12 / 19
人間嫌いの勇者
VS勇者 前編
しおりを挟む
「これは…………」
《世界勇者評議会》が借り切っている宿舎。
その一室にて、勇者正彦は部屋へ戻るなり、ある一通の手紙を読んでいた。
『今夜、東の森の湖で待つ。必ず、一人で来られたし』
来なかった場合、同行者がいた場合は問答無用で町が不幸に見舞われると、続きには書いてあった。
まず間違いなく、自分が狙いなのは分かった。
そして、差出人は女神様が言っていた人物だろう。
女神様の言う通りなら、その人物の性格からしてこれは脅しではない。
必ずやる。
そう言った類の文面だ。
だから、私は言われた通りに一人で所定の場所に来た。
そして、そこで目にしたのは湖の中央に佇むフードを被った謎の少女だった。
------------------------------------------
「来たか…………」
俺は目的の奴が来たのを確認すると、思わず頬が緩む。
相手はいつでも戦闘態勢に入れるように剣に手をかけていた。
とりあえず、まずは咳払いをして会話を始める。
「ようこそ、いらっしゃいました勇者様。今宵は満月。とても煌びやかで、幻想的な日だと思いませんか……?」
妙に演技がかった仕草で話し掛けると勇者正彦は警戒するように、無言で俺の様子を窺っていた。
「特に最近の勇者様は私にゾッコンのようで…………。正直、わたくしも非常に迷惑を被っている訳ですよ」
「……………………」
「ですから、勇者様…………。
ここで------------死んでくれません……?」
「くっ!!」
俺が勇者の前へと一気に距離を詰めると、右手に持っていたもので斬り付けた。
まあ、そこは勇者。
初見で見切った上で、防いじゃうんだからさ…………。
「流石は勇者様。なら、これならどうかな!?」
「させない!!」
俺の追撃を何度も受け流し、かわし続ける勇者。
流石に場慣れしている上、聖剣の力で身体機能を強化しているみたいだな…………。
しかも、ちゃっかり俺の情報を読み取ろうとしている。
「やっぱり、この姿のままじゃ押し切れないか」
「はあっ!!!!」
「おっと…………!」
顔スレスレで聖剣の刃をバックステップを用いて回避したが…………。
「へぇ~…………」
完璧に回避したと思ったが、フードの一部が切れていた。
一応、防刃素材なんだが、やはり、聖剣は侮るべきではなさそうだ。
「大人しく投稿してくれないかい?」
勝利を確信しているのか?
勇者はそんな事を聞いてくる。
もう俺が誰だか、理解しているようだ。
「女神様達から聞いた。
君の力があれば、魔王軍との戦況を一変させる事が出来ると…………。
なら、その力を力無き者達のために生かすべきだよ」
はあ……?
何言ってんのこいつ……?
何か、説得始めちゃったよ。
「今も何処かで、誰かが私達、勇者の助けを待っている。
だから、君も…………」
「滅べばいいじゃん」
「は……?」
俺の発言に勇者が間の抜けた顔をする。
何を言っているのか、分からない、といった感じだ。
「だから、滅べば良いんだよ。こんな世界も、人間も…………」
「な、なっ…………!?」
勇者は明らかに狼狽していた。
俺は気にする事なく、話を続ける。
「何か、あんたは色々と勘違いしているみたいだが…………。
俺はそもそも勇者をやるなんて言ってねえよ」
「…………ふざけているのか……?」
段々と状況を理解出来てきたのか、勇者の顔が見る見る怒りに染まっていく。
「ふざけてなどいるもんか。
良いか……?
耳の穴かっぽじって良く聞けよ?
俺は何処で誰が死のうが知った事じゃねぇ…………。
むしろ、死んでくれて清正するぜ」
「……………………」
勇者の聖剣の柄を握る手が強く握られる。
「大体、何で俺が人間なんてもんを守らなくちゃいけないんだ?
こんな醜くて、浅ましい生きもんを守って何の意味がある?
守っても、喜ぶのはお前みたいな偽善者だけだろうが…………」
俺も俺で、いつにも増して饒舌に話している。
やっぱり、ストレス溜まりまくっていたみたいだ。
あぁ、気持ちが楽になる。
「だから、私達に協力しないと……?」
「する訳ねぇじゃん!
何、君……?
もしかして、クラスでいう委員長タイプみたいな奴なの……?」
明らかに小馬鹿にしたように勇者を笑うと、勇者は一気に動いた。
そして、振り上げた聖剣を振り下ろし--------
「きゃあああっ! や~ら~れ~る~…………」
わざとらしい悲鳴を上げて余裕で回避。
振り下ろされた聖剣は湖へと吸い込まれて--------そのまま、湖の水そのものを蒸発させた。
「わおっ!? おっかないなあ~…………」
「っ!? 貴様!!」
その目は憎々しげに俺を睨み付ける。
俺は右手に手にしているもの…………刀状の魔道具を勇者に切っ先を向け、構える。
「さて、第二ラウンドと行きましょうか? ねぇ、勇者様…………」
俺は邪悪に微笑み、勇者へと駆け出した。
《世界勇者評議会》が借り切っている宿舎。
その一室にて、勇者正彦は部屋へ戻るなり、ある一通の手紙を読んでいた。
『今夜、東の森の湖で待つ。必ず、一人で来られたし』
来なかった場合、同行者がいた場合は問答無用で町が不幸に見舞われると、続きには書いてあった。
まず間違いなく、自分が狙いなのは分かった。
そして、差出人は女神様が言っていた人物だろう。
女神様の言う通りなら、その人物の性格からしてこれは脅しではない。
必ずやる。
そう言った類の文面だ。
だから、私は言われた通りに一人で所定の場所に来た。
そして、そこで目にしたのは湖の中央に佇むフードを被った謎の少女だった。
------------------------------------------
「来たか…………」
俺は目的の奴が来たのを確認すると、思わず頬が緩む。
相手はいつでも戦闘態勢に入れるように剣に手をかけていた。
とりあえず、まずは咳払いをして会話を始める。
「ようこそ、いらっしゃいました勇者様。今宵は満月。とても煌びやかで、幻想的な日だと思いませんか……?」
妙に演技がかった仕草で話し掛けると勇者正彦は警戒するように、無言で俺の様子を窺っていた。
「特に最近の勇者様は私にゾッコンのようで…………。正直、わたくしも非常に迷惑を被っている訳ですよ」
「……………………」
「ですから、勇者様…………。
ここで------------死んでくれません……?」
「くっ!!」
俺が勇者の前へと一気に距離を詰めると、右手に持っていたもので斬り付けた。
まあ、そこは勇者。
初見で見切った上で、防いじゃうんだからさ…………。
「流石は勇者様。なら、これならどうかな!?」
「させない!!」
俺の追撃を何度も受け流し、かわし続ける勇者。
流石に場慣れしている上、聖剣の力で身体機能を強化しているみたいだな…………。
しかも、ちゃっかり俺の情報を読み取ろうとしている。
「やっぱり、この姿のままじゃ押し切れないか」
「はあっ!!!!」
「おっと…………!」
顔スレスレで聖剣の刃をバックステップを用いて回避したが…………。
「へぇ~…………」
完璧に回避したと思ったが、フードの一部が切れていた。
一応、防刃素材なんだが、やはり、聖剣は侮るべきではなさそうだ。
「大人しく投稿してくれないかい?」
勝利を確信しているのか?
勇者はそんな事を聞いてくる。
もう俺が誰だか、理解しているようだ。
「女神様達から聞いた。
君の力があれば、魔王軍との戦況を一変させる事が出来ると…………。
なら、その力を力無き者達のために生かすべきだよ」
はあ……?
何言ってんのこいつ……?
何か、説得始めちゃったよ。
「今も何処かで、誰かが私達、勇者の助けを待っている。
だから、君も…………」
「滅べばいいじゃん」
「は……?」
俺の発言に勇者が間の抜けた顔をする。
何を言っているのか、分からない、といった感じだ。
「だから、滅べば良いんだよ。こんな世界も、人間も…………」
「な、なっ…………!?」
勇者は明らかに狼狽していた。
俺は気にする事なく、話を続ける。
「何か、あんたは色々と勘違いしているみたいだが…………。
俺はそもそも勇者をやるなんて言ってねえよ」
「…………ふざけているのか……?」
段々と状況を理解出来てきたのか、勇者の顔が見る見る怒りに染まっていく。
「ふざけてなどいるもんか。
良いか……?
耳の穴かっぽじって良く聞けよ?
俺は何処で誰が死のうが知った事じゃねぇ…………。
むしろ、死んでくれて清正するぜ」
「……………………」
勇者の聖剣の柄を握る手が強く握られる。
「大体、何で俺が人間なんてもんを守らなくちゃいけないんだ?
こんな醜くて、浅ましい生きもんを守って何の意味がある?
守っても、喜ぶのはお前みたいな偽善者だけだろうが…………」
俺も俺で、いつにも増して饒舌に話している。
やっぱり、ストレス溜まりまくっていたみたいだ。
あぁ、気持ちが楽になる。
「だから、私達に協力しないと……?」
「する訳ねぇじゃん!
何、君……?
もしかして、クラスでいう委員長タイプみたいな奴なの……?」
明らかに小馬鹿にしたように勇者を笑うと、勇者は一気に動いた。
そして、振り上げた聖剣を振り下ろし--------
「きゃあああっ! や~ら~れ~る~…………」
わざとらしい悲鳴を上げて余裕で回避。
振り下ろされた聖剣は湖へと吸い込まれて--------そのまま、湖の水そのものを蒸発させた。
「わおっ!? おっかないなあ~…………」
「っ!? 貴様!!」
その目は憎々しげに俺を睨み付ける。
俺は右手に手にしているもの…………刀状の魔道具を勇者に切っ先を向け、構える。
「さて、第二ラウンドと行きましょうか? ねぇ、勇者様…………」
俺は邪悪に微笑み、勇者へと駆け出した。
0
あなたにおすすめの小説
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
どうやら俺は、魔王を倒した英雄の両親より強いらしい。~オリハルコンを斬ってくっつけたら試験無しで王立学園に入学、いろいろやらかすハメに
試運転中
ファンタジー
山を割るほどに剣を極めたおとん「ケン」と、ケガなど何でも治してしまうおかん「セイ」。
そんな二人に山で育てられた息子「ケイ」は、15歳の大人の仲間入りを機に、王都の学園へと入学する。
両親の素性すらも知らず、その血を受け継いだ自分が、どれほど常軌を逸しているかもわからず。
気心の知れた仲間と、困ったり楽しんだりする学園生活のはずが……
主人公最強だけど、何かがおかしい!? ちょっぴり異色な異世界学園ファンタジー。
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。
樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。
ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。
国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。
「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる