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#4:宿泊研修~準備編
#4-余談2②.三原色の中央は真っ黒
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「③引き継ぎ④、Mが固辞しHのみ5セットとパジャマを2着購入、支払いはM。地点Sへ移動」
たかが二泊三日の宿泊研修に張り込んだものだな。
まあ自分の懐は傷まないから当然か。
次は靴屋。
「引き続き④、H、M、共に38」
「Mのみ詳細を」
「RY」
長囲型を詳しく聞く。
高級店だけあって型でも起こせそうな計測結果に、なかなかの収穫だと笑みを零す。
「またもMが固辞しHのみ3足購入、支払いはM。地点Jへ移動」
いい加減腹が立ってきたな。
いや、待ち合わせの時点でとうに腹は立っていたが。
……君はもう少し付き合う相手を選んだほうがいいよ。
「J入りは阻止、閉めさせろ。Cに誘導」
「RY」
調子に乗るな、クズが。
それこそ『豚に真珠』だろうが。
「④から再び②、C入店。今度はMも購入」
よし、やっと気に入った物が買えたようだ。
しかし、歩きっぱなしでそろそろ疲れた頃だろう。
ティータイムには遅すぎるくらいの時間だ。
「実況②。C退店、解散傾向」
何?ここまで来て休憩もなしに解散だと!?
田舎者のど根性体力と一緒にするなよ、阿呆が。
「解散阻止、Pに誘導」
「……RY」
彼女はランチ抜きで今まで飲まず食わずだ。
ここらでしっかり休んで欲しいものだが。
「②から①、……P前のDに入店」
「何故!?」
「Hがテイクアウト希望、Mは固辞。門前に向かう模様」
そりゃそうだ、貴族のご令嬢が歩きながら飲食など普通の感覚ならありえない。
「引き続き①。Mら解散」
「Mの様子は」
「特には」
「わかった。ご苦労」
イヤーカフから手を離し耳から外す。
集中して魔力を流して音を拾う必要があり、雑音を遮って籠もっていた部屋から出ると、誰もいなかったはずの部屋には一人を除くいつものメンバー。
「マリナちゃん、どうだった?楽しんでた?」
俺が何をしていたかなど、筒抜けのようだ。
「どうだろうな、嫌がってたわけでないだろうが」
「嫌がってなければいいというものでもないでしょう?」
あくまでも第三者の目を通して聞いただけ、報告者の主観に過ぎない。
それでも、嫌な目にあったのでなければ良しとしよう。
嫌な目など、万が一にも遭わせないが。
「誰かとなんてどーでもいーよ。明日は僕の出番だからね」
「『私たち』な」
「えー僕だけでいいと思うんだけどなー」
長めの前髪から覗く赤い瞳がじっと見る先には、銀縁眼鏡の怜悧な黄緑の瞳。
「あの研究室に行くつもりなんでしょう?」
「そーなんだけどー」
「マリナと私だけでもいいんですけど」
「……お前らはいいじゃないか」
聞こえないほどの思わず溢れた愚痴とも言えない呟きと溜息。
接点が多く、着々と彼女と親密度を増していく二人にイラつく。
そう言えば、いつの間に愛称呼びしてるんだ。
「あーねw」
「僻むなユーリ」
聞こえてたのか……。
多少優位に立っているからだろう、あくまでも「多少」だが。
こちらに向けられる憐憫を含んだ視線が鬱陶しい。
「…………まあいい。明日は宜しく頼む」
今はどうとでも、最後に自分のものになればいい。
10年待ったんだ。
「もちろん♪」
「言われずとも」
この時の3人は、お互いを牽制しつつもどうにかして抜け駆けることに必死で、残る一人が抜け駆けしていることなど知りもしなかった。
────────────────────
K=化粧品店、L=ランジェリー店、S=靴屋、J=宝飾店、C=ショコラトリー、P=パンケーキ、D=持ち帰りコーヒー店
被らない程度に適当です
たかが二泊三日の宿泊研修に張り込んだものだな。
まあ自分の懐は傷まないから当然か。
次は靴屋。
「引き続き④、H、M、共に38」
「Mのみ詳細を」
「RY」
長囲型を詳しく聞く。
高級店だけあって型でも起こせそうな計測結果に、なかなかの収穫だと笑みを零す。
「またもMが固辞しHのみ3足購入、支払いはM。地点Jへ移動」
いい加減腹が立ってきたな。
いや、待ち合わせの時点でとうに腹は立っていたが。
……君はもう少し付き合う相手を選んだほうがいいよ。
「J入りは阻止、閉めさせろ。Cに誘導」
「RY」
調子に乗るな、クズが。
それこそ『豚に真珠』だろうが。
「④から再び②、C入店。今度はMも購入」
よし、やっと気に入った物が買えたようだ。
しかし、歩きっぱなしでそろそろ疲れた頃だろう。
ティータイムには遅すぎるくらいの時間だ。
「実況②。C退店、解散傾向」
何?ここまで来て休憩もなしに解散だと!?
田舎者のど根性体力と一緒にするなよ、阿呆が。
「解散阻止、Pに誘導」
「……RY」
彼女はランチ抜きで今まで飲まず食わずだ。
ここらでしっかり休んで欲しいものだが。
「②から①、……P前のDに入店」
「何故!?」
「Hがテイクアウト希望、Mは固辞。門前に向かう模様」
そりゃそうだ、貴族のご令嬢が歩きながら飲食など普通の感覚ならありえない。
「引き続き①。Mら解散」
「Mの様子は」
「特には」
「わかった。ご苦労」
イヤーカフから手を離し耳から外す。
集中して魔力を流して音を拾う必要があり、雑音を遮って籠もっていた部屋から出ると、誰もいなかったはずの部屋には一人を除くいつものメンバー。
「マリナちゃん、どうだった?楽しんでた?」
俺が何をしていたかなど、筒抜けのようだ。
「どうだろうな、嫌がってたわけでないだろうが」
「嫌がってなければいいというものでもないでしょう?」
あくまでも第三者の目を通して聞いただけ、報告者の主観に過ぎない。
それでも、嫌な目にあったのでなければ良しとしよう。
嫌な目など、万が一にも遭わせないが。
「誰かとなんてどーでもいーよ。明日は僕の出番だからね」
「『私たち』な」
「えー僕だけでいいと思うんだけどなー」
長めの前髪から覗く赤い瞳がじっと見る先には、銀縁眼鏡の怜悧な黄緑の瞳。
「あの研究室に行くつもりなんでしょう?」
「そーなんだけどー」
「マリナと私だけでもいいんですけど」
「……お前らはいいじゃないか」
聞こえないほどの思わず溢れた愚痴とも言えない呟きと溜息。
接点が多く、着々と彼女と親密度を増していく二人にイラつく。
そう言えば、いつの間に愛称呼びしてるんだ。
「あーねw」
「僻むなユーリ」
聞こえてたのか……。
多少優位に立っているからだろう、あくまでも「多少」だが。
こちらに向けられる憐憫を含んだ視線が鬱陶しい。
「…………まあいい。明日は宜しく頼む」
今はどうとでも、最後に自分のものになればいい。
10年待ったんだ。
「もちろん♪」
「言われずとも」
この時の3人は、お互いを牽制しつつもどうにかして抜け駆けることに必死で、残る一人が抜け駆けしていることなど知りもしなかった。
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K=化粧品店、L=ランジェリー店、S=靴屋、J=宝飾店、C=ショコラトリー、P=パンケーキ、D=持ち帰りコーヒー店
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