不揃いの七勇者〜七人目の勇者は、かつて帝国を裏切った婚約者でした〜

水先 冬菜

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人間嫌いの勇者

VS勇者 後日談

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「勇者正彦様の治療が終了致しました」

 勇者正彦様と彼が戦ってから五日--------

 急遽、女神様によって召喚された正彦様担当の聖女。

 リリア様の治療を得て、正彦様は何とか一命を取り留めた。

 正彦様が保護された際は、それはかなりの深手を負っていて、危険な状態だった。

 何とか、私の聖女の力で女神様とお話しをつけ、遠方におられた先輩聖女のリリア様に治療をして頂いた事で事無きを得たが…………。

 まだ問題は片付いてはいない。

 それどころか、今、暴挙に出た私の対である勇者。

 龍薙湊についての処遇で《世界勇者評議会》は日夜、会議で揉めていた。

 こんな暴挙を働く勇者はすぐに解任すべきだと、女神に訴え出る者。

 きちんと湊と話をし、正しく導くべきだと強く主張する者。

 利益を第一とし、どちらに着くべきか思案を重ねる者。

 その他、様々だ。

 だが、勇者を変える気はない、との女神達の一言で場は収まり、再び彼の捜索と協力を仰ぐ話でまとまるにはまとまった。

 でも、それに納得出来ていない者も数少なくはない。

 そもそも、彼がああなってしまったのは、他でもない。

 この私だ。

 、私がしくじらなければ、こんな事には…………。

「……………………」

 私の頬に涙が伝う。

 今、私は迷惑をかけてしまった方々に申し訳なくていっぱいだった。

 罪悪感に押し潰れそうになりながらも、必死に彼を探した。

 寝る間も惜しんで、ただ彼を探して…………。

 けれど、彼は見つからなくて…………。

 どうしたら、良いのか、途方に暮れていた。

 そもそも、会って私はどうしたいのか、分からなかった。

 そんな私に先輩聖女であるリリア様は私にこう語りかけてくれた。

「あなたが彼に対して、何か、思う事があるのは理解出来るけど…………。

 あまり思い詰め過ぎていたら、彼に届くものも届かなくなるわよ」

「はい…………」

 私は弱々しく頷く事しか出来なかった。

 確かに、リリア先輩の言う通りだと思う。

 だけれど、私にそんな資格はない。

 彼の私にはそんな資格はないと今でも思っている。

 そんな私が聖女に選ばれて…………。

「だったら、辞めちまえよ…………」

 私が宿舎の与えられた部屋に戻ると、先客がいた。

 ベットに腰掛けて、本を読んでいる黒コートの少女。

 だが、それは女神の呪いによって、女性の姿に変えられているだけの彼が…………。

 龍薙湊が私の目の前にいた。

「お久しぶりだな…………? えぇ……? 裏切りもん…………」

「がはっ…………!」

 彼が本を閉じた瞬間、腹部に痛みが走る。

 それが、彼の放ったナイフだと理解した時、私の体にある異変が起きる。

 体が痺れて、指一本動かす事が出来ずに、その場に倒れた。

 これは…………毒………………?

「いい加減邪魔になったんでな…………。

 悪いが、ここで死んで貰う…………。

 だが、安心しろ。

 昔の好だ。

 簡単には殺さない。

 たっぷりと苦しめて、泣き叫ぶまで可愛がってやる。

 あの勇者をこの手で殺した後で、罪悪感に溺れながら、俺を裏切った事を後悔すると良い。

 そう…………のように、な…………」

 薄れゆく意識の中、私が最後に見たのは、憎悪に染まる彼の狂気じみた瞳だった。

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