婚約者の愛は重たい

聖 りんご

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殿下の結婚

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この度、シリウス様とスカーレット様の式の日程が決まりました。
卒業式の次の日に執り行われるという事で少し慌ただしそうな二人をリリアン様はぼんやり見ている事が多くなり、少しモヤっとします。

「スカーレット様。リリアン様は今後どのようになるのでしょうか……式は挙げるのでしょうか。」

「今のところその様な話は出ていない。リリアンの事は公然の秘密だ。無下にはされないだろうが……」

言葉を詰まらせたスカーレット様と私は少し話をし解散した。

その後も順調に準備が進みシリウス様とスカーレット様が欠席される日が多くなってきたが、リリアン様は毎日学園に来ていたので私はリリアン様とレティ様を誘ってカフェに行ったり演劇を観たりして少しでも気が紛れるようにと行動した。

そうして迎えた卒業式。

楽しかった学園生活も終わりの日、私たちは複雑な想いでこの日を迎えた。
陛下からの祝辞、理事長の挨拶など滞りなく進み最後の挨拶が終わるとシリウス様はいきなり壇上に上がりました。

「卒業生の皆、共にこの日を迎えられた事を嬉しく思う。
少し、私的な話になるが陛下と理事長の許しを得て時間をもらった。
私は明日、スカーレット殿下と婚姻を結ぶ。しかし、皆も知っての通りバーン公爵家のリリアン殿を側妃として迎える事が決定しているが、明日の式のように大々的なものは取り行えない。
そこで、この後のパーティで彼女に純白のドレスを着せる事を許してはくれないだろうか。
もし、賛同してくれはるのであれば、拍手をして欲しい。」

シリウス様のこの言葉にリリアン様は涙していました。
隠し通すことが出来て良かった。
私が惜しみない拍手をすると、まわりもつられるように拍手しはじめ、会場一杯に響いた。

その後のパーティーはウェディングドレスに身を包んだリリアン様をシリウス様がエスコートし、壇上に造った祭壇の前で宣誓すると優雅な音楽と拍手の中、涙を流すリリアン様をスカーレット様が優しく抱き寄せた。

私はこの日の事を記録できないのが凄く残念だったけれど、きちんと目に焼き付けておこうと思いました。


次の日、シリウス様とスカーレット様の結婚式が盛大に行われました。

厳かな雰囲気の中、昨日とは打って代わり真剣な表情の二人にこの国を背負う存在であると再認識します。
やがて、宣誓が終わり退場するのみとなった時、突然シリウス様の右側にウェディングドレスを着たリリアン様が現れました。

会場はザワつきましたが何事も無かったかのように退場の音楽が流れ二人をエスコートしながら退場したシリウス様はイタズラが成功した子供の顔をしていました。
私も知らなかったのでビックリしましたが、三人とも幸せそうで良かったです。

主役と王族方が退場し、私たちの退場も許されるといきなりジョシュアに出口とは反対方向に手を引かれました。
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