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第七話:嘘を信じられた日、私はひとりになった
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夜の屋上は、昼間とまるで別世界だった。
月明かりに照らされたフェンス。
校舎のざわめきも、グラウンドの声も届かない。
ここにはただ、風と──彼女の声だけがあった。
「……あの噂、全部、嘘じゃないの」
その第一声に、俺は息を飲んだ。
「前の学校で、確かに男子に告白されたことはあった。
でも、私はその子の親友の方が好きだったの」
佐倉の声は、風に消えそうなくらい弱かった。
「……で、断った。そのときは普通に。
でも数日後から、急に“私は誰とでも寝る女”って噂が回り始めた」
言葉のナイフが、彼女の過去を切り裂くように語られていく。
「それだけじゃなかった。
“夜の街で見かけた”とか、“教師と付き合ってる”とか……
全部、作り話。でも、それを否定しても、誰も信じてくれなかった」
佐倉は、静かに笑った。
でも、その笑顔は壊れかけたガラスみたいだった。
「“本当のこと”より、“面白い嘘”の方が、人は信じるのよ」
その言葉が、胸に刺さった。
彼女は、笑われて、見下されて、誤解されたまま、
ひとりで全部飲み込んで、転校してきた。
……俺には、何も知らなかったことが悔しかった。
「君島くん」
彼女が俺の方を見た。
「ここで話したの、君が初めて」
俺は、ただ一歩、彼女のそばに近づく。
「信じてくれて、ありがとう」
そのとき、風が吹いて、彼女の髪が揺れた。
俺の胸元に当たるほど、近い距離。
そのまま俺は、自然に手を伸ばした。
彼女の頬に触れる。驚いたように目を見開く佐倉。
「……俺は、君のこと、ちゃんと見てるから」
「……なんで……そんな、優しくするの」
「理由なんて、いるか?」
沈黙のあと、佐倉は目を閉じて、
俺の肩に、そっと頭を預けてきた。
──その夜、俺たちは何も言わずに、
ただ、ひとつの温度を分け合っていた。
月明かりに照らされたフェンス。
校舎のざわめきも、グラウンドの声も届かない。
ここにはただ、風と──彼女の声だけがあった。
「……あの噂、全部、嘘じゃないの」
その第一声に、俺は息を飲んだ。
「前の学校で、確かに男子に告白されたことはあった。
でも、私はその子の親友の方が好きだったの」
佐倉の声は、風に消えそうなくらい弱かった。
「……で、断った。そのときは普通に。
でも数日後から、急に“私は誰とでも寝る女”って噂が回り始めた」
言葉のナイフが、彼女の過去を切り裂くように語られていく。
「それだけじゃなかった。
“夜の街で見かけた”とか、“教師と付き合ってる”とか……
全部、作り話。でも、それを否定しても、誰も信じてくれなかった」
佐倉は、静かに笑った。
でも、その笑顔は壊れかけたガラスみたいだった。
「“本当のこと”より、“面白い嘘”の方が、人は信じるのよ」
その言葉が、胸に刺さった。
彼女は、笑われて、見下されて、誤解されたまま、
ひとりで全部飲み込んで、転校してきた。
……俺には、何も知らなかったことが悔しかった。
「君島くん」
彼女が俺の方を見た。
「ここで話したの、君が初めて」
俺は、ただ一歩、彼女のそばに近づく。
「信じてくれて、ありがとう」
そのとき、風が吹いて、彼女の髪が揺れた。
俺の胸元に当たるほど、近い距離。
そのまま俺は、自然に手を伸ばした。
彼女の頬に触れる。驚いたように目を見開く佐倉。
「……俺は、君のこと、ちゃんと見てるから」
「……なんで……そんな、優しくするの」
「理由なんて、いるか?」
沈黙のあと、佐倉は目を閉じて、
俺の肩に、そっと頭を預けてきた。
──その夜、俺たちは何も言わずに、
ただ、ひとつの温度を分け合っていた。
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