婚約者の愛は重たい

聖 りんご

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ジョシュアの甘いご褒美デート(後編)

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「ジゼル、私としては貴女に応えてあげたいのですが…」

「違う!今のは違うから!!馬車止まったんなら着いたって事よね!」

「不本意ながらそうですね。」

事故とはいえジョシュアにキスしてしまい恥ずかしくなった私は急いでジョシュアから離れて馬車を降りる為に身なりを整えた。
ジョシュアはとても残念な顔をしながらも馬車のドアが開かれるときちんとエスコートしてくれた。

馬車を降りるとそこは綺麗に整備された広場だった。

辺境と聞いていたので勝手に簡素で少し寂れたところをイメージしていたのに全くそんな様子はなく、王都と言っても疑われないくらいの賑やかさだった。

「すごい!!こんなに人がいっぱいいるなんて!!」

「驚きましたか?何れはジゼルと住む事になる街ですので貴女の喜ぶような街になるように頑張ってみたのですが、いかがでしょうか。」

「凄く素敵な街並みね。人もたくさんいて栄えていて…ジョシュアは凄いわね。領地の管理どころか栄えさせてしまうなんて。」

私が辺りをキョロキョロ見回していると、ジョシュアが私の手を取った。

「行きましょう。ジゼルが喜びそうな場所もたくさん造ったので一緒にみて欲しいです。」

少し少年ぽい笑顔のジョシュアに私は心臓が跳ねた。
いつも大人なジョシュアもこんな笑顔をする事が凄く嬉しくて私は腕に抱きついて顔を真っ赤にしたジョシュアと歩き始めた。

街の中は本当に私好みで、家や店の外観も可愛いくて、私の好きそうなメニューばかりのレストランに、私の好きな紅茶やケーキしかないカフェ、私に似合うドレスばかりの服屋さんなど久しぶりにジョシュアに恐怖を抱いた。

日記をやめて初めてかもしれない。
婚約者になった事で私の許容範囲が広がったのか、ジョシュア自重していたのかは謎だけどきっとコレは宜しくないと思う。

「ジョシュア、この街は全部私の好みみたい。」

「この街はジゼルの為の街ですから。全てがジゼルの好きな物のはずです。」

「私、そんなの嬉しくないわ。」

私のこの言葉はジョシュアに瀕死のダメージを与えたようでジョシュアはその場で崩れおちた。

「全部が私の好みじゃなくて良いの。私は、ジョシュアの好きな物だってみたいし、自分の知らない物を発見するのも大好きだから全てを私好みにはしないで。街の人も可哀想よ。」

「ジゼル…私は貴女に喜んで欲しかった。」

「その心はとても嬉しいわ。」

私は崩れおちたジョシュアの頬にキスをした。

「今度はたくさん色々な物を一緒にみましょう。」

ジョシュアから強い力で抱きつかれ、私はしばらく動けなかった。
周りの視線がすごく痛かったけど我慢してジョシュアの好きにさせた。
こうしてジョシュアご褒美デートは終わり、明日試験の結果が張り出されます。



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