不揃いの七勇者〜七人目の勇者は、かつて帝国を裏切った婚約者でした〜

水先 冬菜

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人間嫌いの勇者

VS勇者 後編

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「さてと…………」

 俺は勇者のいる上空に転移した。

 そして、そのまま浮遊して、魔道具の銃口を勇者の背後------------数キロ先の町へと向ける。

 すぐに魔力を感知して、俺の位置に気付いた勇者は、俺から発する膨大な魔力量で、何をするのか気付いたようで、駆け出した。

「遅い…………!!」

 俺は邪悪に笑いながら、躊躇なく引き金を引いた。

 銃口から放たれた、高圧縮魔力の放射砲撃は町へと流星のように向かう。

 それを木々を使って、跳躍した勇者が迎え撃つ。

「ホーリー・ソードおおおおおおっ!!!!!!」

 おお、頑張るねえ…………!?

 でも、いつまで持つかな……?

「ぐっ…………ぅぅ…………」

 徐々に押されつつある勇者。

 頑張っているみたいだが…………無駄だよ…………。

「ぐはあああっ!!!」

 耐え切れずに吹き飛ばされる勇者。

 威力は弱まったが、町へと向かう砲撃の光線。

「俺を敵に回した事。後悔しろ! 偽善者共!!」

 後少し…………。

 もう少しで、俺の魔法が町に届いて--------

「何っ!?」

 町に俺の魔法が届こうとした瞬間、その魔法が俺の方に跳ね返って来た。

 慌てて、それを避けると、跳ね返った地点に見覚えのある女がいる。

「朝香ああああっ!!!!」

 俺は邪魔をした聖女に対して、怒りの咆哮を上げ、憎悪の目を向ける。

 なら、せめて、あの勇者に止めを…………。

「させません!!」

「くそがっ!?」

 あの女性騎士と男性騎士がいつの間にか俺の周りを浮遊して、切り掛かって来る。

 それを両手の魔道具で受け流し、剣、銃、体術を駆使して迎撃する。

 その結果、この二人の相手に時間をかけ過ぎてしまい…………。

 気付けば、あのうるさい評議会の連中に、瀕死の勇者が保護されていた。

「潮時だな…………」

「待て!!」

「邪魔…………」

「ぶっ…………」

 土産に男性騎士に一発、鉛玉を腹に打ち込み転移する。

 そして、視界が隠れ家の一つに変わり…………。

「くっ…………!」

 悔しさのあまり、銃型の魔道具を地面に叩き付けた。

 いつも良い所で邪魔しやがって…………!!

 あのクソ女、どこまで俺の邪魔をすれば気が済む!!!

 それに、あの勇者も勇者で何様のつもりだ。

 人の過去に土足で踏み込みやがって…………!?

 これだから、人は信用ならないんだ!!

 大体、帝国時代の時、あの女が、俺はあんな酷い目に合う事はなかったんだ。

「殺してやる…………」

 次は確実に…………!!

 二度と俺の邪魔が出来ないように…………!!!

 俺が味わった苦しみをあの女にも…………!!!!!!

「なら、準備しなくちゃな…………。迅速的かつ早急に…………」

 俺はこれから起こるであろう出来事に想いを浮かべ、動き出す。

 これで、俺はあの魔女の呪縛から解放される。

 そう信じて…………。
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