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人間嫌いの勇者

粘着質な奴ら

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「しつこい!!」

 新たな隠れ家に避難し終えた俺は怒りのまま、壁を殴った。

 少し凹んだが、まあいい…………。

 それよりも、朝香の率いていた護衛騎士の奴らだ。

 最初の隠れ家の仕掛けがバレてからと言うもの…………。

 ここ数日--------

 あの女性騎士と男性騎士のおかげで、この町周辺の隠れ家がバレまくって、おかげで隣の町まで逃げる羽目になった。

 でどういう訳か…………。

『ここにもありますね…………』

 何故か、朝香連中は隣町にいて、俺を捜索している。

 まず、間違いない。

 これは明らかに女神共があいつらに協力してやがる。

 その証拠に--------

『なるほど、確かにこれは巧妙に隠されていますね…………』

 朝香連中の近くに、かなりの有名人が同行していた。

 その有名人である彼…………今現在、最前線で魔王軍の侵攻を食い止めている六人の勇者の一人。

 『進藤正彦しんどうまさひこ』がご自慢の聖剣を携えて、調査に協力していた。

 確か、情報によると、彼は探知系統の勇者だった筈だ。

 それこそ、女性騎士と男性騎士と同じ能力も持っている。

 また、面倒な奴を…………。

 状況を整理するとこうだ。

 俺が逃げると、女神共が聖女を通して、俺の居場所を知らせ…………。

 あの勇者と騎士達を使って隠れ家はしらみつぶしに見つけられ…………。

 しつこいくらい粘着質に追い掛けて来る。

「これは最終手段に出るしかない、か…………」

 思い立ったが吉日ってな…………。

 俺の平穏を乱すのなら、その報いを受けて貰おうか…………。

 俺は獰猛に微笑みながら、そっと壁に立て掛けてあったに手を伸ばした。

 さて、勇者様御一行には、誰に喧嘩を売ったか…………。

 たっぷりと後悔しろ…………。
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