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#3:慣れてきた学院生活~新たな出会い
♯3-7.誰が主人公でもおかしくない
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「申し訳ありませんお兄様。ここで少しお待ちになっていて」
「私は大丈夫だから」
「忘れ物を取りに戻るだけですから。絶対ですよ、動かないで下さいね」
キラキラと光を弾く長い銀髪を揺らして、フォルクローレ公女が早足で去っていく。
同じく煌めく銀髪をして頭一つ半ほど背の高いフォルクローレ公子は、緩く頷きつつ壁を背にして佇んでいた。
二人はこの「ロープレ学院」の建つフォルクローレ公国の双子の嫡子で、共にアカデミーの2年生に在籍する生徒でもあった。
「あ……」
放課後の雑多な喧騒の中、少し離れた場所から上がったその声は、然程大きくもないのに不思議と鮮明にこちらまで届いた。
(聞いたことの無い声だが……)
慌てたような声は、突発的に何かが起こった様を現していて、数拍して風と共にこちらまで煽られた数枚の紙が公子に当たった。
開いていた窓から突風でも吹き込んだのだろう。今日は時折風が強く吹く日であった。
紙束でも飛ばされたのか、ひらひらと紙が足元に落ちた気配がして、手探りで拾おうと屈んだ公子の手が何かに触れる。
「申し訳ありません」
公子は見えないばかりに、恐らく声の主である彼女の手を意図せず掴んでしまった。
同時に拾おうとした手と公子の手が触れてしまったようだ。
掴んだ手はレースの手袋をしている感触がした。
「こちらこそ申し訳ない」
「いえ、ありがとうございました」
すぐそばで聞こえた聞き覚えのない、それでいて柔らかい落ち着いた声に公子は、掴んだ手をそのままに徐に顔を上げた。
ただ、酷く視力の弱い公子は声のするその姿を認められない。
「君は……」
「1年のマリネッテと申します」
「そうか、私は2年のプリウスだ」
そう名乗ったプリウスは、視力が弱く目で見えない分、他の感覚を研ぎ澄まし見える以外の部分をつい視ようとしてしまう。
普段なら、自身の認知していない者になど名乗るプリウスでは無い。
立場的にも、見えなくなる以前も以後も警戒心は人一倍強い自負がある。
「プリウス公子殿下、目が……」
顔を合わせても、どこを見ているのか分からない焦点の合わない瞳は、やはり奇異に映るのだろうか。
そう思ってプリウスは、辛うじてわかる明度と大凡の輪郭でこちらに向けられたマリナからの視線を感じたが、そこに常日頃感じる憐れみや好奇の感情はなかった。
ただ、迷惑を掛けた申し訳なさと、目の見えない自分を心配げに案じる単純でわかりやすい心遣いがそこにあった。
「ああ、心配ない。見えずとも問題ない」
差し出された腕を借りて立ち上がった公子は、大丈夫だとマリナに屈託ない笑顔を向ける。
マリナからはホッとした笑顔を向けられたのを感じた。
「お待たせしました。お兄様どうかされましたの?」
そこに公女が戻ってきて、一人でいたはずのプリウスと一緒にいるマリナを交互に見やる。
マリナの腕を掴んだままだったプリウスは、慌てて手を離した。
「別に……」
「わたしが紙を飛ばしてしまったのを、プリウス公子殿下が拾ってくださったのです」
「あら、お兄様が……そう。貴女は?」
公女は、少し赤らんだ顔を隠すように外方を向くプリウスに一瞥をくれると、改めてマリナを金の瞳を光らせてじっと見た。
「改めまして、公子殿下並びに公女殿下にご挨拶申し上げます。ウルバーンから参りましたマリネッテと申します」
プリメーラからの視線を受けたマリナは、紙の束を片手で抱えたまま些か不躾ではあったが、二人に完璧なカーテシーで挨拶をした。
いくら「アカデミー内では貴族平民の差別なし」と言ったところで、所詮そんなものは子供のうちの建前だ。
アカデミー卒業と同時に成人を迎える貴族に置いては、どう足掻いても越えられない明確な家門の差が着いて回る。
ここフォルクローレにおける彼ら二人は、間違いなくこの国の公王公妃に次いで敬意を示すべき高貴な存在であった。
「マリネッテ様からの丁寧な挨拶、しかとお受けいたしましたわ。わたくしはプリメーラ、彼は双子の兄でプリウスと申しますの。以後、学院内では敬称不要ですわ」
「では、プリウス様、プリメーラ様と。わたしに対する敬称こそ不要にございます」
そう言って胸に手を当て腰を折るマリナを見て、プリメーラは鈴を転がしたように「わかったわ」と軽やかな声で笑った。
「では、わたしはこれで」
「ああ、ねえ。この後お時間はある?お茶でもいかが?」
挨拶を済ませ、さて頼まれた書類を届けに行かねばとマリナが去ろうとすると、プリメーラからのお茶の誘いを受ける。
「はい、大丈夫です」
「じゃあそれを届けたあと教室で待ってて。迎えを寄越すわ」
「わかりました」
それじゃ後でねと、プリメーラはプリウスの手を引いて去って行った。
その後、案内されて連れて行かれたフォルクローレ専用のサロンには、公子公女だけでなくレイアやオーリーもいた。
(そう言えばレイアさんたちと同じ学年だったわね)
意外な繋がりではあったが、プリメーラとレイアが友人同士でもあり会話は途切れることは無かった。
殊更、オーリーがマリナを自動人形と間違えて踊った話はプリウスを楽しませたようだ。
「オーリーは私より見えてるのに全く見えてないんだね」
くくっと声を上げて笑うプリウスに、オーリーは耳まで真っ赤になりながら「だって……仕方ない……。理想の……姿が……あった」と言い、オーリーにされた事を思い出してマリナも顔を赤くすることになった。
「マリナが顔を赤くしましたわ。何があったんですの?」
「ふふっ、大馬鹿オーリーがやらかしただけですわ」
「気になりますわ、レイアもっと詳しく!」
「もう、やめてください……」
さらに顔を赤くして恥じ入るマリナの頭を、隣に座ったプリウスが優しく撫でる。
「彼女が嫌がってる」
「あら、からかい過ぎましたわね」
「お兄様ったら……」
「……恥ずかし……がってる……のも……かわ……」
その後も、話上手なレイアとそこに突っ込みまくるプリメーラにより話は尽きることなく、時間も忘れて盛り上がりを見せた。
最後には、プリウスからもプリメーラからも「マリナ」と呼ばれるほど打ち解けることができ、次のお茶会の約束までしてその日は解散となった。
・‥…‥・◇・‥…‥・◇・‥…‥・
(うわあぁ……びっくりしたー。フォルクローレの公子公女とお知り合いになるとは……)
マリナにとっては、父により予め伝えられていた避けるべき家門にはなかったため、こうしてアカデミーに通っている彼らと出会うことは全くの想定外ではあるが、相手が誰であろうと適切な礼を尽くすのは今まで受けてきた教育の賜物、自明の理だった。
特別なことは何もしていない。
(綺麗な髪と瞳だったなー。美男美女で羨ましい。レイアさんもオーリーさんも。ホント、このアカデミーどうなってるの?)
まるで、読み慣れた少女小説に出てくる、キラキラしい登場人物たちのようではないか。
マリナは着心地の良い夜着に身を包み、ベッドで仰向けに寝転んで今日の出来事を思い出していた。
「今日もお疲れ様。はい、いつもの」
「ありがとう」
ベッドから起き上がり、今日も今日とてマリナの部屋にやってきて当然のように世話してくるゲネルから、お茶の入ったカップを受け取り口を付ける。
「今日は何かあった?」
「ん?……ううん、何も無い」
マリナはこのアカデミーでの3年間を「あくまでもマルセルの付き添い」という心持ちで過ごすつもりだった。
しかし、今となっては、あの頃には予想だにしなかった毎日を過ごしていて、マリナ自身が学院生活を楽しみ始めている。
何かあったようで何も無い、そんな日常を日々過ごしていた。
「ま、いいけど。おやすみ、マリナ」
飲み終わったカップを受け取り、いつものようにマリナの頭を一撫でしてゲネルは部屋を出て行った。
(会長との事が気にはなるけど……)
ベッドに入ると直様やってくる睡魔に抗えず、深く考える間もなくマリナは意識を手放した。
「私は大丈夫だから」
「忘れ物を取りに戻るだけですから。絶対ですよ、動かないで下さいね」
キラキラと光を弾く長い銀髪を揺らして、フォルクローレ公女が早足で去っていく。
同じく煌めく銀髪をして頭一つ半ほど背の高いフォルクローレ公子は、緩く頷きつつ壁を背にして佇んでいた。
二人はこの「ロープレ学院」の建つフォルクローレ公国の双子の嫡子で、共にアカデミーの2年生に在籍する生徒でもあった。
「あ……」
放課後の雑多な喧騒の中、少し離れた場所から上がったその声は、然程大きくもないのに不思議と鮮明にこちらまで届いた。
(聞いたことの無い声だが……)
慌てたような声は、突発的に何かが起こった様を現していて、数拍して風と共にこちらまで煽られた数枚の紙が公子に当たった。
開いていた窓から突風でも吹き込んだのだろう。今日は時折風が強く吹く日であった。
紙束でも飛ばされたのか、ひらひらと紙が足元に落ちた気配がして、手探りで拾おうと屈んだ公子の手が何かに触れる。
「申し訳ありません」
公子は見えないばかりに、恐らく声の主である彼女の手を意図せず掴んでしまった。
同時に拾おうとした手と公子の手が触れてしまったようだ。
掴んだ手はレースの手袋をしている感触がした。
「こちらこそ申し訳ない」
「いえ、ありがとうございました」
すぐそばで聞こえた聞き覚えのない、それでいて柔らかい落ち着いた声に公子は、掴んだ手をそのままに徐に顔を上げた。
ただ、酷く視力の弱い公子は声のするその姿を認められない。
「君は……」
「1年のマリネッテと申します」
「そうか、私は2年のプリウスだ」
そう名乗ったプリウスは、視力が弱く目で見えない分、他の感覚を研ぎ澄まし見える以外の部分をつい視ようとしてしまう。
普段なら、自身の認知していない者になど名乗るプリウスでは無い。
立場的にも、見えなくなる以前も以後も警戒心は人一倍強い自負がある。
「プリウス公子殿下、目が……」
顔を合わせても、どこを見ているのか分からない焦点の合わない瞳は、やはり奇異に映るのだろうか。
そう思ってプリウスは、辛うじてわかる明度と大凡の輪郭でこちらに向けられたマリナからの視線を感じたが、そこに常日頃感じる憐れみや好奇の感情はなかった。
ただ、迷惑を掛けた申し訳なさと、目の見えない自分を心配げに案じる単純でわかりやすい心遣いがそこにあった。
「ああ、心配ない。見えずとも問題ない」
差し出された腕を借りて立ち上がった公子は、大丈夫だとマリナに屈託ない笑顔を向ける。
マリナからはホッとした笑顔を向けられたのを感じた。
「お待たせしました。お兄様どうかされましたの?」
そこに公女が戻ってきて、一人でいたはずのプリウスと一緒にいるマリナを交互に見やる。
マリナの腕を掴んだままだったプリウスは、慌てて手を離した。
「別に……」
「わたしが紙を飛ばしてしまったのを、プリウス公子殿下が拾ってくださったのです」
「あら、お兄様が……そう。貴女は?」
公女は、少し赤らんだ顔を隠すように外方を向くプリウスに一瞥をくれると、改めてマリナを金の瞳を光らせてじっと見た。
「改めまして、公子殿下並びに公女殿下にご挨拶申し上げます。ウルバーンから参りましたマリネッテと申します」
プリメーラからの視線を受けたマリナは、紙の束を片手で抱えたまま些か不躾ではあったが、二人に完璧なカーテシーで挨拶をした。
いくら「アカデミー内では貴族平民の差別なし」と言ったところで、所詮そんなものは子供のうちの建前だ。
アカデミー卒業と同時に成人を迎える貴族に置いては、どう足掻いても越えられない明確な家門の差が着いて回る。
ここフォルクローレにおける彼ら二人は、間違いなくこの国の公王公妃に次いで敬意を示すべき高貴な存在であった。
「マリネッテ様からの丁寧な挨拶、しかとお受けいたしましたわ。わたくしはプリメーラ、彼は双子の兄でプリウスと申しますの。以後、学院内では敬称不要ですわ」
「では、プリウス様、プリメーラ様と。わたしに対する敬称こそ不要にございます」
そう言って胸に手を当て腰を折るマリナを見て、プリメーラは鈴を転がしたように「わかったわ」と軽やかな声で笑った。
「では、わたしはこれで」
「ああ、ねえ。この後お時間はある?お茶でもいかが?」
挨拶を済ませ、さて頼まれた書類を届けに行かねばとマリナが去ろうとすると、プリメーラからのお茶の誘いを受ける。
「はい、大丈夫です」
「じゃあそれを届けたあと教室で待ってて。迎えを寄越すわ」
「わかりました」
それじゃ後でねと、プリメーラはプリウスの手を引いて去って行った。
その後、案内されて連れて行かれたフォルクローレ専用のサロンには、公子公女だけでなくレイアやオーリーもいた。
(そう言えばレイアさんたちと同じ学年だったわね)
意外な繋がりではあったが、プリメーラとレイアが友人同士でもあり会話は途切れることは無かった。
殊更、オーリーがマリナを自動人形と間違えて踊った話はプリウスを楽しませたようだ。
「オーリーは私より見えてるのに全く見えてないんだね」
くくっと声を上げて笑うプリウスに、オーリーは耳まで真っ赤になりながら「だって……仕方ない……。理想の……姿が……あった」と言い、オーリーにされた事を思い出してマリナも顔を赤くすることになった。
「マリナが顔を赤くしましたわ。何があったんですの?」
「ふふっ、大馬鹿オーリーがやらかしただけですわ」
「気になりますわ、レイアもっと詳しく!」
「もう、やめてください……」
さらに顔を赤くして恥じ入るマリナの頭を、隣に座ったプリウスが優しく撫でる。
「彼女が嫌がってる」
「あら、からかい過ぎましたわね」
「お兄様ったら……」
「……恥ずかし……がってる……のも……かわ……」
その後も、話上手なレイアとそこに突っ込みまくるプリメーラにより話は尽きることなく、時間も忘れて盛り上がりを見せた。
最後には、プリウスからもプリメーラからも「マリナ」と呼ばれるほど打ち解けることができ、次のお茶会の約束までしてその日は解散となった。
・‥…‥・◇・‥…‥・◇・‥…‥・
(うわあぁ……びっくりしたー。フォルクローレの公子公女とお知り合いになるとは……)
マリナにとっては、父により予め伝えられていた避けるべき家門にはなかったため、こうしてアカデミーに通っている彼らと出会うことは全くの想定外ではあるが、相手が誰であろうと適切な礼を尽くすのは今まで受けてきた教育の賜物、自明の理だった。
特別なことは何もしていない。
(綺麗な髪と瞳だったなー。美男美女で羨ましい。レイアさんもオーリーさんも。ホント、このアカデミーどうなってるの?)
まるで、読み慣れた少女小説に出てくる、キラキラしい登場人物たちのようではないか。
マリナは着心地の良い夜着に身を包み、ベッドで仰向けに寝転んで今日の出来事を思い出していた。
「今日もお疲れ様。はい、いつもの」
「ありがとう」
ベッドから起き上がり、今日も今日とてマリナの部屋にやってきて当然のように世話してくるゲネルから、お茶の入ったカップを受け取り口を付ける。
「今日は何かあった?」
「ん?……ううん、何も無い」
マリナはこのアカデミーでの3年間を「あくまでもマルセルの付き添い」という心持ちで過ごすつもりだった。
しかし、今となっては、あの頃には予想だにしなかった毎日を過ごしていて、マリナ自身が学院生活を楽しみ始めている。
何かあったようで何も無い、そんな日常を日々過ごしていた。
「ま、いいけど。おやすみ、マリナ」
飲み終わったカップを受け取り、いつものようにマリナの頭を一撫でしてゲネルは部屋を出て行った。
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