婚約者の愛は重たい

聖 りんご

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夢魔の音色

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各代表が出揃った翌週、選考会が行われました。
30人の代表達は様々な楽器を手に舞台に立ちます。
審査員は芸術担当教諭、宮廷楽団のコンサートマスター、校長、そして何故か辺境伯としてジョシュアがきちんとした格好で座っています。
音楽祭に特別枠での参加が決定しているらしいジョシュアはいつもとは違い壮大な態度で舞台を見つめていて少し格好良くみえます。

私は終わったらすぐに会場を出られるように最終列の席にシリウス様とスカーレット様と並んで座りました。

演奏の順番は1年生のSクラスからスタートし、皆素晴らしい演奏を披露していきます。
しかし、一年生のDクラスの一人目の演奏の途中でいきなり煙が会場を包みました。
視界が真っ白で、隣にいるはずのシリウス様の顔すら分かりません。

「シリウス様、スカーレット様ご無事ですか?」

「問題ない!」

「私も無事です。」

二人の無事を確認した私は風を起こし煙をとばしました。
すると、シリウス様とスカーレット様の真後ろに仮面をした男性が二人見え、今にも二人を拘束しようとしていました。

「お二人共、避けてください!」

私は二人の男性に対して空気砲を打ち吹き飛ばしにかかったが、避けられ距離をとられた。
シリウス様とスカーレット様はその隙に私の元に走って来たので三人で背中合わせになって警戒していると、ジョシュアが合流しました。
すると、仮面の男性は姿を消し私たちは少し警戒を解きました。

「ジゼル、大丈夫ですか?」

「私は大丈夫よ。」

「良かった……。殿下たちは大丈夫そうですね。脱出しましょう。」

ジョシュアは光速で私たちを連れて会場を出た。
その日は選考会の続行は不可能とされ、後日仕切り直される事になった。
襲撃者たちには逃げられたようで侵入経路も不明のまま。

「いっそどちらか攫われてくれたら早かったのですが……」

「なんて事言うんだ…」

「私たちが攫われてたら間違いなくジゼルも巻き込まれていたと思うが。」

「それは許しませんよ。」

シリウス様とスカーレット様には暫く学園内でも護衛がつく事になりました。
リリアン様は選考会の時に二人を守れなかった事を気にしてずっと沈みっぱなしです。
二週間程経っても特に何も無く、一週間後に再度選考会を開く事となりました。
今回は警備の為に騎士団が会場を囲みます。

久しぶりにニック様を見ましたが以前より筋肉がついて凛々しいように思えました。
流石に警備中に話しかける訳にはいかなかったので挨拶はしませんでした。

そして、選考会は始まりました。
一年生、二年生と順調に演奏が続き私たちは皆演奏に聞き入ってました。
やがて、三年生最後の方の演奏に差し掛かると何故だか急に眠たくなりました。
それは我慢が出来ないほどの急激なもので、おかしいと気づいた時には遅く、私の視界は暗闇につつまれました。
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