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三章
12、好きすぎて
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「じゃあ、翠子さんは誰に、どこで何をされるのが好きなのか教えてくれるかい」
「先生、に……ぁあ……」
「うん、まぁ『先生』でもいいか。じゃあ、どこで何をされたいんだい?」
俺に花芯を抓まれて、翠子さんは苦しそうに喘いだ。
短い息を繰り返す彼女に「答えて」と促してやる。
「ここ、で。このお部屋、で。触れられたい、です」
「触れるだけでいい? いつかは抱こうと思っているんだけど。ああ、分かっているだろうけど、抱くというのはぎゅっと抱きしめるという意味ではないよ」
「分かって、ます」
「じゃあ、触れるだけでいいのかな」
翠子さんは、ふるふると首をふった。
その動きに合わせて、濡れた髪が彼女の頬にかかる。
また刺激を与えてやると、翠子さんは背筋を弓なりにそらした。張りのある胸に、俺が刻んだ痕が見える。
ぞっとするほどの色香だ。
叶うことならば、あなたをこの部屋に閉じ込めて誰にも見せたくはない。だが、それではただの監禁だ。
小さかった頃の折檻で傷ついたままだった俺の心を、あなたはその無邪気さで救ってくれた。今は身売りされ傷ついたあなたを、俺が救いたい。
そのためにも、決してあなたを閉じ込めてはならない。
「どうしてほしい? まだ答えが終わっていないぞ」
「先生が、欲しいです」
「うん。じゃあ、当然慣らさないといけないな」
「……はい」
翠子さんは小さくうなずいた。
俺は二本目の指を、彼女に入れた。
もう充分に濡れているから、抵抗はあるが、ゆっくりと俺の人差し指と中指が沈んでいく。
熱く狭いその場所が、侵入してきた二本の指を包んでくる。
ああ、あなたの中だ。
なまめかしくうねる動きを指の腹に感じながら、俺は浅いところで指を動かした。
「やっ……あっ……んっ」
「感じる?」
「は、は……い。とて、も」
翠子さんの背を、俺は片手で抱えた。胸の尖りは固くなり、薔薇色に染まっている。
それを口に含み、右手は動かし続ける。
じゅぷ……という淫らな水音が、指の動きに応じて聞こえてくる。
「あ、や……ぁ、だめ、も……う」
指で彼女の中を広げながら、かき乱す。狂おしそうに身悶える翠子さんが、俺の顔を覗きこんだ。
いや、我を忘れた彼女にはちゃんと見えていないかもしれない。
だが黒い瞳が切なそうに濡れ、甘い声で求められると、俺は指の動きを速めた。
「せんせ……ぇ」
俺を呼びながら、翠子さんは敷布を握りしめて絶頂を迎えた。のけぞった白い首が、薄闇の中で、たいそう艶めかしく見えた。
過ぎた快感を与えられて、翠子さんは力なく横たわった。
「先生……、翠子は、先生が……」
「俺がどうかした?」
荒い息を繰り返しているせいで、翠子さんの言葉は途切れている。促してやると、甘い余韻に手を震わせながら、翠子さんが俺に手を伸ばしてきた。
その小さな手をきゅっと握りしめると、彼女は微笑んだ。
そして、俺の手の甲に残る傷を、そっと指で撫でたのだ。
「怪我、なさったの?」
「昔な」
あなたにも教えたことのある傷だ。そう言いかけて、俺は口を閉ざした。
たとえ覚えていなくとも、俺はあなたにとっては心細いところを助けた「お兄ちゃん」なのだ。
こんな風にあなたを啼かせているのが、あの「お兄ちゃん」だと知られたら。幻滅されるかもしれない。
「さっき何を言いかけていたんだ?」
古傷から話を逸らせたくて、俺は再び問いかけた。
すると、翠子さんは俺の傷跡にゆっくりと唇を触れさせた。
「先生……好き」
駄目だ。そんな可愛いことを言われたら。
あなたのことが好きすぎて困っているというのに。
「先生、に……ぁあ……」
「うん、まぁ『先生』でもいいか。じゃあ、どこで何をされたいんだい?」
俺に花芯を抓まれて、翠子さんは苦しそうに喘いだ。
短い息を繰り返す彼女に「答えて」と促してやる。
「ここ、で。このお部屋、で。触れられたい、です」
「触れるだけでいい? いつかは抱こうと思っているんだけど。ああ、分かっているだろうけど、抱くというのはぎゅっと抱きしめるという意味ではないよ」
「分かって、ます」
「じゃあ、触れるだけでいいのかな」
翠子さんは、ふるふると首をふった。
その動きに合わせて、濡れた髪が彼女の頬にかかる。
また刺激を与えてやると、翠子さんは背筋を弓なりにそらした。張りのある胸に、俺が刻んだ痕が見える。
ぞっとするほどの色香だ。
叶うことならば、あなたをこの部屋に閉じ込めて誰にも見せたくはない。だが、それではただの監禁だ。
小さかった頃の折檻で傷ついたままだった俺の心を、あなたはその無邪気さで救ってくれた。今は身売りされ傷ついたあなたを、俺が救いたい。
そのためにも、決してあなたを閉じ込めてはならない。
「どうしてほしい? まだ答えが終わっていないぞ」
「先生が、欲しいです」
「うん。じゃあ、当然慣らさないといけないな」
「……はい」
翠子さんは小さくうなずいた。
俺は二本目の指を、彼女に入れた。
もう充分に濡れているから、抵抗はあるが、ゆっくりと俺の人差し指と中指が沈んでいく。
熱く狭いその場所が、侵入してきた二本の指を包んでくる。
ああ、あなたの中だ。
なまめかしくうねる動きを指の腹に感じながら、俺は浅いところで指を動かした。
「やっ……あっ……んっ」
「感じる?」
「は、は……い。とて、も」
翠子さんの背を、俺は片手で抱えた。胸の尖りは固くなり、薔薇色に染まっている。
それを口に含み、右手は動かし続ける。
じゅぷ……という淫らな水音が、指の動きに応じて聞こえてくる。
「あ、や……ぁ、だめ、も……う」
指で彼女の中を広げながら、かき乱す。狂おしそうに身悶える翠子さんが、俺の顔を覗きこんだ。
いや、我を忘れた彼女にはちゃんと見えていないかもしれない。
だが黒い瞳が切なそうに濡れ、甘い声で求められると、俺は指の動きを速めた。
「せんせ……ぇ」
俺を呼びながら、翠子さんは敷布を握りしめて絶頂を迎えた。のけぞった白い首が、薄闇の中で、たいそう艶めかしく見えた。
過ぎた快感を与えられて、翠子さんは力なく横たわった。
「先生……、翠子は、先生が……」
「俺がどうかした?」
荒い息を繰り返しているせいで、翠子さんの言葉は途切れている。促してやると、甘い余韻に手を震わせながら、翠子さんが俺に手を伸ばしてきた。
その小さな手をきゅっと握りしめると、彼女は微笑んだ。
そして、俺の手の甲に残る傷を、そっと指で撫でたのだ。
「怪我、なさったの?」
「昔な」
あなたにも教えたことのある傷だ。そう言いかけて、俺は口を閉ざした。
たとえ覚えていなくとも、俺はあなたにとっては心細いところを助けた「お兄ちゃん」なのだ。
こんな風にあなたを啼かせているのが、あの「お兄ちゃん」だと知られたら。幻滅されるかもしれない。
「さっき何を言いかけていたんだ?」
古傷から話を逸らせたくて、俺は再び問いかけた。
すると、翠子さんは俺の傷跡にゆっくりと唇を触れさせた。
「先生……好き」
駄目だ。そんな可愛いことを言われたら。
あなたのことが好きすぎて困っているというのに。
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