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第三章 際限なき悪意

面倒な増援

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「悪いけど、一緒に来て貰うよ」

 またまた、まずい状況になった。

 まさかまさかのアレクセイの登場。

 魔物達に囲まれ、周りには逃げ遅れた人もいる。

 さて、この状況をどうしたものか…………。

『そんな時こそ、あたいの出番だ!』

「……………………」

 聞き覚えのある声が頭に響く。

 また、嫌な予感が…………。

『来たれ! 友情の名の元に!』


 何か、怪しげな魔法陣が俺の真上に浮かんでいるのですが…………。

「何だい? これは…………」

 不思議そうに、アレクセイが空を見上げる。

「たぶん、傍迷惑な人の魔法かなぁ~…………?」

 敵であるのに、律儀に答える俺。

 そして、魔法陣から、複数の人影がが舞い降りて----------------

「いくぜえええええっ!!!」

 それが誰かを悟って、顔が引きつる。

 何故って……?

 そんなの簡単だ。

 俺としても、敵としても、非常に面倒な連中だからだ。

 最初に降り立った人影は俺の周りにいる魔物を斬り倒し、残りの三人は人々の前に守るように立ち塞がっていた。


「おやおや、これは…………」

 涼しい顔をしているが、明らかに目が笑っていないアレクセイ。

 まあ、舞い降りた連中は世界的にも有名で、名の知れた人物達だ。


 俺も最近まで、いた奴らだしな…………。

 とりあえずは------------

「形勢逆転、ねえ~!!」

「そのようだ、ねっ!!」

 俺はアレクセイを蹴り飛ばすと、銃器を取り出して構える。

 アレクセイも、受け身を取り、こちらに腕に嵌めた袖口の腕輪を見せるようにして、迎撃態勢になる。

 側から見れば、そう見えるだろう。

 だが、こういう時の奴は、戦おうとするのではなく------------

「今日のところは引き下がらせて貰うよ」

「っ!?」

 俺は慌てて、足元へと銃弾を放つ。

 だが、それもすんでの所で間に合わず…………。

「また会おう!」

 アレクセイの身体が目の前から消えた。

 逃したか…………。


 やっぱり、行動パターンも、使う魔法も、アレクセイと同じものだ。

 さっきの人達の怯えようからして、もしかしなくても、の言うようになっている可能性がある。

 ほんと、また面倒な事に巻き込まれてしまったな…………。

 ガクリと、肩を落とす俺は憂鬱ようにため息を吐いた。

 これから、起こるであろう現実に、目を背けながら…………。
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