婚約者の愛は重たい

聖 りんご

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Sクラス一の音楽家

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クラス全体が少し馴染んできた頃、音楽祭の開催の連絡がありました。
学内で選考され優秀者は王宮で陛下たちの前でソロ演奏する誉れをいただくというなんとも大きなものです。

全学年各クラスから二名選出し、王宮楽団の伴奏の元一名ずつ皆の前で演奏し審査員が得点をつけ順位をつけます。
楽器が得意な人たちの目の色が違いすぎて怖いです。
Sクラスは両殿下が来賓扱いの為、不参加となっています。

各クラス、芸術の授業が選考会になります。

「リリアン様は何の楽器を演奏されるのですか?」

「私はトランペットに致しますわ。」

「……珍しいですね。」

「華やかさが性にあいましたの。ジゼル様は何になされるのですか?」

「私はフルートですね。」

「ジゼル様のイメージにピッタリですわね。」

リリアン様と楽器が被らなかったのは嬉しいですが、意外すぎてびっくりしました。

私は暫く人前で吹いてなかったので、ジョシュアに聴いてもらう事にしました。

「ジゼルのフルートを聴くのは久しぶりですね。」

「やっぱり少し恥ずかしいかも…」

恥ずかしがる私にジョシュアは額にキスしてきました。
いつもと違う場所にキスされて少しびっくりしましたが、ジョシュアの優しい笑顔で鼓動が跳ねましました。

「ジゼル、緊張しないで。今のはおまじないです。」

ジョシュアのおまじないで緊張せず吹け、ジョシュアには高評価をもらいました。

次の日の二限目、Sクラスの芸術の時間になりました。

皆が得意な楽器を手に音楽教室に移動します。
殿下たちは不参加の為クラス内の選考する側になり、私の番は後半なので皆の音色を楽しみます。

印象的だったのはトランペットを吹いたリリアン様、アコーディオンを演奏したシイカ伯爵令嬢、ユーフォニアムを吹いたボーンヘイ侯爵子息でした。

そしていよいよ私の番になり、私はジョシュアのおまじないのおかげで緊張せずフルートを吹く事が出来ましたが、結果はリリアンさまとシイカ伯爵令嬢がSクラス代表に選ばれました。

少し残念ですが、二人には頑張ってほしいです。
授業終わりにジョシュアからは頭を撫でながら「とても綺麗な音色でした。」と褒めて貰えました。
私はその言葉だけで嬉しかったので未練はありません。

「リリアン様おめでとうございます。」

「ジゼル様、ありがとうございます。ジゼル様のフルート素晴らしかったです。」

「ありがとうございます。選考会頑張って下さいね。」

選考会は1週間後なのでリリアン様は燃えていました。
私もどんな演奏が聴けるのか楽しみです。
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