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【番外編】緻密な暴露
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しおりを挟む俺の話を聞き終わった後、父上は深く息を吐き出して抱きしめてきた。
「………俺の、早とちりということか…」
…あれ、なんか想像していた反応と違う。
浅はかだとか、爪が甘いとか、計画に対して苦言を呈されるかと思ったのに…何故かとても落ち込んでいないか?
「ち、父上。俺もきちんと訂正をしませんでしたし…そこまで落ち込まれなくても…」
おろおろと言葉を継ぐも、後ろにいる父上から言葉は返ってこない。
どうしたものかと頭を悩ませた始めたとき、ぽつりと父上が言葉を零した。
「…俺は元来、何に対しても執着が薄くてな」
囁くような声は、国王でも、父上でも、なく聞こえて。
思わず振り返って顔を見ようとした俺の身体は、キツく抱きしめられることで制された。元々顔を見ないで話したいと言ったのは俺なので、力を抜いて父上に身を委ねた。
「父親は、普通の男だった。俺が生まれ、その性質を察するや否や、俺の方が国王に向いていると言い出して、他に子を成すよりも俺を国王にすることに全力を注いだ」
確かに、俺が7歳の時にはもう国王だったし、若くして王座を継いだのは知っていたけれど、そんな背景があったなんて。
「俺のやる気はともかく、才能があったのは事実で、幼い頃から厳しく躾けられてきた。それに対して思うことは特になかった。俺は、物にも、人にも、執着が無かったからだ。用意された道を歩くことにもさして抵抗感は無かった。抗うのも面倒で、周りが望むならそれでいいかと諦観して、学を身につけ、用意された女と婚姻し、子を成して、ただ淡々と生きてきた。
ーーお前と出会うまでは」
すり、と項に父上の鼻筋が当たる感触がして、ちゅ、とあからさまな音を立てて口付けを落とされた。
そしてそのまま、まるで子供がぬいぐるみを抱きしめて駄々を捏ねるように、俺の後頭部へと顔を擦り付ける。
心臓がとてもはやく騒ぐのを自覚しながらも、湧き上がってくる熱に流されないように、手を握りしめた。
「一番最初にテオンについての報告を聞いたときは、面倒なことになったと思った。だが、報告書を読んだ後にとんでもないことをしてしまったと後悔したんだ。
…テオンには悪いことをしたと思っている。
俺が父親であってもなくても、貴族の子供として普通に生まれていれば、何不自由なく暮らせた。なのに俺の不注意で、飢えていたわけではなさそうだったが、苦労させたのは明確だった。
それからずっとテオンに対する贖罪について考えていた」
俺が馬鹿みたいに父上に見惚れている間にそんな真剣なことを考えていたなんて…と、自責の念に駆られていると、キツい抱擁が解かれて、腹の前に組まれていた大きな掌が身体を辿って頬まで登ってきて、ゆるりと撫でた。
もう片方の掌が握りしめていた俺の手を解き、指を絡めるように繋がれたあとに、促されるように顔を上げた。
許可が出て見上げた父上は、慈しむように俺を見下ろしながらも、黄金の瞳の奥にとんでもない熱を宿し、ゆるりと笑んでいた。
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