15 / 19
人間嫌いの勇者
VS勇者 後日談
しおりを挟む
「勇者正彦様の治療が終了致しました」
勇者正彦様と彼が戦ってから五日--------
急遽、女神様によって召喚された正彦様担当の聖女。
リリア様の治療を得て、正彦様は何とか一命を取り留めた。
正彦様が保護された際は、それはかなりの深手を負っていて、危険な状態だった。
何とか、私の聖女の力で女神様とお話しをつけ、遠方におられた先輩聖女のリリア様に治療をして頂いた事で事無きを得たが…………。
まだ問題は片付いてはいない。
それどころか、今、暴挙に出た私の対である勇者。
龍薙湊についての処遇で《世界勇者評議会》は日夜、会議で揉めていた。
こんな暴挙を働く勇者はすぐに解任すべきだと、女神に訴え出る者。
きちんと湊と話をし、正しく導くべきだと強く主張する者。
利益を第一とし、どちらに着くべきか思案を重ねる者。
その他、様々だ。
だが、勇者を変える気はない、との女神達の一言で場は収まり、再び彼の捜索と協力を仰ぐ話でまとまるにはまとまった。
でも、それに納得出来ていない者も数少なくはない。
そもそも、彼がああなってしまったのは、他でもない。
この私だ。
あの時、私がしくじらなければ、こんな事には…………。
「……………………」
私の頬に涙が伝う。
今、私は迷惑をかけてしまった方々に申し訳なくていっぱいだった。
罪悪感に押し潰れそうになりながらも、必死に彼を探した。
寝る間も惜しんで、ただ彼を探して…………。
けれど、彼は見つからなくて…………。
どうしたら、良いのか、途方に暮れていた。
そもそも、会って私はどうしたいのか、分からなかった。
そんな私に先輩聖女であるリリア様は私にこう語りかけてくれた。
「あなたが彼に対して、何か、思う事があるのは理解出来るけど…………。
あまり思い詰め過ぎていたら、彼に届くものも届かなくなるわよ」
「はい…………」
私は弱々しく頷く事しか出来なかった。
確かに、リリア先輩の言う通りだと思う。
だけれど、私にそんな資格はない。
彼の人生を狂わせた私にはそんな資格はないと今でも思っている。
そんな私が聖女に選ばれて…………。
「だったら、辞めちまえよ…………」
私が宿舎の与えられた部屋に戻ると、先客がいた。
ベットに腰掛けて、本を読んでいる黒コートの少女。
だが、それは女神の呪いによって、女性の姿に変えられているだけの彼が…………。
龍薙湊が私の目の前にいた。
「お久しぶりだな…………? えぇ……? 裏切りもん…………」
「がはっ…………!」
彼が本を閉じた瞬間、腹部に痛みが走る。
それが、彼の放ったナイフだと理解した時、私の体にある異変が起きる。
体が痺れて、指一本動かす事が出来ずに、その場に倒れた。
これは…………毒………………?
「いい加減邪魔になったんでな…………。
悪いが、ここで死んで貰う…………。
だが、安心しろ。
昔の好だ。
簡単には殺さない。
たっぷりと苦しめて、泣き叫ぶまで可愛がってやる。
あの勇者をこの手で殺した後で、罪悪感に溺れながら、俺を裏切った事を後悔すると良い。
そう…………あの時のように、な…………」
薄れゆく意識の中、私が最後に見たのは、憎悪に染まる彼の狂気じみた瞳だった。
勇者正彦様と彼が戦ってから五日--------
急遽、女神様によって召喚された正彦様担当の聖女。
リリア様の治療を得て、正彦様は何とか一命を取り留めた。
正彦様が保護された際は、それはかなりの深手を負っていて、危険な状態だった。
何とか、私の聖女の力で女神様とお話しをつけ、遠方におられた先輩聖女のリリア様に治療をして頂いた事で事無きを得たが…………。
まだ問題は片付いてはいない。
それどころか、今、暴挙に出た私の対である勇者。
龍薙湊についての処遇で《世界勇者評議会》は日夜、会議で揉めていた。
こんな暴挙を働く勇者はすぐに解任すべきだと、女神に訴え出る者。
きちんと湊と話をし、正しく導くべきだと強く主張する者。
利益を第一とし、どちらに着くべきか思案を重ねる者。
その他、様々だ。
だが、勇者を変える気はない、との女神達の一言で場は収まり、再び彼の捜索と協力を仰ぐ話でまとまるにはまとまった。
でも、それに納得出来ていない者も数少なくはない。
そもそも、彼がああなってしまったのは、他でもない。
この私だ。
あの時、私がしくじらなければ、こんな事には…………。
「……………………」
私の頬に涙が伝う。
今、私は迷惑をかけてしまった方々に申し訳なくていっぱいだった。
罪悪感に押し潰れそうになりながらも、必死に彼を探した。
寝る間も惜しんで、ただ彼を探して…………。
けれど、彼は見つからなくて…………。
どうしたら、良いのか、途方に暮れていた。
そもそも、会って私はどうしたいのか、分からなかった。
そんな私に先輩聖女であるリリア様は私にこう語りかけてくれた。
「あなたが彼に対して、何か、思う事があるのは理解出来るけど…………。
あまり思い詰め過ぎていたら、彼に届くものも届かなくなるわよ」
「はい…………」
私は弱々しく頷く事しか出来なかった。
確かに、リリア先輩の言う通りだと思う。
だけれど、私にそんな資格はない。
彼の人生を狂わせた私にはそんな資格はないと今でも思っている。
そんな私が聖女に選ばれて…………。
「だったら、辞めちまえよ…………」
私が宿舎の与えられた部屋に戻ると、先客がいた。
ベットに腰掛けて、本を読んでいる黒コートの少女。
だが、それは女神の呪いによって、女性の姿に変えられているだけの彼が…………。
龍薙湊が私の目の前にいた。
「お久しぶりだな…………? えぇ……? 裏切りもん…………」
「がはっ…………!」
彼が本を閉じた瞬間、腹部に痛みが走る。
それが、彼の放ったナイフだと理解した時、私の体にある異変が起きる。
体が痺れて、指一本動かす事が出来ずに、その場に倒れた。
これは…………毒………………?
「いい加減邪魔になったんでな…………。
悪いが、ここで死んで貰う…………。
だが、安心しろ。
昔の好だ。
簡単には殺さない。
たっぷりと苦しめて、泣き叫ぶまで可愛がってやる。
あの勇者をこの手で殺した後で、罪悪感に溺れながら、俺を裏切った事を後悔すると良い。
そう…………あの時のように、な…………」
薄れゆく意識の中、私が最後に見たのは、憎悪に染まる彼の狂気じみた瞳だった。
0
あなたにおすすめの小説
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
どうやら俺は、魔王を倒した英雄の両親より強いらしい。~オリハルコンを斬ってくっつけたら試験無しで王立学園に入学、いろいろやらかすハメに
試運転中
ファンタジー
山を割るほどに剣を極めたおとん「ケン」と、ケガなど何でも治してしまうおかん「セイ」。
そんな二人に山で育てられた息子「ケイ」は、15歳の大人の仲間入りを機に、王都の学園へと入学する。
両親の素性すらも知らず、その血を受け継いだ自分が、どれほど常軌を逸しているかもわからず。
気心の知れた仲間と、困ったり楽しんだりする学園生活のはずが……
主人公最強だけど、何かがおかしい!? ちょっぴり異色な異世界学園ファンタジー。
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。
樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。
ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。
国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。
「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる