼女として溺愛される日々が始まる。
「もう頑張らない」って決めたのに、また頑張っちゃう私……。
これは、社畜上がりの猫幼女が“だらだらしながら溺愛される”物語。
※表紙はAI画像です
甘い匂いの人間は、極上獰猛な獣たちに奪われる 〜居場所を求めた少女の転移譚〜
具なっしー
恋愛
「誰かを、全力で愛してみたい」
居場所のない、17歳の少女・鳴宮 桃(なるみや もも)。
幼い頃に両親を亡くし、叔父の家で家政婦のような日々を送る彼女は、誰にも言えない孤独を抱えていた。そんな桃が、願いをかけた神社の光に包まれ目覚めたのは、獣人たちが支配する異世界。
そこは、男女比50:1という極端な世界。女性は複数の夫に囲われて贅沢を享受するのが常識だった。
しかし、桃は異世界の女性が持つ傲慢さとは無縁で、控えめなまま。
そして彼女の身体から放たれる**"甘いフェロモン"は、野生の獣人たちにとって極上の獲物**でしかない。
盗賊に囚われかけたところを、美形で無口なホワイトタイガー獣人・ベンに救われた桃。孤独だった少女は、その純粋さゆえに、強く、一途で、そして獰猛な獣人たちに囲われていく――。
※表紙はAIです
幼い頃に、大きくなったら結婚しようと約束した人は、英雄になりました。きっと彼はもう、わたしとの約束なんて覚えていない
ラム猫
恋愛
幼い頃に、セレフィアはシルヴァードと出会った。お互いがまだ世間を知らない中、二人は王城のパーティーで時折顔を合わせ、交流を深める。そしてある日、シルヴァードから「大きくなったら結婚しよう」と言われ、セレフィアはそれを喜んで受け入れた。
その後、十年以上彼と再会することはなかった。
三年間続いていた戦争が終わり、シルヴァードが王国を勝利に導いた英雄として帰ってきた。彼の隣には、聖女の姿が。彼は自分との約束をとっくに忘れているだろうと、セレフィアはその場を離れた。
しかし治療師として働いているセレフィアは、彼の後遺症治療のために彼と対面することになる。余計なことは言わず、ただ彼の治療をすることだけを考えていた。が、やけに彼との距離が近い。
それどころか、シルヴァードはセレフィアに甘く迫ってくる。これは治療者に対する依存に違いないのだが……。
「シルフィード様。全てをおひとりで抱え込もうとなさらないでください。わたしが、傍にいます」
「お願い、セレフィア。……君が傍にいてくれたら、僕はまともでいられる」
※糖度高め、勘違いが激しめ、主人公は鈍感です。ヒーローがとにかく拗れています。苦手な方はご注意ください。
※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる